西田宗千佳のRandomTracking
第448回
iPhone 11と11 Pro Maxレビュー。超広角の魅力、動画視聴ならPro Max
2019年9月17日 19:00
9月20日に発売される「iPhone 11」「iPhone 11 Pro Max」の実機レビューをお届けする。
iPhone 11シリーズは昨年の「iPhone XS」シリーズの正常進化版といっていい製品だ。というと小幅な改善、というイメージになるだろうが、決してそうではない。iPhone X以降の世代のiPhoneとして「完成版」といえる。スペックでは計りづらい使い勝手の点、そしてコストパフォーマンスの面が大幅に向上している。
ではどう変わったのか? その点を確認していこう。
四角いカメラ部が新しいデザインアイデンティティ
ボディデザイン的にいえば、「三眼化」「二眼化」したことがわかりやすい変化といえる。iPhone 11 ProおよびPro Maxは、35mm換算で26mm+52mmという二眼構成から、さらに13mmの超広角カメラを加えた三眼構成になり、iPhone 11は26mmのみから、26mm+13mmという二眼構成になった。
カメラの機能はのちほど述べるが、この「カメラが四角いエリアに集まったデザイン」が、良くも悪くも特徴になっているのは間違いない。丸いものが多数集まっている姿が好きになれない、という人はいると思うし、筆者の第一印象も「ひどく自己主張の強いデザインだ」と感じて、好印象ではなかった。
とはいうものの、アップルがカメラをデザインに馴染ませるべく相当努力したであろうことも、実機を触っていると感じられる。カメラ部は四角い台座に載ったような構成なのだが、こことカメラレンズの枠の色を本体色に合わせることで、飛び出して見えないようにしている。なので、カメラ周りの色はカラバリごとに異なっている。
「台座にカメラが載っている」デザインであることから、その部分が出っ張っている形になり、ケースなどには大きな穴があくことになる。
それどころか、本体を収納する箱にも、カメラの台座部の影響があった。
従来のiPhoneはディスプレイ側を表にして箱に入っていたのだが、iPhone 11シリーズは、アイデンティティであるカメラを見せるためか、「裏向き」で箱に入っている。外箱の裏には、カメラ部がきれいに収まるように凹みがあるほどだ。
iPhone 11は6.1インチ液晶ディスプレイを採用し、iPhone 11 Pro Maxは6.5インチ有機ELディスプレイを採用している。この構成はiPhone XS・XRと変わらない。そのため、本体の外形サイズはほとんど変わっていない。ボタンやインターフェースの位置も変化がない。
だがよく見ると、背面のデザインはカメラ以外にも違いがある。「iPhone」のロゴがなくなってアップルのマークだけになり、位置も少し下になっている。
これは、カメラモジュールの変化によってデザインが変わるため、バランスを変えるためにこうなったようだ。このシンプルさは好ましい。
ガラス硬度はアップしているらしいが……
今回はiPhone 11 Proの貸出を受けていないので、3モデルを並べて比較するのは難しい。そこで、iPhone 11 Proと同じサイズである「iPhone X」(ディスプレイは5.8インチ有機EL)を並べてみた。おおまかなサイズのイメージがおわかりいただけるだろうか。
なお、iPhone 11シリーズでは、従来のモデルよりもさらに硬度が上がったガラスが採用されている。コーニングとの共同開発によるもの、とのことだが、具体的な数字としてどのくらい強度が上がったかは示されていない。
個人的な印象として、iPhone Xは液晶世代に比べて傷がつきやすかったように思う。XS世代で多少改善はされているのだが、大幅に強くなった、と謳うほどではなかったように思う。
iPhone 11のプロモーションビデオの中では、落としたりカバンの中でカギなどとこすれ合ったりする様子が示されている。わざわざビデオで流すということは、「数字はいえないが相当の自信がある」ということなのだろう。
借り物で無茶なテストはできなかったので、「傷耐性がどれだけ上がったか」は検証できていない。それでも、ちょっとコインでこすってみたのだが、さすがに傷はつかなかった。手心を加えずガッツリと長時間こすれ続けるような時にどうなるか、気になる。手持ちのiPhone XS Maxは、1年使うとさすがに細かい傷がついてきた。そうした傷がつくのが減るならうれしいことだ。
11 Proには「USB-C」充電器が付属
パッケージの内容物は、いつものiPhoneと大きく違いがない……といいたいところだが、iPhone 11 ProおよびPro Maxはちょっと異なる。Pro系は標準添付のACアダプターがUSB Type-Cを使った18W仕様のものになったのだ。ケーブルもそれにあわせ、USB-C Lightningケーブルになっている。
iPhoneは2017年発売のiPhone 8/Xより、USB Type-Cでの急速充電に対応している。仕様は2019年発売のiPhone 11シリーズまで同じで、「50%までを30分で急速充電」という表記だ。だから、iPhone 11も別途USB-Cを使ったACアダプターを用意しさえすれば急速充電できる。
しかし、これまでのiPhoneとiPhone 11は、標準添付として5W仕様のUSB Type-Aコネクタとケーブルを使ったアダプターを採用していたため、標準添付品では急速充電ができなかった。iPhone 11 Proではそれを変え、USB-C系を標準にしたのである。もちろん、急速充電にこだわらないのであれば、これまで通りのACアダプターとケーブルでも充電できる。他社では以前から採用されてきたものだが、iPhoneでも急速充電が標準になるのはいいことだ。今回はProのみでの添付だが、次は全機種で採用して欲しいと思う。
圧倒的な「超広角」の魅力
さて、お待ちかねのカメラテストだ。
今回は比較用機材として、iPhone XS MaxとPixel 3 XLを用意した。Pixel 3 XLを選んだのは、手持ちの機材の中でもっとも「演算によってカメラ画質を向上させている」デバイスであり、特にナイトモードの明るさに定評があるからだ。
冒頭で述べたように、iPhone 11世代のカメラの特徴は「13mmの超広角」が撮影可能になった、という点だ。iPhone 11は結果として「二眼」になり、iPhone 11 Pro Maxは「三眼」になった。13mm・26mmで使われているセンサーは、iPhone 11・Pro Maxともに共通で、違いは「52mm」の光学二倍望遠が使えるかどうか、といっていい。
その他、ナイトモードが搭載され、フロントカメラでのスロー撮影による「スローフィー」もできるようになっている。
それらの違いがどうなっているかをご確認いただきたい。以下のサンプルは、52mmが関係するところ以外は、iPhone 11とiPhone 11 Pro Maxに差はない、と考えていただいてかまわない。
なお、iPhoneでの写真はHEIFフォーマットで記録しているが、誌面にはJPEGで掲載している。原寸HEIFのデータを確認したい方向けには、利用したファイルをまとめてアーカイブしたものを用意しているので、ダウンロードしていただきたい。
iPhone 11/11 Pro MaxのHEIF画像データ(ZIPファイル/36.80MB)
まずは「超広角」から行こう。
効果は一目瞭然だ。13mm・26mm・52mmと撮影できる範囲がまったく異なる。3つの画角が使えるiPhone 11 Pro Maxも魅力的だが、マスモデルといえるiPhone 11でも13mmと26mmが使い分けられるのは大きい。26mmでは「ちょっと入らない」シーンがけっこう多いが、13mmなら大丈夫だ。
同じシーンをiPhone XS Max(26mmおよび52mm)、Pixel 3 XL(27mm相当、デジタルズームなし)と比較してみよう。Pixel 3は若干暗く、マゼンタがかかって写っている印象だ。26mmについては、XSと11 Pro Maxでさほどの違いはないが、11 Pro Maxの方が若干明るく写っていて、空の色の抜けがいい。52mmについてはその差がより顕著で、すっきりとした写りだ。
人物の入った風景でも、超広角の効果は高い。あまりに広く撮れるので、色々なものが映り込んでしまうほどだ。だが、印象的なスナップを作るという意味では、多くの人にとって好ましい機能ではないだろうか。
こうした画角の変更は、動画撮影中にも行なえる。これもけっこう効果的だ。
日常において「広角」が求められるシーンは意外と多い。記念撮影をしようとして後ろに下がったり、食事の写真を撮ろうとして入りきれずにカメラを上に持ち上げたりする光景は日常茶飯事。そうしたことが減るのは、iPhone 11世代最大の美点である。
広角カメラを活かして「フレームの外」まで撮影
スマホにおける超広角の取り組みは、なにもiPhone 11が最初ではない。ハイエンドスマホではむしろ後発といってもいい。しかし、iPhone 11は超広角のカメラを「撮影をしやすくする」ことにうまく活かしている。使ってみて強く感じたのはそこだ。
以下の画面をご覧いただきたい。これは、iPhone 11で、26mm(すなわち標準レンズ)で写真を撮影中のものだ。中央のはっきり見えているところが写真本来の画角である。だが、その左右にぼんやりとなにかが写っていることにお気づきだろうか。XSなどでは、ここは「黒」であり、なにも写っていない。
これは広角側カメラを同時に使うことで実現されている。なので、26mmと52mmでは使えるが、13mmのカメラで撮影している時には使えない。一段広角側で撮影した映像をうまく「フレーム外の映像」として見せることで、どこまで動かせばうまく撮れるのかがわかりやすくしているわけだ。撮ってみたらフレーミングが悪かった……ということはよくあるが、こうやってフォローしてもらえば、失敗も減る。こうやって表示されれば「便利だな」としか思わないが、冷静に考えると、「一眼」のカメラでは出来ない工夫といえる。
カメラを切り換える「ズーム」のUIも変更になっている。指を滑らせて切り換えるという意味では同じなのだが、デジタルズームの入らない場所(すなわち0.5倍と1倍と2倍)がわかりやすくなった他、ズーム段階に合わせて振動があり、メカニカルなズームリングを回しているのに近い感触になっている。52mmの有無はあるが、iPhone 11でも11 Pro Maxでも操作感は変わらない。
なお、操作の変更という意味では、「アスペクト比を変えた撮影」についても大きな変更があった。
写真を4:3の縦横比ではなく、真四角や16:9などで撮影する機能は一般的なものだ。だが、そうした縦横比で撮影した場合、一般的には、4:3から画像を切り出して撮影してしまう。なので、後から「切り出した外の映像」を見たいと思っても無理だ。なぜなら、記録されていないからである。
だがiPhone 11では、どの写真も内部的には4:3のオリジナル縦横比で撮影し、それを「表示するときだけトリミングする」ようになっている。だから、1:1である「スクエア」にして撮影したとしても、データは4:3でもっているので、後から「やはりスクエアは止めたい」と思っても大丈夫。トリミングする前の情報もちゃんと残っている。
明るいだけじゃない、使いやすい「ナイトモード」
画質と操作性の両立という意味で、とても効果的なのが「ナイトモード」だ。
ナイトモードはその名の通り、暗い場所で撮影する際、周囲をより明るく見せる撮影方法だ。屋外や部屋の中など、「フラッシュは焚きたくないが明るく撮影したい」シーンで活躍する。
iPhoneはずっと「暗所性能」を追求しており、なにもしなくても明るく撮影できることが特徴だった。特にiPhone 7/X世代からはそれが顕著だった。
だが、他社が「ナイトモード」を搭載するようになり状況が変わった。Pixel 3が昨年搭載したナイトモードは、複数の写真を合成することで、暗い中でもまるで日中のように明るく撮影できるのが特徴だ。「iPhoneより明るい」と対抗意識も明確だった。
アップルも今年はそこでおいついてきた。ナイトモードを搭載し、暗い場所での撮影状況を改善したのだ。
まずは比較サンプルをご覧いただこう。そもそもiPhone 11はナイトモードオフでも明るいのだが、オンにすると他とは大きく異なるほど明るくなるのがわかる。
もうひとつサンプルをごらんいただきたい。こちらは東京駅で撮影した夜景だ。撮影タイミングの問題で月が出ていたりそうでなかったりするが、その点はご容赦を。
Pixel 3を含む他のスマホの場合、ナイトモードは「特別なモード」に位置づけられていることが多い。撮影モードを通常から切り換える必要がある。
だが、iPhone 11はそうではない。暗いところになると自動的にナイトモードになるからだ。なにも気にせずシャッターを切る人にとっては、単に「写真が明るく撮れるようになった」だけに見えるだろう。
ナイトモードは複数の明るさで撮影された写真を合成することで実現されている。それは他社もアップルも変わらない。ただしiPhone 11場合特殊なのは、「どのくらいの長さで撮影して合成するのか」を自分で決められる、ということだ。
といっても、通常はなにもしなくていい。iPhone側が周囲の明るさを判断し、適切と思える撮影時間を決めて撮ってくれるからだ。さらに伸ばしたい、と思った時に設定を変えられる、と思えばいい。
UIは以下の動画のようになっていて、撮影時間を延ばすとそれだけ、スマホを固定しておく時間が長くなる。
次の写真は、先ほどの東京駅を「ナイトモード撮影時間を3秒に延ばして撮影した」ものだ。ちなみに、自動で算出された標準設定は「1秒」である。
自動車のライトが流れて写っているが、違いはそのくらい。3倍の時間をかけたからそれだけ明るく写るのか、と思われそうだが、実はそうではない。
ナイトモードは単に「露光時間を延ばす」のではなく、違う露光時間で撮影した写真を使うだけだ。写真としての明るさや雰囲気は合成した後に全体で決まるので、時間を無闇に長くしても意味はない。要は、こだわりがないかぎり「自動」でいい、といいことだ。
また、ナイトモードにおける「設定可能な撮影時間」も、周囲の明るさと「iPhoneのブレ方」で決まる。
ナイトモードは1秒から最大28秒、iPhoneを動かさずに撮影しつづける必要がある。人間が耐えられるのはほんの数秒がせいぜいだ。手ぶれ補正も行なわれているが、長い時間撮影し続けると補正も難しくなる。
そこで、たいていの明るさの場所では、数秒を超える撮影時間が提示されることはない。オートで提示されるのは1秒から3秒といったところで、設定可能時間ですら5秒を超えるのはまれだ。自宅で夜の室内を、一切照明をつけずに撮影しようとした時ですら、「オート3秒、設定可能時間10秒」にとどまった。周囲にほとんど明かりのない場所で三脚を使った時ならば、28秒といった表示も出てくるようだが、テスト中は確認できなかった。要は、「普通の環境ならば、手持ちで撮れる範囲で使う」モードになっている、ということだ。設定はオートなので、使う側は一切考える必要がない。
なお、暗い場所で三脚を立て、撮影時間を長く設定すれば、「夜の星」も撮れるという。今回は時間の都合でそこまでのテストはできなかったが、今度試してみようと思っている。
ただし、ナイトモードが効くのは26mm・52mmの時だけである。13mmのカメラはレンズが暗いことなどもあり、ナイトモードが使えない。そもそも13mmでの撮影は映像が暗く、夜にはあまり向かない。
Atmos対応+ディスプレイ画質向上で「Pro MaxのAV体験」が良好に
AVファンにとって気になるのは、カメラの画質以上に「ディスプレイの画質」ではないだろうか。iPhoneのディスプレイは他社に比べて良好だが、特に有機ELを使ったiPhone X以降のモデルは高画質だ。
ではiPhone 11世代はどうか?
液晶を使ったiPhone 11も良好だが、iPhone 11 Pro Maxは本当に素晴らしい。iPhone XSシリーズよりもさらに輝度が上がり、発色も向上している。
特に良いのが「HDR対応の映画やドラマ」を見た時の体験だ。iPhone 11シリーズでは、ディスプレイだけでなく音質も向上している。Dolby Atmosと5.1ch/7.1chサラウンドのデコードに対応し、自分の周囲を包み込むように音場が生まれるようになったからだ。
本当はサンプルを……といいたいところなのだが、映画などは権利の関係があるので、視聴したサンプルを挙げてイメージを言葉で説明していきたい。
まず見たのは映画「スパイダーマン:スパイダーバース」。このタイトルはHDRかつDolby Atmos対応なので、実力を測りやすい。色合いもポップで、ディスプレイの実力も見やすい作品だ。
驚くのは、Dolby Atmosの効果だ。ちゃんと「自分を中心にしたリアルな音場」ができている。他の環境で斜め上から聞こえる音なども、ちゃんと同じ位置から聞こえる。もちろん、小さな音場なので解像感に制限はあるのだが、広がりと迫力を感じる。同じものをiPhone XS Maxで見ても、左右の分離は感じられるが広がり感はない。
画質も良好だ。トップ輝度が上がり発色もそれに伴って良くなったようで、くすみが多少消えたように感じる。
次に、Atmos非対応かつ実写のコンテンツとして、「ボヘミアン・ラプソディ」を見てみた。こちらも画質は良好だ。Atmosではないので多少音場の広がりは減るが、それでも、ライブシーンの迫力が、XS Maxに比べ大幅に勝っている。
ストリーミング形式の映像配信の例として、Netflixで「ダーククリスタル・エイジ・オブ・レジスタンス」を見た。職人芸といえる人形のディテールと動きが魅力の作品だが、それがスポイルされていない。
手元に「マスモニ画質」を謳う「Xperia 1」の実機がなかったため、画質比較ができなかったのが残念なところだが、印象で語るなら、iPhone 11 Pro Maxの画質は甲乙つけがたい。
「スマホで高画質なんて」と思う人もいるかもしれない。「スマホでAtmosを楽しんでも」と思うかもしれない。だが、iPhone 11 Pro Maxでの体験は、そのイメージを払拭するに十分なものがある。小さな画面でもリッチな体験は十分に可能であり、特に音の広がりの面で、XS Maxに戻るのが寂しく感じられたほどだ。画質・画面サイズまで含めれば、AVファンならやはり11 Pro Maxを強くお勧めする。
こうした音質・画質面での強化は、アップルが「自社で映像配信を行なう」からこそ効いてくる部分がある。11月にスタートする定額配信の「Apple TV+」はもちろん、単品レンタル・販売の「iTunes Store」でも、HDRとDolby Atmosは活用されている。そうしたコンテンツを気軽に視聴する環境としての意味合いがあるのは大きい。すでにDolby Atmosに対応しているスマホはけっこうあり、アップルは後発なのだが、コンテンツをもたない企業がやるのとコンテンツを持つ企業がやるのでは、やはり手軽さ・アピール力が違ってくる。
性能面でも11とPro Maxはほぼ同じ、どちらを選ぶかは「AV性能」へのこだわりで
最後にパフォーマンスの面に触れておこう。ベンチマークテスト「GeekBench 5 Pro」の結果は以下の通りである。メインメモリーはiPhone 11・iPhone 11 Pro Maxともに4GBらしく、性能に大差はない。
実は、iPhone XRはメインメモリーが3GBだったので、今回はここでもスペックアップが図られていた。iPhone XRとXSは、ディスプレイだけでなくメモリー容量でも差があり、どうしても「1ランク下」的な部分があったが、iPhone 11では、その辺に違いはなくなっている。
カメラも13mm・26mmを搭載していること、Dolby Atmosへの対応も行なわれていることから、11とProの差は「そこまで大きくない」とも言える。iPhone 11は、XRから機能アップしつつ価格を下げているわけで、とにかくコストパフォーマンスがいい。ほとんどの人はiPhone 11で満足できるだろうし、正直、昨年モデルであるiPhone XSより魅力的だ。
だが、有機ELの美しさとバッテリー動作時間を考えると、AVファンならば「Pro」を推したい。特に画面の大きな「Pro Max」だ。ハイエンドだからではなく「AV価値が大きい」からこそ、Proを選ぶべきだ。考えてみれば、スマホでそういう選択をする例はこれまで少なかったように思う。
逆に「良いスマホ」でいいなら、iPhone 11が文句なくお勧めだ。アップルにとっての「Pro」とは、そういう付加価値の部分にあるのだろう。