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フルサイズミラーレスで4K60p対応「LUMIX S」3月23日発売。「8K時代もリーダーに」

パナソニックは、同社初となる35mmフルサイズイメージセンサー搭載のミラーレス一眼カメラ「LUMIX Sシリーズ」を3月23日に発売する。価格はオープンプライスで、ボディ単体の店頭予想価格は有効4,730万画素の「LUMIX S1R(DC-S1R)」が46万4,000円前後、2,420万画素の「LUMIX S1(DC-S1)」が31万4,000円前後。Sシリーズ用のLマウントレンズ3モデルも同日に発売し、24-105mm標準ズームレンズ付属の「Mキット」も両モデルに用意し、S1Rのキット「DC-S1RM」が57万6,000円前後、S1の「DC-S1M」が42万6,000円前後。

LUMIX S1R

昨年のフォトキナで開発を発表し、2019年1月のCES 2019において「3月末よりグローバルで順次発売」としており、国内での発売時期が正式に決定した。4K/60p動画が撮影できるフルサイズセンサーのミラーレス一眼カメラは世界初としている。

「プロカメラマンやカメラ愛好家の仕事や本格的な作品作りに応える」というフルサイズミラーレス一眼として提案。S1Rは、「究極の表現力を求めるプロ」に、S1は「静止画と動画のハイブリッドクリエイター」に向けたカメラと位置付けている。

S1R(左)とS1(右)
S1RとS1のターゲット

「LUMIX S1R」と「LUMIX S1」の2機種とも、新開発35mmフルサイズセンサーと画像処理ヴィーナスエンジンを搭載。有効画素数はS1Rが約4,730万画素、S1が約2,420万画素で、いずれもローパスフィルターレスCMOSセンサー。手ブレ補正技術の「Dual I.S.2」を備える。レンズはライカのLマウントを採用する。

LUMIX S1R

4K60p動画撮影に対応し、4Kの30p全画素読み出しが可能。用途に応じて3つのモードを用意し、「FULL」はCMOSセンサー全域よりやや狭い画角で記録。「APS-C」は解像度を優先して浅い被写界深度撮影ができるSuper35mm画角で記録する。「PIXEL/PIXEL」は、センサーの1ピクセルを動画の1ピクセルとして記録する。S1は、4K/30p動画の時間無制限撮影(温度制限あり)に対応する。

LUMIX S1
4K/60p動画モード
撮影中の画面

動画フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264(MP4)とAVCHDで、S1のみH.265/HEVC(MP4)にも対応。フルHDの180fpsスロー動画や、8Kタイムラプス撮影にも対応する。

さらに、S1は別売予定の有償ソフトウェアアップグレードにより、4:2:2の10bit 4K30p録画と、4K60pでのV-Log収録、HDMI出力に対応する予定。

新開発フルサイズセンサーと新ヴィーナスエンジンを搭載

明暗の階調性豊かなHDR写真表現を可能にする新機能「HLG(Hybrid Log Gamma)フォト」を搭載。より広いダイナミックレンジでの撮影を可能にするもので、露出オーバー、または露出アンダーになる可能性が高いまぶしい光と暗い影の両方を再現。

HLGフォトの4K
4Kを超えるサイズのモードも

HLGフォトで撮影した写真は「HSP」ファイルとして作成。HDMIケーブル接続、または他のHLG準拠デバイスを介して、HLGに対応したパナソニックの4Kテレビで鮮やかに表示できるとする。

HLGフォトに対応

高精細な撮影を可能とするハイレゾモードを搭載。ボディ内手ぶれ補正機能を備えているが、このイメージスタビライザー(IS)機構を活用し、センサーを移動させながら8枚の連続画像を自動撮影。高速な信号処理が可能な新しい「Venus Engine」を用いて、1枚の高解像度画像に合成。「細部まで忠実に再現された、美しく、非常にリアルなイメージとして保存できる。繊細なディテールで自然の風景や美術品を撮影するのに理想的」だという。

独自の空間認識技術「DFD」とコントラストAFを搭載し、「業界最速のフォーカススピード」としているほか、動く被写体を正確に認識するAdvanced AI Technologyにより追従性能を高めている。新たに、動物認識にも対応した。576万画素の高解像度有機ELビューファインダーも採用する。

動物認識にも対応
576万画素の高解像度有機ELビューファインダー

記録メディアは同社初となる、XQDとSDカードのダブルスロット。3軸チルト液晶を搭載している。外形寸法は約148.9×96.7×110mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量はS1Rが約898g、S1が約899g。

モニターは3軸チルト
主な特徴

ライカとパナソニック、シグマの3社が協業した「Lマウントアライアンス」により、パナソニックとシグマが、Lマウントを利用した自社の製品をリリース予定。LUMIX Sシリーズでは、パナソニックのレンズだけでなく、ライカやシグマのLマウント交換レンズも装着できる。

Sシリーズ用のLマウントレンズとして3モデルを発表。大口径の単焦点レンズ「LUMIX S PRO 50mm F1.4 (S-X50)」が285,000円、望遠ズーム「LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S. (S-R70200)」が210,000円、標準ズームレンズ「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. (S-R24105)」が160,000円。2020年までに「LUMIX S PRO」レンズを中心に10以上のレンズを設計/開発予定としている。

Lマウントレンズ
Lマウントレンズのロードマップ

LUMIXミラーレス10年、8K時代もリーダーに。マイクロフォーサーズ継続

パナソニック執行役員 アプライアンス社 副社長の渕上英巳氏は、LUMIXのミラーレスが2018年で10周年を迎えたことを振り返り、「業界の一流ブランドであるライカカメラとの17年に渡る協業がこれまでの成長を支えてきた」と説明。

パナソニック執行役員 アプライアンス社 副社長の渕上英巳氏

また、パナソニックがテレビやUHD BDプレーヤーなどのAV製品を含めインプットからアウトプットまでトータルで提供している点に触れ、「インプットの重要な役割を持っているのがLUMIX。HDRの鮮やかな画像、映像でお客様の暮らしを豊かなものにアップデートする」とした。

LUMIX Sシリーズでは4K/60pに対応したことを踏まえ、今後の展開については、2020年東京オリンピック/パラリンピックを見据え「8K時代もリーダーとしてイノベーションを続ける」とした。オリンピック/パラリンピックではプレスセンターにLUMIXプロフェッショナルサポートブースを開設。「オリンピック撮影で安心してLUMIXを使えるサポート体制を築く」と述べた。

8K時代へ進化

バッテリーやSDカードを含めるとボディのみで1kgを超える(S1Rが約1,016g、S1が約1,017g)となり、報道陣からは「ミラーレスとしては他社に比べてサイズが大きいのでは?」との質問が出たが、これに対し同社イメージングネットワーク事業部の山根洋介事業部長は「どんなお客様にどんな性能を提供するか、ベンチマークしながら作り上げたのが今のサイズ。操作性が良く、EVFとモニターが1直線となることなどは、このサイズだからできる」と答えた。

イメージングネットワーク事業部 山根洋介事業部長

一方、既存のLUMIXミラーレスで採用しているマイクロフォーサーズ規格への対応については今後も継続する方針を示し、「小型、機動性などマイクロフォーサーズの良さを再定義しながらアピールする(山根氏)」とした。

LUMIX Sシリーズを用いた新たな取り組み「LUMIX CHALLENGE」として、女優・綾瀬はるかの写真集を10人の写真家が撮影して講談社から刊行されることも決定。今年の初夏より世界各地でLUMIX Sを使って撮影され、第1弾の写真家は佐内正史氏。

LUMIX Sシリーズで10人の写真家による綾瀬はるか写真集を刊行
写真家の相原正明氏がゲストとして招かれ、LUMIX S1Rについて「S1Rは光のゴールキーパー。いかなる光も逃さない」など使用感を語った