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「オカルトにしたくない」オーディオケーブルから初のイヤフォン作りへ。Brise Audio 4人の挑戦

オーディオ機器を接続する“ケーブル”。高価なケーブルを買い求めるマニアから、「ケーブルで音が変わるの?」という人まで、オーディオの趣味性を象徴する製品といえる。2015年、そのケーブル市場に、2人のオーディオマニアが設立したブランドが挑んだ。現在ではポータブル用ケーブルをメインに人気ブランドに成長したBrise Audioだ。

そのBrise Audioが、次なる段階へと進化しようとしている。原動力となるのは「オカルトにしたくない」、「ケーブルだけでなく、アンプやイヤフォン、スピーカーまで自分達の製品でシステムを完結させたい」という2つの想いだ。

群馬県・高崎の近く……田んぼが目立つのどかな場所にあるBrise Audioを再訪すると、以前取材した2つの建物とは別に、大きな建物が新設。新たなスキルを持つ仲間を加え、4人体勢になったメンバーが、オーディオ業界の常識を覆す、とんでもない製品を作っているところだった。

こちらが以前取材したリスニングルームのある建物
その隣に新しい建物が(左)。右に見えるのはケーブルの工房だ

「総額1,000万円はケーブルに使った」マニアが設立したブランド

以前、新進気鋭のケーブルブランドとしてBrise Audioを取材したのは2021年末。渡辺慶一社長と、取締役でブランドオーナーの岡田直樹氏の2人に、ブランド設立の経緯を聞いた。詳細は記事をご覧いただきたいが、とにかく“濃い”エピソードばかりで面白い。

取締役でブランドオーナーの岡田直樹氏(右)

学生時代にオーディオと出会った岡田氏。お金を貯めてヤフオクでなんとかB&W「ノーチラス802」を購入するが、上手く鳴らせず、ヤフーチャットにあった“オーディオ部屋”で相談する。その部屋にいたのが、渡辺氏をはじめとした濃い面々。岡田氏は順調にオーディオ沼に沈んでいく。

一方、渡辺氏は秋葉原のPCショップで働いていたオーディオファン。パソコン用のオーディオインターフェースボードが高価なのに、1つの端子から何本ものオーディオケーブルが“生えて”いるタコ足ケーブルばかりなのに疑問を持ち、ケーブルを自作してみると、音が激変。渡辺氏の作るケーブルは話題となり、お店のお客さんから制作を依頼されるようになる。その後、六本木工学研究所に入社した渡辺氏は、ケーブルだけでなく、スピーカー作りにも没頭していく。

渡辺慶一社長

その頃、岡田氏は、立ち上げたシルバーアクセサリーの通販事業を軌道に乗せ、オーディオ趣味にかけるお金にも余裕が生まれ、ケーブル交換にも没頭。「総額1,000万円はケーブルに使いました」というから筋金入りだ。

そんな岡田氏も、渡辺氏にケーブル制作を依頼。やがて2人は、理想のケーブルを追求するようになり、様々な素材やコネクタを試す研究会を毎晩のように開くように。熱中すると止まらない2人は、市販で買える部品を試し尽くし、それらによって音がどのように変化するかという膨大なノウハウを蓄積。新たな素材も探求していく。

そして“自分達が理想とするケーブル”を世に問うために、2015年にBrise Audioを設立。しかし、新ブランドのケーブルがいきなり売れるわけもない。そもそもお店に置いてもらう事すら難しい。

そこで2人は、良いものであれば新ブランドにも関心を持つ好奇心旺盛なユーザーが多く、お店も新興ブランドの製品を積極的に置いてくれ、イベントも盛んに開催されているポータブルオーディオ市場に挑戦。現在の人気を獲得していった。

ブランドを成長させる新たな仲間。TSURANAGIアンプ誕生

そんなBrise Audioがこれまで手掛けてきたのは、ポータブルアンプとイヤフォンなど、他社が作った機器と機器をつなぐケーブル。しかし、2人には「自分達の製品でオーディオシステムを完結させたい」という想いがあった。つまり、アンプやイヤフォン、スピーカーといった機器もBrise Audioで作りたいという夢だ。

そんな2人の夢を具体化する新たなメンバーが加わった。「中学時代にポータブルでオーディオに目覚めまして、大学受験の大変な時期にスピーカーにも目覚めました」と笑うチーフエンジニアの黒川亮一氏。なんと、高校生の時に渡辺氏と知り合っており、オフ会で行き来するオーディオ仲間だったというから、筋金入りのオーディオファンだ。

チーフエンジニアの黒川亮一氏

エンジニアを志していた黒川氏は、東京の電気系大学に進学。趣味で“PCのHDD用外付けリニア電源”なんてマニアックなものを作るような学生だったという。さらに、インターンとしてBrise Audioでも一時働いた事もあり、試しに何かを本気で作ってみたいという黒川氏に、岡田氏が「ハイエンドケーブル開発に活用できる評価用のアンプが欲しいが、市場に無い。ケーブルのリファレンスとなるようなバランスポータブルアンプを作れないか? どんなものが出来上がっても文句は言わないから好きに作ってみて」と提案したところポータブルアンプ・TSURANAGIのプロトタイプを作ってしまったというから驚きだ。

このプロトタイプの出来があまりに良かったため、急遽市販化を決定。TSURANAGIの音の良さはポータブルオーディオファンの間で話題となり、今では「ケーブルとポータブルアンプという、Brise Audioを支える新たな柱になってくれました」(岡田氏)という。

Brise Audio初のポータブルアンプ「TSURANAGI」

黒川氏は実践的な経験を積むため、大手半導体メーカーであるロームに就職する。本格的なアナログ回路設計を本業とする中、やはりオーディオ機器を作りたいという想いも強くなっていく。そこで、彼の能力を高く評価していた岡田氏が声をかけたというわけだ。

アンプとイヤフォン作りの新拠点
黒川氏の開発デスク

黒川氏の入社に伴い、そして理想的な音質を目指すために、岡田氏は大胆な設備投資を実施。高価だが、超高性能なAudio Precisionの計測器(APx555B 市場価格500万円前後)他、各種計測器を思い切って導入。

Audio Precisionの計測器などが並ぶ
生産中のTSURANAGIがテストされていた

高性能な計測器の導入には、渡辺氏と岡田氏が試行錯誤で蓄積した高音質化ノウハウを、さらに先に進める狙いがあった。

「渡辺と私でやってきた事に対して、ちゃんと裏付けをとりたかったのです。“なんとなく音が良くなるよね”というオカルトだけでは気持ちが悪いので、それが測定できる環境と、測定機器を使いこなせる人材が欲しかったのです」(岡田氏)。

黒川氏はインピーダンスアナライザーなどの計測器を使い、ケーブルの抵抗値や静電容量、インダクタンスの値などを、線材種類ごとに測定。高音質化施工に使っている素材についても、電磁波をどのくらい遮蔽しているのかなどの効果を測定しているそうだ。

これにより、聴感で判断し、蓄積していたノウハウに裏付けをとるだけでなく、得られた数値的なデータを活かして、「このような特性を実現するためには、あのノウハウが使えるのでは」という目星もつけやすくなった。

“Brise Audioのイヤフォン”が現実になる、新たな出会い

アンプは実現した。次はイヤフォンだ。これも、新たな出会いによって、実現しつつある。

しかし、道のりは容易ではなかった。理由はシンプルで、「イヤフォンを作れる人材」ではなく「Brise Audioが求めるサウンドのイヤフォンを作れる人材」が必要だったからだ。実際に、エンジニアに声をかけ、試作してもらったが、うまくいかないという事もあったという。

そんな中で出会ったのが、アコースティックエンジニアの佐々木瞭氏だ。カスタムIEMを手掛けるくみたてLabで経験を積み、その後、東京音響でもイヤフォン作りをしていた佐々木氏。ポータブルオーディオファンであれば、clariar(クラリア)というブランドの「i640」というイヤフォンを覚えているかもしれないが、あのイヤフォンを手掛けたのが佐々木氏。以前、筆者もレビュー記事を書いた事があるが、非常に音の良いイヤフォンだった。

このi640を含め、佐々木氏が手掛けたイヤフォンの音を聴いた岡田氏と渡辺氏は、「我々の音の好みにピッタリで、ぜひBrise Audioに来て欲しいという話になりました。今から2年ほど前ですが、この出会いのおかげで、Brise Audioのイヤフォン作りが本格的にスタートしました」(岡田氏)。

アコースティックエンジニアの佐々木瞭氏

それまで東京に住んでおり、Brise Audio入社にあたって群馬に来た佐々木氏。「最初に来た時は“ビルが無い”と思いました」と笑う。「でも、東京では電車移動で、買い物をすると手で運んでいましたが、ここでは車があれば便利。家賃も安いですし、QOLは上がりましたね」(佐々木氏)。

そんな佐々木氏は、以前から「低価格な製品を沢山作るよりも、本当に音の良いものをじっくり作りたい」と考えており、「やはりハイエンドな製品を手掛けている会社の方が、面白いことができるのかなと、Brise Audioに魅力を感じました」と語る。

入社後も、「とにかく“音ファースト”なところが良いです。“納期を優先して中途半端なものを作るよりも、良いものが出来るまで出さなくていい”と言ってもらえる。イヤフォン作りとしては最高の環境です」(佐々木氏)。

CADで作成したパーツを3Dプリンターで試作していく
佐々木氏が試作品を作る3Dプリンタールーム
フィラメントを熱で溶かしながら積層していくタイプ。大きなパーツを試作する時に使うもので、積層跡があまり出来ない高級タイプだ
DLP方式のものは歯科や補聴器向けの業務用プリンターで、生体適合のある医療用グレードの樹脂(肌などへの影響に配慮)を使用できるため、実際に耳に触れる試作機を作る時に活用
光造形後に洗浄した試作機を急速に乾かすための真空乾燥器

佐々木氏のデスクには、ヘッドフォンやイヤフォンの特性を正確に測定するために、業界標準のGRAS社の測定装置システムも設置されており、AudioPresicionの計測器と組み合わせて活用されていた。

ヘッドフォンやイヤフォンの開発で必要となるGRASの測定装置なども導入。これらも100万円を超える高価な装置だ

そんな佐々木氏、入社前は「イヤフォンケーブルは取り回しのしやすい“細いケーブル”が好みだったんです」と笑う。「(Brise Audioの)太いケーブルを見て、良くなるのかな? オカルトじゃないのかな? と思っていました(笑)。でも実際に体験すると本当に変わってびっくりしました。高音質施工の技術も、イヤフォン作りの刺激になりました。ドライバーをそのまま使うのではなく、施工をしてから使うなど、音作りで使える武器が増えた感じですね」。

アンプとイヤフォン開発の建物を新設、そしてケーブル工房もリニューアル

メンバーが増えただけでなく、拠点も進化している。従来からある事務所兼リスニングルームとケーブル工房の間に、新たな建物を建設。ここでは黒川氏と佐々木氏がアンプやイヤフォンを開発ししているほか、製品の撮影ブースも用意。そして、奥の建物がケーブル作りの拠点だ。

従来からある事務所兼リスニングルーム
新設されたこちらの建物では、アンプとイヤフォン作り、そして撮影ブースも用意されている
こちらが、ケーブル作りのための工房だ

ケーブルを作っている建物に入ると、まさに“工房”という空間が広がる。小さな棚が沢山あり、中にはステレオミニや4.4mmバランス、XLRなどの入力プラグや、Pentaconn Ear、MMCX、A2DCなどのイヤフォン接続端子が収納されている。

様々なパーツやハンダゴテなどが並ぶ、ケーブル作り工房
小さな棚の中には……
大量のケーブル用パーツが入っている

注目なのは、その大半が市販のパーツではなく、パーツメーカーにBrise Audioが特注し、素材を違うものにするなどのカスタムをしてオリジナルパーツだという事。例えば写真のPentaconn earのプラグ。日本ディックスが作っている通常のプラグは、プラグ部分だけOFC(無酸素銅)で、シェルの部分はアルミだが、Brise Audioオリジナルではカバー部分までOFCで作られている。

「カバー部分もOFC製ですので、抵抗値が低くシールド効果が高いです。特注パーツなので非常に高価になってしまいますが、音には絶大な効果があります」(渡辺氏)。

Brise AudioオリジナルのPentaconn 4.4mmストレートプラグ。シェル部分も全て金メッキされたOFCが出来ている
様々なオリジナル端子を開発し、ケーブルに採用している

大変なのは、こうした端子が何種類もある事だ。「イヤフォンもそうですが、ヘッドフォンも“カオス”ですね。例えばイヤフォン用ケーブルの新製品を作る時に、接続するプレーヤー側の端子は4種類(4.4mm、2.5mm、4極の3.5mm、3極の3.5mm)、イヤフォン側は8種類作ります。しかし、ヘッドフォンの場合は、アンプ側端子が6種類以上、ヘッドフォン側端子は20種類以上。ケーブルの組み合わせとしては120種類以上を超えます」(渡辺氏)。

衝撃的な数字だが、AV Watch読者であれば、同じメーカーのヘッドフォンでも、モデルによって端子が異なっていたり、同じ端子を採用したヘッドフォンであっても、プラグの根本部分の形状(ロック機構)が異なるなどで、挿さるケーブルと、挿さらないケーブルがある事をご存知だろう。ああいったものを全部数えると、それくらいの数になるそうだ。

「毎日のように、あのヘッドフォンの端子でこのケーブルを作れないか? というご相談はいただきます。直販限定ですが、我々は特注もお受けしているので、可能な限りご要望にお応えするようにしています」(渡辺氏)。

ケーブルスライダーの棚。写真は木製のものだ
こちらは金属製
「木製は音が変わらないので採用していましたが、最近は金属製も採用しています。金属製のものはこのスライダーでも音が変わります。素材によって良い変化と悪い変化があり、良い方のOFCを使っています。新しいモデルの“SHIROGANE”には、ホワイトゴールドメッキ仕上げのOFCを使っています」(渡辺氏)
「SHIROGANE-HP Ultimate」

端子類も凄いが、見上げると、高い位置にあるリールには様々な線材や熱収縮チューブもある。製品によって線材を使い分けるだけでなく、使う本数や撚り方にも高音質化のノウハウがある。渡辺氏によれば、熱収縮チューブによっても音が変わるそうだ。

「銀線の場合はそれを見せるために透明のものを、銅線の時は黒いものを使いますが、チューブの色によっても音は変わります。含まれているものによるのだと思いますが、不思議と影響があります。使う部分が少しだとわかりませんが、箇所が多いと違いが出ますね」。

熱収縮チューブやケーブルリールも大量にある
実際の製品では撚って使われる
机の上に、無数の端子がついた基板を発見。なんとこれ、あらゆる端子に対応した“通電チェッカー”。作っているケーブルをここに接続し、もしショートしていたら音が鳴る仕組み。まさにケーブル工房ならではのツールで、自作したものだそうだ

当初は渡辺氏が1人で製作していた時期もあったが、現在ではケーブル製作スタッフが増えたことで生産力も向上した。しかし、年々国内外からの受注が増えており、生産力が向上してもなお追いついてない状況だという。

そして既存のケーブルだけでなく、新たなケーブルもこの工房で生まれる。Brise Audioのケーブルには、様々な素材を巻くなどする高音質化施工が施されているが、その際に使う素材も、この場所にストックされている。

それらを活用しながら、渡辺氏が新たなケーブルを試作する。渡辺氏の机には、ドライバーの種類や構成の異なる、各社の代表的なイヤフォンが用意されており、それらを用いて、試作ケーブルを試聴。ケーブルの完成度を高めていくのだという

新たなケーブルが生まれる渡辺氏のデスク
各社の代表的なイヤフォンも並ぶ

「新ケーブルを開発する時に、実は“特定のモデルを鳴らすためだけのケーブル”を作る方が楽ですね。そのヘッドフォンでしか使わないケーブルなので、攻めた音作りがしやすいためです。逆に、どんなイヤフォン/ヘッドフォンを接続するかわからない汎用ケーブルは、様々な機器で聴いても破綻しないように、受け皿的には広めに作っています」(渡辺氏)。

新製品の開発中も、2人のメンバーが加わった恩恵は大きいと渡辺氏は言う。

「2人にアドバイスをもらい、全然違うアプローチから切り込んだら、良いところに着地できたという事もあります。SHIROGANEなんかはまさにそうですね。もし、私1人で作っていたら、煮詰まってしまっていたと思います。今までは、やりたい事があっても技術や知識が無くて諦めていた部分がありましたが、3人で補完し合う事で、それをクリアできるという良い環境が作れています」。

試作した製品を4人で試聴し、意見を出し合い、ブラッシュアップする。「メンバーそれぞれ、音の好みは全く一緒ではありませんが、追求している方向性は共通しているというのは大きいですね」(岡田氏)。

新拠点に入ると、車庫も兼ねた大きな空間
ケーブルなどの製品写真は岡田氏自らが撮影。その仕事場でもある撮影ブースも作られた
据え置きオーディオ機器向けのケーブルも手掛けているため、それをテストするためのハイエンドオーディオ機器も並ぶ
撮影ゾーンの手前には、視聴&接客用ショールームも作られていた

「自分達の製品でシステムを完結させたい」

Brise Audioのサウンドをカタチにするイヤフォンを作る佐々木氏、アンプや電気回路でそれを実現する黒川氏。2人の仲間が増えた事で、「自分達の製品でシステムを完結させたい」という渡辺・岡田両氏の夢が、カタチになってきた。

その結果として完成しつつあるイヤフォンの試作機を、特別に見せてもらった。

開発中の初イヤフォン

金属筐体で、イヤーフックが装着できるシックな形状のイヤフォン……なのだが、写真をよくご覧いただきたい。背後に大きな“何か”が写っている。

イヤフォン背後にあるコレ……なんだかわかりますか? 左に見切れているのはDAP、という事はこの巨大な基板は……

この“何か”はまだ非公開だが、イヤフォンとケーブルを分離してみるとヒントがある。通常の端子ではなく、独自の端子で接続するようになっているのだが、注目は接続部分。何らや端子が大量に、7個も並んでいるのがわかる。

イヤフォンとケーブルを分離したところ。今までのイヤフォンで見たこともない端子だが、数えると端子が7個もある……という事は……

オーディオ機器に詳しい人であれば、“背後の何か”と“大量に並んだ端子”で「もしや……」と気がつくかもしれない。筆者は概要を説明してもらったが、あまりの“突き抜け”ぶりに、「凄い」を通り越して思わず「なんてものを作ってるんですか」と笑ってしまった。

音も凄まじい。明らかにこれまで聴いてきたイヤフォンと次元の違うサウンドだ。Brise Audioのケーブルは、イヤフォンやヘッドフォンで聴いても“スピーカーを聴いているような感覚”と評される事が多いが、そんな同社が追求するサウンドを、イヤフォンで極限まで体現したような衝撃的なものだ。

この試作イヤフォン、2月10日の「冬のヘッドフォン祭 mini 2024」で試聴はまだできないが、実物が展示される。驚愕の全容を見に、ぜひブースに行ってみてほしい。そして4月の『春のヘッドフォン祭 2024』では試聴も可能になる予定だ。きっと「ここまでやるか」「(いい意味で)どうかしている」という絶句すると同時に、Brise Audioが抱く「自分達の製品でシステムを完結させたい」という夢にかける想いが“本気”である事が感じられるはずだ。

山崎健太郎