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ポータブルオーディオ試聴イベント「ポタ研」開催
HiFiMAN低価格機やラトック新バランスポタアンなど
(2014/2/8 21:52)
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2014冬」が、2月8日の土曜日に中野サンプラザで開催された。入場は無料。
ポータブルアンプやポータブルプレーヤーを中心に、機器の比較試聴ができるイベント。アンプやプレーヤーだけでなく、ポータブルヘッドフォンやイヤフォンメーカーも参加。ユーザーが出展するコーナーなども設けられている。
8日の関東地方はあいにくの大雪に見舞われたが、開場時から熱心なヘッドフォンファンが集結。AK240の発表会などは、会場ルームにギッシリ人が集まり、外の雪景色と反対に、熱気で汗ばむ一幕も。来場者の安全を考慮し、予定よりも終了時間を繰り上げるなどの処置もとられたが、雪に負けないヘッドフォンファンの“熱さ”が実感できるイベントとなった。
AK240の発表会と、CHORD「Hugo」の発表会は別記事でレポートしている。ここでは14階会場の展示を中心に、主なものをレポートする。
ラトック
ラトックは、ESSのDAC「ES9018K2M」を搭載し、入力から出力までフルバランス構成の回路を採用したポータブルヘッドフォンアンプ「REX-KEB02AK」(オープンプライス/実売5万円前後)を2月下旬に発売予定。24bit/192kHzまで対応する同軸/光デジタル入力を各1系統備え、アユートのハイレゾプレーヤー「Astell&Kern AK100」など、デジタル出力を備えたプレーヤーとの接続を想定したモデル。
これは既に発表されているが、会場には同モデルをベースにしながら、同軸/光デジタルではなく、USB入力を備えた「REX-KEB02iP」というモデルを参考展示。USBでPCと接続し、USB DACとして動作するほか、iPod/iPhoneなどのiOS機器ともデジタル接続できるというモデルだ。
それ以外の仕様は「REX-KEB02AK」と同じ。DACのアナログ出力から、内蔵ヘッドフォンアンプまでがフルバランス構成になっており、出力もステレオミニのアンバランスに加え、2.5mm(マイクロミニ)×2のバランス出力を装備。クオリティを重視し、バランス/アンバランス出力は、それぞれ独立したアンプによる駆動となっている。
春頃の発売を予定しており、価格は「REX-KEB02AKと大きくは変わらない見込み」とのことで、5万円程度になりそうだ。
なお、製品版が対応するかは未定だが、来場者のウォークマン(NW-ZX1)をUSB変換ケーブルを介して接続したところ、音が出たという。
トップウイング
ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーHiFiMANの新モデル「HM-802」をブースにて披露。このイベントに合わせて発表されたもので、2月15日からの発売を予定。価格は69,900円(アンプカード無し)。
上位モデルとなる「HM-901」(アンプカード無し/99,900円)は、DACにESS「ES9018」を2個使用しているが、HM-802はWalfsonの「WM8740」をデュアルDACで搭載。高い音質を維持しつつ、低価格化したモデルだという。筐体のサイズや、付属品やアクセサリもHM-901と同じ。カラーはHM-901のブラックに対し、HM-802はダークグレーとなる。
再生対応ファイルはWAV、FLAC、MP3、AAC、Apple Lossless、AIFF。WAV/FLACは24bit/192kHzまで対応。128GBのSDカードが利用でき、バッテリの持続時間は11時間。
HiFiMANの特徴である、別売のアンプカードを搭載する事で、音質をグレードアップできるシステムにも対応している。
また、英iFIオーディオの新製品として、フルバランス構成でDSDに対応する、ヘッドフォンアンプ兼DACの「mini iDSD」も参考展示。5月発売予定で、価格は未定。USB以外にも光デジタル、同軸デジタル、AES-EBUバランス/アンバランスBNC(選択式)の入力端子を搭載。PCMは24bit/384kHzまで(同軸/光デジタル入力では192kHzまで)対応。DSDは2.8/3.1/5.6/6.2MHzに対応。352.8/384kHzのDXDもサポートする。DACはバーブラウンで、4個搭載のたクアッドコア、デュアルモノ・フルバランス構成。Bluetooth受信にも対応する。
ORB
ORBのブースでは、アナログ入力対応のポータブルヘッドフォンアンプ「JADE NEXT」を参考展示。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は27,000円前後。近日中の発売を予定しているという。カラーはレッド、ブラック、ダークネイビーの3色。
電源は単4電池2本。出力の2段階に切り替え可能で、300Ωまでのヘッドフォンアンプをドライブできる高出力モードが利用できるという。バッテリの持続時間は通常10数時間だが、高出力モードでは4時間程度になる。
ティアック
ティアックブースでは、5日に発表されたばかりの新製品群を一気に展示した。ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-P50」は、3月下旬発売で、実売28,140円前後。
DACは24bit/96kHz対応のTIバーブラウン「PCM5102」。入力端子として、USBを2系統、ステレオミニ/光デジタル兼用端子を1系統搭載。iOS機器向けに3月下旬に提供予定のハイレゾ再生アプリ「TEAC HR Audio Player for iOS」を使用すると、iOS機器から直接24bit/96kHzのデータを「HA-P50」へ伝送・再生でき、Apple Camera Connection Kitが不要なのが特徴。
Android端末はAndroid Open Accessory Protocol 2.0(AOA2.0)に対応した端末で利用可能。Androidは16bit/44.1kHzまでの対応となる。光デジタル入力とアナログ音声入力は兼用で、デジタル出力を持たないプレーヤーとも連携可能。PCと接続してUSB DACとして利用でき、この場合は24bit/96kHzまで対応。PC向けプレーヤーソフト「TEAC HR Audio Player」も用意する。
【お詫びと訂正】
記事初出時に、Androidは24bit/48kHzまで対応すると記載しておりましたが、16bit/44.1kHzの誤りでした。お詫びして訂正いたします。(2014年2月12日)
小型オーディオ「Reference 301」3製品を3月中旬より順次発売。USB DACの上位モデルでデュアルモノラルDAC構成の「UD-301」は3月下旬から、USB DAC/プリメインアンプ「AI-301DA」は3月中旬から発売され、実売は「UD-301」が57,540円前後、「AI-301DA」が52,290円前後。
「UD-301」はDSD 5.6MHzや32bit/192kHz PCMのUSB入力に対応したデュアルモノラル構成のDAC。DACはバーブラウンの「PCM1795」。電源にはトロイダルコアトランスを採用。ヘッドフォンアンプは、コンデンサに頼らないCCLC(Coupling Capacitor Less Circuit)方式を採用している。
「AI-301DA」は、DSD 5.6MHzや32bit/192kHz PCMに対応したUSB DACを搭載するほか、Bluetoothにも対応した小型プリメイン。40kHzの再生にも対応した、ハイレゾ対応小型2ウェイ同軸スピーカー「LS-301」も展示された。
オヤイデ
オヤイデ電気のブースでは、FiiOの新製品として、「E12 DIY」というモデルを参考展示。限定生産モデルとして、25,000円程度で近日発売を予定している。シルバーとゴールドの2色を用意。
モデル名の通り、発売中のポータブルアンプ「E12」の派生モデルで、ユーザーがオペアンプとバッファを交換できるのが特徴。製品にオペアンプのAD8620、AD767、OPA1611、OPA604を、バッファにBUF634、LME49600、LMH6321を同梱。トータルで12パターンの組み合わせが楽しめるほか、市販のオペアンプやバッファを利用する事もでき、音のカスタマイズが柔軟、かつ気軽に楽しめるのが特徴という。
USBヘッドフォン自作キット
CQ出版のブースでは、2月12日に発売予定の、「完全ディジタル! ダイレクトUSBヘッドホン組み立てキット」(DNHR001TGKIT)を展示。価格は23,100円。
24bit/96kHzまで対応するUSB DACをハウジングに内蔵したUSBヘッドフォンを、自作できるキット。ヘッドフォンのユニットは40mm径で密閉型。ハウジングにUSB端子があり、PCとUSBケーブルで接続して利用する。
キット自体に組み立てマニュアルなどが付属するが、書籍の「トラ技エレキ工房 No.4」には、このキットに関する情報も掲載。読みながら作ると、より楽しめるようになっているという。
ベンチャークラフト
ポータブルアンプで知られるベンチャークラフトのブースでは、一風変わったアンプを参考展示。SounDroid BT(Bird)と呼ばれるモデルで、名前の通り、Bluetoothレシーバ兼ヘッドフォンアンプ。コーデックはSBC/AACに対応する。
大きな特徴は、Bluetoothで受信した音を、24bit/192kHzへアップサンプリングして出力できるアンプで、Bluetoothの音をより高音質で楽しめるとする。オペアンプ交換も可能とのこと。5月頃の発売を予定している。
Westone
テックウインドのブースでは、米Westoneが1月のCESで披露した新製品の中から、プロミュージシャン向けの「UM Pro50」を参考展示。2月下旬頃の発売を目指しており、価格は69,800円程度を予定。5基のバランスド・アーマチュアドライバを搭載する。
CESではこれ以外に、コンシューマ向けの「W60」、「W50」も発表されたが、今回のイベントにはまだ登場しなかった。日本では3月下旬発売予定で、価格は未定。どちらもコンシューマ向けと位置づけられ、W60は6基のBAドライバを備えた3ウェイ6ユニット構成、W50は5基のBAドライバを搭載している。