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JBL“完成度最強TWS”がさらに進化「TOUR PRO 3」。BA追加で音質UP、ケースが送信機!?
- 提供:
- ハーマンインターナショナル
2024年9月27日 08:00
2023年に最も印象深かった完全ワイヤレスイヤフォンと言えば、JBLの「TOUR PRO 2」だ。初の、充電ケースにディスプレイが搭載したTWSとして登場し、ぶっちゃけ「ディスプレイって必要なの?」「イロモノなのでは?」などと思っていた。
しかし、実際に使って見ると、スマホを取り出さずに各種操作や設定ができ、好きな画像まで表示できてしまう充電ケースの便利さに驚き、完成度の高い音質も気に入り、すっかりお気に入りモデルに。誰かに「TWS欲しいんだけど」と相談されると、とりあえずTOUR PRO 2をオススメしていた。
世界的にも大ヒットしており、中でも日本市場は最も多い販売台数を記録しているようだ。
そんなTOUR PRO 2に後継機種が登場するとなれば、使ってみないわけにはいかない。その名もズバリ「TOUR PRO 3」(オープンプライス/直販価格42,900円)。結論から先に言うが、高いクオリティの音質がさらに進化し、充電ケースのディスプレイも拡大。ゲーム機と組み合わせたり、飛行機の中で便利なAURACASTトランスミッター機能まで新たに搭載するなど、“TOUR PRO”の名に恥じない完成度。間違いなく2024年、最注目のTWSになっている。
JBLイヤフォン初のデュアルドライバー
見どころが盛り沢山の機種なのだが、まずはイヤフォンで最も重要な音質についての進化点を見ていこう。
イヤフォンのデザインやサイズはTOUR PRO 2から大きく変わっていないが、細部が改良されている。フラッグシップイヤフォンでは珍しいショートスティック型で、評価の高かった装着感や装着安定性を継承しつつ、形状を工夫する事で、より密閉感を高めたそうだ。
そして中身はまったく“別物”になった。TOUR PRO 2は10mm径のダイナミック型ユニットを1基だけ搭載していたが、TOUR PRO 3は中低域用(20Hz~8kHz)の10mm径ダイナミックドライバーに加え、高域用(8kHz~40kHz)にバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーも搭載。JBLのイヤフォンとして初となる、デュアルドライバー搭載モデルとなった。
これにより、特に10kHz以降の高周波数を向上させ、伸びのある明瞭な高域を再生できるようになったそうだ。
さらに、音質のベース部分となるBluetoothのコーデックも拡充。LDACにも新たに対応し、96kHz/24bitでのハイレゾワイヤレス再生も可能になった。
アクティブノイズキャンセルも進化
ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能も進化し「ハイブリッドノイズキャンセリング2.0」になった。効果を高めるために、リアルタイムに補正を行なうのだが、その時のフィルター計算を強化する事で、新たにリアルタイム適応にも対応。あらゆる形状の外耳道や装着状態であっても、それに適応させる事で、その人に最適かつ最高のANCパフォーマンスを発揮できるようになったという。
また、ノイズをマイクで集音するが、そのマイクも、前モデルよりも約6dB高いSN比を備えた、より高性能ものにすることで、ANCパフォーマンスを高めている。これにより、前モデルと比較して50Hz~200Hzで平均約10dB、200Hz~3kHzでは平均約5dB向上したとのこと。他社のフラッグシップTWSと比較しても、負けないパフォーマンスを実現しているそうだ。
実際に電車の中や、道路の近くで使ってみたが、確かに強力だった。
特に騒音が激しい地下鉄で使うと、「グォオオオ」というトンネル内の反響音や、電車のボディが振動する低音ノイズはほぼ消え去り、モーターの唸りもほとんど聞こえなくなる。聞こえるのは、たまにレールの境目を超える「タタンタタン」という音だが、それも小さく、遠くから聞こえるような感覚。
次の駅名を告げるアナウンスも「遠くで何か言っているな」くらいにしか聞こえない。この状態で音楽を再生すると、走行ノイズもアナウンスもほぼ意識に入らなくなる。電車の中でも音楽をキッチリ楽しめるのは嬉しい。ただ、アナウンスなどが聞こえなさ過ぎるので、必要な時は外音取り込み機能をONにすれば大丈夫だ。
山手線でも使ってみたが、地下鉄よりもさらにノイズは綺麗に消え、「タタンタタン」もより小さくなる。
幹線道路沿いも歩いてみたが、車のエンジン音はほぼ気にならず、「サァー」というゴムとアスファルトがこすれる、タイヤの走行音の高音部分だけがかすかに聞こえて「何か来たかな?」とわかるレベルだ。
なお、これらのテストは付属のシリコン製のイヤーピースで行なったが、TOUR PRO 3ではJBLで初めて、フォームイヤーピースもMサイズ1ペアを同梱する。フォーム素材は密閉性が高いため、特に会話などの高周波数範囲でのANCパフォーマンスをさらに強化できるという。フォームタイプを使った時は、前モデルと比較して600Hz~2kHzまで平均で約8dB、2kHz以上では約10dB優れているそうだ。
また、「JBL Headphones」アプリにはイヤフォンが耳にちゃんとフィットしているチェックする機能も備えているので、イヤーピースを変えた時は、これを使ってみると安心だ。フォームタイプも同梱するようになったので、イヤーピースをシリコンか、フォームタイプか選択する項目も追加されている。
ノイズキャンセル機能の切り替えなどは、アプリからできるほか、スマート充電ケースからも切り替えられる。「実際充電ケースにディスプレイがついていて、どれだけ便利なの?」と疑問に思う人もいるかもしれないが、例えば、満員電車に乗っている時に「アプリを操作したいけど、お尻のポケットに入れたスマホを取り出すのも面倒だな」と感じる瞬間がある。そういった時に、胸ポケットなどに入っているスマート充電ケースの方がサッと取り出しやすいのだ。
また、職場や家でリモートワーク中に、「あれ、スマホどこに置いたっけ?」とか「スマホを手に取るには椅子から立たなければならない」なんてタイミングもある。その時に、スマート充電ケースの方が近くに置いてある事も多い。なぜなら、椅子に座ってイヤフォンを取り出したら、充電ケースは机のすぐ近くに置くのが自然だからだ。
このようなふとした瞬間の便利さが積み重なって、数日使っていると「もうスマート充電ケースじゃないと我慢できない」体になっている。
TOUR PRO 2の方向性を維持しつつ、音質は大幅に進化
試聴は、スマートフォンの「Pixel 9 Pro XL」と、新たに対応したLDACコーデックで接続して聴いた。
いつもの「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を再生する。冒頭のピアノとアコースティックベースが出てきた瞬間に「うほほ~!」と謎の奇声を上げてニヤついてしまう。
当然比較対象はTOUR PRO 2になるわけだが、もう、音が出た瞬間にわかるほど、TOUR PRO 3の方が圧倒的にサウンドが進化している。
まず高域の伸びやかさ、描写の細かさがより微細になった。例えば、アコースティックベースでは、低音だけでなく、弦がをはじく時の「ブルン、ベチン」という鋭い音も含まれているのだが、そうした音のクリアさがぜんぜん違う。本当に耳の近くに弦があって、それが震えているかのように鋭い音がズバッと鋭く描写されるので、高音が生々しいのだ。
続くボーカルも、歌い始める瞬間の「スッ」と吸い込む息や、口を開閉する時の「ンパッ」というような音にならないほど微かな音まで描写してくれるので、本物の口が空中に浮かんでいるかのようで、ドキッとする。こうした高解像度な描写は、新たに追加されたBAドライバーによるものだろう。
同時に驚かされるのが、低域の深さと量感だ。ダイナミック型ユニットの口径自体は10mmで、TOUR PRO 2とTOUR PRO 3で同じサイズなのだが、TOUR PRO 3はダイナミック型の振動板がカーボン紙 + TPUに進化しており、聴き比べるとTOUR PRO 3の方がより深く低音が沈み、量感も豊かで迫力のある音になっている。
また、「米津玄師/KICK BACK」のように激しいロックを聴くと、様々な音が乱れ飛ぶ中で、ゴリゴリのベースラインが刻まれるのだが、TOUR PRO 3の方が量感が豊富に出つつ、ベースのキレもしっかり描写できていて、より聴いていて気持ちが良い。
スピーカーにスーパーツイーターを追加した時など、高域がより伸びやかに聞こえるようになると、低域もより深く沈むように感じられる事があるが、あれに近い変化かもしれない。また、高域をBAにまかせる事で、ダイナミック型ドライバー側に余裕が生まれた事も低域のクオリティアップに繋がっている可能性もある。
いずれにせよ、色付けの少ない音色や、全体としてのバランスの良さといったTOUR PRO 2の方向性は維持しつつ、そのさらに先へとサウンドが進化した事が実感できた。
なお、ここまではLDACで音質をチェックしていたが、実はLDAC以外のコーデックを選択すると、豊富な補正関連機能が使えるようになる。具体的には「Personi-Fi」、「低音量EQ」、「音漏れ補正」、「空間サウンド」だ。
この中の「Personi-Fi」は、帯域ごとにテスト音を流して、再生する音楽を、ユーザーの聴覚特性に最適化するもので、TOUR PRO 3ではこれが「Personi-Fi 3.0」に進化。より精度を高めたそうだ。効果は人それぞれだと思うが、私の場合、実際に使ってみると、低域の強化やコントラストのアップなどを体験できた。
使ってみて面白いと感じたのは「低音量EQ」だ。これは、小音量で再生する時に、低音の量感などを補正してくれるもの。実際に試すと、ボリュームを絞った状態でも、中低域の押し出しが強くなり、低音の沈み込みも深くなる事で、音楽を聴いている満足度が高まる。何かの作業をしながらBGM的に再生する時にも良いだろうし、満足感が高まる事で必要以上にボリュームを上げる必要が無くなるので、耳の健康のためにも良い機能だろう。
空間サウンドも進化
「空間サウンド」も搭載している。これは、音楽や映像、ゲームアプリなど、様々な音源にHRTF(頭部伝達関数)などのアルゴリズムをかけあわせる事で、頭の外に広がりのある音場を作り出すものだ。
前モデルでも搭載していたが、TOUR PRO 3ではより計算能力の高いチップセットでアルゴリズムを最適化する事で、残響などさらにリアルに付加できるようになったそうだ。
実際に2chの音楽を流しながら、空間サウンドをONにすると、音が広がる空間が拡大。まるで広い部屋で音楽を聴いているような感じになる。
響きが増えるわけだが、感心するのは音楽自体の明瞭度に大きな変化はない事。単にエコーを追加すると、まるで風呂場で歌っているようなボワンボワンした音になるわけだが、空間サウンドではそうならず、歌声や楽器の音は明瞭でカッチリしたまま、その音が広がる空間だけが広くなる感覚だ。
また、空間サウンドには「音楽」、「映画」、「ゲーム」という3モードが用意されており、今までは「音楽」を選んでいたが、これを「映画」にすると、より空間が広大になる。Netflixの映画を再生している時に使えば、映画館で楽しんでいるようなサウンドになる。
さらにこの空間サウンドを強化する機能として、ヘッドトラッキング機能も追加された。これは、イヤフォンで頭の動きを検出する事で、その動きと聞こえる音の方向を変化させ、より没入感を高めるというもの。
要するに、普通のイヤフォンでは、ボーカルや楽器が目の前から聞こえるように感じるが、ヘッドトラッキングをONにして右を向くと、左耳からそれが聞こえ、右耳からは少ししか聞こえなくなる。仮想空間に音像を配置し、その空間の中で頭を動かした時の、聞こえ方の変化を再現しているわけだ。
普通の音楽再生でも使用可能だが、マッチするのはライブ録音された曲や、映画などだろう。それらを楽しみながら、机に置いたお菓子に手を伸ばしたりと、ちょっと動いた時に、音が聞こえる方向は常に固定されているので、没入感が高まるわけだ。
なお、JBL Headphonesアプリには、この精度を高めるためのキャリブレーション機能も搭載している。イヤフォンを装着した状態で、真正面を向いたり、下を向いたりして動きの検出精度を高める。
スマート充電ケースがより多機能に、トランスミッター機能にも注目
TOUR PROシリーズの代名詞となった、ディスプレイ搭載のスマート充電ケースも進化している。まず大きく違うのはディスプレイのサイズで、TOUR PRO 2は1.45インチだったが、TOUR PRO 3は約29%大きい1.57インチになった。
このディスプレイは操作だけでなく、好みの絵を表示でき、そこに魅力を感じている人も多いので、ディスプレイの大型化は嬉しい進化と言えるだろう。
機能も強化されており、まず待ち受け画面に、イヤフォンや充電ケースのバッテリー残量を見やすく表示してくれるようになった。持ち出す時などに「バッテリー残っていたよね?」とすぐに確認できるので、ありがたい進化だ。
さらに、再生中のアルバム名と楽曲名の表示に対応。こちらも嬉しい事に、日本語の楽曲も表示可能だ。
さらに、電話がかかってきた時にはその登録名と電話番号も表示。他にも、マルチポイントコントロールやAURACAST接続の操作、時間表示選択(24時間式 or AM/PM式)も出来るようになっている。
充電ケースの進化でもう1つ見逃せないのは、トランスミッター機能だ。これは何かというと、例えばBluetooth送信機能を持たないゲーム機と充電ケースを付属のケーブルで接続すると、ゲーム機からの音を充電ケースがワイヤレスでイヤフォンに送信してくれる、というものだ。
実際にNintendo Switchのイヤフォン出力に接続してみた。Nintendo Switch自体にBluetooth送信機能を備えているが、遅延が気になったりと、あまり使っていなかったが、イヤフォンからの音を充電ケースでワイヤレス伝送すれば、遅延もあまり気にならずにプレイできた。
ゲーム機だけでなく、テレビのイヤフォン出力に充電ケースを接続すれば、テレビの音をワイヤレスでイヤフォンから聴く事もできる。家族が寝静まった夜に、テレビを観たいけれど、スピーカーから音を出せない……なんて時に便利だ。
さらに、USB-C端子を採用しているiPhone 15/16や、iPadのユーザーであれば、このトランスミッター機能を使って聴くと、LC3 Plusコーデックで伝送され、より高音質で楽しめるというのも見逃せないポイントだ。
そして、今回は機会が無かったので試していないが、おそらく最も便利なのが飛行機での使用だろう。飛行機には、映画やラジオを聴くためのエンタメシステムが搭載されているが、そのステレオミニ出力に充電ケースを接続すれば、使い慣れたTOUR PRO 3で、飛行機の中のエンタメが楽しめるというわけだ。TOUR PRO 3はノイズキャンセル性能も強力なので、最適な使い方と言えるだろう。
ちなみに、このワイヤレス送信ではBluetoothの新しい機能であるAURACASTを使っている。これは、対応のイヤフォンやデバイスに同時送信するもの。あまり同時送信をする機会は無いかもしれないが、例えば、TOUR PRO 3を持っている他の人と、一緒に映画をイヤフォンで観るなんてこともできるだろう。
期待を超える進化を遂げた、新たな定番TWS
従来のTOUR PRO 2は、多くの人にオススメできる音質と、スマート充電ケースなどの利便性の高さが高次元で両立されており、非常に高い完成度のTWSだった。
その後継機となるTOUR PRO 3は、要求水準が高くなるわけだが、実際に使ってみると、BAを追加し、LDACに対応した音質面の進化と、機能がより豊富になり、トランスミッター機能まで追加したスマート充電ケースと、期待のさらに上を行く進化を見せつけてくれた。
これにより、スペックの面でもより安心して「TWS選びに迷ったらコレ」とオススメできるモデルになったと言える。また、他社の上級モデルを使っている人の、買い替え・買い増し候補としても強力なモデルと言えるだろう。既にTOUR PRO 2を使っている人が、TOUR PRO 3に乗り換えても、差額を超える満足度が得られずはずだ。