ミニレビュー

いまさら聞けない?“Clubhouse”の魅力。誰でもコミュニティラジオ気分

ようこそClubhouseへ!

「Clubhouse」は、米Alpha Explorationという極々小さなベンチャーが始めた音声SNSだ。AppStoreの説明によれば“Drop-in audio chat”、つまり「ふらりと立ち寄れる音声チャット」。しかし、現状はそんなものではなく、米国を始め各国、そして日本でも「しゃべり好き」「コミュニケーション好き」たちを熱狂させる音声SNSとなっている。

現状ではiPhone(iOS 13以上)専用で、かつ、入会するには「既に入会している人からの招待」が必要という、利用には少しだけ高い壁がある。が、2021年2月10日現在、既に入会者で招待状が余っている人が多いようなので、既会員さえ見つかれば入れる可能性は高いのではないかと思う。

会話という体験を共有するメディア

Clubhouseは、簡単に言うと、“人との会話や音を共有するSNS”だ。

フォロー・フォロワーといった「つながり」のある人同士で会話を楽しめる。また、その会話はラジオ放送のようにインターネット上で流すことができるので、興味ある人はその会話を聞くことができる。さらには「会話の主」(moderatorと言われる)が許せば会話に入ってもらうことも可能だ。

さっそく今日も「朝から井戸端会議」などというテーマでだべる筆者たち……

さながら、インターネットのコミュニティラジオが誰でも気軽に作れるように、しかも高音質で世界中に流せるようになったようなものなのだ。

なお、会話はリアルタイム配信だが、スケジュールでいつどんなテーマで行なうか予告しておくことも可能。リスナーからは「番組表」のように見えるというわけだ。

Clubhouseに入ると、様々な人達が様々なテーマで話しているのがわかると思う。茶色のバックは今後の予定されているテーマ。始まる時刻なども書いてある。下の白バックは現在話されているテーマだ

外部サイトだが、「人気ルーム」のランキングサイトなども最近ではできている。

Clubhouse 人気ランキング

ここを一通り見れば、自分の聴きたいテーマのルームが何日の何時ごろ行われるか把握できるだろう。

アプリのバックグラウンド再生(ながら再生)できる

Clubhouseアプリは、他のアプリが動いている裏で、バックグラウンド再生ができる点も特徴。つまり、ラジオのように、他のことをiPhoneで作業しながら音だけ聞くということが可能なわけだ。

画面を見ていなくても、通勤通学やなにか単純作業中など、BGM的に流しておくこともできる。(ただ、聞いているだけのときに突然スピーカーに上げられたりすると困るので、何らかの形で意思表明しておいた方がいいかもしれない)

Clubhouseに入ると、様々な人達が様々なテーマで話しているのがわかると思う。茶色のバックは今後の予定されているテーマ。始まる時刻なども書いてある。下の白バックは現在話されているテーマだ
筆者が聞くだけでスピーカーに上がれないときは、アイコンをこれにしている(笑)

著名人の対話や配信を聴ける

Clubhouseでの会話に「聴衆」、つまり聞く側の人として参加するのは基本的に自由。だから、著名人が会話しているところも生で聞けてしまう! そんな貴重な体験ができてしまうのもClubhouseの醍醐味だ。

ちなみに、現在、2021年2月7日現在で、一部のマニアだけではなく、結構、いわゆる情報リテラシー的には「一般」と思われる人もよく見かける。

たとえばいわゆる「芸能人」と呼ばれる人達もよく見かけて、小島瑠璃子さんがAIについて人工知能の第一人者に聞いてみたり、メンタリストDaigoさんが配信をしていて満員の5千人の聴衆を集めて入れなかったり、あの特長的な声で面白い話を安田大サーカスクロちゃんがしていたりとかもしている。

(ただし、ここで「話されたことは、参加者全員が同意していない限り「他言無用」「録音なども禁止」というルールになっているのでご注意を)

筆者が面白いと思ったのは、少し前に行われていた「ランナー全員大合唱やる! @clubhouse」だ。これは、爆風スランプの「サンプラザ中野くん」が主導して行なっていたもので、Clubhouse内で非常に多人数(確か300人超)がスピーカーとなり、一斉に爆風スランプjの代表曲「Runner」を歌うというものだ。

当然のように回線の遅延等もありキレイな大合唱にはならず、ギター音が鳴ってから最後にその音の声が聞こえるまで1秒近く遅れて聞こえたりしたのだが、それはそれで趣があって楽しいモノだ。

なお、2月10日現在は「サンプラザ中野くん」たちが行なっているのは、「clubhouseの歌 100人合唱」で、これは、twitter等で公開している作詞サンプラザ中野くんの「clubhouseの歌」を聞きながら自分の声のみを送り、向こうで一人分ずつミキシングを行ない、100人分の合唱曲を作ろうという試みだ。

筆者はいの一番に音声を送ったので、「一番に送ってくれた人」ということで名前を読み上げていただいたのだが、こういった有名人がまだ、手に届く範囲にいるというのもClubhouseの魅力なのかもしれない。

運営を行なっているAlpha Explorationによれば、今後Android版の開発や、いずれは招待なしでの入会も可能にしていきたいという。現在でもこれだけ楽しいClubhouse、さらに会員が増えることになれば……これからの盛り上がりはさらに楽しみだ。

twitter内で行なわれているClubhouseでの合唱の告知。こうやって有名人と一体感を憶えられるようなムーヴメントがあるというのが、Clubhouseの凄く、そして魅力的なところなのかもしれない
大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net (イラスト : 高橋哲史)