ソニー、重低音再生XBシリーズ最上位「MDR-XB1000」

-業界最大70mm径ユニット。カナル型2機種も刷新


XBシリーズの最上位「MDR-XB1000」

 ソニーは、高い低音再生能力を持つヘッドフォン/イヤフォンシリーズ「EXTRA BASS series」(XBシリーズ)の新モデルとして、ヘッドフォンの最上位「MDR-XB1000」と、カナル型(耳栓型)の「MDR-XB41EX」、「MDR-XB21EX」を2月10日に発売する。価格は「MDR-XB1000」が30,975円、「XB41EX」が6,195円、「XB21EX」が3,675円。

 同社は2009年にXBシリーズを発売。ヘッドフォンは「MDR-XB700」「MDR-XB500」、「MDR-XB300」の3モデルをラインナップするが、これらは継続して販売され、新たに「MDR-XB1000」が最上位モデルとして追加される。

 イヤフォンは「MDR-EX40EX」「MDR-XB20EX」がラインナップされていたが、これらの販売は終了し、それぞれ「MDR-XB41EX」、「MDR-XB21EX」に置き換わる。マイナーチェンジモデルとなる。




■MDR-XB1000

 XBシリーズは、2000年代に入り、ヒップホップやラップなど、低音のベースラインやリズムが重要となる楽曲がトレンドになってきた事から、「低音域の迫力を余すことなく再現するモデル」(ソニー)として企画されたもの。

 MDR-XB1000ではそのコンセプトをさらに進め、業界最大(2011年1月ソニー調べ)という70mm径の超大型ユニットを搭載。XB700の再生周波数帯域は3Hz~28kHzだが、それを上回る2Hz~30kHzという超低域再生能力を実現している。

MDR-XB700(左)とのサイズ比較

 一方、既存の「MDR-XB700/XB500/XB300」も高い低音再生能力を持っているが、それゆえ低音にばかり注目が集まる傾向があった。そこで、「MDR-XB1000」では音場空間の再現能力により磨きをかけたという。

 その際の再現する音場空間にもこだわっており、同社のSAシリーズではコンサートホールのS席、Zシリーズではライブハウスのステージ、ZXシリーズではライブハウスの最前列をイメージした音場空間再現が図られているが、「MDR-XB1000」では「クラブハウスのスピーカーの前に立ち、重低音を体で感じるような音場を目指した」という。そのため、ターゲット層も「クラブ好きで、自分のライフスタイルを主張するのにヘッドフォンを利用するようなコアなユーザー」が想定されている。

 重低音再生を実現するための機能であり、既存モデルから採用している「ダイレクトバイブストラクチャー」技術を引き続き採用。ドライバーユニットから鼓膜までの気密を高めることで、漏洩を抑え、低音再生能力を高めるための技術。そのために、低反発ウレタンを高伸縮ウレタンレザーで包んだ極厚の「キングサイズイヤークッション」も踏襲。ユニットの大型化に伴い、クッションのサイズもより大きくなっている。

低反発ウレタンを高伸縮ウレタンレザーで包んだ極厚の「キングサイズイヤークッション」を採用している70mm径の超大型ユニットを搭載

 また、振動板にも工夫がある。重低音再生を実現するため、振動板の可動域を通常のヘッドフォンよりも広くとっているが、大きく、強く振動板が振幅し、揺れると強い力がかかり、割れてしまう事がある。それを防ぐために、振動板に小さな凹凸を沢山設け、強度を高めた特殊な振動板を採用している。

 最大入力は3,000mWまで対応。インピーダンスは24Ω。ケーブルは両出しで、長さは2m。入力プラグはステレオミニで、重量は375g。

ヘッドアーム部分のデザインケーブルは両出し。リケーブルはできないケーブルは平型のものを採用している

 



■イヤフォンシリーズ「MDR-XB41EX」、「MDR-XB21EX」

 「MDR-XB40EX」と「MDR-XB20EX」のマイナーチェンジモデル。採用しているダイナミック型ユニットや、筐体の形状は前モデルと同じで、「MDR-XB41EX」は13.5mm径、「MDR-XB21EX」は9mmのユニットを採用する。

 カラーバリエーションが豊富になっており、どちらのモデルもブラック、ブルー、レッド、マルチの4色を揃えている。

「MDR-XB41EX」のブルーモデル「MDR-XB41EX」のマルチモデルレッドモデル。左が「MDR-XB21EX」、右が「MDR-XB41EX」

 両機種ともカナル型だが、XB41EXはユニットが耳穴に対して垂直になることで、ユニットが耳穴にぶつからず、ピースをさらに奥まで挿入できる「密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー方式」を採用。XB21EXは、ユニットに対して角度を持たせたイヤーピースの「アングルド・イヤーピース」構造を用いている。

傘になった部分音裏側の部分に低反発ウレタンを充填したノイズアイソレーションイヤーピース

 新モデルの強化点として、XB41EXは、通常のハイブリッドイヤーピース(内側のシリコンを固くすることで音道の形状を確保したもの)に加え、EXシリーズなどで採用されている「ノイズアイソレーションイヤーピース」も同梱。ピースの内側、傘になった部分の裏側に低反発ウレタンを充填することで、耳穴に挿入した際に、傘が“開こう”とする力が生まれ、従来のピースと比べてより耳穴にフィット。遮音性が向上するほか、さらに低音再生能力も高まるという。XB21EXは従来と同じ、ハイブリッドイヤーピースのみを採用している。

 さらにXB41EXは、装着性を高めるために「フィッティングアシスト」と呼ばれる機構も追加。EXシリーズでも採用されているもので、柔らかいゴムのパーツをハウジングの外側に装着。これが耳のくぼみに引っかかるように当たり、安定性を高めている。柔らかい素材で中は中空になっているため、耳の当たっている部分が痛くなる事はない。


「MDR-XB41EX」にはフィッティングアシスト機構を採用「MDR-XB21EX」のブラックモデル「MDR-XB21EX」は角度を持たせたイヤーピースの「アングルド・イヤーピース」構造を採用する

 再生周波数帯域はXB41EXが4Hz~24kHz、XB21EXが5Hz~23kHz、インピーダンスは16Ω。イヤーピースのサイズは、XB41EXがハイブリッドタイプをSS/S/M/L、ノイズアイソレーションタイプをS/M/L付属。XB21EXはハイブリッドをSS/S/M/L同梱する。

 両モデルとも筐体デザインに変更が加えられており、シリーズ最上位であるXB1000の各部を切り出したようなデザインを採用している。

 ケーブルは1.2mでY型、入力プラグはステレオミニで共通。重量はXB41EXが8g、XB21EXが4g。キャリングポーチが付属する。


(2011年 1月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]