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「音楽の世界に浸れる」ヤマハ車載向けオーディオ、中国ブランドのEVに初採用

『車載向けヤマハブランドオーディオ』

ヤマハは、同社が展開する『車載向けヤマハブランドオーディオ』が、中国の浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)が展開する自動車ブランド「Lynk & Co(リンクアンドコー)」の電気自動車への採用が決定したと発表した。ヤマハの車載向けオーディオ受注は、今回が初めて。

ヤマハの車載向けオーディオは、“音楽が生まれた瞬間の感動を届けたい”という想いのもと「CLOSER TO THE ARTIST」をユーザー体験に掲げ、音楽の世界に浸れると謳うスピーカーシステムとアンプモジュールを開発している。

スピーカーユニットは、振動板からエッジに至るまで、使用する素材を厳選。振動板の動きに着目した設計で、歪みを抑え、楽器の倍音を美しく響かせるという。また、スピーカーの配置や向きについても、自動車メーカーと検討を重ね、クリアな音質を実現したとのこと。

アンプモジュールは、オーディオ信号伝送技術「A2B」に対応。アナログ変換を介さず、デジタル信号をそのままアンプに送ることで、よりクリアな音を再現する。オリジナルDSPを搭載するほか、ドライバーのアクセル操作に応じて加速音を作り出す独自の加速音技術も搭載されている。

この加速音技術は、伝統的なエンジンのサウンドからEV加速音まで、走りに連動したサウンドを楽しめるもの。音源はヤマハエンジニアがシンセサイザーを使って作成。再生には、ヤマハが電子楽器で培ってきた技術が応用されており、アクセルペダルの動きや車の速度情報から波形データをつなぎ合わせ、シームレスな加速音を奏でるという。

そのほか車内という複雑な音響空間で、どの席にも「最高のサウンド」を届けるという独自開発の信号処理技術「Phitune(ファイチューン)」も盛り込まれたほか、無線通信でソフトウェアをアップデートできる「OTA(Over The Air)」に対応。車を停めている間に、オーディオ設定データや加速音コンテンツなどがアップデートされるという。

採用を決めたLynk & Coは、高級車ブランドのVOLVOやLOTUSなども所有する浙江吉利控股集団から2016年に誕生したブランド。ブランド初のモデル「01」は、オンライン販売で137秒の間に6,000台を受注したという。

ヤマハ搭載車種をイメージしたコンセプトカー「ZERO Concept」

「車載向けヤマハブランドオーディオ」が搭載されるのは、Lynk & CoのEVプラットフォーム「SEA(Sustainable Experience Architecture)」を使ったモデルで、26日から開催されている北京モーターショーで発表された電気自動車コンセプトカー「ZERO Concept」の量産車両として、2021年に発売予定。中国のほか、ヨーロッパなどでの展開が予定されている。

初受注を受け、ヤマハの藤井茂樹執行役は「ヤマハは約130年に渡って、楽器、PA機器、Hi-Fiオーディオなどを開発してきました。お客様に感動をお届けする中で培われてきた技術は、変革期にある自動車産業においても生かすことができると考えています。車載に向けては、以前より信号処理LSIを開発・販売してきました。そこに、ヤマハが得意とするスピーカーやアンプの技術を融合させ、車載向けのオーディオシステムを完成させました。お客様の感動体験を意味するブランドプロミス『Make Waves』を車の中でも実現すべく、事業を展開してまいります」とコメントしている。