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女性が本音でオーディオ選び「マランツ MODEL M1」、「DENON HOME AMP」と好きなスピーカー組み合わせ!

左からデノン「DENON HOME AMP」、マランツ「MODEL M1」

ピュアオーディオが身近になった。片手で持てるほど小さいのに、音は超本格的。そして音楽配信まで楽しめてしまうアンプ、マランツ「MODEL M1」(154,000円)と、デノン「DENON HOME AMP」(121,000円)が登場。オーディオファンはもちろんだが、それ以外の幅広い層からも注目を集めている。

写真の通り、“弁当箱”くらいのサイズで、主な操作はアプリで行なう。ピュアオーディオのアンプと言えば、1人で持てないほど巨大で、よくわからないツマミが沢山ついていて、「マニアな人しか触れない」雰囲気もあったが、それは過去のものになった。

そこで、本格的なオーディオに興味がありつつも、今まで躊躇していた2人の女性(三月旭さん、杉浦みな子さん)に、マランツMODEL M1、DENON HOME AMPを軸として、様々なスピーカーを用意。自由に組み合わせてもらい、実際に家で“ピュアオーディオデビュー”をしてもらった。

用意した機材から、見た目やサイズで選択

マランツ「MODEL M1」
マランツ「MODEL M1」(154,000円)

約22cm幅でも“フルサイズアンプにに負けないサウンド”をテーマに開発された新世代Hi-Fiコンポが「MODEL M1」。

プリメインアンプと、HEOS Built-inによるネットワークオーディオ、テレビとの接続を可能にするHDMI(eARC/ARC)、Bluetooth入力、光デジタル入力などを一体化しており、スピーカーを接続すれば音楽配信を楽しんだり、テレビのサウンドを本格的に再生できる。

アンプ部にはオランダのAxignというClass Dアンプを採用。アンプモジュールを買ってきて搭載するのではなく、基本回路は踏襲しつつ、それをベースにマランツが部品を選定。基板も新たに開発し、日本の白河工場で内製している。デジタルフィルター部分に、マランツのCDプレーヤーでも採用している独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装するなど、小さくても随所にHi-Fiのこだわりが光る。

デノン「DENON HOME AMP」
デノン「DENON HOME AMP」(121,000円)

マランツのMODEL M1をほぼ同じサイズで、ネットワーク再生やHDMI ARC対応など機能面もほぼ同じ。それでいて価格は約3万円安い。「価格も性能」「良い音をより多くの人へ」を信条とする、デノンらしいコストパフォーマンスに優れたアンプだ。

低価格なだけではなく、これまでの小型コンポや、AVアンプの開発で培った技術をフル投入。小さな筐体の中でもノイズを抑えたり、発熱処理も徹底。さらに、デノン・サウンドマスター山内慎一氏が、徹底的に音質をチューニング。パーツのコストは高いものの、音質を追求し、オリジナルのSYコンデンサーなども大事な部分に投入し、音を磨き上げた。

一方で、MODEL M1は白河工場で作られているが、DENON HOME AMPはベトナムの工場で生産。表面も、あえて樹脂筐体そのままとすることでコストを抑え、“手に届きやすい価格”にこだわっている。

Bowers & Wilkinsブックシェルフスピーカー「607 S3/レッドチェリー」
Bowers & Wilkinsブックシェルフスピーカー「607 S3/レッドチェリー」(ペア 132,000円)

ピュアオーディオの人気スピーカーブランド、Bowers & Wilkinsの600シリーズで小型なのが「607 S3」。小さくてもこだわりのパーツを多数搭載しており、新しいチタニウム・ドーム・ツイーターの前面には、上位機用に開発され、音の透明度が向上した新しいグリル・メッシュを導入。解像度を高めている。

低域用の「Continuumコーン」は、複合構造を備えた振動板。固有の音色を抑え、声や楽器の音をより正確で透明感高く再現できる。

中央がBowers & Wilkinsブックシェルフスピーカー「704 S3/モカ」
Bowers & Wilkinsブックシェルフスピーカー「704 S3/モカ」(ペア 638,000円)

上位の700シリーズのフロア型が704 S3。ツイーターはカーボンドームとなり、共振周波数を47kHzまで引き上げ、ピンポイントのフォーカスと鮮明なディテールを実現。

ミッドレンジはContinuumコーン、低域用にはAerofoilプロファイル・バス・コーンを採用。振動板の部分ごとに厚みを変化させることで、大きな力が加わる部分に強度および剛性を与え、深みのあるダイナミックな低音を実現している。

DALI 「MENUET/ブラック」
DALI 「MENUET/ブラック」(ペア 220,000円※10月より264,000円に値上げ)

スピーカー大国、デンマークで40年の歴史を持つDALI。その代表的なスピーカーと言えるのが、初代から30年の歴史を持つコンパクトスピーカー「MENUET」。小さいながらも、高い音質を持ち、それでいてエレガントな仕上げの美しさも人気の理由。

ツイーターとしては大型の28mmソフトドームを搭載。低質量ドーム・アセンブリと強力なモーター・システムにより、スピードと精度を実現。低域用の4.5インチ・ウーファーは、ウッドファイバー・コーンを採用している。

左端がDALI「OBERON 5/ライトオーク」
DALI「OBERON 5/ライトオーク」(ペア 165,000円)

DALIのエントリークラス「OBERON」のフロア型。丸みを帯びたエッジとグリル生地が、軽やかな印象を与えるデザインになっている。

ツイーターに、29mm大口径ソフトドームツイーターを使うことで、中域との繋がりをスムーズにし、自然なサウンドを表現。低域には、130mm/SMCウッド・ファイバーコーンドライバーを2基搭載する。

ウッドファイバーコーンは軽量で剛性が高く、色付けの少ないサウンドが特徴。さらに、ウーファー・マグネットの鉄製ポールピースに、エントリーながら機械的歪みを低減するSMC技術を使っているのが特徴。

Polk Audio「R100/ブラック」
Polk Audio「R100/ブラック」(ペア 77,000円)

コストパフォーマンスの高さで人気のある、米Polk Audioの中核的なReserveシリーズ。その中で一番コンパクトなブックシェルフスピーカーが「R100」。

小さくてもこだわりの技術が満載。高域を担当する1インチのピナクル・リングラジエーターには高域エネルギーを効率的に拡散するウェーブガイドを備え、音楽が美味しく聴けるスイートスポットを広げている。

低域担当の5.25インチ・タービンコーンは、振動板に独自のフォームコアとタービン形状を施す事で、軽量を維持しながら剛性と内部損失を高め、ナチュラルなサウンドを再生可能にしている。

右端がPolk Audio「R500/ブラウン」
Polk Audio「R500/ブラウン」(1台 77,000円)

Reserveシリーズ最小のフロア型。2台揃えても約15万円で収まるコストパフォーマンスの高さは驚異的。R100と同様に、ピナクル・リングラジエーターを備えるほか、5.25インチ・タービンコーンを2基搭載し、低域の再生能力を高めている。

背面には特許技術のX-Portを搭載。低域を増強するためのポートだが、そこに固有音フィルターを搭載し、歪みのない豊かな低音を実現している。筐体も、剛性を高めるための補強を徹底している。

【三月旭さん】デノン「DENON HOME AMP」、DALI「MENUET」をチョイス

初心者でも使えるオーディオって本当? 確かめてみた

音楽は好きだけれど、“オーディオ” にひとりで触れたことがない私。編集部からの連絡に「アンプやスピーカーって……それガチオーディオじゃん! 好きも何も、選び方とかわからないんですが!」と不安だらけでした。

そのまま伝えると、「D&Mからコンパクトで設置もしやすく、初心者向きのアイテムが出るんです。だからぜひそのままの感じで使ってみてください!」とのこと。

なるほどそれなら、と今回取材させてもらうことなった……んですが!

正直に言うと、まだこの時点でも疑い気味。だってこういうときの「初心者向き」って大体、めっちゃオーディオだったりするじゃないですか!

恐る恐る取材現場に行くと、いくつかのスピーカーたちと共に、小さなボックス的なものが2つ。どうやらこれが噂のアンプのようです。

そこにあったのはもちろん今回の主役、マランツのMODEL M1と、デノンのDENON HOME AMP。それぞれの詳しい製品仕様については先に解説されていると思うので、ここでは、なぜ私がDENON HOME AMPの方を選んだのかを紹介したいと思います。

デノン「DENON HOME AMP」、DALI「MENUET」

結論から言うと、あの、、、説明はちゃんと聞いていたんです、本当に。なんだけど実は……第一印象から決めてました!

デノンは“小さくても本格的”っぽくない、だから好き

DENON HOME AMPを見て思ったのは、“何者か分からないけど今っぽくてかわいいし、家に置いてもインテリアと馴染んでくれそう!” ということ。見た目で選んでいいと言われたとおり、本当にデザインが決め手でした。

見た目で選んだけど、いい! ヴィンテージ家具にところどころ、現代的なアイテムを配置するバランスが好きなので、大正解でした

まずサイズですが、どちらも想像以上にコンパクトです。サイドボードとか小さめの家具の上にも余裕で置けそうな小ささで、しかも軽い!

「オーディオ=重たい」というイメージがあったんですが、これならひとりで設置できるし、部屋の模様替えのときにも気軽に移動できそうです。

“小さくても本格的なアンプ” というだけあって、ここまではどちらも同じ。だけど、それ以外はほとんど違います。

中身については言わずもがなで、みなさんご存知のとおり。内部で使われているパーツや配置、そして音のチューニングは各ブランドを担うサウンドマスターが手がけているので、もちろんながら別物。それぞれがこだわりを持って細部まで丁寧に作られています。

見た目はだいぶ印象が違っています。例えば外装の仕上げ。両方ともさらりとした触り心地だけど、マランツが少ししっとりしたマット仕上げなのに対して、デノンはちょっとツヤもあり、丸みのあるシームレスな形状に今っぽい印象を受けました。

上から覗くと、両方とも天板に穴(?)が開いた状態。「え! こんなの埃とか入ったらやばくない!?」と驚いたのですが……初心者の皆さん、安心してください。大丈夫なんだって!むしろ天板が開いている方が開放感あるサウンドになって、音質的なメリットもあるんだそう。

そしてこの天板も全くデザインが違います。マランツはステンレス製のメッシュ仕様で、これについてはあの……本当に、素直な感想なんですけど……「七輪っぽいな」と思ってました!なんといいますか、金網っぽくて、個人的には渋いデザインに見えたんです。

デノンは、点々と丸く開いた穴が中央から波紋のように広がっていくようなデザインで、表面は少し波打っています。Bluetoothスピーカーとかに近い印象で、どことなくデジタルライク。フロント部分にある、「1」「2」「3」と自由にカスタマイズできるボタンも、その印象を後押ししています。

「DENON HOME AMP」の天面はドットが集まったような感じで、どことなくデジタルっぽさを感じます

かわいいな〜と思ったのはこの本体形状。DENON HOME AMPは下側の角がまるっとカーブしていて、柔らかい印象があります。これは“湯呑み” からインスピレーションを受けたんだそうで、天板の穴も日本庭園でよく見る枯山水がイメージされています。

そんな和の心が元になったDENON HOME AMPですが、デザインが全体的にシームレスで、むしろ現代的な印象があります。丸みのあるボディは、どこかスマートスピーカーみたいで親近感がありますし、良い意味で“かっちりし過ぎていない” ところが好きです。

背面も対照的で、DENON HOME AMPではサウンドバーのように、少し窪んでいて端子が隠れる仕様です。私にとってはこれもポイントでした。

横から見ると、端子をカバーするようにDENON HOME AMPは背後が少し出っ張っており、“ひさし”のようになっている

というのも、個人的にスピーカー端子ってすごくオーディオみを感じる部分だと思っているのですが、DENON HOME AMPはそれが目立ちにくいことで、アンプだぞ!という主張を弱めている気がします。おかげで手に取りやすく、「触っても大丈夫そうなオーディオ」という安心感もありました。

とはいえMODEL M1も、一見すると「え、これマランツのアンプなの? 嘘でしょ」と思うくらい、ガチオーディオ感はありません。ひとつひとつ見ていくと、その上質な仕上がりから“フルサイズのいいアンプがそのまま小さくなった!” というのが伝わってくる、そんな雰囲気。

似ているようで全く違う二つ、どちらを選ぶかは好みで分かれそう。自宅のインテリアとの相性だったり、「なんか自分に合いそう!」という直感で選ぶのも良いかもしれません。

小さいは正義! どこでも置けるし、部屋中が音楽で満たされる

DENON HOME AMPと、一緒に選んだDALIのスピーカーMENUETが自宅に届いたのは、取材した日の翌日。仕事早すぎる!

早速届いた「DENON HOME AMP」。箱の時点でだいぶコンパクトなのが伝わります

ちなみにDALI MENUETは、小さくて真っ黒で、なんかピカピカでかっこいい! と思ったから。完全見た目で選んだら、並んでいたなかで一番高級品でした…。オーディオそういうとこあるよ……。

さて「コンパクトで初心者でも使いやすい」とは言うものの、やはり相手はオーディオ。覚悟して設置せねば!と意気込んで箱を開けてみると……

あれ……

えっと……

……あ、アンプ設置、終わったわ。

DENON HOME AMP本体と電源ケーブル、基本はこの2つを繋ぐだけでよくて、コンセントに電源を挿したらはい完了。ちなみに質量は2.1kgで、余裕で持ち上げることができました。設置したメインの家具は奥行き47cmほどですが、サイズもちょうどいい感じです。

左右にスピーカーを置いたら、初めてのオーディオシステムが完成。いやあ、ここまでまじで早かった~! あっという間すぎる!

初めてのオーディオシステムが完成! アンプもスピーカーも小さくて、置きたい場所に余裕でおさまりました

嬉しかったのは、置けないかも? と思っていた場所に、きちんと収まってくれたこと。高さが不安だったところにも、横幅が足りないかもと思っていたところにも、ぜんぜん大丈夫でした。

やっぱりオーディオというと、値段もさることながら、大きくて場所を取りそうで、専用の棚がないと置けないイメージがあります。家のインテリアとの相性だって気になるし、そもそも部屋のスペースにそんなに余裕がなかったりで、遠い存在に感じてしまうんですよね。

でも、アンプがこれだけコンパクトになってくれると、スピーカーと合わせても小さな一角に設置できて、思った通り移動も楽々。「頑張ったら手が届きそうな価格」に、「場所を取らないコンパクトサイズ」の掛け合わせ、これは強いです。

設定にはHEOSアプリを使います。そもそも、DENON HOME AMPに専用のリモコンはなく、設定も操作もすべてアプリで行なう前提になっています。なお、音量の上下と再生/一時停止は、本体前面のボタンでタッチ操作も可能です。

事前にアプリをダウンロードしておいたHEOSアプリを開いて、案内に沿って背面にある「CONNECTボタン」をポチ。そしたらアプリ側で認識されるので、本体を登録したら、基本設定もあっという間に完了です。

ちなみに、スタートガイドが同梱されているので、それを見ながら設定を進めればOK。機械に慣れていない人も安心して使えます。

ただ私、今回その存在を忘れていて……。実はなんとなくでアプリをいじってたら設定できちゃった口です。でも、今ってスマホとペアリングさせて使うデバイスが多いし、アプリの案内もわかりやすいので、説明見なくてもだいたい設定できちゃうんですね。イヤフォンやスマートウォッチ、スマートリモコンなど複数のアイテムを使っているような人なら、より簡単に感じられると思います。

Bluetoothボタンも背面にあって、少し長押しして前面中央あたりのLEDライトが点滅したらペアリング可能に。この辺もBluetooth接続あるあるって感じ。迷いなく設定できました

HEOSアプリ側で普段使っているストリーミングサービスを連携させたら、早速音楽再生が可能に。私はAmazon Musicと連携して試してみました。

音楽を再生して、まず思ったのが「いつもと全然違う!」ということ。家ではたまに、Bluetoothスピーカーを使って音楽を再生するのですが、あまりに違いすぎる!思わず「DENON HOME AMP」を二度見したほどです。

アンプを選ぶとき、DENON HOME AMPの音質については、デノンらしい“Vivid & Spacious”なサウンドだと教えてもらっていました。鮮やかで広い空間性を感じられる音だそうで、言葉で聞くだけでも楽しそうだなと思っていたのですが、これが本当に楽しい!

私の家はダイニング、リビング、ベッドルームが一続きになったワンルーム仕様で、ウォークスルークローゼットのドアも開け放して、全ての空間を繋げているのですが、DENON HOME AMPのシステムで再生すると、いつも以上に音楽に満たされる感覚……! どこにいても“いい音” が味わえるんです。

もちろん、Bluetoothスピーカーでワイヤレス再生している普段の聴き方と、DENON HOME AMPを通してストリーミングサービスを聴くのとでは、そもそも音質の差もあるんだけど、音楽が空間にブワッと広がるこの感覚は、簡単に味わえないと思います。

それでいて、音量をそんなに上げていないのに、より細かな表現がわかることにも驚きました。イヤフォンをしてノイズキャンセルして、集中した環境でやっと感じていたような音の情報までも聴こえてくる、この鮮明さ。音楽の全部を楽しめているな、と嬉しくなりました。取材中に聴いたのは、マネスキンやNewJeans、サム・スミスとジャンルもバラバラ。なんだけど、どれを聴いても「全部楽しい!」、これに尽きます。

HEOSアプリとAmazon Musicを連携して音楽再生

マネスキンは、ちょっと怪しげでパンクでロックなバンドサウンドで、部屋いっぱいに広がるとまるでライブハウスのよう。NewJeansのポップで可愛くて、どこか抜け感があってエモい楽曲は、それを精緻な感じではなくて、メロウな雰囲気のまま再現してくれます。

サム・スミスは、あの美しい歌声をたっぷり堪能できて大満足でした! 息遣いだったり、その場の空気感みたいなものが、耳元で聴いているときのようにしっかり再現されていて、なんだかうっとり聴き入ってしまいました。

最近は毎朝サム・スミスのレコードをかけるのが習慣になっているので、レコードプレーヤーとも繋いでみることに。DENON HOME AMPはレコードプレーヤー以外にも、HDMI端子を介してテレビと繋ぐこともできる万能選手です。

今回はレコードプレーヤーを置いていた棚に、ちょうどよくDENON HOME AMPとスピーカーを置くことができたので、ケーブルで繋いで有線接続に。するとアプリでサウンドモードが選べるようになりました。

Amazon Musicで再生するときは「Stereo」になっていたサウンドモードが、「Direct」と「Virtual」を加えた3種類から選択可能になっています。特に感動したのは「Virtual」で、「Stereo」も十分に広がりを感じていたのに、もっと空間が広く感じられて、全体的にくっきりとして音楽が濃厚になった感じ。コンサートホールみたいで、音で満たされるってこういうことか! と驚きました。

ちなみに、家にあるレコードプレーヤーはBluetooth対応なので、近い場所に置けるときはケーブルで繋いで、置き場所が遠いときはBluetoothで繋ぐこともできます。ケーブルの届く範囲じゃないとダメという制限がないので、本当に使いやすかったです。

いい音があると、もっと音楽を聴きたくなる

実は私、もともとは音楽を聴く機会が少ない方でした。移動中にイヤフォンで聴くことも減っていて、レコードを聴くようになったのは本当に最近、レコードプレーヤーを手に入れてからのことです。

あまり音楽を聴かなくなったのは、スマホ一台でなんでも出来る今だからこそ、その一つに全ての機能が集約され過ぎてしまったから。電話がかかってきたり、ふと触れてしまって再生を止めてしまったり、なんだかそういうのがちょっと面倒になっていたんですよね。

そこに、音楽を聴くためのモノとしてレコードプレーヤーが加わると、まず音楽を聴く習慣が戻ってきて、今回DENON HOME AMPを試したことで、“より良い音で聴くと、もっとたくさん聴きたくなる” 感覚になりました。

しかも「初心者にも使いやすい」と言うのは嘘じゃなかった! 本当に簡単に設置できて、場所も取らないし、マニアックなことを知らなくてもいい。ちゃんとしたオーディオなんだけど、かしこまらなくていいんです。

料理やインテリアに凝ってみたりするように、DENON HOME AMPで音楽の聴き方にこだわってみるのも、新しい趣味におすすめです。“いい音のある生活” で、きっと毎日がもっと楽しくなると思います。

【杉浦さん】マランツ「MODEL M1」、DALI「OBERON 5」をチョイス

超絶シンプル! サラサラ手触りの“黒い箱”デザインで即決

本企画のお話を編集部からいただいた時、「主にデザインで、どちらのアンプを自宅で使うか選んで下さい」と言われたことにびっくりしました。確かに近年、デザインにこだわったオーディオ機器が増えているとはいえ、「“プリメインアンプ”のカテゴリーでその切り口、イケる……?」と思ったのが正直なところです。

でも、取材日に実機を目の前にして納得。マランツのMODEL M1もデノンのDENON HOME AMPも、本当に見た目がオーディオ機器らしくない……! 事前に「小さい」と聞いてはいましたが、実物を見るとどちらも驚くほどコンパクトです。

で、私・杉浦が選んだのはマランツのMODEL M1。気に入ったのは、DENON HOME AMPと比べての“シンプルさ”。一見すると小さな黒い箱でしかなくて、フロントパネルの「MARANTZ」ロゴがなければ、オーディオ機器とすらわからない人が大多数ではないでしょうか。そのロゴの下に、再生/一時停止と音量調整用のフラットボタンを備えていますが、ロゴも含めてほとんど目立ちません。マジでただの黒い箱です。

私はテレビと接続して使いたいと考えていたので、テレビラックに設置した時、アンプにはメカメカしい存在感を消して欲しかったのです。そこで、リビングになじむこのシンプルさ=黒い箱感が決め手に。あと、樹脂筐体の表面にソフトフィールフィニッシュが施されているのも好きです。ふと見た時に安っぽくないし、サラサラの質感も気持ち良い!

なお、これはDENON HOME AMPも同じですが、「付属リモコンすらない」という仕様には驚きました。シンプルを通り越して潔ささえ感じます。人によってはネックになると思いますが、私にとっては“リモコンが付属しない”はむしろちょうど良かったです。

マランツとデノンの製品が対応するネットワーク機能「HEOS」もそうですが、最近はネットワーク対応オーディオ機器のセットアップやコントロールを、スマートフォンにインストールした専用アプリで行うスタイルが増えていますよね。自分が取材でそういう製品を使う時、結局リモコンの出番はほぼなくて、アプリだけの操作で完結していました。なので、ほとんど使わないリモコンが手元に増えるより、最初からスマホだけで良いという方がわかりやすいわけです。

そして大事なのが、組み合わせるスピーカーです。今回はこちらも見た目で選んで良いとのことで、今までの据え置きオーディオの取材にはない感覚で楽しい(笑) ボディの色味が明るくてリビングになじみつつ、我が家のテレビ周りでオーバースペックになりすぎないモデルを……とバランスを吟味し、DALI「OBERON 5」のライトオークを選択しました。

かなりコンパクトなMODEL M1にフロア型スピーカーを組み合わせるのは、見た目の印象的にアンバランスかな? と一瞬思ったのですが、編集部から「良い組み合わせだと思います」と言われ……これは期待が高まる。

デザインで選んだはずのアンプがすごくガチだった……

ではいよいよ、実際に自宅で使ってみてのレポートをお届けしましょう。今回の企画上、私がMODEL M1を選択した入り口はデザインのシンプルさでしたが、自宅でその音を聴いたら良い意味で衝撃でした。

先に結論的なことを言ってしまうと、「こんなガチレベルのプリメインアンプが我が家に置かれたことは今までなかったし、そもそもスペース的に置けるとは思っていなかった」です。

我が家に置ける、これなら

詳しく順を追って話しましょう。まず、自宅に届いたMODEL M1を開封し、改めてその小ささに「ほえ~」と思いながら、HDMI(eARC/ARC)経由でテレビと接続します。自分のスマホにインストールした「HEOS」アプリのナビにならってセットアップしましたが、特に何のトラブルもなく、ものの1〜2分ほどで作業完了。楽! そしてMODEL M1は、テレビラックの中でさっそく存在感を消してくれています。

さあ、ここからです。手始めにAmazon Musicの「2024年上半期 Best of J-POP」から、藤井風 「花」(48kHz/24bit FLAC)を再生。デジタルフィルターはデフォルトの「Filter 1」に設定しています。イントロからいきなりピアノの厚い中域と、ベースの弾力ある低音、そしてドラムの立体的なアタック感がグイグイお腹に来て「いや、パワフル!」と1人でアンプにツッコミを入れてしまいました。

ボーカル、ピアノ、ドラム、ベースと各レイヤーの層に奥行きがあり、中低域がエネルギッシュ。17畳のリビングに立体感のあるサウンドが広がります。これはOBERON 5との組み合わせの妙もありそう。

OBERON 5(ライトオーク)のスリムなフォルムと明るい本体カラーも、我が家のリビングにある49インチテレビとぴったり

マランツのハイエンドHi-Fi製品を開発している尾形好宣氏が、MODEL M1の音作りを手がけたと聞いてはいました。しかし、そもそも見た目のイメージを超えてフロア型スピーカーを余裕でドライブしているので「このサイズでこんなに鳴る?」って感じ。言うなれば、デザインで選んだはずのアンプがすごくガチだったという衝撃です。本体の存在感はないけど、音の存在感はすごいよ……。

テレビラックの中に置いている日用品や小物の隣の空きスペースに設置できるコンパクトさ

そしてMODEL M1 + OBERON 5の組み合わせで実感したのは、クラシックやジャズなど、ダイナミックレンジの広い音楽ジャンルへの対応力でした。これはさすがに現代ポップスだけでなく、ジャズクラ系での試聴感を書かざるを得ない。私が個人的にクラシックバレエとピアノの経験者なのもあり、好んで聴くのがその辺のクラシック曲に偏ってしまうのですが……まあご参考までにということで。

Amazon Musicから、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,グスターボ・ドゥダメル&ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー「Tchaikovsky: 組曲《白鳥の湖》作品20a - 第2曲ワルツ」(96kHz/24bit FLAC)を再生すると、微細で静かな音から迫力のある力強い音まで生き生きと、躍動的です。一つ一つの楽器の存在を感じることができるのに、オケとしてもまとまりがあって、単発の楽器音でなく“美しく華やかなワルツ”を満喫できる。「白鳥の湖」第一幕の、煌びやかなお誕生日パーティーの光景が浮かんでくるようです。

単体で広音域を持つ楽器であるピアノの曲も素敵すぎました。Lang Lang「乙女の祈り」(96kHz/24bit FLAC)を聴いて「おお……」と思ったのは、低音部から高音部に行くに従って軽くなっていく木製鍵盤のタッチ感(重さ)まで伝わってくるかのようだったこと。高音が鳴った時は鍵盤が軽やかに弾み、低音が鳴った時は鍵盤が深く沈む際の小さなレスポンスの存在まで感じられます。我が家の普通のリビングに置いたコンパクトなアンプの駆動で、それを味わえることに感動。

そして今回はテレビと接続したので、放送番組や配信映画など、普段見ている様々な映像コンテンツもMODEL M1 + OBERON 5で楽しめました。ドラマも映画もYouTubeも、いつもより格段に環境音やセリフが立体的&精細的になりましたが、中でもびっくりしたのは、たまたま夫がPrime Videoで配信中の記録映像作品「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」を観ていた時です。

私は以前にも同作を視聴していて、その時は「青臭い学生にちゃんと対応する三島マジ偉いな」くらいの感想だったのですが、MODEL M1 + OBERON 5の音声で視聴すると、当時の東大駒場キャンパス900番教室の環境音が太く聴こえて、映像を飛び越えて現地のザラつきが漂ってくるのです。「これが1969年の空気感なの……?」と、パッと目が醒める感じに。こういったドキュメンタリー系のコンテンツは特に、高品位な音環境を揃えることで、視聴感が向上するのだと実感しました。

リモコンとスマホをあれこれ持ち替えることなく、スマホ1台だけでササっと設定・操作できるのも楽

もちろんMODEL M1のHDMI端子はHDMI-CECに対応していて、映像視聴中はテレビリモコンでMODEL M1の音量調整ができます。つまり、テレビの視聴スタイル自体は従来とまず変わらないので、夫も特に難なく普段と同じように視聴していました。また、付属リモコンがないので音声入力の切替操作は「HEOS」アプリで行ないますが、これもスマートで使いやすかったです(私が「HEOS」アプリに慣れているのもあるでしょうが)。

往年のマランツHi-Fiコンポを彷彿とさせるような「イエロー色」のランプが点灯するのも好き。「これまでのマランツの歴史ちゃんと入ってますよ~」って感じ

あと今回、スピーカーにOBERON 5を選んで良かったとも思いました。実は、ブックシェルフ型「OBERON 3」にするかちょっと迷ったのです。カラバリも同じだし。しかし、小さなMODEL M1がフロア型のOBERON 5を余裕で駆動する様を目の当たりにしたことで、その能力をより体感できました。聞けば、MODEL M1開発時のリファレンススピーカーはB&W「801 D4」だったそうな。そりゃ余裕だわ……。

というわけで、結論を改めて言うと、こんなガチレベルのプリメインアンプが我が家に置かれたことは今までなかったし、そもそもスペース的に置けるとは思っていませんでした。そして「MODEL M1なら我が家にも置ける」と実感できたことが、今回の大きな収穫です。

しかしそうなると、選ばなかったDENON HOME AMPの方がどんなサウンドなのかも気になります。あちらはあちらでデノンのサウンドマスター・山内氏がチューニングした“Vivid & Spacious”なサウンドになっているというので、MODEL M1とは明らかに音のキャラクターが違う模様。

MODEL M1を使ったことにより、「その魅力的な部分が、DENON HOME AMPではどうなってるの?」と気になってしまうわけです。……と、ここまで書いて気づきましたが、MODEL M1はデザインから入った人間でも沼らせるポテンシャルがあるということかも。そして多分、DENON HOME AMPも。いやはや新世代アンプ、恐るべしだな……。

三月旭

Web編集者、ときどきライター。昔からモノが好きで、気付いたらスマホ3台持ってました。ガジェットを使いこなすことなく、服と猫と共にただ愛でています。

杉浦みな子

オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀……と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハーです。