ミニレビュー
いよいよ発売「Pixel Tablet」、スピーカーホルダーの音質チェック
2023年6月20日 16:01
Googleのタブレット端末「Pixel Tablet」が、6月20日にいよいよ発売。充電スピーカーホルダーがセットになっており、タブレットをホルダーに設置すると、充電に加え、音楽や映画を迫力のサウンドで楽しめるのが特徴だ。短時間ではあるが、その映像・音声を体験したのでレポートする。
詳細は既報の通りで、タブレット本体のカラーはHazelとPorcelainの2色、ストレージメモリは128GBと256GBの2モデルを用意。タブレット単品での販売は無く、いずれも充電スピーカーホルダーがセット。Googleストアでの販売価格は128GBが79,800円、256GBが92,800円。今後発売予定の追加ホルダー単体の価格は17,800円、Pixel Tabletケースは12,800円だ。
充電スピーカーホルダーがセットになっている事から、パッケージはかなり大型なのかと思っていたが、実際は「この中にホルダーも入っているの?」と心配になるほどコンパクト。
パッケージを開けてみると、10.95インチのLCDディスプレイを採用したタブレット本体とACアダプター、その奥に意外なほどコンパクトな充電スピーカーホルダーが入っていた。
スピーカーホルダーが小さいのは、タブレット全体を受け止めるような構造ではなく、両者を磁気でドッキングする仕組みになっているため。スピーカーホルダーの前面が傾斜しており、そのままタブレットを乗せると前に滑り落ちてしまうのだが、それを磁力で食い止めるようなカタチだ。
磁力が非常に強いスピーカーホルダーは軽量であるため、タブレット部分を掴んで持ち上げると、スピーカーホルダーもくっついたまま上がってしまう。タブレットだけ持ち上げる際は、少し回すというか、ひねるようにして、磁力での結合を外してから上に持ち上げるような工夫が必要だ。タブレットを下に引き下げるようにして外そうとすると、ホルダーを置いている机などに、タブレットの下部をガツンとぶつけてしまう可能性もあるので、注意が必要だ。
なお、別売のPixel Tabletケース(12,800円)は、ケースを装着した状態でもホルダーに固定できる。Pixel Tabletを傷つけたくない場合は、ケースも併用したほうが良さそうだ。
Pixel Tabletをホルダーに乗せて充電しながら、セットアップを実施してみた。セットアップ手順は、Androidスマートフォンと良く似ており、ウィザードに沿って進めながら、手持ちのAndroidスマホからデータや設定をPixel Tabletにコピーが可能。Android端末を使ったことがある人なら、迷うことなく進められるだろう。
10.95インチのLCDディスプレイは画質も良好だ。解像度は2,560×1,600ドット、アスペクト比16:10で、輝度は500nit。YouTubeやNetflixの映画なども鑑賞しやすい。なお、Pixel Tablet自体の外形寸法は258×8.1×169mmで、重量は493gだ。
Tensor G2チップが組み込まれており、動作は高速でサクサク。ホルダーに設置した状態で、右上にボリュームボタンと、指紋センサーも兼ねた電源ボタンを搭載している。
ホルダーに設置すると、自動的にタブレットは「ハブモード」になり、スマートディスプレイとして使用できる。時計を大きく表示したり、Googleフォトの写真をデジタルフォトフレームとして表示したり、天気を表示するといった事も可能だ。
「OK Google」と話しかけて、音楽を再生したり、radikoでラジオを流したりもできる。ビデオ通話も可能。本体前面と背面に800万画素、画角84度のカメラを搭載。消しゴムマジック、ボケ補正、長時間露光、パノラマ撮影、夜景モードなど、カメラ性能も充実。1080/30pまでの動画撮影も可能だ。
内蔵バッテリーで最大12時間の動画ストリーミングが可能。基本的に、ホルダーに設置しておくことになるのでバッテリーの劣化が心配になるが、バッテリーを保護するためにフル充電しない設定がデフォルトになっている。
逆に、充電ホルダーという置き場所が決まっているので、タブレットにありがちな「使おうとしたらバッテリーが無くなっていた」というシーンは少ないだろう。
サウンドをチェック
気になる「メディアプレーヤー」としての性能だが、まず、Pixel Tablet自体に4つのスピーカーを搭載している。横にした状態で、左右に2基ずつ搭載しているため、広がりのあるサウンドが楽しめる。
実際にAmazon Music HDの音楽を流しながら横向きに手に持ってみると、画面を大きく超えた空間に音楽が気持ちよく広がる。ボーカルは前に出ず、タブレットの背後に広がるような聴こえ方になるが、この音場の広さは見事だ。
レンジとしては、内蔵スピーカーでしっかりした低音は出ない。ただ、高音だけのハイ上がりバランスではなく、ある程度中域は出ているため、スカスカした音には聴こえない。スマートフォンの内蔵スピーカーより、ゆったりとした中域は再生できるため、タブレットを手にしてソファなどに座り、映画を楽しむという使い方も快適だろう。
音楽を流したまま、充電スピーカーホルダーに固定すると、自動的に出力がスピーカーホルダーに切り替わる。すると、一気に下方向にレンジが広がり、厚みのある中低域が前へと出てくる。
スピーカーホルダーには43.5mmのフルレンジスピーカーが内蔵されているほか、タブレットよりも奥行きがあり、容積があるため、ゆったりとした中低域が再生できるのだろう。
また、スピーカーユニットは前向きに搭載されているようで、タブレットの横向きスピーカーと比べると、音像が前に出てくるのが良い。
この状態で、Netflixで映画「タイラー・レイク -命の奪還-2」を鑑賞してみたが、セリフがしっかりと画面の前に出てくるほか、中低域も肉厚に再生されるため、タブレット内蔵スピーカーでの視聴よりも、かなり“映画っぽい”気分が楽しめる。カーチェイスの迫力や、爆発シーンのインパクト、男性俳優の低い声などは、やはりスピーカーホルダーで再生した方が魅力がたっぷり出る。
ただ、1点残念なのは、音があまり広がらない事だ。タブレット単体の場合は、左右計4基のスピーカーでかなり広い音場が得られていたが、スピーカーホルダーは筐体の横幅が小さく、ユニットも前に向いているだけなので、横方向の広がりに乏しい。そのため、前方から音に包み込まれるような感覚は無い。
できれば、将来のアップデートなどで、スピーカーホルダーに乗せた時に、タブレット内蔵スピーカーをOFFにせず、スピーカーホルダーのサウンドと組み合わせて再生し、迫力と広がりが両方味わえるような機能も欲しいところだ。