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NHK、VRで空間共有。パナのクラウド映像制作「KAIROS」

国際放送機器展「Inter BEE 2021」が幕張メッセにて11月19日まで、オンラインでは12月17日まで開催。ここでは、幕張メッセの会場にて展開しているパナソニック、NHK、シュア、ゼンハイザーなどのブース展示についてレポートする。

パナソニックはクラウド型映像制作を実演。3カ所の映像をブース内で編集/表示

パナソニックのブースでは、2022年春開始予定のクラウド型映像コンテンツ制作ソリューション「KAIROS クラウドサービス」をメインに展示。すでに展開しているIT/IPプラットフォームのKAIROSをベースに、クラウド型のサービスとして提供するもので、「撮る・創る・映す」のワークフロー全体をサポートする。

具体的には、カメラで撮影した映像素材をクラウドへ集約し、撮影・制作現場だけでなく遠隔地のオフィスや自宅からもアクセスできるようにすることで、場所に制約されずに、リアルタイムに映像を編集・制作、さらに映像配信プラットフォームへの配信まで可能になる。

映像制作ワークフロー全体をクラウドサービスとして提供することで、制作現場の初期投資を抑え、現場のワークスタイルに合わせた最適な組み合わせで利用できるという。これにより、実証実験では映像素材の撮影・制作・配信/納品までの業務時間も約30%削減できたとする。

このKAIROS クラウドサービスが今までのソリューションに加わる事で、オンプレミスは低遅延、高画質が必要な放送局向けに、クラウドサービスは、気軽に映像制作できるためネット配信や企業、イベントなど、これまで以上に様々な顧客に提案できるとする。

会場では、2カ所のボーリング場とブース内のスタジオの3カ所の映像を繋いだデモを実施。それぞれの映像を全てクラウドへ集約し、ブース内でオペレーターがリアルタイムに編集、映像を作り上げてモニターへ表示。17日は、プロボーリングの姫路麗選手と坂本かや選手が対決する様子の編集、配信が実演された。

今回の実演で使われているカメラやシステムの概要
ブース内のスタジオ
リアルタイムにクラウドへ集約された映像を編集して画面に映し出されている

2カ所のボーリング場にはそれぞれリモートカメラ、マイク、照明コントロールが設置されており、これらもブース内からオペレーターが操作して撮影。これにより、現地スタッフの人数も最小限に抑えられるという。

そのほかブース内では、リモートカメラの新ラインナップとして、4KインテグレーテッドカメラAW-UE80W/K、AW-UE50W/K、AW-UE40W/K、AW-UE20W/K、HDインテグレーテッドカメラAWHE20W/Kの5機種の展示なども行なっている。

NHK、離れた人と一緒にVRを楽しめる空間共有コンテンツ視聴

NHKのブースでは、“未来のメディア”と題して、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術により、離れた場所の人とあたかも同じ空間で一緒にコンテンツを体験しているように感じられるシステムを展示。

具体的には、距離センサー付きカメラでユーザー自身の映像を撮影することで、一緒にコンテンツを視聴している相手の姿がHMDの映像内に表示。ヘッドセットで会話も可能なため、すぐ近くで会話しているかのような感覚でコンテンツを楽しめる。

VRの体験ブース。左奥の壁の向こう側にも同じようなブースが用意されている
これらの距離センサー付きカメラでユーザーを撮影、相手のコンテンツ内にその映像を表示させる

会場に用意された体験コンテンツは、8Kで撮影された土偶に、コントローラーを使ってライトを当ててその様子を鑑賞しながら解説を受けられるというもの。

壁越しで2カ所に体験ブースが設けられており、HMDを装着すると、そのブースがそのまま見える状態から始まる。コンテンツがスタートすると、自分の右隣に一緒に体験ブースに入った編集長の姿が表示され、同じ空間で同じ方向から一緒に土偶にライトを当てている感覚が体験できた。

没入型VRディスプレイ

厚さ約0.5mmの薄いディスプレイを湾曲させた没入型VRディスプレイも展示。個人視聴用の没入感の高いディスプレイとするため、30型4Kフレキシブル有機ELディスプレイ3枚を貼り合わせ、円弧状に曲げて設置されたもので、水平方向に6K、垂直方向に4Kの解像度、約37cmの視距離でも画素構造の見えにくい画素ピッチ0.173mmを実現。

頭部のまわり約180度の視野角をカバーしており、このディスプレイと合わせて、映像・音声に合わせて振動する「いす型触覚デバイス」が組み合わされることで臨場感のあるコンテンツを体験できる。

会場では、路面電車の先頭から撮影された映像が用意。視界全体に映像が映るほか、線路の上を走る「ガタンゴトン」という音とともに細かく振動が感じられ、乗り物に乗っている感覚がリアルに体験できる。

なお、今回の展示ではコンテンツの低音部分に合わせて振動させているいるが、今後、コンテンツに合わせて調整することで、例えば路面電車が右に曲がっている様子などもリアルに体感できるようになるという。

Shureやゼンハイザーのブースでは新製品を展示

Shureのブースでは、同社初となるIP57等級の防塵防水対応を実現した小型マイク「DURAPLEX」を初出展。ラベリアタイプの「DH4」とヘッドセットタイプの「DH5」がそれぞれ展示されている。

DURAPLEX DH5
DH5のマイク部
DURAPLEX DH4

そのほか、USBコンデンサーマイク「MV5」「MV5C」「MV51」や小型の「MV88+ビデオキット」、XLR/USB出力をともに備えたダイナミックマイク「MV7」なども展示されている。

ゼンハイザーのブースでは、ショットガンマイク「MKE 400-II」を国内初展示。ウィンドプロテクションとショックアブソーバーを内蔵し高品質録音を実現するため機能をさらに充実。切り替え可能なローカットフィルターは、音声を最も重要な周波数に集中させ、クリアさと同時に会話の明瞭度を高めるという。ヘッドフォン出力を備えて、録音中にレベルをモニターすることも可能。

MKE 400-II
MKE 400-II

そのほか、360度で空間の音全体を録音/再現できる技術「Ambisonics方式」に対応している、4つの単一指向性カプセルを4面体に配置されたマイク「AMBEO VR MIC」や、6月に発売したモニターイヤフォン「IE 100 PRO」などを展示している。

AMBEO VR MIC
IE 100 PRO
IE 400 PRO、IE 500 PROも展示されている