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東映、横30m×縦5mの日本最大LEDスタジオ。'23年1月運用開始

テスト撮影時の様子

東映は、10月1日に東京撮影所にバーチャルプロダクション部を発足し、新しい映像制作技術であるバーチャルプロダクションの実証試験に取り組むと発表した。また東京撮影所・No.11ステージに、横30m×縦5mのLEDウォールを設置。現時点で日本最大のLEDスタジオとしてリニューアルし、2023年1月から運用を開始する。

さらに、2027年3月までの今後5年間で約20億円を投資し、制作する映像作品の制作工程で、新設のLEDスタジオを利用。

「『先端技術であるバーチャルプロダクション』を含む映像全般のテクニカルフォローができる日本随一のテクニカルチームの育成、背景用のデジタルアセットの制作ノウハウやデジタルアセットの蓄積、当社の制作する映像コンテンツの高品質化などを図ります」としている。

仕上がりのイメージ

設置するLEDウォールは、AOTO Electronics製のLEDディスプレイを採用。地上部分は横30m×縦5m(RM1.5×600pics)、天井部分は横10m×縦5m(M3.7H×100pics)の規模で設置する。スタジオ面積は400m2(120坪)、所在地は東京都練馬区東大泉2-34-5。

バーチャルプロダクションは、仮想空間の背景と実物の被写体(俳優や小道具)を同時に撮影し、合成する撮影手法。多くは背景にLEDパネルを設置したもので、背景のLEDパネルに映像やCGIを表示させている。

この撮影手法では、合成が不要でポスプロ工程の大幅な圧縮が行なえるほか、ロケ地・移動時間・天候に左右されず、経費削減や俳優・スタッフのスケジュールが確保しやすいとされる。また照明セットの時間短縮、映像投影による俳優の演技のしやすさ、デジタルアセットの再活用や稼働率向上などのメリットも備える。

アメリカ、インド、韓国などでは多くのLEDステージが新しく設立され、制作作品数も増加(「マンダロリアン」「ザ・バットマン」など)。国内では、CMやMVなどで利用されているものの、映画やドラマに使用される例はまだ少ない。

東映は「映画配給会社が自前でLEDスタジオを保有・運用するのは国内初となり、蓄積した新技術自体を活用した企画開発や、今後も日進月歩する映像表現の未来をリードする体制作りが可能になる」と説明している。