鳥居一豊の「良作×良品」
83型ソニー「BRAVIA XR」でPS5を遊ぶ。特大画面の圧倒的臨場感
2021年7月8日 08:00
最新のゲームを大画面テレビでプレイすると一層楽しい。こうした企画は何度か行なっているが、今回はその決定版。最新のソニー「BRAVIA XR」シリーズで、これまた最新のPS5ゲームを楽しもうというもの。今回は、東京・銀座にあるソニーストア銀座のシアタールームにお邪魔し、BRAVIA XRシリーズの有機EL最上位モデル「XRJ-83A90J」(実売110万円前後)で、PS5のゲームをプレイしてみた。
ソニーストア銀座で取材をさせていただいたのにはわけがある。ソニーストア銀座にあるシアタールームは、ふだんはプロジェクターによるシアターシステムの体験や視聴ができるが、7月31日まではシアタールームに「XRJ-83A90J」が特設されており、83型の有機EL映像を体験できるようになっているのだ(予約制)。
83型の特大画面のモデルは大型量販店でもなかなか展示されることは少ないので、実際に有機ELテレビの高輝度・高コントラスト、そして大画面を体験できる機会は少ない。シアタールームにはいくつか試聴ソフトなども用意されており、また、BRAVIA XRシリーズ購入者だけの優待特典である「BRAVIA CORE」のタイトルも試聴できる。もちろん、手持ちのBDやUHD BDを持ち込んで試聴することも可能だ。
また、これに合わせてソニーストア銀座のBRAVIAシリーズの展示コーナーでは、大画面サイズの最新BRAVIAが勢揃いし、特別に誂えたソファなどを組み合わせたリビングシアターの展示が複数行なわれている。量販店ではなかなか見られない、壁掛け設置の実例なども用意されているので、実際に自分の家に置くことをイメージしやすくなっている。ソニーストアで購入すると壁掛け設置パックが50% OFFになるといった特典もあるそうだ。そろそろテレビを買い換えようかと思っている人はぜひ足を運んでほしい。
最新のBRAVIA XRシリーズは、映画はもちろん、ゲームもハイスペックで楽しめる
まずは、視聴する「XRJ-83A90J」のスペックをおさらいしよう。
BRAVIA XRシリーズでは新たに認知特性プロセッサー「XR」を搭載したことが大きな特徴だ。人が映像や音を認識する仕組みに基づき、映像のさまざまな要素を統合的に処理し、より自然で臨場感のある映像と音を再現するというもの。XRJ-83A90Jでは、色再現領域をさらに拡大し豊かな色を再現する「XR Triluminos Pro」、なめらかな階調表現を行う「XR Smoothing」などの技術を採用。有機ELパネルは、パネル駆動時の表面温度を検知するセンサーと自社開発の放熱用インナーシートを組み合わせた独自構造の有機ELパネルを採用。
認知特性プロセッサー「XR」との連携で映像の明るい部分でも全色同時点灯を行なうなど、発光性能を高める「XR OLED Contrast Pro」を採用。これにより、吸い込まれるような深い黒の再現と眩い光が際立つ高コントラストな映像を実現している。
音については、画面から音が出る独自の音響技術「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」を搭載。真円の大型アクチュエーターをパネル背面に装着し、画面を振動させる仕組みだ。これに加え、背面にはサブウーファーを2基備え、迫力ある低音の再生も可能にしている。
画面と一体化した音が楽しめるサウンドを活かすため、センタースピーカーモードにも対応。サラウンドシステムとの組み合わせ時には、テレビの内蔵スピーカーをセンタースピーカーとして活用できるのだ。そして、テレビ放送など、あらゆる音源を立体音響で楽しめる「XR Surround」で、より臨場感のあるサウンドを実現。もちろん、ドルビーアトモスなどのサラウンド音源の再生も可能だ。
数々の映像・音声技術で、テレビ放送から動画配信サービス、UHD BDソフトなどを優れた映像で楽しめることはもちろん、ゲームにおいても最新の機能に対応している。ポイントはHDMI2.1への対応。最新のゲーム機で採用された4K/120p信号の対応をはじめ、eARCやALLM、VRR(後日のアップデートにて対応)といった新機能をサポートする。
ゲームモードでは、映像表示の遅延を最小限とする低遅延を徹底。4K/120p入力時で最短8.5msという低遅延を実現した。低遅延を実現しながらも、ゲーム向けのデータベース処理などの映像の高精細化や豊かな色の再現、HDRリマスター処理などの映像処理もきちんと行なっている。最新のゲームを存分に楽しむための機能と高画質技術が備わっているのだ。
TV放送や映画も驚くほど美しい。「BRAVIA CORE」のリッチな動画配信も魅力
まずは、テレビ放送や映画などで、XRJ-83A90Jの実力を確認させてもらった。早くPS5のゲームをやりたいという気持ちもあるが、XRJ-83A90Jの映像と音をシアタールームでしっかりとチェックしたくなった。テレビ放送では昨年の紅白歌合戦から、MISIAのステージを見た。ライトで美しく彩られたステージが緻密に再現された。ライトの光は眩しいくらいだが、その光に照らされたMISIAの肌は白飛びなどもなく実に自然な再現。ハイコントラストでしかも階調がスムーズだ。美しいドレスも質感豊かでライトの反射でキラキラと輝く様子も実にリアルだ。
忠実感のある正統派の画作りでありながら、より見映えのする華やかさも感じさせる映像は、従来からさらに上の領域に到達したBRAVIA画質という感じがある。83型という特大の画面サイズでありながら細部まで実に緻密な再現だし、プロジェクターでは難しい高輝度と黒の締まりの両立した映像が特大サイズとなることで映像の迫力というか、存在感が別物になったと感じてしまう。
音の実力もかなりのものだ。シアターの体験会では、内蔵スピーカーによるサウンドだけでなく、スピーカーを組み合わせたサラウンド再生も楽しめる。
この際、XRJ-83A90Jはセンタースピーカーモードを利用するので、センターチャンネルの音は内蔵スピーカーで再生する。画面から音が出るので、テレビの上や下にセンタースピーカーを置く場合と違って、きちんと画面から声が出る一体感のある再生となる。歌声の力強さや抑揚まできめ細かに描く再現は、内蔵スピーカーの実力の高さがよくわかる。なにより、センタースピーカーが画面の上や下にある場合と違って、画面から音が出るので、画面のMISIAの口元から声が出ている感じがある。サラウンドの豊かな空間再現と相まって、極上のステージを見ている感覚になる。
映画は「BRAVIA CORE」からいくつかの最新タイトルを見た。「BRAVIA CORE」はBRAVIA XRシリーズの購入者だけが利用できる動画配信サービスで、最新映画なら10タイトル所有でき、旧作(といっても比較的新しい作品も多い)は2年間見放題となる。非常に贅沢なユーザー特典だが、動画配信サービスとしての出来もかなり優秀。ソニー・ピクチャーズ作品の最新作がすぐに見られて、豊富なタイトルの中にはIMAX Enhancedのタイトルもある。
また、タイトルによっては、最大80Mbpsというパッケージソフトに迫る高転送レートで配信を行なうものもある。XRJ-83A90Jの大画面高画質と高音質で映画を存分に楽しめるのはもちろんだが、高転送レートのタイトルの映像の美しさは他の動画配信サービスとは一線を画したもの。UHD BDと比べて何ら遜色のない映像と音が楽しめてしまう。
個人的にはユーザー限定だけでなく、有料でのサービス運営も期待したくなる贅沢なユーザー限定のサービスだ。こうして、最高レベルの映像と音で最新の映画などを見ていると、ホームシアターも大きく進化したものだと実感する。絶対的なスクリーンのサイズの違いはあるが、映像や音響の質は映画館に迫ると思う。
XRJ-83A90Jは有機ELテレビのハイエンドなので、価格的にはなかなか高価だ。だが、BRAVIA XRシリーズには液晶テレビもある。液晶の最上位モデルとなる「XRJ-85X95J」(実売約56万円前後)なら、価格もぐっと現実的になる。
こちらも認知特性プロセッサー「XR」の搭載やHDMI2.1対応などの機能的には同じだし、液晶パネルは直下型LEDバックライトを部分駆動して高コントラスト化を実現。広い視野角を実現する「X-Wide Angle」や低反射の「X-Anti Reflection」、動画の残像感をなくす倍速表示「X-Motion Clarity」と優れた技術が盛り込まれている。
シアタールームでは絶対的なコントラスト性能の差が実感できるが、一般的な明るさの室内ならば有機ELテレビと遜色のない映像を楽しめる。BRAVIA XRシリーズの豊富なラインアップから自分に合ったモデルを吟味すれば、80型クラスや70型クラスの特大画面のシアターはかなり現実的なものだとわかるはずだ。
「FF7 REMAKE INTERGRADE」の美しさに圧倒され、「バイオハザード ヴィレッジ」の怖さに震える!!
いよいよゲームを楽しもう。使用する最新ゲーム機はもちろんPS5。まずは、PS5用に発売された「FF7 REMAKE INTERGRADE」をプレイしてみた。「FF7 REMAKE」はもともとPS4用に発売されたタイトルだが、PS5の優れたグラフィックやサウンドに合わせてグレードアップした移植版だ。PS4版ユーザーは100円でアップグレードできるし、「FF7 REMAKE INTERGRADE」専用のDLCコンテンツも用意されているので、PS5を入手できた人はぜひともアップグレードしたい作品だ。
冒頭のオープニングから序盤のチャプターをプレイしたが「FF7 REMAKE」自体が美しいグラフィックで評判になった作品ということもあり、それを83型の有機ELテレビでプレイするとその美しさを改めて実感できる。いやまて、グラフィックが美しすぎる!! オープニングのムービーでも人物やミッドガルの街の映像が明らかに緻密さを増しているし、なによりもミッドガル全景を映した場面の美しい光が鮮やかで、まったく別物のように感じてしまう。
例えば、ミッドガル全景では道路では車が走り、線路には列車が走っているのが見えるが、PS5版ではプレートと呼ばれる切り分けられたピザのような街と街の間に、その下にあるスラム街があることがわかる。怖ろしいレベルの再現度だ。緻密なグラフィックを精密に描くXRJ-83A90Jの実力もあるが、大画面だからこそこんな細かな部分にまで気付くし、細部まで極めて精密に再現されるていることに驚くのだ。
実際にプレイする場面に切り替わっても、グラフィックの質の高さがよくわかる。詳しく解説すると、クラウドらプレイヤーが操作するキャラクターや倒すべき敵などのグラフィックは、モデリングやテクスチャーなどを含めてPS4版とほぼ同様のようだ。レンダリング解像度がPS4よりもPS5の方が高いので、輪郭部のなめらかさや髪の毛の細かさなどにわずかさ差は感じるが、圧倒的な差ではない。
まるで違うと感じるのは、建物内の照明や光の反射だ。ただ周囲を明るく照らすのではなく、照明が光って周囲の壁や床がその光を反射することで付近の様子が明るく照らされている。光の再現がよりリアルになっているのだ。そのため、ミッドガルの駅の中から魔晄炉を目指す通路の様子がよりリアルに感じられる。
こうした描画品質の向上で、操作するキャラクターが立っている場所の床や壁よりもさらに奥にある背景の描写がより立体的なものになっている。いよいよ魔晄炉内部に突入する場面で、魔晄炉を見上げる場面はイラストのように描かれた背景ではなく、存在感を持ってそこにある建築物として見えるので、突入する時の高揚感もさらに高まる。
筆者は自宅でPS4版を120インチのスクリーンでプロジェクターで投影してプレイしていたが、そのときの感じは美しいグラフィックで再現された映画を見て、その感じのままにプレイしている印象だった。だが、PS5版ならばまさに自分がミッドガルの中に居ると実感できる存在感がある。迫力のあるサウンドは音楽も力強く鳴るし、同行するキャラクターたちの会話や足音がゲームでの立ち位置そのままの方向から聞こえてくる。このあたりのサラウンドの再現性もPS5でさらに精密度が高まった部分で、臨場感が一層高まっていることがわかる。
この体感度の向上は、オリジナルのFF7が大好きだった人にはたまらないものだと思う。あの当時斬新な映像として多くの人の印象に残っているポリゴンによる3DCGが、現代ではここまでリアルなものに進化したと感慨深くなってしまうはず。だからこそ、ただリアルになったのではなく、SFでありファンタジーである独特の世界観とビジュアルをそのままに実在感を加味したPS5版のグラフィックのセンスの良さにも感心する。
そこかしこにある巨大な配管もマンガ的だし、現実ならばもっと滑らかな質感の鋼管であるはずだが、鋳物のようなゴツゴツした不自然に重厚な質感で描かれるのもオリジナルのまま。リアルになったが現実ではなく、まぎれもなくFF7の世界が再現されていると実感できる。この感じはまさしく最新世代のゲーム機の表現力なのだろう。
今度は「バイオハザード ヴィレッジ」だ。こちらは、体験版「メイデン」をプレイ。序盤の舞台となるドミトレスク城の地下の牢獄から脱出を図るものだ。自宅でもプレイ済みだが、大画面でプレイすると不気味な地下の牢獄の異様なムードが倍加する。しかも、濡れた感じの床のぬらぬらとした輝きや、レンガ作りの壁の雰囲気がいっそうリアルに感じられる。
これまでのゲームなら、左右に牢獄が並んだ通路を歩き回っていると、壁などがどこかで見た同じような模様が繰り返し貼られているだけの、映画のセットの中にいる感じが精一杯だったが、「バイオハザード ヴィレッジ」は同じような壁でありながらも、欠けたレンガがあったりとどこかしらに変化がある。頭上に吊された燭台の光も、移動するときにぶつかるとゆらゆらと動いて周囲を照らす様子が変化する。その場所に居る感覚がぐっと高まっているのがわかる。
そして、音がなにより怖い。そこかしこにある拷問道具や武器らしきものは、動かないオブジェクトとしてそこに見えているだけではなく、よけないと通れない場所もあるし、ぶつかれば倒れる。倒れた音がこれまたリアルで、思わず声が出る。そこかしこから獣の声や歩き回る足音が聞こえて耳を澄ましていると、ついつい自分の足音さえ怖く感じてしまうほどだ。
地下から脱出して城内へと入った後は、調度品の並んだ廊下や豪華な照明が吊り下げられた広いロビーなどを探索していく。この建物のグラフィックも非常に凝っていて、ついついいろいろな物を眺めてしまう。とはいえ、うろうろしていると怖い女性が現れて追い回される。子供の頃に合宿や学校のイベントなどで校舎に泊まって夜の校舎を探索したときのような、何も出ないとわかっているが、何も出ないときが一番怖いという肝試し感覚がある。これも優れたグラフィックとサウンド、そして大画面だからこそ感じる体感的な面白さだと思う。
4K/120pのゲームも、迫力の映像と音で満喫できる
こうした優れたグラフィックとサウンドで楽しむゲームは現代のゲームの流行のひとつだが、ゲームには多人数で対戦するようなゲームも人気だ。対戦型のゲームには、格闘ゲームやシューティングゲーム、レースゲームとさまざまなジャンルがあるが、こちらもグラフィックやサウンドが重視される一方で、もうひとつの重要な要素がある。それがハイフレームレート。パソコンゲームでは、標準的な60fps(1秒当たりに表示されるフレーム数)を超えて、120fpsやそれ以上のフレームレートでプレイできるものがある。何故なら表示するフレーム数が多いほど、動きは滑らかになり、周囲の状況がよくわかる。得点を競うタイプのネットワーク対戦ゲームでは、グラフィックの品質よりもプレイがしやすく高得点も期待できるハイフレームレートを重視する傾向がある。
今回は実際にプレイしていないが、シューティングゲームなどは下手の横好きレベルの筆者でも4K/120pではプレイがしやすく、特に長時間プレイしても目の負担が少なく快適にゲームができることで好ましいと感じたほどだ。前述の通り、こうしたハイフレームレートのゲームにもXRJ-83A90Jは対応している。しかも今後は、対戦型シューティングゲームの人気作である「APEX Legends」が近い将来4K/120pのハイフレームレートに対応するという話もある。このゲームが大好きという人ならば気になるはず。スピード感たっぷりのシューティングをヌルヌル動く4K/120pで、しかも83型の大画面でプレイできたなら、その熱中度や爽快感は今までにないものになるはず。最新のゲームの楽しみに興味のある人にとっても、ベストなディスプレイとなってくれるのが、XRJ-83A90JをはじめとするBRAVIA XRシリーズなのだ。映画や動画配信、そしてゲームと、最新の映像コンテンツの楽しみを存分に満喫してほしい。