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真空管「300B/2A3」を自動判別するアンプキット

「TU-8900」300Bを装着した様子

電子工作キット「エレキット」を展開するイーケイジャパンは、「300B」と「2A3」の2種類の真空管を特別な設定の変更なしに差し替えるだけで、音の違いを楽しめるシングルパワーアンプキット「TU-8900」を、9月15日より出荷開始する。直販価格は129,800円。

オーディオファンの間で根強い人気がある、直熱三極管300Bと2A3を差し替えるだけでその音の違いを楽しめるパワーアンプキット。300Bはふくよかな中音域と重厚な低音、2A3は繊細な表現力と優しい音色が特徴としている。真空管は別売り。

2A3を装着した様子

300Bと2A3は、フィラメント電圧や動作点の違いから供給電圧の切り替えが必要だが、TU-8900では、装着されている真空管を自動判別。それぞれの真空管に合ったフィラメント電圧・B電圧を自動設定する。

300B装着時にはボリューム周りの左右がブルーに、2A3装着時にはグリーンに点灯。また、真空管の異常などにより、過大な電流が流れた場合は異常のあるチャンネル側が赤く光り、電流をシャットダウンして保護する。

電源トランスの巻き線は左右別巻きとし、チャンネル間の干渉を極力抑えている。フィラメント電源用には超低ノイズ・高効率の最新DC-DCコンバータを採用。また、整流ダイオードはショットキーバリアダイオード・ファーストリカバリーダイオードを使用することで、わずかなスパイクノイズも最小限に抑えており、能率の高いヘッドフォンでもノイズを気にせず音楽を楽しめるとしている。

電源部の主回路は各チャンネルごとにユニット化され、モジュールとして同梱。直熱管と傍熱管の混在する回路ではウォーミングアップの時間が大きく異なるため、先に立ち上がる直熱管に負担がかかるが、TU-8900では電圧をゆっくりと上げていくソフトスタート機能を搭載。直熱管にかかる負担を軽減している。

基板上のショートプラグの位置を変えることで、無帰還アンプへの変更も可能。無帰還とすることで、ゲイン(増幅率)が約8dBアップする。

電圧増幅管は基準としている12AU7に加え、ドライブ能力の高い12BH7Aも使用可能。

300B、2A3用の4ピンソケットは、製造メーカーと意見を出し合いながら出来上がった信頼性の高いものを採用。しっかりとした装着感が得られるとしている。

カップリングコンデンサの交換も可能で、最大で22×44mm(最大径×長さ)の大型サイズにも交換できる。

大型コンデンサ取り付けイメージ

ヘッドフォンレベルの調整も可能で、フロントパネルを外し、ショートピンの位置を替えることで変更でき、ヘッドフォンに合わせた音量設定が可能。

ヘッドフォン音量設定部

出力管上部はカバーの温度が100度近くの高温となるため、ボンネットには耐熱性と堅牢性を兼ね備えたポリカーボネートを採用している。

ボンネットを取り付けた様子
裏面

入力端子はライン×1系統を装備。出力端子はスピーカー出力と6.3mmステレオ標準を備えている。

定格出力は8W+8W(300B時)、3.5W+3.5W(2A3時)。定格入力は1Vrms(300B時)、650mVrms(2A3時)。周波数特性はNFBありで7Hz~90kHz、無帰還時は12Hz~45kHz。入力インピーダンスは50kΩ。出力インピーダンスは4~6.3Ω、8~16Ωで、背面スイッチで切り替え可能。

消費電力は95W(300B時)/65W(2A3時)。外形寸法は356×320×214mm(幅×奥行き×高さ/突起部含む)。重量は約11.2kg。