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ソニー、1000Xシリーズ史上最大のNC進化「WH-1000XM5」

WH-1000XM5 ブラック(左)、プラチナシルバー(右)

ソニーは、ノイズキャンセリング(NC)機能付きBluetoothヘッドフォンの新モデル「WH-1000XM5」を5月27日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5万円前後。カラーはブラックとプラチナシルバーを用意する。なお、従来モデル「WH-1000XM4」は販売を継続する。

1000X史上最大の進化を遂げたノイキャン

ノイズキャンセルに使用するマイクの数が左右2基ずつから4基ずつに増加。高音質ノイズキャンセルプロセッサー「QN1」に加え、完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」に搭載している統合プロセッサー「V1」を組み合わせ、8個のマイク信号を制御することで1000Xシリーズ史上最大の進化を遂げた業界最大クラスのノイズキャンセリング性能を実現したことが最大の特徴。

高音質ノイズキャンセルプロセッサー QN1
統合プロセッサー V1
ノイズキャンセリング機能の使用センサー(マイク)

ハウジングに搭載しているマイク周辺機構も新規設計しており、物理的に風の影響を受けにくい構造になったことで、風ノイズを低減している。また、搭載されたマイクが増えたことで、外音取り込み機能も向上。相手の声と自分の声がよりクリアに聞こえるようになった。

マイク部

マイクとプロセッサーのほか、従来のパーソナルNCオプティマイザーに用いられていた測定音を発することなく、理想的なノイズキャンセリング効果を提供するオートNCオプティマイザーを搭載。髪型、眼鏡の有無、装着ズレなどを自動で検知するほか、気圧センサーも搭載し、ユーザーの個人差や気圧の変化に対してノイキャン特性を最適化する。

ドライバーユニットは専用設計の30mm径を採用。エッジ部に柔らかい素材を使用することで、低音域感度が高まり、ノイズキャンセリング性能を向上するとともに、低音域の再現性を向上。ドーム部には軽量で高剛性なカーボンファイバーコンポジットを採用することで、高域感度も向上し、より自然で伸びのある高域再生を実現した。

ユニット口径が従来の40mm径から小型化しているが、プロセッサーなどの部品の増加や本体重量の軽量化に対しての考慮だけではなく、今回のドライバー設計により、ノイズキャンセリング性能と音質がソニーの求めていたクオリティに到達する最適なサイズとして、30mm径を採用したという。

ハイエンドウォークマンの高音質技術とLinkBudsの通話音声技術を採用

3月に発売したハイエンドウォークマン「NW-WM1ZM2」「NW-WM1AM2」で使われた高音質技術を採用し、音質を向上。具体的には、金入りの高音質はんだ、銅メッキを施した大型高音質抵抗を採用することで、拡がりや定位感を向上したほか、磁気ひずみが排除され、伸びやかで透明感のある艶やかな音質を実現した。

また、基板レイアウトについても、ハイエンドウォークマンの技術をヘッドフォンに最適化して採用することで、SN感の向上による微細なニュアンスの再現や、信号への高い追従性を実現した。

通話音声についても業界最高クラスを実現。従来機では左側に搭載した2基のマイクを用いていたが、WH-1000XM5では会話用にも左右2基ずつの計4基のマイクを使用。ビームフォーミング技術を用いるほか、LinkBudsに採用された技術である、装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離するフィルターアルゴリズムを搭載。さらに、上記の風ノイズを低減したマイク構造で、風の強い中でもクリアな音声で通話できる。

通話時の使用センサー(マイク)

基本性能については、Bluetooth 5.2準拠でコーデックはSBC/AAC/LDACに対応。「Sony | Headphones Connect」アプリから設定して利用できる、圧縮音源をハイレゾ相当にアップコンバートするDSEE Extremeも引き続き搭載する。ヘッドフォンケーブルによる有線接続も可能。

360RA認定を取得しているほか、BRAVIA XRとWLA-NS7の組み合わせによる360立体音響体験も可能。ハウジング部をおさえると一時的に外音を取り込むクイックアテンションや、自分の発する声に反応して音楽再生を停止し、外音を取り込むスピーク・トゥ・チャットなども引き続き搭載している。NFCは非搭載になった。

「Sony | Headphones Connect」もアップデート。Ver9.0にアップデートすることで、マルチポイント機能の接続機器の管理が行なえるほか、難聴のリスクが高まった際に通知するセーフリスニング機能が使えるようになる。また、新たに設定しておくことでタップで対応アプリの音楽再生を行なうクイックアクセスにも対応する。

マルチポイント機能の接続機器管理画面
クイックアクセス設定画面

ペアリング可能なAndroid端末があると、その画面にポップアップで知らせ、すぐペアリングを始められる「Fast Pair」や、Windowsの「SwiftPair」にも対応する。

連続再生時間はNC ONで30時間、OFFでは40時間。3分の充電で最大1時間再生できるクイック充電のほか、3分の充電で最大3時間再生できるUSB PD充電にも対応している。

デザイン刷新「ノイズレスな世界観を表現」

デザインも刷新され、ヘッドバンドが細く軽量化したほか、デバイスを極限まで凝縮することで無駄をそぎ落とし、ハウジングとヘッドバンドすべてをマットで高品位のあるフィニッシュに仕上げることで「ノイズレスな世界観を表現した」「近未来的なデザイン」になったとしている。

左がWH-1000XM5。デザインが刷新され、ヘッドバンドは細く、全体的に丸みを帯びた形状に
左がWH-1000XM5。接合部が目立たなくなり、動作音も静かになった

スリムになったヘッドバンドと、イヤカップにはソフトフィットレザーを採用。通常の合成皮革より柔らかく、安定性が高いため。頭部の形状に柔軟に追従するため、締め付け感は少なく、高い遮音性と快適な装着性を実現。重量は250gで、WH-1000XM4よりも4g軽量化している。

可動部の音も排除したノイズレス仕様で、サイズ調整後もデザインが変わらない無段階スライダーを採用。装着時に部品がずれない構成を徹底し、装着時に美しく見えるデザインを目指した。

また、従来はむき出しになっていたイヤーカップ内部の装着を感知するセンサーについても、見えない仕様になっており、ユーザーの目に付くデザイン面全てを「ノイズレス仕様」に徹底したとしている。

WH-1000XM4の内部センサー
WH-1000XM5ではセンサーが見えなく配置されている

なお、収納時の折りたたみ構造はできなくなり、イヤカップのスイーベルのみが可能。ケース形状も新しくなり、本体が収納されていないときは薄くすることができる。

ケース収納時。WH-1000XM4(左)、WH-1000XM5(右)
ケース。左がWH-1000XM5
本体が収納されていない時は薄くなる

サウンドUIも変更され、電源のON/OFFやモードの変更時に従来はアナウンス音声が流れていたが、操作音のみに変更された。

付属品はUSB-Cケーブル、ヘッドフォンケーブル、キャリングケースなど。紙の説明書は廃止され、Webで確認できるようになっている。また、ACアダプタも付属しない。

パッケージ素材についても環境への配慮を行ない、製品箱にはソニーのオリジナルブレンドマテリアルを仕様。スリーブには再生紙を使用している。

ケース内部のケーブル収納。左がWH-1000XM5
ソニーのオリジナルブレンドマテリアルを使用した製品箱