レビュー

明るいは正義! ポータブルプロジェクタで800ルーメン、Android TV搭載「XGIMI Halo」

わ、明るい! XGIMI モバイルプロジェクターの最上位

Android TV搭載するポータブルプロジェクター「XGIMI Halo(ジミー ハロ)」

最近、「モバイルプロジェクター」、「ポータブルプロジェクター」というような、「持ち運んで使えるプロジェクター」が段々市場に出回りはじめた印象です。特に、Android TV搭載のモバイルプロジェクターはAnkerやBenQと言ったある程度名の知られた周辺機器メーカーからも発売され始めています。

ビーラボが販売するAndroid TV搭載するポータブルプロジェクター「XGIMI Halo(ジミー ハロ)」を、プラススタイル(+Style)で7月2日から取り扱っています。今回は、このXGIMI Haloを短期間ですがお借りして、ポータブルプロジェクター生活を満喫してみました。価格は96,800円(税込)。

ポータブルながら驚きの明るさ

XGIMI Haloのスイッチを入れてまず抱いた感想は「わ、明るい!」ということ。昼間(天気は曇)、室内で最初の画面を映してみたのですが、明るさを「ふつう」にしていても、明らかに映像がカラフルで鮮明です。

「XGIMI Halo」を起動します。最大800ANSIルーメンの投写輝度は「明るい」モードにしていなくてもその明るさが印象的です

XGIMI Haloの投写輝度は最大で800ANSIルーメンですから、これまでのXGIMI製品(MoGo Proが300ANSIルーメン、MoGoが210ANSIルーメン)も含めた通常のモバイルプロジェクターと比べてみると、スペック通りではあるのですが、非常に明るい印象的です。

ちなみに、XGIMI Haloは解像度もフルHD(1,920×1,080ピクセル)で、同レベルの製品としては、比較的高解像度です。

で、この「XGIMI Halo」には2つの顔があります。一つは“モバイルプロジェクター”、もう一つが“モバイルAndoird TV”。では、モバイルプロジェクターとしてのXGIMI Haloから見て参りましょう。

入力コネクタはHDMIがメイン。USBは何に使う?

XIGMI Haloの端子部分。一番左から、パワー、ヘッドフォン端子、HDMI入力、USB、それにメインの電源スイッチ

XGIMI Haloには入力端子として、HDMIとUSB端子があります。それ以外にも、Google Cast、Bluetoothでの接続も可能です。

HDMIは当然のようにBlu-rayプレーヤーや、ゲーム機などを接続して楽しむときに使うわけですね。筆者宅の環境ではPS4を接続して少々ゲームをプレイすることに。

大きな画面に映っているゲームは、イマイチ操作感覚がいつもと違います。ただ、プロジェクターを「ゲーム」モードにしたためか、そもそも筆者が鈍いのか、遅延が気になるというレベルではありませんでした。カジュアルに楽しんでいる筆者と違い、本気でやりこんでいる人にはまた違うかもしれませんが……。

USB端子は何に使うのでしょう。まさかとは思ったのですが、ここに刺したUSBメモリ、USBハードディスクと言ったマスストレージデバイスをXGIMI Haloが認識してくれます。

USBメモリを刺すとファイルエクステンダーが起動し、MXプレイヤーなどで動画を再生できます

「Androidやん、これ…」(いや、Androidなんですが)

手持ちの適当なUSBメモリを接続してみたら、ファイルマネージャーが表示され、USBメモリのファイル一覧を表示します。そして、たとえばここで「運動会190523.mpg」や「なんちゃら.3gp」というようなファイルを選ぶと、MXプレイヤーなどを含むプレイヤーアプリの候補がいくつか表示されます。プレイヤーを選ぶと……動画が再生されます。

はっはっは! 本当に挙動がAndroidです、下手なスマートフォンより素直にAndroidですね、これは。とても良いです。

なので、たとえば、スマートフォンで撮影した動画をみんなでプロジェクターで観たい! なんて用途には、「XGIMI Halo」とUSBカードリーダー、それとスマートフォンで撮影した動画の入ったmicroSDを用意して上映会をする、なんて使い方が面白いかなーと、夢が広がってしまった筆者です。

意外と重いのが玉に瑕

「XGIMI Halo」は58.6Wh(モバイルバッテリーでおなじみの表記に換算するとリチウムイオン電池の定格電圧が3.7Vとして…15,838mAh!)の内蔵バッテリーを搭載しています。

フル充電すれば、ACアダプタなしで(モードを省エネモードにして)最大4時間利用できます。4時間ギリギリ使う必要がなくても、家の中でちょっと移動させたい、あの壁じゃなくこの壁で映したい、というときにACアダプタを外して気軽に移動して使えそう。

さらに、家庭内の違う部屋に持ち込んだり、友達の家に持って行ったり、ちょっとした集会に持って行ったり、という使い方も考えられるかもしれません。

XGIMI Haloには「オートフォーカス」と「垂直方向の自動台形補正」が搭載されており、モノの数秒で自動的に画像の焦点を合わせてくれる。非常に楽

持ち運んだ後ですが、XGIMI Haloには「オートフォーカス」と「垂直方向の自動台形補正」が搭載されているので(水平方向の調整は手動)、移動後の調整はとても楽です。XGIMIのマークが投影されモノの数秒で自動的に焦点を合わせてくれます。ちなみに台形補正については、垂直・水平ともに±40度の補正が可能。

ただ、このXGIMI Halo……、モバイルプロジェクターという名前なんですが内蔵バッテリーのせいなのでしょうか意外と重いんです。重量的には1.6kgあります。サイズは約113.5×145×171.5mm(幅×奥行き×高さ)です。うーん、片手でヒョイと持っていくと落としそう……。気を付けましょう。

写真は筆者のスマートフォン「Pixel3a」との大きさ比較。やっぱりちょっと大きい……
片手でヒョイ……と持つには、重いっ

それから、ACアダプタも持って行って家庭外でも使いたい、と思っている方。ACアダプタがゴツイです。変換器部分が12.5×5×3cm、その先にゴン太(ぶと)の電源線が付いております。

もしACアダプタ付きで運搬するのであれば、エコバックでもトートでもなんでもいいので、大きめのバッグを用意することをお勧めいたします。

Wi-Fiで接続してAndroid TVとして使おう

さて、話は“Andtoid TVプロジェクターとしての『XGIMI Halo』”に移ります。

それとAndroid TVとして利用するためにWi-Fi接続が必要です。2.4GHz帯、5GHz帯、両方に対応しています。

どこででも、Wi-Fiさえつながり、白い壁さえあればAndroid TVとして使える。つまりYouTubeやABEMAなどが観られるということです
自立してこのくらいまで仰角がつきます。もっと角度を変えるには三脚を使うのも一つの手

AndroidTVに関して今更説明の必要があるかどうかわかりませんが、TV(この場合はプロジェクタ)単体で、Androidスマートフォンと同様にGoogle Play Storeから対応アプリをインストール、実行や検索といったことができるわけです。

実行できるアプリとしては、YouTubeや、ABEMA、会員であればAmazon Prime Video、(「XTV Manager」というちょっとした前準備が必要ですが)NetFlix、TVer、GYAO、Spotify、cookpadTVなどがあります。

付属のリモコンはMoGo Pro、MoGoと同じもののようですが、Googleアシスタントボタンなどがあり、アシスタントに音声での質問や指示(明日の天気を教えて? とか)ができます。

付属のリモコン。もうちょっと高級感があっても……
Googleアシスタントに天気を聞いてみる。残念ながらずっと雨

フルHDのAndroid TVプロジェクタは快適

実際に使ってみた感想としては、いいですねー。大画像でYouTubeのミュージックビデオを流しっぱなしにするのは「愉悦」です。しかも解像度がフルHDなので、非常に綺麗。

Harman Kardonと提携しカスタマイズしたという5W×2スピーカーも搭載されていますが、低音はそれほど重視せず、人の声などを聞き取りやすくし、どちらかというと音楽よりも自分で撮影したイベント映像や、ドラマ・アニメ視聴といった辺りにフォーカスしてセッティングしているようです。

作動音は「シューン…」という感じの、おそらくプロジェクターのファンの音が少しだけ聞こえます。

それにしても、原稿執筆のためにさらっと使ってみるだけのつもりが、筆者的に一番レビュー中時間をかけて楽しんでしまったのが、Android TV機能。YouTube、ABEMA、Amazon Prime Video、NetFlixなどの視聴が簡単で、部屋の白壁にYouTubeの再生リストや、ABEMAのアニメ番組一挙放送などを映しっぱなしにしておくなど、なかなかいいものです。時々そっちが気になって仕事が進まなくなりますが(苦笑)。

XGIMI HaloにスマートフォンからCastする

Android TVとしての機能を搭載しているので、“Cast”してAndroidスマートフォンの画像をスクリーンに映し出すこともできます。例えば、一人がスマートフォンでゲームをプレイして、それをプロジェクターで映し出してギャラリーが観る、なんてことも可能……なのですが、投写される映像はかなり遅延しているので、プレーヤーはあくまで自分のスマホを見ながらプレイするのがコツです。

このXGIMI Halo、スマートフォンからはBluetoothのスピーカーとしても見えます。ペアリングを行なうと、音声のみの再生が可能。コーデックはAACにも対応しています。

なお、Bluetoothでの再生がはじまると、それまでAndroid TVで動いていた機能は止まります。たとえばYouTubeをAndroid TVで再生していた場合、Bluetoothで音楽をかけ始めると、そこでYouTubeの再生が止まってしまいます。

まぁ、YouTubeを見ながらBluetoothのスピーカーを使う人はそうそういないと思いますが。この辺はAndroid TVをベースに使っているが故の、おまけの機能と思っていた方がよいのかな、と筆者は思います。

数字以上のインパクトが800ANSIルーメンにはある!

このXGIMI Haloは、同じく以前からプラススタイルが販売しているXGIMIのポータブルプロジェクター「MoGo」、「MoGO Pro」の最上位バージョンという位置付けになります。容姿がスタイリッシュになり、機能も、最高800ANSIルーメンの高輝度、解像度もフルHDになりました。

+Style Web直販価格は96,800円(税込)で、「MoGo」の44,800円(税込)、「MoGo Pro」の74,800円(税込)と比較すると、スペックアップ分相応かなと納得できます。ただそれ以前に、筆者はXGIMI Haloの映像を見て、「手の届く値段で、ここまで綺麗な絵が出せるモバイルプロジェクターが出てきているのだ」ということに、ちょっとしたショックを受けました。

頭ではMoGoが540p 210ANSIルーメン、MoGo Proが1080p対応の300ANSIルーメン。最上位機種のHaloは1080p、800ANSIルーメンなのだから、このくらい……と、わかっているはずなのですが、それ以上に、投写された明るい絵を見たインパクトは大きいものでした。

XGIMI Haloは、バッテリー搭載のモバイルプロジェクターとして、2020年7月現在で最強の機種かもしれません。この手のプロジェクターが気になっている方には、おすすめです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net (イラスト : 高橋哲史)