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JVC、8K/HDR対応プロジェクタ「DLA-V9R」 10月発売。200万円

JVCケンウッドは、8K e-shift技術を搭載した8K/HDRプロジェクター「DLA-V9R」を発表した。発売は10月下旬。価格は200万円。

8K解像度表示を実現するD-ILAプロジェクタ「DLA-V9R」 ※外観は海外仕様のため、市販されるものとは異なる

DLA-V9Rは、ネイティブ4K解像度のD-ILAデバイスと画素ずらしの「e-shift」技術を組み合わせ、8K解像度(8,192×4,320)の映像表示を実現したモデル。フルHDや4Kなどの映像は、Multiple Pixel Control技術で8K映像に変換し投写する。8K映像の入力には対応しない。これまで8K/e-shiftテクノロジーを搭載したD-ILAプロジェクターは業務用モデルのみであり、家庭用モデルへの搭載はDLA-V9Rが初めて。

家庭用モデルのフラッグシップ「DLA-Z1」(2016年12月発売、350万円)との主な構造的違いは、e-shiftテクノロジーの有無、光源、筐体サイズ。Z1はe-shift非搭載で最大4K解像度までの表示となるが、光源にレーザーを搭載しており3,000ルーメンもの明るさを誇る。一方のV9Rはe-shiftによる8K解像度表示に対応、光源を超高圧水銀ランプとすることで筐体サイズを最小限に抑えている。

第2世代ネイティブ4K D-ILAデバイスと新開発のドライバーLSIを採用する

DーILAデバイスは、0.69型/4,096×2,160ドット。仕様的にはZ1と変わらないが、製造プロセスの改善により液晶素子の平坦化と反射効率を向上させた第2世代パネルであり、デバイスそのものの高コントラスト化と高輝度化を実現したという。ネイティブコントラストは10万:1。また黒レベルを自動制御する「インテリジェント・レンズ・アパーチャー」との組み合わせで、ダイナミックコントラストは100万:1に高めた。また265Wの超高圧水銀ランプを採用し、明るさは2,200ルーメンを達成している。

デバイスを高速駆動するための専用ドライバーLSIを新たに開発。これまでも120fpsの高速駆動に対応していたが、専用LSIへの集積化で更なる高速処理を実現。膨大な情報量を瞬時に処理するため広帯域メモリーHBM(High Bandwidth Memory)を採用し、シリコンインターポーザーで接続することで超高速駆動を可能とした。また独自のフレームコンバーターや各種デバイス補正機能もLSIに集約し、常に安定した映像表示を実現している。こうした信号回路の見直しにより、入力から出画までの時間が約半分に短縮されている。

大口径100mmの16群18枚オールガラス・オールアルミ鏡筒レンズを搭載。シフト時の色収差やにじみを抑制するEDレンズも5枚使用。Z1のレンズ構成をベースにしながらも、光学部を見直すことでシャープネス性能を向上させたという。シフト範囲は、上下100%・左右43%。

HDR10コンテンツのHDR映像を自動調整する「オートトーンマッピング」
ガンマメニュー内に用意されるAuto Tone Mapping。調整レベルはスクリーンの大小で微調整する。なお調整レベル「0」はスクリーンサイズ100を基準としている

HDRは、HDR10(PQ)方式とHLG方式に対応。高輝度な直視型ディスプレイでマスタリングされたUHD BDなどのHDRコンテンツを、プロジェクターの明るさでも最適な画質で楽しめるように自動調整してくれる新機能「オートトーンマッピング」も搭載する。

これはUHD BDに記録されているメタデータ「MaxCLL」(コンテンツの明るさの最大値)と「MaxFALL」(フレームごとの平均最大輝度値)を参照、プリセットされた複数のパラメータに当てはめることで、自動で画質を調整するもの(工場出荷時はオフ)。同機能をオンにすることで、黒つぶれ気味なコンテンツの場合は暗部が持ち上がり見通しのよい画に、また全体が明るく浮き気味なコンテンツの場合は明部を抑えた画に調整されるという。メタデータを記録したHDR10コンテンツのみに適用可能。一部ハリウッドメジャーのUHD BD(パラマウントや20世紀フォックス、ウォルト・ディズニーなど)には、メタデータが記録されていない場合もあるため、その場合はマニュアルによるトーン調整を用意している。なお、HDR10+など他のHDR規格への対応については、現在規格内にプロジェクターに関する仕様が定められていない、という。

残像低減技術「Clear Motion Drive」は補間アルゴリズムを最適化させることで、オブジェクト境界における動き補償精度が改善。従来よりも多くのフレームを参照することで動き予測の精度が向上し、フレーム遅延の短縮を実現した。またプリセット値"弱"はフィルム24コマのデジャダー感を追求、より違和感のない処理を実現したという。

新シネマフィルターを採用、DCI-P3 100%の広色域をカバー。再現の難しかった空や海のグラデーション、真紅のバラや新緑の並木の対比など、様々な色彩を豊かに描き分けるとする。

このほか、設置状況や使用状況などで変化する光学特性を最適化する「オートキャリブレーション機能」、スクリーン特性によって生じる色のバランスを補正する「スクリーン補正モード」、レンズのシフト位置や画素調整などの設置調整内容を最大10個まで保存できる「設置設定」機能なども搭載する。

2系統のHDMIは、4K/60p 4:4:4や4K/60p 4:2:2 36bit、4K/24p 4:4:4 36bitなど18Gbpsの伝送帯域入力に対応。4K信号は、4,096×2,160/3,840×2,160ドットの60/50/30/25/24p信号をサポートする。別売の3Dシンクロエミッター・3Dメガネを使えば、3D映像も楽しめる。THX社が定める画質認証「THX 4K DISPLAY」も取得予定。

DLA-V9Rの背面。18Gbps対応のHDMI入力は2系統
フラッグシップモデル「DLA-Z1」(写真下)とDLA-V9R(写真上)の筐体比較

センターレンズ、背面吸気・前面排気構造の新設計・新デザインボディ。レンズリング部分はZ1同様、ゴールドアルマイトのアクセントが内側に施される。ファンノイズは24dB(ランプモード 低モード時)。外形寸法は500×518×234mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は21.8kg。