レビュー

2~3万円台人気イヤフォン対決! ビリジン/NEPTUNEなどAK「SR15」にマッチするのは?

SR15にマッチするイヤフォンはどれか?

 ハイレゾプレーヤーの人気ブランド「Astell&Kern」、その新たな中核モデルとなりそうなのが「A&norma(エーアンドノーマ) SR15」(直販税込99,980円)だ。デュアルDACを搭載し、高い駆動力のアンプも内蔵しているのが特徴。今回はそのSR15と、市場で人気のあるイヤフォンを機種組み合わせ、“SR15とマッチするイヤフォンはどれか!?”を探してみたい。

 組み合わせるイヤフォンは、音質に優れ、かつ製品数も多い“激戦区”で存在感を放つ以下の4機種だ。

  • AK×JH AUDIOコラボ「Billie Jean」(直販税込39,980円)
  • AZLA「HORIZON」(直販税込32,980円)
  • final「E5000」(税込29,800円前後)
  • qdc「NEPTUNE」(税込30,000円前後)

デュアルDACかつパワフルなアンプを搭載したSR15

 まずSR15の特徴をおさらいしよう。立ち位置としては、新世代AKシリーズ「A&ultima(エーアンドウルティマ) SP1000」(直販税込499,980円)、「A&futura(エーアンドフューチュラ) SE100」(同219,980円)、「A&norma SR15」(同99,980円)となり、3機種の中ではリーズナブルだ。

SR15

 とはいえ、AKの定番プレーヤー「AK70 MKII」(同79,980円)と比べると、2万円高価となる。新世代シリーズのエントリーではあるが、価格帯としてはミドルクラスのプレーヤーと言える。

 搭載するDACは、シーラスロジックの「CS43198」。これをデュアルDAC、つまり左右チャンネル独立で搭載している。AK70 MKIIも同じデュアルDAC構成だが、使っているDACは「CS4398」で、少し異なる。

 ヘッドフォン端子はAKシリーズではお馴染み、2.5mm/4極バランスと、ステレオミニの2系統。出力レベルはアンバランスが2.0Vrms、バランスが4.0Vrms(負荷無し)とパワフル。SN比(1kHz)は122dB(アンバランス/バランス)を実現している。

ヘッドフォン端子はAKシリーズではお馴染み、2.5mm/4極バランスと、ステレオミニの2系統

 PCMは192kHz/24bitまでのネイティブ再生が可能。それ以上のデータは192kHz/24bitにダウンコンバートされるものの、384kHz/32bitまでのファイルが再生できる。

 DSDは2.8MHzまでネイティブ再生。176kHz/24bitのPCMへの変換再生となるが、DSD 11.2MHzの再生もできる。対応ファイル形式はWAV/FLAC/MP3/WMA/OGG/APE/AAC/ALAC/AIFF/DFF/DSFだ。

 内蔵ストレージメモリは64GB。microSDカードスロットも備え、最大400GBまでのカードが利用できる。

 オーバーレイ表示を活用した最新のUIも搭載。それを快適に動作させるためのクアッドコアCPUを搭載しているのも特徴だ。詳しい使い勝手などは、以前のレビュー記事を参照してほしい。

用意したイヤフォン4機種

 デュアルDACに注目が集まりがちなSR15だが、前述のように小型プレーヤーながら、アンプの駆動力が高いのも見逃せないポイントだ。アンプの駆動力が高いと、様々なイヤフォンやヘッドフォンと組み合わせられるからだ。

 SR15にマッチするイヤフォンは何か!? 実際に聴いてみないとわからないので、編集部にあるイヤフォンや、試聴機を多数備えた店舗などであれこれと聴いてみた結果、4つのモデルに絞り込んだ。

 価格帯としては、実力派モデルが火花を散らす2万円~4万円ゾーンから選んでいる。激戦区だけに、いずれもコストパフォーマンスに優れた名機揃いだ。

 では各イヤフォンの特徴を紹介すると共に、SR15と接続して試聴してみよう。なお、但し書きをしていない限り、各イヤフォンに付属する3.5mmのステレオミニケーブルで接続して聴いている。

final E5000

 finalの「E5000」(税込29,800円前後)は、累計売り上げ本数10万本以上を記録した人気モデル「Eシリーズ」を、MMCXのリケーブル対応としたイヤフォンだ。

final E5000

 筐体はステンレス鏡面仕上げ。ドライバは6.4mmのダイナミック型だ。ハウジングは細身で、金属の光沢が美しい。まるで貴金属のようなエレガントさがある。また、ダイナミックライバ1基というのも渋くていい。金属筐体とダイナミック型ユニットに強いこだわりを持つ“finalらしいイヤフォン”と言える。

 構造的な特徴としては、ドライバ背面の内部筐体に音響レジスターを搭載し、中低域の特性をコントロールしている。低域チューニングの要となるL字に折れ曲がった空間には、アコースティックチャンバーを設置。低域の量感とクリアさの両立を目指したそうだ。

 感度は93dB/mW、インピーダンスが14Ω、重量は23gと軽量だ。MMCXリケーブルに対応し、1.2mのケーブルが付属する。高純度OFCシルバーコートケーブルを同梱している。

MMCXリケーブルに対応し、1.2mのケーブルが付属

 エレガントな見た目で、細身の筐体、ダイナミック型ユニットも6.4mmと大型というわけでもないので、なんとなく「線の細い、シャープなサウンドなのかな?」と思うかもしれない。ところがどっこい、耳に入れるとぶったまげるほど迫力のある低音がガッツリ出る。低音の再生能力という面では、今回の4モデルで最強と言っていい。

final E5000

 低音と言っても、フォーカスの甘い中低音がボワボワ膨らむ“なんちゃって低音”を出すイヤフォンもある。しかしE5000の低音は“ガチ”だ。「ズズン」、「ズシン」と低く、重い低音が出る。音の中にしっかりと芯があるのを感じる。さらに、響きが不要にボワボワ膨らまず、音の輪郭はシャープ。歯切れがよく、低い音と、別の低い音の境目がわかる。モワモワとくっつかない。前述の音響レジスターやアコースティックチャンバーの効果が発揮されている証拠だろう。

 スゴイのは、ガチな低音に負けず、中高域も極めてクリアに出てくるところだ。低域に負けて全体のバランスが悪くなったり、高域に響きがくっついて不明瞭になったりもしない。「Daft Punk/Get Lucky」の重いビートも、常時ボディーブローのように「ズズン、ズズン」と押し寄せてくるのに、その中にあるボーカルがクッキリと聴き取れる。そのためボリュームを上げても音楽が破綻しない。ボリュームを上げると低域がもっと気持ちよくなる。魅惑的なイヤフォンだ。筐体の剛性が高いのも、クリアさに寄与していると思う。

 だがこのE5000、スマホに接続して聴くと、もっと低域が弱い。いや、十分出てはいるのだが、SR15と接続した時ほどのパワフルさが出ないのだ。つまり、もともと低域が出やすいイヤフォンだが、SR15のような駆動力の高いプレーヤーでないと真価が発揮できないわけだ。E5000とスマホの組み合わせで聴いているという人は、一度、SR15に接続して試聴してみてほしい。「オマエ、こんな音が出せたのか」と驚くだろう。

 全体のバランスとしては、前述のように低域寄りで、決してモニターライクではない。だが、中高域もしっかり聴き取れるので多くの人にオススメできる。「クリアでパワフルなイヤフォンが欲しい」、「ロックや打ち込み系楽曲の低音をキレよく楽しみたい」という人にマッチするはずだ。

AK×JH AUDIOコラボイヤフォン「Billie Jean」

 JH AUDIOが、AKとコラボしてリリースしているのが「Billie Jean」(直販税込39,980円)だ。ユニットは、独自開発のカスタムBA。高域用と中低域用の2ウェイで、高域用が情報量の全てを再生、中低域用は限りなくフラットな中域と、歪を最小限に抑えた低音を担当している。

JH AUDIO「Billie Jean」

 JH AUDIOの代名詞的な技術である「freqphaseテクノロジー」も搭載。独自のチューブウェイブガイドを使って、ドライバの信号を0.01ミリ秒以内に確実に到達させるというもの。2ドライバ構成の時間軸と、各帯域の位相を正確に制御している。

 Billie Jeanではさらに、新技術の「アコースティック・チャンバー・サウンド・ボア」を採用。ノズル部分にアコースティックチャンバーを設けたもので、特に高域特性の最適化されたワイドレンジ再生が可能になるという。ケーブルは2ピンで着脱が可能だ。

新技術の「アコースティック・チャンバー・サウンド・ボア」

 E5000と比べると、ややモニター寄りのバランスになるが、フラットかと言うとそうではなく、やや低域寄りのバランスだ。音場はE5000よりも広く、パワフルに低域が押し出しながらも、音が広がるステージの広さや、低域の裏側に広がっていく音の余韻も見える。

 音の特徴としては“クリアかつメリハリの効いたサウンド”だ。音の輪郭がクッキリしていて、細かな音や、ボーカルとベースの境目などがよく見える。低域のパワフルさに負けじと、高域も鋭く出てくる。「超よくできたドンシャリ」と言ってもいい。

 先程の「Daft Punk/Get Lucky」も、ボーカルの滑舌が良くなり、ドラムのハイハットも微細に聴き取れ、聴力がアップしたような気分になる。ロックやポップスを聴くと非常に気持ちが良い。JH AUDIOらしい「気持ちいいところをわかってる」音作りだ。

 すこし低域寄りかつ、音場もそれなりに広く感じられる。メリハリの効いた“旨味の濃い”サウンド。パワフルで聴いていて音楽が楽しくなるので、多くの人にオススメしやすい。魅力がわかりやすいイヤフォンなので、今後市場の定番モデルになっていきそうだ。

AZLA「HORIZON」

 比較的新しいブランドであるAZLA(アズラ)の第2弾イヤフォンが「HORIZON」(直販税込32,980円)だ。

 AZLAは2017年の8月に、ダイナミック型ユニットとBAのフルレンジを同軸配置し、そのユニットをポリカーボネートの透明なシェルで覆う「AZLA」(直販税込49,980円)を発売している。しかし、第2弾のHORIZONはハイブリッドではなく、ダイナミック型のみとなった。

 ただ、単にBAを削ったわけではない。新開発ダイナミック型ユニットは8mm径で、3Dレーザースキャナーを使い、分割振動モードを徹底的に解析。1層構造の振動版では難しい分割振動の抑制を、極薄の振動板を3層組み合わせる事で制御している。乱れや歪みが少ない、ワイドレンジ再生が可能なユニットを開発したわけだ。なお、極薄の振動板を3層組み合わせているので、3層の状態でも46μの薄さしかないそうだ。

 この振動板をネオジウムマグネットの磁気回路で駆動。このユニットは「ARD」(Advanced Research Driver)と名付けられている。このARDには、2つのベントが空いていて、空気の流れをスムーズにしている。

 ユニークなのは、このARDユニットを、ポリカーボネート製の密閉型ハウジングでガポッと覆っている事。「Infinity sound technology」と呼ばれるエアフロー技術で、ARDと組み合わせた名称として「Infinity ARD」と呼ばれる。これにより、空間表現に優れる開放型の特徴と、低域の表現力に優れる密閉型の特徴、2つの“いいとこ取り”を狙っている。ケーブルは着脱可能で端子はMMCX。長さは1.2mだ。

 第1弾の「AZLA」はユニークなイヤフォンなのだが、バランスとしてはやや低域が過多だった。しかし第2弾のHORIZONは、モニター寄りの、非常に良いバランスに仕上がっている。それでいて低域がか弱くなったのではなく、パワフルさも維持している。前述のBillie Jeanと、良いライバルと言えそうなサウンドだ。

 「Daft Punk/Get Lucky」や「Steely Dan/Gaslighting Abbie」などを聴くと、パワフルでキレの良い低域が気持ちよく吹き出してくると同時に、音場が非常に広く、Billie Jeanよりも見通しが良い。

 また、低域にも違いがある。Billie JeanとHORIZON、どちらもしっかり低域の出るイヤフォンなのだが、HORIZONを聴いた後にBillie Jeanに切り替えると、低域がちょっと“軽く”感じる。Billie JeanがBA×2、HORIZONがダイナミック型という違いによるものと思われるが、HORIZONの低域の方が重く、地の底でうねるような“凄み”がある。低域は、同じダイナミック型のE5000に近い。

 「じゃあHORIZONの方がBillie Jeanより良いのか?」というと、これがそう簡単には言い切れない。Billie Jeanは全体のメリハリ、キレの良さが特筆すべきレベルで、よく切れるナイフでスパスパ切っていくような小気味よさがある。一方で、HORIZONはでかい中華包丁でドスンを叩き切るような低域だ。どちらも聴いていて気持ちが良く、そして気持ちよさの種類が少し違う。

 少し気になるのは、HORIZONの中高域の質感が、ややカサついているというか、ドライな印象を受ける部分だ。ダイナミック型はBAと比べ、ナチュラルで温かみのある音になることが多いが、HORIZONには当てはまらない。特殊な振動板を使っている事もあるかもしれない。モニターライクと言えばそうなのだが、女性ボーカルやアコースティック系の楽曲をしっとり聴きたいという時に、ハマらない事もあるだろう。曲によって、ボーカルだけがややせり出し過ぎるように聴こえる事もある。基本的には、多くの人が好むサウンドなのだが、時折個性を感じさせるところが面白い。

qdc「NEPTUNE」

 qdcは、中国の深センに本社を構えるカスタムイヤフォンのメーカーで、「Shenzhen Qili Audio Application」の略だ。もともと軍や警察向けのアプリケーションやミリタリー向けオーディオデバイスを開発していたメーカーで、高い技術と品質を持っているという。

qdc「NEPTUNE」

 これまで取り上げたfinalやJH AUDIOと比べると、日本での知名度はまだそれほど高くはないと思うが、中国のカスタムイヤフォンのプロオーディオ市場で70%を超えるシェアを誇るというから驚きだ。

 BA×8基のカスタムモデルやユニバーサルモデルなど、豊富なラインナップを揃えており、日本での注目度も上がっている。そんなラインナップの中から、今回選んだ「NEPTUNE」はBA×1基、シングルのエントリーモデルだ。だが、エントリーと侮るなかれ。これがかなりの実力派だ。

 BAイヤフォンには“搭載する個数が多くなるほど高級機”という図式が確かに存在するが、“とにかく多ければいい”というものでもない。複数のドライバを内蔵すると、筐体が大きくなりすぎたり、異なる周波数成分が干渉したりする。うまく作らないと、各BAユニットの音が「俺も俺も」とノズルに殺到してゴチャゴチャした“やりすぎな音”になりがちだ。

 こうした問題は、シングルBAなら発生しない。また、NEPTUNEに搭載しているBA自体にも特徴があるそうで、ドライバメーカーにカスタマイズを依頼した特注品を使っているそうだ。詳細は不明だが、「ミリタリー製品向けに音響開発を行なってきた長い歴史と成果の数々の集大成」が投入されているという。

 シェルの美しさも特筆すべき点で、フェイスプレートは、鉱物の一つであるマイカ(雲母)で装飾されている。海や空を連想させる爽やかな色味で、光によって見え方が変化する。手にしてみると、エントリーとは思えないほど高級感がある。天然のものであるため、一つとして同じデザインが存在しないのも魅力だ。ケーブルは着脱でき、qdc独自の2ピン端子を採用している。

 音が出た瞬間「まいったなこりゃ」と言いたくなるほど良い音だ。まず驚くべきは、シングルBAと思えないほど低域がしっかり出る。特注品のドライバを使っているのが大きいのだと思うが、個人的には、ユニバーサルながら耳にピッタリフィットし、密閉度が高いシェルの作りと、シングルBAならではのシェル内の空間の広さもこの低域に寄与しているのではと感じる。

 「Daft Punk/Get Lucky」のビートが、重く、深く「ズシン」と響く。とてもBA×1基の音とは思えない。BAシングルと言うと、「爽やかでシャープな音が魅力だけど、低域はあまり出ず、全体的にハイ上がりだけど許してね」というサウンドが一般的だが、NEPTUNEは豊富な低音がちゃんと出ており、それでいて中広域もBAらしくクリアに展開。全体として完璧と言っていいほどバランスが良い。

 もう1つ驚くのは、高域の音色や響きが“BA臭くない”点だ。金属質な響きや付帯音が感じられず、音がとても自然でリアルだ。

 ナチュラルな音で、バランスが良く、BAらしいシャープさが全域に渡っており、低域はパワフルでキレも良く心地が良い。聴いているとまったく文句が出ず、「何個もBA入れるイヤフォンもあるけど、なんかもうコレでいいんじゃね?」という気すらしてくる恐ろしいイヤフォンだ。

 もちろん低域の深さ、重さ、迫力という面では、ダイナミック型のHORIZONやE5000の方が優れている。NEPTUNEの魅力は、全体的な完成度の高さにある。

 ここで、ふと、プレーヤーをSR15からスマホ(HUAWEI Mate 10 Pro)に交換してみた。すると、SR15ではしっかり出ていたNEPTUNEの低域が弱くなり、“シングルBAの頼りなさ”みたいなものが出てきてしまう。要するにNEPTUNEの実力をしっかり出せる駆動力がSR15にはあるが、それが無いプレーヤーだと、NEPTUNEの魅力が大きく削がれるというわけだ。

イヤフォン選びでは試聴するプレーヤーも大事

 “SR15とマッチするイヤフォンはどれか!?”を探そうと、4機種を聴き比べたが、途中から「どれもスゲェ音がいい」というウットリモードに突入してしまった。どれもレベルが高いため、順位は恐らく聴く人の好みで変化するだろう。個人的な好みで選ぶのならば、完成度の高さと、SR15の駆動力の高さとのマッチングが良好なNEPTUNEをチョイスしたい。4機種の中ではもっともモニターライクなバランスだが、それでいて、音楽をナチュラルに、キレ良く、楽しく聴かせてくれる。マニアには既に知られたイヤフォンだが、まだ聴いたことがないという人も多いと思うので、ぜひ、SR15のような駆動力の高いプレーヤーと組み合わせて聴いてみてほしい。

 次点はBillie Jeanだ。HORIZONと迷うところではあるが、音楽を魅力的に、熱気むんむんで楽しませてく“旨味の出し方”はBillie Jeanの方が優れていると感じる。このあたりはもう本当に好みの問題だ。

 “気持ち良さ”という面では、ある意味E5000がナンバーワンだ。溢れ出るような低域に身をまかせながら、それでいて中高域もクリアに描写してみせる技術は一聴の価値がある。

 逆に言えば、SR15のような駆動力の高いプレーヤーでなくても、例えばスマホでも、E5000の魅力である低域をある程度は出せる。使うプレーヤーを選ばず、しっかりとした低域を楽しませてくれるE5000は、多くの人にオススメしやすいのは間違いない。SR15とのマッチングに限って言えば、低域が“やり過ぎ”なくらい出てしまう。だが、この音もまた魅力的なのは間違いない。

 なお、今回はベーシックな状態として3.5mmのステレオミニ接続で試聴したが、2.5mm 4極のバランスケーブルに交換すると、チャンネルセパレーション向上による音場の拡大、立体感のアップなどの効果も期待できる。4機種ともリケーブル対応であるため、音のグレードアップが楽しめるのも良いポイントだ。

バランス駆動も楽しめる4機種

 試聴を通して改めて感じたのは、駆動力によってイヤフォンの音は大きく変化するという事と、駆動力は高いに越したことはないという事だ。今回の4イヤフォンはどれも選んでも間違いない実力派揃いだが、その実力をしっかりと聴き比べるためにも、試聴に使うプレーヤーは実力のあるモデルを選びたい。

SR15

山崎健太郎