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最強デスクトップスピーカー、KEF「LSX II」をPCやTVで使い倒す

KEFの「LSX II」をデスクトップスピーカーとして使う

最近、デスクトップオーディオが面白い。リモートワークや、サブスク映像・音楽配信への加入などで、PCデスクの前にいる時間が長くなったからだ。そうなると、デスクトップでも良い音が楽しみたくなる。とはいえ、家でヘッドフォンは使いたくない。そうなると“高音質なアクティブスピーカー”が欲しくなる。

音の良いPCスピーカーを何機種か試したり、ポータブルDAPをUSB DACとして使って音をグレードアップするなど、あれこれやっていたが、趣味とは恐ろしいもので、我慢ができなくなってきた。もっと本格的な音が欲しい、ガチなピュアオーディオ用スピーカーを机の上に置きたい……。

しかし、スピーカー選びがなかなか難しい。オーディオ用のブックシェルフだと、奥行きがありすぎて机に置けなかったり、DTM用のモニタースピーカーはボリュームノブが裏側にあって使い勝手がイマイチだったり……。コンパクトでありながら、ガチなオーディオ用スピーカーで、使い勝手も良く、さらにアンプやUSB DAC、Bluetooth受信機能なんかも入ってて、さらにHDMI入力もあってテレビスピーカーにもなっちゃうような。そんなイケているスピーカーは無いのか……。

と思ったら、あった。オーディオ市場におけるアクティブスピーカーブームを牽引しているKEFの、最もリーズナブルなスピーカー「LSX II」だ。

ガチなピュアオーディオメーカーなので、最もリーズナブルでも価格は231,000円(ペア)とぶっちゃけ安くはない。ただ、実際に使った結論から先に言うと、サイズ感、使い勝手、音質、どれをとっても“現時点での最強デスクトップスピーカーの1つ”と言っていい。いわゆる“PCスピーカー”とは次元の違う、ちょっと反則レベルの体験ができた。

KEF「LSX II」

そもそもKEFとは

「KEF(ケフ)」というブランド名を聞いて、「ああ、Uni-QのKEFね」とわかったオーディオ上級者のアナタ、このパートは飛ばしていいです。

KEFは“Kent Engineering and Foundry”の頭文字をとったもので、名前だけ見ると「Kentさんが作ったメーカー?」と思いがちだが、実は、創業者はレイモンド・クックという人物。

英国の公共放送BBCで電気技師をやっていたクックさんは、「自然な音を再現できるスピーカーを作りたい」という情熱から、日夜、新しい素材や技術を研究。やがて、Kent Engineering and Foundryという金属・鋳物工業の片隅で、スピーカー作りを開始した。1961年の事だ。

左がレイモンド・クックさん。右の工場の壁に「KEF」のロゴが見える

こうしてKEFは小さなガレージメーカーとしてスタートしたわけだが、BBCの厳しい要求を満たす革新的なスピーカーを次々と手掛け、放送業界やレコーディング業界において、モニタースピーカーのメーカーとして高い評価を受けていく。

一方で、オーディオファンにインパクトが大きかったのが、1988年に発表された同軸ドライバー「Uni-Q」だ。ツイーターとウーファーを同軸上に配置するのが同軸ユニットで、“点音源”というスピーカーの理想を追求した方式の1つだ。

Uni-Qの場合は、単にウーファーの前にツイーターを吊るすのではなく、ツイーターを、ウーファーの首元に配置し、両ユニットの音響中心を正確に一致させているほか、ツイーターからの音と、ウーファーからの音が、同じタイミングでリスナーの耳に届くようにも配慮している。このUni-Qは、現在に至るも、KEFスピーカーの“顔”と言っていい技術になっている。

Uni-Qドライバーの内部

60年以上の歴史がある老舗オーディオメーカーなのだが、最近では、ユニットの背後から出る音を、吸音材などは使わず、迷路のような構造を持った薄いプレートの中に入れる事で99%吸収するという「MAT(Metamaterial Absorption Technology)」という技術を生み出したり、今回取り上げるLSX IIのようなアクティブワイヤレススピーカーを精力的に展開して新たなムーブメントを作り出すなど、かなりアグレッシブなブランドといえる。

前述の通り、LSX IIはペア約23万円と、PCスピーカーとして見ると高価だが、KEFのHi-Fi用ハイエンドスピーカー「MUON」はなんとペアで2,310万円、先程のMAT技術を使ったブックシェルフの最新パッシブスピーカー「R3 Meta」もペア363,000円など、なかなかのお値段。

そう考えると、アンプやワイヤレス接続、HDMIなども搭載したLSX IIは、KEFとしてはかなり挑戦的な価格のモデルになるわけだ。

ハイエンドスピーカー「MUON」

スマホやテレビと接続するだけで本格的なオーディオに

音を出す前に、LSX IIで何ができるのかをおさらいしよう。

まず、デスクトップスピーカーとしてこれが一番大事なところだが、外形寸法が155×180×240mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトなのだ。特に素晴らしいのは奥行き180mmという“短さ”だ。

よく海外ブランドのブックシェルフでは、奥行きが長くて、「机の上になんとか置けたが、もうキーボードもマウスも置く場所がない」となりがちなのだが、さすがモニタースピーカーとしても著名なKEF、「わかってるなぁ」と嬉しくなる。

奥行きが65cmの机に設置したところ。まだ余裕がある

ちなみに、今回組み合わせている机は、イケアに出かけて天板の実物を観察。「KARLBY(カールビー)」というウォールナットの突き板の天板(186×65×3.8cm:幅×奥行き×高さ)に足を取り付けた自作PCデスク。奥行きが65cmあると、LSX IIとキーボード、マウスを置いてもだいぶ余裕がある。

LSX II専用に「P1 Desk Pad」(ペア16,500円)というデスクスタンドを用意しているのもイイ。せっかくなのでこのデスクスタンドも入手したが、アルミダイキャスト製で質感最高、LSX IIの底面のネジ穴と六角レンチで強固に固定可能。さらに、取り付けるとLSX IIが少し上向きに傾斜するので、机に座っている人間の耳に、ユニットからの音がダイレクトに届きやすくなるという至れり尽くせり具合だ。

P1 Desk Pad
LSX IIの底部にはネジ穴がある
六角レンチで強固に固定できる
P1 Desk Padに乗せると、スピーカーがちょっと上を向く

スピーカーとしての特徴を見ていこう。

ユニットは中央に1つ、ドーンと配置している。パッと見では1つのフルレンジユニットに見えるが、よく見ると中央のローズゴールドっぽい部分と、その周りのグレーっぽい部分で分割されているのがわかる。

この中央部分(正確には外から見えているウェーブガイドの奥にあるドーム)が19mmアルミニウムドームツイーター。その周囲にある115mmマグネシウム/アルミニウム合金製ウーファーだ。両者がカッチリと、ほぼ隙間なく組み合わさった同軸2ウェイユニット、これが「11世代Uni-Qドライバー」だ。

大きな1つのユニットに見えるが、色が違う部分に注目すると、2つのユニットに分かれているのがわかる

デスクトップに置く、つまり“ニアフィールドで聴く”スピーカーにおいて、同軸ユニットは利点が多い。普通の2ウェイスピーカーの場合、上部にツイーター、その下にウーファーと並んでいるが、聴く距離が近く、なおかつ自分の耳よりも下にスピーカーを配置していると、ツイーターからの音ばかり耳に入って、聴感上のバランスが崩れる事がある。

そこで、同軸2ウェイにすれば、2ウェイによるレンジの広いサウンドと、フルレンジのようにまとまりが良いサウンド、両方の利点が得られる。さらに、スタンドで上を向かせる事で、耳にダイレクトに音を届けられる……というわけだ。

注意深く見ると、ユニットを搭載しているフロントバッフルは背面ではなく、上下方向に少しカーブを描いているほか、縁の部分も角を落としたなめらかな仕上げになっている。これはおそらく、ユニットから出た音が、バッフルや縁に反射し、耳に入る音を濁らせない工夫だろう。

フロントバッフルがちょっとカーブを描いているのがわかる

内部は見えないが、ツイーター用に出力30W、ウーファー用に70Wの、いずれもクラスDアンプを内蔵している。ツイーターとウーファーを個別にドライブする、リッチなバイアンプ駆動だ。

背面に回ると、右上に大きなバスレフポートが見える。小さな筐体でも、迫力ある低域を再生するための工夫だ。ちなみに、前面と背面以外の外周は、ファブリックで覆われている。オーディオスピーカーというと、どうしてもマニアックな雰囲気を漂わせる製品が多いのだが、LSX IIはこのファブリックによって、優しい雰囲気に仕上げられており、インテリアとの馴染みも良いだろう。

背面のバスレフポート
外周はファブリックで覆われている
使用イメージ

ちなみに、やたらとカラーバリエーションが豊富なのも特徴で、今回はカーボンブラックを使っているが、ミネラルホワイト、コバルトブルー、ラヴァレッド、サウンドウェーブ・バイ・テレンス・コンランエディションの5種類がある。最近は女性を中心に、PCデスクまわりを白で統一している人も増えているが、そんな時はミネラルホワイトがマッチしそうだ。

白で統一した部屋にはミネラルホワイトがマッチする

プライマリー側の背面を見ると、このスピーカーの多機能さがわかる。入力として、光デジタル、USB-C、ステレオミニのAUX、HDMI ARCを各1系統装備。反対側のスピーカーを接続するためのLAN端子と、ワイヤレス接続にも対応しているが、有線のLAN端子も装備。サブウーファー出力も備えている。なお、プライマリーもセカンダリーも電源ケーブル接続は必要。

プライマリー側の背面。多数の入力端子が並んでいる
セカンダリー側の背面は、左右スピーカーの有線接続用LAN端子しか備えていない

豊富な端子類を活用し、PCと接続したUSBスピーカー、スマホ・タブレットの音をワイヤレスで再生するスピーカー、スマホから操作してサブスク音楽配信を直接再生、HDMI ARCでテレビやゲームの音を高音質化する事もできる。アナログ入力を備えているので、フォノイコライザーを内蔵したレコードプレーヤーと接続するのもありだろう。

面白いのは、プライマリー/セカンダリースピーカー間の接続。付属のLANケーブルで有線接続すると、全てのソースを96kHz/24bitのPCMに変換してデジタルで伝送して再生する。一方で、LANケーブルを使わず、左右スピーカー間をワイヤレス接続にする事も可能で、その場合は全てのソースを48kHz/24bitのPCMに変換して伝送する。

左右スピーカー間をワイヤレスで接続する事も可能

これにより、例えば「テレビ用スピーカーとして使いたいけど、テレビが大きすぎて左右スピーカーの距離をもっと離したい」とか「床にケーブルを這わせたくない、見た目もシンプルなオーディオにしたい」といったニーズにも対応できるわけだ。

再生可能なデータは、ネットワークが384kHz/24bitまでのPCM、光デジタル入力が96kHz/24bit、USBが192kHz/24bitまで。Bluetooth 4.2、AirPlay 2、Google Chromecastに対応して、スマホから手軽に音楽を再生できるほか、Roon Ready、UPnP Compatibleもサポートしている。

対応する音楽ストリーミングサービスは、Amazon Music、Spotify、Tidal(日本未サービス)、Qobuz、Deezer、QQ Musicなど。

パソコン用スピーカーとして使ってみる

まず、デスクトップパソコンとUSB接続。Amazon Music HDの排他モードで、ハイレゾの音楽を中心に再生してみた。

「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を再生すると、まず驚くのは音場がブワッと広大に広がる事。小さなPCスピーカーは、キーボードよりも上~ディスプレイの中央から下の空間に音が広がるだけなのだが、LSX IIはそんなレベルではなく、上はディスプレイを超えて天井近くまで、横は机の上すら通り越す勢いで音が広がる。まるで上半身だけライブ会場にワープしたような感覚だ。

驚くのは上下左右だけでなく、奥行きまで広い事。壁があるので実際に奥は存在しないのだが、ダイアナ・クラールの歌声やピアノの響きが奥へと広がり、消えていく様子がわかる。ちょっと照明を落として音楽を聴くと、壁が消えて、部屋が広くなったかのように錯覚してしまう。

単にブックシェルフスピーカーを持ってくれば、この音場が出るわけではない。やはりこの広大さは、Uni-Qドライバーの点音源と、回折を抑えたエンクロージャーというLSX IIの特徴があってこそ得られるものだろう。

広さだけでなく、そこに展開するサウンドもPCスピーカーとは次元が違う。特に圧巻なのは、「月とてもなく」のアコースティクベース。量感の豊かな低域が「グォングォン」と押し寄せてくる。このパワフルさ、スケールの大きさは、小さなPCスピーカーではちょっと真似できない。

LSX IIの凄さは、この迫力の低域が押し寄せる中でも、細かい音が微細に表現されている事だ。ベースは弦を弾き、それによって大きな筐体が響いて低い音が出るわけだが、「グォン」と吹き付ける低音のカタマリの中にある、弦が「ブルッ」と震えたり、ぶつかる「ベチン」という小さく細かな音がハッキリと聴き取れる。これが、迫力だけではないリアリティを生み出しており、本当にベースが目の前にあるかのように思えてくる。

「米津玄師/KICK BACK」のようなロックを聴くのも最高だ。ベースラインが深く刻まれるだけでなく、キレが鋭いため、音の刃でズバズバ切り込むような気持ち良さがある。この楽曲はSEも豊富なため、音場が狭いスピーカーで聴くと“ゴチャゴチャ”してしまうのだが、LSX IIで聴くと、広大な音場の様々な場所にSEが乱舞し、地面に目をやるとゴリゴリのベースラインが襲いかかってくる。まるでアトラクションを楽しんでいる気分だ。

定位もバツグンだ。「月とてもなく」ではダイアナ・クラールの音像が中央にビシッと定位するだけでなく、「口がこのへんにある」と指で円が描けるほど、像がクリアかつ、口の開閉する動きまで見えるよう。また、口の位置がディスプレイを超えた高い位置にあるのも感動的。耳よりも下に設置したスピーカーで、しっかり“高さ”が出せるのも、点音源の理想を追求した結果だろう。

これだけ音場表現が豊かだと、「手嶌葵/明日への手紙」のような、女性ボーカル + ピアノのシンプルな音が広がる楽曲は最高に気持ちが良い。音場に包み込まれ、うっとりとしてしまい、仕事が手につかない。この満足感は、PCスピーカーではなかなか味わえない。

動画の楽しみ方も大きく変化する。最近、YouTubeで電車旅の動画をよく見ているのだが、新幹線が走行中の「グォオオオ」という騒音がLSX IIでは肉厚に再生されるので「ああー! 電車の中って確かにこんな音がする」とリアリティが凄い。そこに「まもなく、終点、東京です」とアナウンスが入るのだが、騒音の中で女性のアナウンス声だけが明瞭に聴こえたりするのもリアル。電車を降りて街を歩いているシーンで、カラスの「カァカァ」という鳴き声が入っているのだが、それが天井近くから聴こえるので、一瞬自分の家の外にカラスが本当にいるのではないかとギョッとしてしまった。

これは映画でも凄いのではと、Netflixで映画「タイラー・レイク -命の奪還-2」を再生したが、凄まじい。低音がしっかり出るスピーカーなので、爆発音の迫力や、BGMにも重厚さが出て“ちゃんと映画を鑑賞している”感覚になる。

映画も迫力たっぷりに楽しめる

圧巻は音場と定位。森の中でのカーチェイスシーンは、主人公達の車をドローンで追尾しながら撮影しているのか、縦横無尽にカメラが動く凄いシーンなのだが、そのカメラワークと音の定位がシンクロ。「あ、いま、後ろから銃で撃たれて後部座席のガラスに当たった」とか「左前で敵のバイクが木に当たって爆発した」という状況が、音でしっかり把握できる。

FPSゲーム「Apex Legends」もプレイしてみたが、これも凄い。生き残りをかけて戦うゲームなのだが、建物の中にこもって、ドアの付近で敵を迎え撃つというシーンがある。その時は外が見えないので音で状況を判断するのだが、「あ、背中の方向から足音が2つ聞こえた」「いまこの壁の向こうにいる、そのまま屋根の上に上がった!」という状況が、LSX IIだとよくわかる。わかりすぎて、逆にプレイしていて怖いくらいだ。

FPSゲームもプレイしてみた

LSX IIにはリモコンも付属しているので、音量調整や入力切替が直感的にできる。現在の入力系統は、前面に備えたインジケーターの色で表現されるのだが、何色が何の入力を意味しているのか、覚えるのがちょっと手間だ。ただ、普段は2系統くらいしか使わないと思うので、慣れれば問題ないだろう。

付属のリモコン
前面に備えたインジケーターの色で、現在の入力を表現する

HDMI ARCでテレビの音をグレードアップ

HDMI ARC対応のテレビとも接続してみた。

映画は、先程パソコンでも試聴したが、やはりパソコンの画面サイズでは、LSX IIの広大な音場に太刀打ちできない。大画面テレビと組み合わせると、映像と音場の釣り合いがとれた感覚で、満足度がさらにアップする。サラウンド再生機能は無いが、2chでもこれだけの広大かつ、肉厚で迫力のある音が楽しめるなら、サウンドバーは不要かもしれない。

映画だけでなく、ニュースや野球なども観てみたが、これも衝撃的だ。テレビ内蔵スピーカーでは、ニュースを観て「音に感動する」なんて事はないのだが、LSX IIで聴くと、男性アナウンサーの声がグッと肉厚になり、「ああ、アナウンサーってちゃんとお腹から声が出ているんだな」というのがわかる。

事故現場からのレポートでも、女性の記者が喋っている背後で、車が道路を行き交う音や、まわりの人の話し声などがLSX IIで聴くと立体的に感じられる。

野球中継も、周囲の人の声援は直接音で鋭く、遠くの席の群衆の声のは反響を帯びて輪郭がフワッとするなど、細かな音で“スタジアムの広大さ”が伝わってくる。いつもは音なんて気にしなかったコンテンツも、音が良くなるとグッと魅力がアップするのを実感できた。

パソコンもテレビも使わず、スピーカーだけでピュアオーディオ体験

ここまでは、ソース機器としてパソコンやテレビを使ってきたが、LSX IIは単体でもオーディオ環境が構築できる。

制御用として、スマホに「KEF Connect」をインストール。セットアップすると、前述のように、Amazon Musicなどの音楽配信サービスから、楽曲を選んでLSX IIから再生させたり、入力を切り替えたり、ボリュームを変えるなど、スマホをLSX IIのリモコンとして使えるようになる。前述のように、現在選択している入力系統がわかりやすいので、付属リモコンが慣れない人は、アプリをメインに使ってもいいだろう。

KEF Connect
高機能なリモコンとしても使える
音楽配信サービスを選んでいるところ

このKEF Connectは機能が豊富で、特にイコライザー設定が細かい。壁との距離など、限られた項目を入力するだけで設定できるモードと、より詳細な詰めが可能な「エキスパート」モードを用意しており、エキスパートではトレブル調整、位相補正、ベースの拡張といった非常に細かい項目も設定できる。

難易度が高そうに見えるが、スライダーを動かすと即座にサウンドに反映されるので、その反応を聴きながら、自分の好みの設定に追い込むのもアリだろう。今回の設置では、背後の壁が近かったため、ちょっと低域の膨らみが強く感じられた。

そこで、アプリのエキスパートモードから「デスクモード」-3.0dB、「ウォールモード」-5.5dB、「トレブル調整」+0.5dBに設定すると、低域がスッキリとし、全体の見通しが良くなった。

「エキスパート」モード
よりシンプルな設定モードもある

さらに良い事がある。スマホアプリで操作し、LSX IIから音楽再生している時、パソコンの電源をOFFにしていたのだが、そうする事でパソコンのファンノイズが無い、静かな部屋で音楽を楽しめる。そうすると、LSX IIの音場の広さや、情報量の多いサウンドがより耳に入ってきて、音楽がさらに深く楽しめる。

ディスプレイも真っ暗なので、SNSやWebサーフィンをして意識がそちらに持っていかれる事もない。いつもは前のめりで仕事をしている椅子に、深くゆったりと座り、LSX IIのサウンドを聴いていると、机の上の広い空間にアーティストや楽器が浮かび上がる。「今からは音楽をしっかり楽しむ時間だ」という気分になる。ピュアオーディオ趣味の醍醐味と言えるだろう。

LSX IIに電源ケーブルさえ接続すれば、あとはスマホアプリから選択するだけで、どこでも高音質な時間が楽しめる。左右のスピーカーを接続するケーブルさえ不要。これは実際に使ってみると、非常に便利かつ、生活を変えてくれる。「今日はリビングにいる時間が長いからLSX IIをリビングに移動させる」とか「キッチンで料理をする時のリッチなBGMに」といった具合で、様々な部屋で音楽を楽しむのが楽しい。これは巨大なハイエンドスピーカーでは逆に味わえない面白さだろう。

PCスピーカーとして考えると、ペア20万円以上という価格は高価に思えるが、本格的なピュアオーディオ用ブックシェルフスピーカーとアンプ、ネットワーク再生機能などが全部セットでこの価格と考えると、感じ方も変わってくる。また、ちょっと良いサウンドバーと、オーディオ用スピーカーを両方買おうと思っている人は、LSX IIにまとめてしまうというのも大いにアリだ。

“休日のリビングだけで使うオーディオ”から、“毎日いろんな部屋で使い倒すオーディオ”へ。LSX IIは、楽しみ方そのものを変える力を持った次世代スピーカーと言えるだろう。

KEF直販サイトのLSX II販売ページ

最大15% OFF相当のキャッシュバックキャンペーンも

左からLS60 Wireless、LS50 Wireless II、LSX II

なお、7月14日~2023年8月20日まで「SUMMER CAMPAIGN 2023」として、最大15% OFF相当のキャッシュバックキャンペーンが実施されている。対象製品はLSX IIに加え、LS60 Wireless、LS50 Wireless IIの3モデル。

購入期間は7月14日~8月20日で、応募期間は9月21日まで。1セット購入で価格(税抜)の5%分、2セット購入で10%分、3セットまたは、2セット+スピーカースタンド購入で15%分をキャッシュバックするもの。LSX II単品(210,000円)の場合は10,500円、LSX II×2セット(420,000円)では42,000円、「LSX II + LSX II + S1 Stand」(459,800円)では68,970円のキャッシュバックとなる。

詳細はキャンペーン特設サイトを参照のこと。

キャッシュバックキャンペーン特設サイト

山崎健太郎