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4Kチューナ×2、Android TV、なのに安い! 三拍子揃ったピクセラTV「VP100」
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- ピクセラ
2019年1月24日 08:00
2018年12月1日、新4K衛星放送がついにスタートした。これを機に新しいテレビへ買い替えようかという方も多いだろう。だが、新4K衛星放送は登場したばかりの新方式。対応テレビも高いのでは? ……という不安を消し飛ばすようなテレビが、PC用テレビチューナーの開発・製造で知られるピクセラから登場した。「VP100シリーズ」がそれだ。
新4K衛星放送チューナーを搭載しつつ、プラットフォームにはAndroid TVを採用。HDD接続による4K番組録画をサポートするなど機能充実の一方で、43型の「PIX-43VP100」はメーカー直販サイトで9万9,800円(税込)で販売されている。機能と価格の両立をここまで高次元で図った製品は、市場を見回してもなかなか希有な例である。
そんな43型「PIX-43VP100」を、約2週間に渡って使ってみた。
無線LANでネット接続&セットアップもラクラク
VP100シリーズは現在、画面サイズ43型、55型(直販税込11万8,000円)の2種がラインナップされている。今回試用したのは43型の方だ。これを自宅の居間に設置。筆者本人はもちろん、シニア世代の両親にも使ってもらった。
居間で普段使っているテレビは、東芝の「37Z9000」。2011年の地デジ移行期前に買ったモデルなので、発売からすでに10年近く経過している。特に故障もなく動いているのだが、いやはや時間の経過というものはなかなかに恐ろしい。狭額縁化が進んだVP100と比べると、見た目だけでもう隔世の感がある。
また狭額縁化によって、テレビ本体幅に対する画面占有比は当然大きくなる。37Z9000が幅902mmに対し、画面サイズがより大きい「PIX-43VP100」は968.2mmと、66mmの違いですむ。筆者宅の場合、この程度の差であればテレビ台を買い替えないで済みそうだ。
まずセットアップから。パッケージに同梱されるスタンドをテレビ本体下部にネジ止めして、電源オン。あとは画面の表示に従って、Googleアカウントでのログインなどを済ませる。一応、インターネット接続がなくてもテレビとして動作するが、YouTubeをはじめ各種の動画ストリーミングサービスをフルに楽しむためにぜひ接続したい。
幸いなことに、VP100シリーズは有線LANに加え、Wi-Fi(11acを含む)も搭載している。地デジ移行期の昔のテレビでは、Wi-Fiを搭載していない事が多かったが、ここ数年で本当に激変した。有線LANだけのテレビに、Wi-Fiコンバーターを繋いでネット接続していた頃が本当に懐かしい……。
低価格でも4Kチューナー×2基搭載
スペックを紹介しよう。液晶パネルは43型、3,840×2,160ドットの4K仕様。そしてHDR10に対応、パネルタイプはVA、視野角は上下/左右ともに178度だ。実機を見る限り、本体正面からやや左右に視聴位置をずらしていくと、画面が白っぽくなる傾向はある。8畳の居間(畳敷き)の隅に置き、歩きながら横目で見るような時は少々気になった。
チューナーは地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3(2系統はBS/110度CS 4Kと共通)、BS/110度CS 4K×2。低価格なテレビなのに、4Kチューナーを2基搭載しているのは立派だ。今のところVP100シリーズには2画面モードがないので、チューナーの数は主に録画に関わってくる。このあたりについては後述する。
映像入力はHDMIが2系統(うち1系統はARC対応)。一般的な薄型テレビ、特に大画面モデルと考えるとやや少なめだ。また、USB 2.0端子は2つあるが、録画用は1つのみで、もう1つはサービスマン専用だ。
地味ながら“次世代っぽさ”を感じたのが、ACASが採用されている点だ。著作権関連の保護などに利用されるB-CASカードがそもそも製品に同梱されず、カードを差し込むためのスロットも当然ない。その代わりにACASチップが内蔵され、シリアル番号(ACAS番号)はメニュー画面から確認できるようになっている。
テレビの起動、チャンネル切り替えなどに要する時間は、少し長めの印象。このあたりは今後のファームウェア改修などに期待したい。
テンキーレスのBluetoothリモコン同梱、ファミリーで使うなら別売リモコンも!
テレビとしての使い勝手を語る上で、まず最初に言及しておきたいのがリモコンだ。結論から言うと、VP100シリーズの標準リモコンはなかなか“攻めている”。テンキーなし、放送波のダイレクト選択キーなし、番組表呼び出しキーなし、チャンネル送り/戻しの専用キーなし。信号伝搬は赤外線ではなく、Bluetoothが使われている。音声入力用のマイクが内蔵された高機能なリモコンではあるが、テレビのリモコンとしてここまで割り切った仕様は珍しい。
よって、チャンネルを1つ変えるにも、メニュー画面を呼び出す必要がある。この画面では現在放送されている番組がリストアップされているので、十字キーで選び、決定ボタンを押すとチャンネルが切り替わる。番組表は別にあり、やはりメニュー画面から選択して呼び出す。
開発者によれば、ここまでボタン数を抑えたのには音声認識などを活用した「新世代のテレビ体験を届けたい」という狙いがあるそうだ。だが、子供から老人まで幅広く利用したい世帯、特にシニア世代にはツライ面もあるだろう。これまで通りの“フツーのテレビ体験”を求めている方には、直販サイトで販売中の別売リモコン「PIX-RM047-BN1」(税込4,800円)をオススメしたい。こちらもBluetooth方式であることに変わりはないが、テンキーや番組表呼び出し、さらにはデータ放送キーも備わっている。
このリモコンであればシニア世代でも安心して使える。「電源が入っていれば、とにかく『地上』を押せば普通の放送が見られる」とだけ説明すればOKなわけだ。若い人が自分だけのテレビとして使うなら不要かもしれないが、ファミリーで使うならばこの別売リモコンはマストアイテムだと感じた。
やっぱり綺麗、そして意外なほど身近な新4K衛星放送
VP100シリーズ最大の特徴はやはり「この価格で新4K衛星放送チューナー内蔵」という点に尽きる。
もうご存知の人も多いと思うが、新4K衛星放送を“全チャンネル”楽しむためには、左旋対応のパラボラアンテナを用意する必要があるが、NHKや在京キー局系のチャンネルだけであれば、従来の右旋のBS/CSアンテナで受信できる。
かくいう筆者宅も、まだ左旋対応のアンテナを導入していない。地デジ移行期限の約1年前、つまり2010年の段階で、地デジ/BS/110度CSを屋内4室(4分配)で見られるようにブースターを入れたきり、アンテナや配線には手を加えていない。
多少の心配もあったが、アンテナ環境そのままで、VP100シリーズをアンテナ線に接続したところ、あっけないほどカンタンにNHK BS4K、そしてBS朝日4K、BS-TBS 4K、BSテレ東4K、BSフジ4Kの合計5チャンネルを受信できた。なるほど、これなら確かに手間も最小限、「4K放送って実は身近ですよ」という説明にも頷ける。ちなみに、電波強度も調べてみたところ、64~66程度が平均で、これは受信感度良好との評価だった。
NHKは4K放送開始にあたって受信料を値上げしておらず、民放キー局系4チャンネルはどれも無料の放送だ。つまり、月々のランニングコストに追加がないまま、5チャンネル分の放送が丸々増えるのは、正直嬉しい。
もちろん番組ラインナップの充実度は地上波と比べると弱い。民放だと2K制作番組をアップコンバートして4K放送するケースは、全体の半分は間違いなく超えているようだし、昼間はテレビショッピング番組がとにかく目立つ。
ただ、番組表をつぶさに見ていくと、気になる番組も多い。NHKはスポーツの4K中継を行なっているし、大河ドラマ「いだてん」も4K制作。「ウルトラQ」、「刑事コロンボ」、「奥様は魔女」など過去の名作の4K版放映に取り組んでいる。民放も年末年始に向けて、4Kの洋画をそこそこ用意してきた。
また、大晦日には紅白歌合戦を4Kで視聴してみた。ステージ上で歌っている歌手をクローズアップするようなシーンが少なく、全体的に引き(広角寄り)の映像が多いのだが、解像度が高いので、背景の踊り手たちの顔まで良く分かる。コレには思わず、80代の母も感心しきりだった。
紀行・自然・芸術などがテーマのドキュメンタリーも、4Kが得意とする分野だ。局を問わず、かなり頻繁に放送されている。CSでこれらの番組を日常的に楽しんでいるなら、4Kテレビを導入する意義はさらに高まるだろう。
AbemaTV、Hulu、そしてYouTubeもドンとこい
VP100シリーズは4K放送を楽しめるだけでなく、Android TVをベースとしているので、ストリーミング動画を始めとした、より広範なネットサービスを楽しめる。低価格テレビの多くはネット関連機能が弱く、Wi-Fi非対応のケースも少なくない。AmazonのFire TVなどを買うのも手だが、そうした投資をしなくても、低価格なテレビで動画配信を楽しみたい人にとって、VP100シリーズは極めて有力な選択肢と言える。
メリットの筆頭は、アプリの追加ができること。AbemaTV、Hulu、U-NEXT、dTV、ビデオパス、Rakuten TV、FOD、Paravi、ニコニコ動画、GYAO!など、気付けば主要な動画配信サービスがガッチリとAndroid TV版アプリを用意してきた。スマホでも見られるサービスだが、やはり家にいる時は大画面で楽しみたいもの。それこそAbemaTVで生バラエティ番組を見ながら友達と長電話……なんてシチュエーションも楽しそうだ。
個人的には、スポーツ配信「DAZN」への依存度が高い。冬場ならNFL(アメフト)、そして春先にはヨーロッパの自転車ロードレースが生中継ないし見逃しオンデマンドで楽しめる。まだ、興味はあるもののなかなか手を出せていないNBAは、Rakuten TVが独占的にネット配信を行なっているので、いずれ視聴したい。
アプリ周りでは、Netflixに非対応だったり、新日本プロレスワールドがまだAndroid TVアプリを出していないとか、探せば不満もある。ただ、それでも「大画面で動画を見るならAndroid TV」に尽きると思う。それは、Googleの各種サービスとの親和性───というかYouTubeアプリの存在が大きいからだ。
YouTubeの便利さは誰もが実感するところだが、近年はそれにもまして動画のライブ配信プラットフォームとしての性格を強めている。筆者がよく視聴するゲーム実況番組も、以前はニコニコ生放送が主体だったが、ここ数カ月で一気にYouTubeへ軸足を移してきた。もしライブ配信を見逃しても、アーカイブをほぼシームレスに視聴できるし、なにかとラクなのだ。
この「大画面でYouTubeアプリ体験」は、いまのところFire TVでは体験できない(ブラウザを通してYouTubeを視聴することは可能)。また、Google Playで購入・レンタルした映画を視聴するのにも、YouTubeアプリは活用できる。ここはぜひ覚えておきたいポイントだ。
また、VP100シリーズでは、Chromecast相当の機能をあらかじめ内蔵している。Android TV版アプリが無くても、Chromecastには対応している動画配信サービスは結構あるので(例えばDDTプロレスリングの公式動画配信)、そういったサービスのユーザーならChromecast購入費も節約できる。
音声検索対応、マイク内蔵リモコンで使いやすく
音声入力も注目の機能だ。VP100シリーズの標準リモコン・別売リモコンどちらにも、マイク、そしてGoogleアシスタント起動ボタンが備え付けられている。ボタンを一押しし、「今日の天気は?」、「俳優の○○について教えて」などと喋れば、結果を音声で返してくれる。この時、テレビ番組視聴中であれば番組音声は自動で一時ミュートされる。
音声入力の正確さは流石の一言だが、利用シーンについてはまだこれからという印象も受ける。YouTubeにアップロードされている動画を探すには最高なのだが、番組表を対象とした検索は今のところサポートされていないのだ。後述の録画機能をフル活用するためにも、今後のアップデートで機能強化に期待したいところだ。
4K番組を見ながら、別チャンネルの4K番組も録画OK
VP100シリーズは、発売後のシステムアップデートによって、テレビ放送の録画機能が追加された。もちろん4K放送も録画できる。
必要な機材は、外付け式のUSBハードディスク。これを本体側面のUSB 2.0端子に接続し、テレビ画面上から設定・登録を行なうという、ごく一般的な方式だ。動作確認済みハードディスクとしてバッファロー製のシリーズ製品5種がラインナップされているが、筆者の私物の2.5型ハードディスク(1TB)を、一般的な外付け用ケースに収めて接続してところ、特に問題なく録画・視聴できていた。
VP100を使う前までは「いやぁー4K番組の録画って、色々面倒じゃないの? 特に著作権とか転送速度とか絡んできそうだし」と身構えていたが、これが実に簡単。必要HDD容量は、1時間の4K番組でだいたい30~35GBくらい。録画画質の選択はできないのでこの一択だが、1TB程度のハードディスク1台あれば、日常的に「見て消す」といった運用なら十分できてしまう。
また冒頭説明したように、新4K衛星放送用のチューナーは2つある。なので4Kチャンネルをリアルタイムにザッピングしながらでも、裏で4K番組を録画できる。4K放送の2番組同時録画こそ不可能なのだが、これなら誰もが納得できる使いやすさだ。
従来の地上波、BS/110度CS放送も録画は可能だ。なお複数番組の同時録画については、基本的に「2K放送と4K放送が1つずつ」が上限。4K番組の2番組同時録画は前述のとおりダメだし、地上波の日テレとフジテレビを同時に録画する事もできない。逆に地上波TBSとBS朝日4Kの同時録画は可能だ。そして上限まで同時録画していても、リアルタイム視聴の制限はない。BSでも4Kでもチャンネルを合わせられる。
これだけ録画機能が実用的なのだが、番組表の検索機能が弱いのが惜しい。ジャンルやフリーワードによる番組表検索ができないので、「ここ1週間で放送される洋画で録画したいの、あるかな?」といったシーンで、番組表をスクロールさせて目視でチェックする形になる。前述の音声入力による検索も含め、ぜひ改善してほしい。
“お得で遊べるテレビ”を選ぶならVP100シリーズ
以上が、VP100を実際に使用して感じた魅力だ。現状でも相当多機能で、ITに詳しくない両親に触れさせるには不安があった。ただ別売リモコンさえ用意すれば、思いのほか普通にテレビを視聴できていた。
VP100シリーズ以上に安価なテレビはもちろん市場に存在するが、新4K衛星放送チューナーを内蔵し、なおかつAndroid TVを搭載している製品と考えると、直接的な競合機種は事実上ないと言える。市場における独自のポジションを確保した製品であり、リテラシーの高い層にも、そのコストパフォーマンスの高さが響くと思う。
なによりAndroid TVは、アプリの追加が可能だ。今後登場してくる動画配信サービスは、当然Android TV対応を優先してくるだろうし、現状でも、音楽のサブスクリプションサービスをAndroid TVで聴くといった、意外な用途もある。アプリ対応は、せっかく買ったテレビを徹底的に使い込めるという側面からも、意義が大きい。
画面遷移のスピード、カーソルの追従性に関しては、もう一声欲しいところではあるが、筆者は他社製のAndroid TVを数年来使ってみて、度重なるアップデートによって動作が改善したり、新機能が追加される例をみてきた。それに倣えば、発売されたばかりのVP100シリーズにも、さらなる伸びしろがあるのでは……と期待するところ。実際、開発者の方からも、今後の機能拡充を匂わす発言を伺っている。詳しくはまた別の機会にご紹介したい。
VP100シリーズの魅力は、やはり「4K放送」、「Android TV」、「それでいて低価格」──この3つに集約される。お得に、それでいて“遊べるテレビ”を探している方は、お見逃しなきよう。