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オンキヨー、トンボのハネや貝殻をヒントに高音質スピーカー新開発

オンキヨーは30日、トンボの翅(はね)や貝殻の構造に着目して新たな高音質スピーカー開発に成功したと発表した。高い制振性や軽さなどを特徴とする「バイオミメティクス振動板」を使ったもので、自然素材からヒントを得た高音質スピーカーは世界初としており、特許を出願している。

開発に成功したバイオミメティクス振動板

軽量ながら高い剛性を持つバイオマス素材「CNF」を採用した、同社開発の振動板をベースに、トンボの翅からヒントを得て制振性と軽量化を実現。さらに、貝殻の立体構造の適用により高剛性化した高音質スピーカーを開発した。「今後ますます自然・環境との調和が求められる車載用スピーカーや自社ブランド製品等への商品化を行なう」としている。

既報の通り、同社はホームAV事業を売却することから「祖業であるスピーカーコンポーネント事業への回帰を進め、OEM事業に注力することによってあらゆる用途への拡大と業績向上を目指す」という。

オンキヨーは、スピーカー振動板の素材から業務用スピーカーユニットや民生用のスピーカー完成品まで独自開発しており、自社ブランド以外にも車載用やテレビ用、PC用のスピーカーユニットとして各社に採用されている。

スピーカーの振動板は空気を振動させて音楽や音声を最終的に再現する重要なパーツであり、音声再現能力に加え軽量性と高い剛性を併せ持つことが理想とされている。その要求に応えられる素材として自然界に存在する形状に注目。

スピーカー特性改善のため、振動板形状にトンボの翅脈構造をとり入れることで共振分散を実現。貝殻の立体構造をとり入れることで強度と剛性を向上。鉄の5倍の強度ながら鉄の1/5の質量というバイオマス素材CNFから、音質向上と、強さやしなやかさと軽さを併せ持った、進化したスピーカー振動板の開発に成功したという。

トンボの翅(はね)と貝殻の構造に着目して振動板を開発

新開発のバイオミメティクス振動板を採用したスピーカーは、車載スピーカーを中心としたOEM製品や自社ブランドのヘッドフォン製品への採用を目指す。「今後もあらゆる用途に適したスピーカーの開発や市場開拓を行ない、音のソリューションの提供を続ける」としている。