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ニコン、新たな“Zマウント”採用フルサイズミラーレス「Nikon Z 6/Z 7」

 ニコンは、新しい「Nikon Zマウント」を採用し、フルサイズ(ニコンFXフォーマット)のセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「Nikon Z 6」と「Nikon Z 7」を発表した。Z 7は9月下旬、Z 6は11月下旬発売予定で、価格はオープンプライス。ボディのみの店頭予想価格はZ 7が44万円前後、Z 6が27万円前後。

Nikon Zマウントが発表された

 Zマウントの内径は55mm、フランジバックは16mm。F0.95などの明るいレンズも実現できるという。

 ニコンの牛田一雄社長は、歴代の名機を紹介した上で、「光で未来を変えるというニコンの経営ビジョンを体現する第一弾の製品」としてZシリーズを紹介。「ニコンの持つ光学技術と映像技術のノウハウ、知見の結晶」と説明し、Zの名前の由来は「究極の性能を追求していくニコンの姿勢、それを通してお客様に最高の満足感を得ていただきたいという想いを込め、究極・最高を意味し、アルファベット最後の文字として、未来への“架け橋”を想起させるZを採用した」という。

Nikon Z 6
Nikon Z 7

 Zは新しいマウントで、これに対応した「NIKKOR Z レンズ」が新たに発売されるが、マウントアダプタ「FTZ」を使い、一眼レフのFマウントレンズを取り付ける事もできる。

 Z 6、Z 7のどちらもボディ単体だけでなく、Zマウント対応の「NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sレンズ」が付属するキットや、マウントアダプタのFTZ付きのキット、レンズとFTZが両方付属するキットも用意する。「NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sレンズ」付属キットの店頭予想価格は、Z7+24-70mmレンズが51万3,000円前後、Z6+24-70mmレンズが34万8,300円前後。

Nikon Zマウント採用のミラーレスカメラ「Nikon Z 7」
マウントアダプタ「FTZ」
歴代の名機を振り返るニコンの牛田一雄社長

 どちらのカメラも、像面位相差AF画素搭載の新開発裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーと、新画像処理エンジン「EXPEED 6」を搭載。

 「Z 7」は、有効画素数4,575万画素の高画素モデルと位置づけられ、常用感度ISO 64~25600を達成。「NIKKOR Z レンズとの組み合わせで、画像の周辺部まで圧倒的な高解像感を実現する」という。

 「Z 6」はオールラウンドモデルと位置づけられ、有効画素数2,450万画素、ISO 100~51200の幅広い常用感度域を実現。優れた高感度性能や全画素読み出しのフルフレーム4K動画撮影対応により、「暗所での撮影や動画撮影などさまざまなニーズに応える」という。

 Z 7は493点、Z 6は273点のフォーカスポイントを備え、撮像範囲の水平、垂直約90%をカバー。FXフォーマットセンサーに最適化したアルゴリズムで、像面位相差AFとコントラストAFを自動的に切りかえてピントを合わせる。NIKKOR Zレンズ使用時には、静止画でも動画でもより高いAF精度を発揮するという。連写性能は、Z 7が最高約9コマ/秒、Z 6が約12コマ/秒。

 記録メディアはどちらのカメラもXQDカードを採用する。外形寸法と重量も共通で、約134×67.5×100.5mm(幅×奥行き×高さ)。カメラのみの重量は約585g。

Nikon Z 7
Nikon Z 6
Z 7とZ 6のスペック比較

 新画像処理エンジン「EXPEED 6」は、NIKKOR ZレンズやNIKKOR Fレンズの解像力を最大限に活用し、被写体をシャープに描写。高感度でも効果的にノイズを低減するという。

 5軸のカメラ内手ブレ補正も搭載。シャッタースピード最大5.0段分の補正効果が得られ、マウントアダプタのFTZを介してFマウントのVR非搭載レンズを装着した際にも、手ぶれ補正効果が発揮できる。

 どちらのカメラも、4K(3,840×2,160)/30pや、フルHD/120pの動画撮影が可能。4K撮影時には、全画素読み出しにより解像感の高い映像が得られる。4K/フルHDのどちらも、「アクティブD-ライティング」、「電子手ブレ補正」、「フォーカスピーキング」を使用可能。

 HDMI出力も備え、10bitでのHDMI出力を外部レコーダで保存する事もできる。その際には、ニコン独自の「N-Log」が使用できる。12段、1300%の広いダイナミックレンジが特徴で、暗部とハイライト部の豊かな階調情報が得られ、より効果的なカラーグレーディングが可能とする。

 他の動画素材との同期や、映像と音声の同期を容易にする「タイムコード」も記録可能。NIKKOR Zレンズに搭載したコントロールリングを使うと、絞りや露出補正などの静かでスムーズな操作にも対応する。

 Z 7のみ、8Kのタイムラプス動画制作を可能にする「インターバルタイマー撮影」に対応。

 ピクチャーコントロールのシャープネス調整に「ミドルレンジシャープ」を新たに搭載。既存の「輪郭強調」、「明瞭度」と併用して、画面内のテクスチャーをきめ細かくシャープに見せたり、ソフトに見せる事が可能。「輪郭強調」、「明瞭度」、「ミドルレンジシャープ」は、静止画、動画でも利用できる。独創的な表現を可能にする、全20種類の「Creative Picture Control」も備え、効果の度合いも調整できる。

 どちらのモデルにも、約369万画素の有機ELパネルを使った電子ビューファインダーを搭載。視野率約100%、ファインダー倍率約0.8倍、対角視野角約37度。高い光学技術を活かした光学系の採用と、画像処理プロセスにより、歪みが少なく隅々までクリアで自然な見えを実現したとする。ファインダー内にもiメニューが表示され、覗いたままの状態でISO感度やAFエリアモード、ピクチャーコントロールなどの設定を確認・変更できる。

 D850と同等の、高い防塵・防滴性能と堅牢性も実現。背面にはタッチ操作可能な、チルト式3.2型、約210万画素のモニタも備える。

 Wi-Fiを内蔵し、SnapBridgeに直接接続可能。撮影した写真屋動画を、パソコンに直接送信できる。

 D850など、デジタル一眼レフカメラのDシリーズは併売。「Dシリーズと、将来の新しい映像表現も見据えたZマウント、これからもこの両輪で技術革新を続けていく」としている。

NIKKOR Z レンズも発表

 新Zマウントとフルサイズに対応したレンズも発表された。標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、広角単焦点レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」、標準単焦点レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の3本。前述のようにマウントアダプタ「FTZ」も発売される。

 発売日と価格は、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」が9月下旬で136,500円、「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」が9月下旬で114,000円、「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」が10月下旬で83,500円。 FTZ」は9月下旬発売で36,500円。

NIKKOR Z レンズ

 Zレンズは、内径55mmの大口径とフランジバック16mmの組み合わせによる高いレンズ設計自由度を活かし、新次元の光学性能を追求。動画撮影時も静止画と変わらない高い解像力や、フォーカスブリージング対応、静音化、滑らかな露出制御、コントロールリングの搭載など、動画撮影に適した性能、機能も備えるという。

標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」
広角単焦点レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」
標準単焦点レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」

 今回発売される3本は、「S-Line」に属する交換レンズとされる。「S-Line」は、Zレンズにおいて新たに設定されたグレードで、ニコン独自の設計指針と品質管理を高い基準でクリア。特に高いレベルで光学性能を発揮するレンズに付けられる。

 これらは「従来の、開放F値4の標準ズームレンズ、開放F値1.8の広角および標準単焦点レンズからはイメージを一新する描写性能を実現。絞り開放から、ボケ味はもちろん高解像でクリアな画が得られる」とする。

 マウントアダプタの FTZは、AI改造レンズやAI NIKKOR以降のレンズ約360種を装着して、AE撮影もしくはAE/AF撮影を可能にする。VR機構を搭載していないFレンズ(CPUレンズ)使用時には、カメラ側のボディ内手ぶれ補正機能が動作し、手ブレを抑えた撮影が可能。動画撮影でも使用できる。

 また、VR機構を搭載したFレンズ使用時には、レンズのVRとボディのVRが協働し、3軸の手振れ補正が可能。マウントアダプタの随所にシーリングも施し、防塵防滴対応のNIKKOR Fレンズ使用時は、レンズと同等の防塵防滴性能を発揮する。

 さらに、「S-Line」の最高峰に位置し、「ニコン Z マウントシステムの新次元の光学性能を象徴する」という「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」も現在開発中。ニコン史上最高となる開放F値0.95、焦点距離58mmの標準単焦点マニュアルフォーカスレンズで、発売時期・発売価格などの詳細は未定。

F0.95の明るいレンズも登場する
Zマウントレンズのロードマップ