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完全ワイヤレスの最新トレンドとファーウェイ「FreeBuds」の実力

野村ケンジ氏と「FreeBuds 4i」

ファーウェイ・ジャパンは、完全ワイヤレスイヤフォン市場の最新トレンドをテーマにしたイベントを開催。AV Watchでもお馴染みの野村ケンジ氏と、ファーウェイ・ジャパンの東京研究所音響技術研究室室長の角田直隆氏がFreeBudsシリーズを中心に解説した。

日本国内におけるポータブルオーディオ製品全般の市場傾向としては、“Apple vs ソニー”という構図が、iPodが登場した時代から長らく続いている状況。完全ワイヤレスイヤフォンにおいても、基本的な構造は変わらず、2021年もAirPods ProとWF-1000XM4が上位を占め、国内外のオーディオメーカーが続く状況が予想される。

一方で、完全ワイヤレスの特徴として、“ヒアラブルデバイス”としての機能にも注目が集まっている点がある。音質だけでなく、スマホと連携のしやすさや、通話やアシスタント機能などを複雑な設定をすることなく使える使い勝手の良さも重要視され、スマホメーカーが手掛ける製品も続々登場している。

AirPods ProもiOSとの連携が非常に簡潔なことから、一般のiPhoneユーザーが選ぶ完全ワイヤレスイヤフォンの最有力候補となり、iPhoneのシェアに応じて販売台数を上げている状況だが、Androidとの連携はそこまで簡素ではないため、ユーザーを選ぶ特殊な製品になっている。

Androidスマホのメーカーが完全ワイヤレスイヤフォンを手掛ける場合には、幅広いユーザーをターゲットにできるというメリットがあるが、自社製スマホのほか、他社製のスマホとの整合性も重要になるため、対応コーデックやアプリ開発など、製品作りに難しさがあるとした。

また、近年は低価格モデルが多く登場し、価格がワイドレンジ化。高機能、良音質と手頃な価格のバランスを実現したブランドも登場したほか、圧倒的なハイコストパフォーマンスを見せる中国メーカーが“安かろう悪かろう”を脱却し、音質も向上。これまで付属品の純正イヤフォンや、3,000円以下の低価格有線イヤフォンを使用していたユーザー層も、低価格な完全ワイヤレスイヤフォンを手に取るようになり、全体の完全ワイヤレスイヤフォンユーザーは大きく拡大した。

この結果、現在の完全ワイヤレスイヤフォンに対するユーザーニーズは、音質はもちろん、環境ごとに自動調整されるANC/外音取り込みなどを搭載した、高機能と付加価値を求める“ハイエンド派”と、低価格を求める“ハイコスパ派”に二極化。

ハイコスパ派が求める条件としては、圧倒的な低価格のほか、ケースのコンパクトさや、不意に耳からこぼれ落ちない装着感が注目されているという。低価格モデルでも連続再生時間が長い製品が増えているため、本体のみで5時間以上は必須条件になっているという。

また、低価格製品の音質向上に伴い、音に注目されることもあるが、中国メーカーの多くが重低音重視のチューニングを施しており、日本では賛否が分かれている、と分析する。

FreeBudsシリーズのアドバンテージとは

これらの市場動向やユーザーのニーズに対し、4月に発売した「FreeBuds 4i」(実売9,680円前後)に搭載されているテクノロジーについて角田氏が解説した。

FreeBuds 4i
ファーウェイ・ジャパン 東京研究所 音響技術研究室 室長 角田直隆氏

角田氏は、2020年東京研究所内に発足した音響技術研究室の室長を務めており、中国、欧州の研究所とともに主に2~5年先に商品に応用される技術の研究開発を行なっている。研究所は最新の音響施設を備えているという。

「FreeBuds 4i」で一番大切にしている部分はやはり音質だという。専用設計の10mm径のダイナミック型ドライバーは、装着感や本体の大きさなどのバランスから許される限り大きなサイズを搭載したといい、有線イヤフォンに使用すればハイレゾでの再生が可能な音質性能を備えたドライバーだという。

通話の音質も重要なポイントで、左右それぞれ2個ずつ装備したマイクにより、それぞれのマイクに声が到達する時間差で人の声を認識する技術と、AIによって中音域の音から人の声を認識して他の雑音を低減する技術の2つの技術を組み合わせ、環境騒音と風による雑音を低減し、クリアな声で通話できるという。

野村氏は、完全ワイヤレスイヤフォンでマイク性能をアピールする製品は多いが、そのほとんどがあまり性能が良いとは言えないとした上で、「FreeBuds 4iのマイクは比較的良い方」と評価した。

なお、4iは、ハウジングの外側に装備したマイクで環境音を認識し、キャンセル音を再生するフィードフォワード方式のアクティブノイズキャンセルを採用している。ANCの性能面では、ハウジングのノズル付近にもマイクを搭載し、耳元で鳴っている音も拾って打ち消すフィードバック方式と併せたハイブリッド方式が注目されているが、あえてフィードフォワード方式を採用することで、コストを抑えているほか、装着感と相まってハイブリッド方式に劣らない遮音性を実現したという。

使い勝手の面では、センサーによるタッチコントロールはもちろんのこと、イヤフォンを取り出したときではなく、ケースのふたを開けた時点でペアリングモードになることだという。耳に装着したときにはすでに音楽が聴ける状態になっているため、スムーズに使用できる。

また、無線接続時は左右のイヤフォンの電池残量によってプライマリ接続とセカンダリ接続を自動的に入れ替え、左右の電池消費を平均化し、バッテリーの持続時間を最大化。ANCオンの状態で本体で約7.5時間使用でき、充電ケース併用では約22時間の連続再生を実現している。

ハウジングの形状は、デザインを確定するまで延べ数千回もの装着テストが行なわれたとのこと。1回のテストで2時間程度装着して確認しているため、長時間の装着における快適性も考慮した形状になっているとした。

これらのことから、野村氏はFreeBuds 4iについて、1万円を切る価格帯ながら、ANC/外音取り込み機能、連続再生時間、長時間使い続けられる装着感と、市場のニーズとトレンドを抑えた「便利に使いこなせて、お値段も手頃」な完全ワイヤレスイヤフォンであると評価した。

なお、FreeBuds 4iが「HUAWEI AI LIFE」アプリのiOS版に、6月中に対応することが発表された。詳細の日時については後日案内される。

スマートグラス「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」の展示も

「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」SMART KUBO

会場では、6月11日からクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で先行発売が開始されたスマートグラス「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」が展示された。なお、15日より東京・二子玉川「蔦屋家電+」にて展示が行なわれている。

テンプル(つる)部分にセミオープンスピーカーを搭載したスマートグラス。ラインナップはサングラスタイプの「SMART LANG」と、度なしクリアレンズタイプの「SMART KUBO」の2種類。

SMART LANG

実際にかけて音楽を再生してみた。つる部分のスピーカーが指向性となっており、耳元で音楽が鳴っているように聴こえる。耳を塞がないため、周囲の音とともに自然に聴こえる印象だ。音量を上げていくと周囲に音漏れしてしまうが、騒がしくない場所でほどほどの音量で聴く分には問題無い程度に音漏れを防いでいるという。

なお、クリアレンズタイプの「SMART KUBO」は、眼鏡店に持ち込んでサイズに合わせたレンズを作ってもらうことで、度付きレンズに交換できる。なお、レンズを交換した場合は、レンズ部分のみが保証対象外となる。