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今年のCP+は4Kも撮れる新ミラーレスがアツい! 動画性能の特徴をまとめた

単体で4K動画が撮影できるデジタルカメラが市場に登場して久しい。ここ2〜3年の間に発売/発表されたミラーレスカメラは、フルサイズ機を含めて4K動画記録に対応した製品がさらに充実し、パシフィコ横浜で3月3日まで開催されている写真映像関連イベント「CP+2019」では、4K対応のミラーレス新機種が多数展示されている。

ひとくちに「4K対応」といっても、撮影できる解像度やフレームレート、撮影中に使える機能などは機種ごとに異なる。例えば、4K撮影時のフレームレートは多くの機種は30pまでだが、中には60pでより滑らかに撮れる機種もある。また、HDRや手ブレ補正などに違いもある。そこで、4K動画が撮れるミラーレスカメラの最新機種について、4K動画記録の特徴を中心にまとめてみた。

CP+会場では発売前の実機を試せるチャンスもある。新製品のスペックを把握して、自分の撮りたいものや目的に合った機材を選び、訪れるブースを決めるための一助になれば幸いだ。

パナソニック LUMIX S1R/S1

LUMIX S1R(DC-S1R)

パナソニック初のフルサイズミラーレスで、レンズのマウントはS1R/S1ともライカのLマウントを採用。いずれも4K/60pの動画記録が可能。3月23日発売予定で、ボディ単体の店頭予想価格は、S1Rが46万円前後、S1が31万円前後。両者の主な違いは撮像素子の有効画素数で、S1Rは有効4,730万画素、S1は有効2,420万画素。

4K/60p記録時のビットレートは150Mbps。ファイル形式はMP4(MPEG-4AVC/H.264)。S1のみ、HEVC形式での4K/30p収録が可能で、HLG方式の4K HDR動画記録もサポートする。4K動画の記録時間は、S1Rは最大15分。S1は4K/60pが最大29分59秒、4K/30pは時間制限無し。

HDR映像を切り出して広い階調の静止画にする「HLGフォト」も利用できる。6,000×3,000ドットの静止画を撮影する「6K PHOTO」では、MP4形式(HEVC/H.265)を採用。記録メディアはXQDとSDXCメモリーカードのダブルスロット。

動画撮影時に使用できる機能としては、レンズ内とボディ内の手ブレ補正機構を連動させた「Dual I.S.」を採用。補正効果は約6段分。追尾AFのほか「顔・瞳認識AF&AE」が使用できる。AFや音声記録は無効になるが、4Kのスローモーション動画も撮影可能。このほか、シーンの分割や削除ができる簡易カメラ内動画編集機能も備えている。

S1は、今後提供予定の有償アップグレードによって、4K/30p動画の4:2:2 10bit内部記録、HDMIスルー出力時4K/60p 4:2:2 10bitでの記録が可能になるほか、V-Logへの対応も適用される。

昨年9月の発表から、まさに満を持して発売される製品で、今年のCP+でも最も注目度の高い製品といえる。やはり4K/60pの動画記録が可能というインパクトは特筆もの。S1Rは高解像機という位置づけで、スペック的には動画と静止画のハイブリッド用途を見込むS1の方が動画撮影向きといえる。

ニコン Z 7/Z 6

Z 7

ニコン初のフルサイズミラーレスとして2018年に発売され、'19年5月に新機能を盛り込んだファームウェアが提供される予定。ボディ単体の実売価格は、Z7が36万円前後、Z6が25万円前後。

いずれも4K/30pの動画記録に対応。コンティニュアスAFが可能になったほか、レンズ内とボディ内手ブレ補正を組み合わせて最大約5段分の手ブレ補正効果が得られる「ハイブリッドVR」が利用できる。ファイル形式はMP4、MOV(MPEG-4 AVC/H.264)。記録メディアはXQD。

HDMI出力による外部レコーダーへの記録時には、独自のN-Logが利用可能。プレビュー時に簡易的な階調補正を行ない、一時的に見やすい映像を表示する「ビューアシスト」機能を備える。

新ファームウェアでは、4K、フルHD動画のRAWデータストリーム出力に対応。外部レコーダーに12bit映像を記録でき、豊富な階調を活かした柔軟なカラーグレーディングを実現するという。また、AFとAE性能の向上や、新規格のメモリーカード「CFexpress」への対応も予定している。

キヤノン EOS RP

EOS RP

ハイアマチュア向けフルサイズミラーレス「EOS R」の高画質はそのままに、小型軽量なカジュアルモデルとして発表された。発売時期は3月14日。ボディの店頭予想価格は16万円前後。

4K動画の撮影性能はEOS Rと差があり、EOS Rでは30pのフレームレートで撮影できるところを、EOS RPでは24pに抑えられている。またEOS Rと異なりC-Log記録には非対応。ファイル形式はMP4(MPEG-4 AVC/H.264)。

動画撮影時のボディ側手ブレ補正は電子式のみだが、レンズ内手ブレ補正IS搭載レンズと連携し、補正効果の向上を図っている。AFの挙動は細かく調整でき、AFの追従性は7段階、AF速度は10段階で設定可能。

HDMIから4K/24p 4:2:2 8bit出力でき、外部レコーダーでの記録が行なえる。また、カメラ内で4K動画をフルHD動画に変換できる「動画トランスコード」機能も搭載。専用アプリでスマートフォン/タブレットに転送してSNSなどにアップすることもできる。

4K動画記録という観点からいえば、EOS Rと撮影性能の面で差が目立つわりには価格差が小さいのが気になるところ。だがフルサイズセンサー搭載機種らしからぬボディの小ささ、軽さは運用上大変魅力的でもあり、CP+でのタッチ&トライに期待したい製品のひとつだ。

ソニー α6400

α6400

APS-Cサイズの撮像素子を採用するα4桁シリーズのミラーレス最新機種。発売は2月22日。ボディの実売価格は11万円前後。

従来機種の「α6300」よりもAF性能が高く、最速で0.02秒の合焦が可能。2,420万画素のCMOSを搭載し、動画は全画素読み出しで6K相当のデータからオーバーサンプリングしながら、4K解像度で記録。4K/30p、100Mbpsまでの動画撮影に対応する。記録フォーマットはXAVC Sで、圧縮形式はMPEG-4 AVC/H.264。

メインの被写体に追従して合焦する「ファストハイブリッドAF」が利用でき、AFの追従感度は2段階、合焦速度は3段階でそれぞれ調整できる。

α4桁機として初めてHLG(Hybrid Log Gamma)形式のHDR撮影に対応。ガンマカーブはS-Log3とS-Log2が利用できる。このほか液晶画面だけでなく外部モニターでも同時に映像を確認できる「HDMI同時出力」、4Kと低解像度動画を同時に記録する「プロキシー動画同時記録」、外部レコーダーへ非圧縮映像を記録する「レックコントロール」(4:2:2/8bit出力)なども行なえる。

現在、撮影した動画ファイルをスマートフォンに転送できるスマートフォンアプリ「Imaging Edge Mobile」を準備中。「Playmemories Mobile」の後継アプリにあたり、4Kの高ビットレート動画ファイルを扱えるようになっている。アプリは今春中にはリリース予定とのこと。

フルサイズ機では比較的早い時期から4K動画記録に取り組んできたソニーらしく、APS-C機も編集を前提とした本格的な4K動画記録ができるようになっている。

富士フイルム X-T30

X-T30

APS-Cセンサー搭載のミドルクラス。中級機ならではの小型軽量ボディと性能のバランスを維持しつつ、従来モデルからイメージセンサーを含む中身を一新。最高でC4K/30p、200Mbpsでの撮影が可能で、ガンマカーブ「F-Log」記録にも対応している。3月20日発売で、ボディ単体の店頭予想価格は11万円前後。

像面位相差AFの有効エリアを画面全域に拡大し、撮影時のAF機能として「顔検出/瞳AF」を装備するほか、富士フイルム独自のフィルムシミュレーションも健在で、上位機種に搭載している「ETERNA(エテルナ)」の色調再現などすべての設定が4K動画にも適用できる。

4K/30p記録時は、6Kを超える(6,240×3,510ドット)の情報量を4K解像度に凝縮し、HDMI出力時には4:2:2 10bitで外部レコーダーへの出力が可能。ファイル形式はMOV(MPEG-4AVC/H.264)。

音声収録面では、48kHz/24bit対応の高音質内蔵マイクを採用。外部マイク入力も備えている。

ミドルレンジながらC4KやHDRの撮影・記録に対応しつつ、人気のフィルム名を冠した独自エフェクトを有する点が特徴的。これだけの機能を備えて11万円前後という価格に収めたのは見事だ。

オリンパス OM-D E-M1X

OM-D E-M1X

オリンパス製ミラーレスのフラッグシップ機。多くの4Kカメラが採用する3,840×2,160ドットの4K解像度記録に加えて、4,096×2,160ドットのCinema4K(C4K)記録も可能。C4Kが撮影できる数少ないモデルのひとつだ。発売は2月22日。ボディの実売価格は34万円前後。

C4K撮影時は最高24p(237Mbps)、4K撮影時は最高30p(102Mbps)までの記録に対応する。ファイル形式はMOV(MPEG-4 AVC/H.264)。ボディ内補正とレンズ内補正を連動した「5軸シンクロ手ブレ補正」に、動画専用の電子手ブレ補正を組み合わせることで、手持ちでの4K動画撮影が可能。手ブレ補正強度は3段階から選べる。

動画記録中に追従するAFターゲットエリアを25点と9点から選択できるほか、AF追従感度と合焦速度をそれぞれ3段階で調整可能。独自のガンマカーブ「OM-Log」記録に対応。製品ページにてグレーディング用のLUTファイルを配布している。

HDMI出力は、外部モニター接続用の「モニターモード」と、外部レコーダーで映像を記録するときに使う「記録モード」が使用可能。4:2:2出力に対応するが、レコーダーとカメラボディ側での同時記録時は4:2:0からのアップサンプリングとなる。

ハイレゾ対応の外部マイクと接続することで、96kHz/24bitまでのハイレゾ録音も可能だ。

一眼レフカメラのフラッグシップ機などに見られる縦位置グリップ一体型のボディを採用。防塵・防滴性能を備える。マイクロフォーサーズの豊富なラインナップから必要なスペックの交換レンズを選べる。

関根慎一