西川善司の大画面☆マニア

251回

JVCの“手の届く”リアル4Kプロジェクタ「DLA-V5」は高輝度&高コントラスト

「やっとか」「待ってました!」という声が入り交じって迎えられそうな製品がついに出た……という書き出しで紹介したのが、第249回で取り上げたソニーのプロジェクター「VPL-VW255」だったわけだが、まったく同じ声が飛んできそうな製品がJVCケンウッドからも登場した。

JVC「DLA-V5」

そう。JVCのプロジェクター「DLA-V5」である。

今期までは'16年発売のリアル4Kプロジェクター「DLA-Z1」(350万円)を除き、e-shift方式の疑似4Kプロジェクター製品が主力だったが、ついにリアル4Kプロジェクターを100万円未満の価格帯で投入してきたのである。

V5(75万円)とその上位機のDLA-V7(100万円)は共に超高圧水銀ランプを採用するが、出力輝度はV5が1,800ルーメンなのに対し、V7は1,900ルーメンとなっており、若干の輝度性能差が設けられている。また、V7にはシネマカラーフィルターが搭載され、V5に対してカバーする色域エリアが広い。この色再現性の差が「DCI-P3色空間」の実現や、「Xenonランプ光源色」モードの有無などに現れている。

このように上位機と比べると違いはあるが、4Kのスタンダードモデルに位置付けられるV5も相当に高い実力を期待させてくれる。というわけで、第251回の大画面☆マニアではユーザーが購入しやすい(と思われる)V5を取り上げることにした。

製品概要チェック~新デザインとなった筐体とリモコン。スタンダードクラスながらレンズメモリー機能を搭載

ボディは驚くほどマッチョな印象。一般的なホームプロジェクターが高さ200mm程度なのに対しDLA-V5は234mmもあり、幅も奥行きもある。重量も19.6kgと、なかなかにヘビーである。

筐体は200万円のハイエンドモデル「DLA-V9R」と共通なので、見映えにおいて上位機に引けをとらない存在感だ
底面側。だいぶマッチョになったボディだが、天吊り金具の取付位置のネジ穴は従来機と同じで天吊り設置金具「EF-HT13」(52,000円)が利用できる
脚部は4つとも全てネジ式調整機構対応。脚部を外すことでネジ穴を天吊り金具の組み付け用に利用できる
電動ズーム/シフト/フォーカスに対応したフル電動制御の2.0倍ズームレンズ。先代には埃からレンズを守るための電動式スライドシャッターが装備されていて格好良かったのだが、新モデルではその機構が無くなっていた。残念……

JVCプロジェクターのウリともいえるスクリーンの種類に応じた色調/階調補正機能はV5にも搭載されている。設定は「設置」-「スクリーン補正」メニューからサポートサイトに掲載されているスクリーン製品名の3桁コードを入力するだけだ。該当製品がない場合は「スクリーン補正:オフ」を選ぶ。

「スクリーン補正」設定
最近、一部マニアの間で流行し始めている湾曲型スクリーンへの投射を行なうための「ピンクッション補正」にも対応しているのが面白い。ただ、この機能はデジタル次元の画像処理で行なうため、「台形補正」と同様に画質は劣化する(解像感が損なわれる)

レンズコントロール(フォーカス・ズーム・シフト状態設定)、画素調整、画面マスク、アナモフィック設定、スクリーン補正、設置スタイル、台形補正、ピンクッション補正、アスペクトの計9項目は「レンズメモリー」に記憶させることが出来る。

レンズメモリーは、ソニーでは上位のVPL-VW555に搭載され、下位のVW255には搭載されなかったわけだが、JVCのDLA-Vシリーズでは下位モデルにも搭載されている。そのレンズメモリー数はなんと10個。任意の名前も付けられるので便利だ。

「設置設定モード」階層下の各設定はレンズメモリーに最大10個まで記憶させることができ、リモコンから呼び出しができる
10個のレンズメモリーは設定内容に応じて独自の英記名称を付けることもできる。上から2番目の「zoom」は今回筆者の評価でアスペクトモード「ズーム」を選択した設置モードを記憶させたもの

光源ランプは出力265Wの超高圧水銀(NSH)ランプで、公称寿命は4,500時間。光源ランプの経年とともにズレる色調なども補正できる「オートキャリブレーション」機能を備え、PC・LANケーブル・専用ソフトウェア・光学センサーといった別途用意すべきアイテムがあり、手軽な「オート」ではない点に留意したい(プロジェクター本体だけではキャリブレーションできない)。

またV5は3D映像の表示に対応するが、3Dメガネとの同期用エミッター「PK-EM2」(10,000円)は別売。できればここはソニーVPLシリーズのように内蔵して欲しかった……

背面吸気・前面排気構造。騒音レベルはランプ低輝度モード時で24dB。高輝度モードでは若干騒音レベルが上がるが1mも離れるとあまり気にならない
接続端子は18Gbps対応でHDMI2.0規格端子が2系統。3DとHDCP2.2、DeepColorに対応。CEC対応には対応しない
リモコンは久々に新調された。従来のものよりも小型化されているものの、必要性の高いボタンが用意されていて使い勝手は悪くない

電源投入後、D-ILAロゴが表示されるまでの時間は実測で約44秒。HDMI入力映像が表示されるまでの所要時間は約54秒となっていた。水銀ランプ系なのでまあまあ待たされる印象はある。なおHDMI入力の切り替え時間は約9秒。

D-ILAロゴの表示をメニュー設定で「オフ」とすると、HDMI入力映像が表示されるまでの所要時間を約4秒ほど短縮できる。起動時間を早くしたい人は「オフ」設定がお勧めだ。

「ADVANCED MENU」内にある光源ランプの輝度設定。ランプパワーは、暗室・非暗室状態に応じて使い分けるといいだろう

4K DCIパネルと投射するスクリーンのアスペクトの関係

V5は、アスペクト比17:9の0.69型D-ILAパネル(4K DCI/4,096×2,160ドット)を採用する。D-ILAは、反射型液晶(LCOS)パネルの一種で、ケンウッドと統合される前のJVC時代(1997年)から実用化する長い歴史を持つ。プロジェクター向けの反射型液晶パネルといえば、ソニーのSXRDもあるが、LCOS量産化はJVCの方が先だ。

公称値として発表されているスペックは、画素ピッチが3.8μm、画素間ギャップが0.18μmで、開口率が91%となっている。これらの公称値はソニーの近年のSXRD機に採用されている0.7型4K SXRDよりも微妙に微細化が進んでいることの主張の現れのような気もする。

アスペクト比17:9の映像パネルであるため、17:9のスクリーンに16:9の映像を投射すると、左右に縦の黒帯が出る。黒帯を表示させたくない場合は、16:9映像を若干拡大投射(上下はみ出し)して、17:9のスクリーンいっぱいに表示するアスペクトモード「ズーム」を用いる。映画などアスペクト比21:9の映像を17:9のスクリーンに最大サイズで表示したい場合にも、このモードは重宝する。

映像パネルの3,840×2,160ドット領域だけの表示(=ネイティブ)するか、4,096×2,160ドット領域全域で表示(=ズーム)するかは「設置設定モード」で行なう。ここはレンズメモリーに記憶できるので便利に活用したい

パソコンなどの画面表示など、映像パネル全域を17:9のスクリーンに投射させたい場合はアスペクトモードから「ネイティブ」を選ぶ。ただ、アスペクト比切換の専用ボタンは無いので、前出のレンズメモリー機能(V5での名称は"設置設定モード")を使ってカスタマイズするのがいいだろう。

レンズメモリー機能に相当する「設置設定モード」は、10個あるメモリー内容を別のメモリーへコピーすることができ(モードコピー)、これをベースにしてバリエーションが増やせる

V5には、ゲームユーザー向けに「低遅延」モード、そして液晶素子の応答を高めるオーバードライブ機能に相当する「Motion Enhance」機能が搭載されている。

「低遅延」モードはいわゆるゲームモード。また「Motion Enhance」は液晶応答速度を速めるオーバードライブ駆動に相当する

今回も公称遅延値約3ms、1080p/60Hz(60fps)時0.2フレーム遅延の東芝REGZA「26ZP2」(「ゲームダイレクト」モード設定)との比較計測を行なった。計測解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。測定はDLA-V5側の「低遅延」モードのオフとオンの双方で実施した。

結果は通常モード(低遅延:オフ)で約83msの遅延、60fps換算で約5.0フレームであった。一方で低遅延モード(低遅延:オン)では約34ms、60fps換算で約2.0フレームの遅延となった。ソニーVW255が低遅延モードで60fps換算時で約1.7フレームの遅延だったので、まあほぼ同等くらいといった感じ。薄型テレビ製品では60fps時、1フレーム未満の遅延を謳う製品も多いため、今後はテレビ製品に追いつくことを期待したいところだ。

通常モード(低遅延:オフ)で約83msの遅延、60fps換算で約5.0フレームであった
低遅延モード(低遅延:オン)では約34ms、60fps換算で約2.0フレームの遅延となった

適当な明るさの2.35:1のシネスコ映画を表示させて、上下にでる黒帯の部分に手を重ねる。こうすると「手形の影がどの程度見えるか」でおよその黒浮きレベルが分かるのだが、さすがD-ILAプロジェクター。"手の影"は見えるものの、非常に淡い。つまり、V5の漆黒表現は極めて「部屋の暗さ」に近いものになっていると分かる。ネイティブコントラスト40,000:1は伊達ではない。

D-ILA機は元来、エントリー機でもレンズ性能に優れたものが多かったが、V5も同様だ。画面中央でフォーカスを合わせれば概ね画面全域で合う。色収差は映像外周に行けば行くほど大きくなるが、画像処理で1画素未満のRGBの色ズレを補正できる「画素調整」機能があるので、調整でさらに補正精度を高めることが可能だ。

色収差(色ズレ)を補正できる「画素調整」機能は画面全体だけでなく画面内「11×11=121」ポイントでの修正にも対応
「画素調整」機能活用前の状態。1ピクセルサイズ未満ではあるが光学的な色収差によって色ズレが発生しているのが分かる
筆者自身が「画素調整」機能を活用して色ズレを補正した状態。色収差による色ズレをここまで低減出来た

画質チェック~HDRが楽しめる高い輝度とD-ILAらしい高いコントラストが特徴

定点観測的に2K BD版の映画「ダークナイト」を視聴した。

Clear Motion Drive(=倍速駆動)の効果をチャプター1、およびチャプター9のビル群の空撮シーンでチェックしたが、ピクセル振動のような現象は知覚されず補間フレーム精度は優秀だ。

次にSDR→HDR変換の能力を検証すべく、夜の護送シーン(チャプター20)と、暗がりの尋問シーン(チャプター23)などを視聴。前者は黒塗りの護送車に映り込む街のハイライト、後者では主要キャラクターの瞳に煌めくハイライトが鋭い輝きを放ち、ほぼHDR映像と思えるほどの表現が出来ていた。SDR映像に対するHDR化処理について、特別な売り文句を謳ってはいないが、D-ILAが持つハイコントラストな描写力が高輝度表現部分と暗部表現部分の対比を描写し、こうした印象を与えてくれるのだろう。

Clear Motion Drive設定では補間フレーム挿入付き倍速駆動のオン/オフや補間フレームの影響度を設定できる

それと、DLA-Xシリーズから搭載されている適応型超解像処理「Multiple Pixel Control」(MPC)の効果も素晴らしい。着目しているピクセルの周辺を広範囲に探査し、ディテール表現なのか? 階調表現なのか? を適宜判別して超解像処理を行なうため、単なるシャープネス処理と違ってノイズは強調されず、ディテールのみが4K化される。

視聴していて好印象だったのは、輪郭表現の超解像処理の効能で、視力が向上したかのような視感覚が得られた。「やりすぎな超解像」も多い中、2K BDの味わいも程よく残した調整になっているので、コレクションの2D BDを楽しむだけでもV5は面白いかも知れない。

Multiple Pixel Control設定では適応型超解像処理をカスタマイズ出来る
4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)で画質をチェック

4K/HDRのコンテンツとして、映画「マンマ・ミーア!」「ラ・ラ・ランド」「マリアンヌ」のUHD BDを視聴した。「マンマ・ミーア!」は映画全編を視聴。「ラ・ラ・ランド」は夕闇のもとで主役二人が歌い踊るシーン(チャプター5)を、「マリアンヌ」では社交場にブラッドピットが辿り着くシーン(チャプター2)を視聴した。

「ラ・ラ・ランド」「マリアンヌ」の視聴時は、筆者私物のソニープロジェクターVW745と見比べも行なった。方法としては、ヤマハAVアンプ・RX-A3060の“2系統HDMI同時出力機能”を使い、1枚のスクリーンに対して2つのプロジェクターを同時に投射。遮蔽板(といってもただのお盆)で、それぞれの投射レンズを適宜隠して見比べている。なお画調モードはVW745は「フィルム1」、V5は「HDR10」を選択した。

中域から暗部までの発色はVW745、V5ともによく似た傾向で甲乙は付けがたい。ただし、明度が高い色ほどレーザー光源(VW745)と超高圧水銀ランプ(V5)の発色の違いが顕著になる。V5では青緑色に偏り、やや色温度が高まるような視聴感となる。上位機V7などに搭載されるシネマフィルターでは、このあたりの精度が改善されているかも知れない。

とはいえ、それは“見比べれば”の話だ。

V5の基本的な発色は非常に安定しており、暗がりのシーンでも色は破綻せず、肌色も自然。カラーボリューム設計は良好と感じる。HDR感における暗部の沈み込みと明部の煌めきは、VW745、V5で拮抗している。

UHD BDに代表されるHDR10コンテンツ視聴時には画質モードは自動的に「HDR10」が選択される
動的絞り機構の振る舞いは「どのくらい絞るか」で「オート1」(絞り控えめモード)と「オート2」(絞るときは絞るモード)が選択できる

「マンマ・ミーア!」は、ギリシャのエーゲ海の小島を舞台にしたミュージカルコメディということもあって、ポストプロダクションで味付けされたと思われる色彩設計が非常に派手だ。これは逆に、BT.2020色空間とHDR表現の評価にはもってこいのタイトルとなっていた。エーゲ海のシアンに近いような独特な海の色、屋内からみたギリシャの陽光下の屋外風景の煌めき、主要登場人物の彩度の高い派手な衣装がとても鮮烈で、「いかにもUHD BDを見ている」感が味わえる。

ここでもVW745とV5で、映像表現の違いが実感できる。VW745では、最明部付近の階調表現が豊かになる一方で、中明部までの輝度はV5よりも控えめだ。一方V5は、最明部付近の階調はやや飛ばし気味だが、中明部までの輝度ダイナミックレンジが大きく、やや明るめで情報量も多く見える。おそらくVW745は、SXRDの暗部表現能力と明部領域の色安定性を優先させた画質設計にしていて、V5は水銀ランプで美しく表現できる色でなるべく画面の多くを描画しようという画質設計なのかもしれない。両機種とも「ハードウェアの美味しいところ」を最大限に活用した画質になっていて完成度は高いと思う。

パナソニックのBDプレーヤー「DP-UB9000」と組み合わせて視聴

今回の画質評価にあたっては、パナソニックのフラッグシップBDプレーヤー「DP-UB9000」も使用した。

PANASONIC「DP-UB9000」

UB9000はディスプレイタイプ(有機EL/液晶/プロジェクターなど)に応じて、プレーヤー側でHDR映像を最適化させる「自動HDRトーンマップ」機能を備える。ユニークなのは、このプロジェクター部分を、パナソニックとJVCケンウッドが協力して開発した点だ。

具体的には、UB9000メニュー内の「HDRトーンマップ」設定を「入」にし、「HDRディスプレイタイプ」設定から「高輝度のプロジェクター」(500nit)、もしくは「ベーシックな輝度のプロジェクタ-」(300nit)のどちらかを選択して使用する。するとUB9000が再生するHDR10コンテンツに対して、高輝度部の色と階調を最適処理し、最大輝度値(メタデータ)を書き換えてHDMI出力する。メーカーによれば「組み合わせるプロジェクターがDLA-V9R/V7/V5であれば、HDR映像が持つ豊かな色と階調がより楽しめる」とする。

UB9000のHDRトーンマップ機能そのものは、JVC以外のプロジェクターにも動作するが、プロジェクターの中にはメタデータを無視する機種もある。またHDRトーンマップ設定を「切」(デフォルト)にするとメタデータの書き換えは行なわれない仕組みだ。

V5の情報表示。この写真ではMax CLLとMax FALL(Maximum Frame Average Light Level:1フレームあたりの最大輝度の平均値)が共に「---」となっているが、UB9000でHDRトーンマップを行なうと、ここは書き換え後の値が反映される
UB9000とJVCプロジェクターの動作イメージ

今回はUB9000の設定を「HDRトーンマップ:入」、「HDRディスプレイタイプ:高輝度のプロジェクター」にして視聴を行なった。取材したのが'18年12月であり、JVC側のファームも最終のものでは無かったが、「HDRトーンマップ:切」よりも暗部から中明部までが明るく色鮮やかに描かれるようになり、画面全体の情報量が増す。その引き替えにHDR感というか、ハイコントラスト感は幾分か「切」設定よりは減退される印象だ。好みはあるかも知れないが、UB9000とV5との組み合わせでは「入」設定がメーカー推奨ということになるだろう。

ちなみに、VW745ではHDRトーンマップの入/切で映像の見映えに大きな変化は起こらなかった。これはメタデータを参照せず、自前の映像エンジンでトーンマップを行なっているからと思われる。

画質モード「ナチュラル」「シネマ」の色再現性

いつもの通り、投射映像の白色光を色度計で計測してみた。

画質モード「ナチュラル」
画質モード「シネマ」
画質モード「ナチュラル」
画質モード「シネマ」

同じ超高圧水銀ランプを採用したVW255とよく似たスペクトルが得られたが、わずかながら赤緑青の各ピーク間の分離はVW255の方がよい。もしかすると、V7以上の上級機で採用されているシネマカラーフィルタを適用すると、このあたりの特性にも影響してくるのかもしれない。

おわりに~悩ましいリアル4K/LCOS機のスタンダード機選び~「VW255か? V5か?」

JVCのリアル4Kプロジェクターとしては初の100万円未満のモデルとなるV5。非常に完成度の高い製品であった。'17年末にV5が出ていたら筆者はこれを購入していたに違いない。同じ台詞を連載249回にも述べているが、それくらいよくできた製品だ。

リアル4KでLCOSプロジェクターを狙っている方は、ソニーとJVCの中から「用意できる予算」と「求める輝度スペック」で、悩ましくも楽しく選べるようになっていると思う。

実勢価格順は、DLA-V7(約95万円) > VPL-VW555(約90万円) > DLA-V5(約70万円) > VPL-VW255(約50万円)。そして輝度スペック順は、DLA-V7(1,900ルーメン) > VPL-VW555(1,800ルーメン) = DLA-V5(1,800ルーメン) > VPL-VW255(1,500ルーメン)。こうして見並べると、V5とVW255はリアル4KのLCOS機の中では非常にコストパフォーマンスに優れたモデルといえる。

もちろん価格を最優先に考えれば、VW255だ。あれだけの高性能をこの価格帯で提供するのは凄いとしかいいようがない。VW255はリアル4K/HDRの価格破壊モデルといっていい。

一方で、UB9000との組み合わせを想定していたり、高い輝度スペックを求める場合はV5だろう。HDR映像の“HDR感”に輝度性能は欠かせないし、筆者のような3D立体視支持者にとっては、3D映像時における輝度性能も重要な要素だ(今回借りた取材機に3Dエミッターが同梱されていなかったために3D映像が見られなかったが……)。

V5はVW255より約20万円高価ではあるが、輝度スペックの高さ、またVW255にはないレンズメモリー機能も有するなど、価格差分の性能・機能差はあるだろう。是非、大いに悩んで頂きたい。

ああ。それにしても、ソニーさん、JVCさん。この2モデルたち、昨年出して欲しかったです……(VW745には満足していますけどね笑)

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。3Dグラフィックスのアーキテクチャや3Dゲームのテクノロジーを常に追い続け、映像機器については技術視点から高画質の秘密を読み解く。3D立体視支持者。ブログはこちら