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今週末は「春のヘッドフォン祭 2018」。ゼンハイザーHD 820など見所チェック

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2018」が、4月28日(土)と29日(日)の2日間、東京・中野の中野サンプラザで開催される。入場は無料。

 各社がこのイベントに合わせて新製品を発表しており、会場ではそれらが体験できる。また、イベントでの新製品発表も予定されている。ここではそうした新製品情報の中から、特に注目のものをピックアップする。

ゼンハイザー

 ゼンハイザーブースの注目は、密閉型のハイエンドヘッドフォン「HD 820」だ。1月に米ラスベガスで開催された「CES 2018」で披露されたもの。ゼンハイザーの高級機では開放型がお馴染みだが、密閉型になっているのが特徴。

密閉型のハイエンドヘッドフォン「HD 820」

 ユニットとして「Ring Radiator」トランスデューサを採用。写真は開放型に見えるが、ハウジングにガラスカバーを配置している。振動板の背後から出る音を、ガラスカバーの凹凸が効果的に反射させる事で、開放型で音が抜けていくように減衰させるという。

 なお、日本での発売時期、価格は未定だ。

オンキヨー&パイオニア

 オンキヨー&パイオニアのブースでは、オンキヨーブランドのハイレゾプレーヤー「DP-S1」、「DP-S1A」、パイオニア「XDP-20」、「XDP-30R」において、今後予定している新機能である、aptX HD対応を先行体験できる。

オンキヨー「DP-S1A」

 今年の「ポタ研」で実施した機能のリクエスト投票で要望が特に多かったという機能で、ブースでは「DP-S1A」と「XDP-20」を使って体験できる。

 それ以外にも、4月18日にアップデートを行なった「Music App」(v1.9.0)を搭載したプレーヤーを使い、新機能の体験も可能。

 さらに、現在開発を進めているというマグネシウム振動版を搭載したヘッドフォンを参考出品。試聴もできる。設計担当者も同席し、素材や製品に関する質問を受け付けるほか、感想も直接伝えられる。

 左右分離の「SE-C8TW」、ハイレゾイヤフォン「SE-CH3T」などの新製品も展示する。

final

 S'NEXTは、finalブランドの人気イヤフォン「Eシリーズ」のリケーブル対応モデル「E5000」、「E4000」を5月10日より発売予定だが、その2機種を出展予定。E5000はステンレス鏡面仕上げの筐体を、E4000アルミニウムの黒アルマイト仕上げの筐体を採用。ドライバはいずれも6.4mmのダイナミック型で、ドライバ背面の内部筐体に音響レジスターを搭載し、中低域の特性をコントロールしている。

E5000

 また、国内総代理店として扱う新ブランド「hearable LAB」の、左右完全分離型のBluetoothイヤフォン「flapFit FF-TW10」を体験できる試聴会を、finalブース隣で実施予定。hearable LABは、ソニーで世界初のノイズキャンセリングイヤフォンを開発した保坂明彦氏と、パナソニックでDVD-Rメディアの開発と規格化を主導、サムスン電子でUltra HD Blu-rayフォーマットや大容量メディアを提案・策定した田坂修一氏が立ち上げたオーディオブランド。

左右完全分離型のBluetoothイヤフォン「flapFit FF-TW10」

ミックスウェーブ

 ミックスウェーブでは、64 AUDIO、ALO audio(Campfire Audio)、Beat Audioの新製品に加え、香港の新興カスタムイヤフォンメーカー・FAudio(エフオーディオ)が初出展する。

 Campfire Audioの「ATLAS」は、152,700円の予定で、日本での発売時期は未定。筐体にステンレススチールを使い、ドライバはADLC 10mmダイナミック型のシングル。ケーブルはPure Silver Litz Cable(銀線)を採用する。

Campfire Audioの「ATLAS」

 同じくCampfireの「COMET」は、24,800円で発売を予定しており、発売時期は未定。筐体はステンレススチール、ドライバはバランスド・アーマチュア(BA)のシングルで、ケーブル素材はRemote Litz Copper Cable(銅線)。

Campfire Audioの「COMET」

 qdcからは「Anole V3」というイヤフォンが登場。8万円程度での発売を予定し、発売時期は未定。BA×3基を搭載、DIPスイッチをハウジングに設けており、切り替える事で異なる4つのサウンドが楽しめる。

qdc「Anole V3」

 Beat Audioからは、ケーブル「Azurite」の試作機が出展。発売時期、価格は未定。銀をベースにした合金素材を使ったもので、グレードとしては「Prima Donnaクラス」になるという。さらに、Beat AudioのBluetoothケーブル試作機も展示予定。

 64 AUDIOの新製品は「A4t」で、価格と発売日は未定。BA×4基構成で、tia System、apex Technologyも採用している。

FAudioのカスタムイヤフォン

 初出展のFAudioは、音響設計のエンジニアとしてLGやVodafone、Miniwatで10年以上活躍したFung Wong氏が2014年に設立。それ以前から、OEMや技術コンサルタントを含むオーディオ機器に関する研究開発を行なっていたという。

 2015年には、ツアーギタリストであり、S3 Music Studio、Zoo Music Studio、Baron Pro Studioでミキシング・エンジニアをしていたKen Lee氏がファンダーとして参加。ワールドワイドでビジネスを展開している。

 設立当初は「リモールド(アップグレード)」や「リシェル」といったサービスを提供しつつ、それと並行して新しいBAドライバの設計開発をKnowlesや中国のBAメーカーと実施。2016年に発表した処女作「KFシリーズ」は、ユニークなサウンドデザイン、高いコストパフォーマンス、独自のカスタムアートワークなどで、アジア圏で人気を集めたという。

 日本導入にあたってミックスウェーブでは、現行の「KFシリーズ」をブラッシュアップさせた新しいラインナップを、FAudioの開発責任者Fung Wong氏、Ken Lee氏と手掛けることに決定。一部製品については、ミックスウェーブとの共同開発となり、同モデルのサウンドデザインはミックスウェーブの宮永氏が担当する。

 ラインナップとユニット構成は、ハイブリッド型「Scale」がBA×1、ダイナミック×1。BAモデルの「Chorus」がBA×3、「Harmony」がBA×5、「Symphony」がBA×7。なお、Symphony以外は共同開発モデルとなる。

 さらに、ダイナミック型のモデルとして、「Passion」(自社設計9.5mmメディカルファイバーダイナミック型 + ステンレス製サウンドチューブ)、「Minor」(自社設計10mmダイナミック型 + 純銅製サウンドチューブ)、「Major」(自社設計10.5mmダイナミック型 + 無酸素銅製サウンドチューブ)も用意する。

スタックス

 静電型ヘッドフォンの新たな最上位モデルとして、6月中旬に発売予定の「SR-009S」が、一足先に体験できる。価格は46万円。既発売の「SR-009」をベースとしながら、第二世代固定電極「MLER2」を搭載。静電型ヘッドフォンの発音体(サウンドエレメント)は、振動幕を2つの固定電極がサンドイッチするような構造になっているが、SR-009Sではこの電極をさらに進化させ、アフターエッチングと呼ばれる処理によって、固定電極に空いた孔の縁を滑らかにし、空気抵抗を低減。音の透過性をより向上させ、金メッキ処理も施している。

静電型ヘッドフォンの新たな最上位モデル「SR-009S」

 同社史上初となる、DAC搭載のポータブルタイプ「SRM-D10」を出展。6月中旬発売予定で、価格は9万円。リチウムイオンバッテリを搭載し、出力として、5Pin PROバイアス用コンセントを搭載。屋外でも、同社の全PRO BIAS静電型ヘッドフォンをドライブできる。

DAC搭載のポータブルアンプ「SRM-D10」

アユート

 Astell&KernとJH AUDIOのコラボイヤフォン「THE SIREN」シリーズの新モデルで、5月下旬発売予定の「Billie Jean」(ビリー・ジーン)を出展。直販価格は39,980円(税込)。

 2ウェイのBA構成で、独自開発のカスタムBAを採用。高域用と中低域用の構成で、高域用が情報量の全てを再生、中低域用は限りなくフラットな中域と、歪を最小限に抑えた低音を再生するという。

Billie Jean

 AZLA(アズラ)からも新イヤフォンとして、「HORIZON」(ホライゾン)が5月下旬に登場。直販価格は32,980円(税込)。極薄の3層振動板で、分割振動などをコントロール。そのユダイナミック型ニットを、ポリカーボネートの透明なシェルで覆う技術などが特徴だ。

「HORIZON」。左からクリムゾンレッド、エボニーブラック

 4月27日に発売されたばかり、groovers Japanが設立したオーディオブランド・ACTIVO(アクティヴォ)の第1弾ポータブルオーディオプレーヤー「CT10」も展示。直販価格は39,980円(税込)。

 昨年12月に発表されていたが、発表時からファームウェアなどが大幅にアップデートされ、機能強化されている。

ポータブルオーディオプレーヤー「CT10」

 5月下旬に発売する、DITAブランドのイヤフォン「Twinsシリーズ」も出展。「Fealty」と「Fidelity」の2機種で、ベースは同じだがサウンドチューニングが異なる。直販価格は各139,980円(税込)。

 プレーヤー側の出力端子に合わせて2.5mm 4極とステレオミニのプラグを交換できる。どちらも新開発の10mm径ダイナミック型ドライバ「デュアル・マテリアル・コンポジット・ドライバ」を搭載。振動板にPET(ポリエチレンテレフタレート)とPEN(ポリエチレンナフタレート)の混合素材を採用し、「しなやかで豊かなサウンド」を実現している。

DITA Twinsシリーズの「Fealty」

エミライ

 米MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「VOCE」(ボーチェ/MRS-VC-20)が4月27日から発売。イベントにも出展される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39万円前後。

米MrSpeakers初の静電型ヘッドホン「VOCE」

 5月1日から取り扱いを開始する、米MYTEK Digitalのコンシューマ―・オーディオ製品も展示。新製品の「Brooklyn DAC+」と「Liberty DAC」。また、これまで扱っていた今井商事が販売していたハイエンドモデル「Manhattan DAC II」も、エミライが継承して扱っていく。

「Brooklyn DAC+」

  FiiOの新しいポータブルハイレゾプレーヤー「M7」、USB DAC/ポータブルアンプ「Q5」、プレーヤーの「X7 Mark II」や「Q5」に装着できる、4.4mmのバランス出力搭載アンプモジュール「AM3B」なども出展予定。

左からUSB DAC/ポータブルアンプ「Q5」、ポータブルハイレゾプレーヤー「M7」

アスク

 取扱いメーカーであるAUDEZE製品を多数展示予定。3月に発売開始となった改良復刻モデルの平面駆動型ヘッドフォン「LCD-2 Classic」や、スタジオモニター用プロフェッショナルモデルの「LCD-MX4」などに加え、海外発表されたAUDEZE社初のゲーミングヘッドフォン「Mobius」も登場。

 フラッグシップモデル「LCD-4」を低インピーダンス化し、より鳴らしやすく改良した未発表モデル「LCD-4Z」も参考出品するという。

AUDEZE社初のゲーミングヘッドフォン「Mobius」

オーディオテクニカ

 オーディオテクニカが、“圧倒的な低域表現”をコンセプトとして展開するヘッドフォン「SOLID BASS」シリーズ。そのラインナップが刷新され、新たに7モデルが発売される。

 注目度が最も高いのは、オーディオテクニカ初の左右完全分離型イヤフォン「ATH-CKS7TW」だが、7月中旬と発売がまだ先という事もあり、今回のヘッドフォン祭には残念ながら展示されない見込みだ。

 その代わり、ネックバンド型のBluetoothイヤフォン「ATH-CKS770XBT」や「ATH-CKS550XBT」、有線タイプでシリーズ最上位のイヤフォン「ATH-CKS1100X」や、「ATH-CKS770X」、「ATH-CKS550X」といった、他の新製品は会場で楽しめそうだ。

ATH-CKS1100X

トップウイングサイバーサウンドグループ

 Lotooの新ポータブルプレーヤー「PAW Gold TOUCH」(パーゴールドタッチ)を展示する。2018年夏頃に発売予定で、価格は未定。タッチパネル方式の3.77型液晶ディスプレイを搭載。OSはAndroidでもLinuxでもない独自の「Lotoo OS」で、「音質最優先思想を貫き、また動作も起動2秒という驚異的な速さを誇っている」という。

「PAW Gold TOUCH」

 4月28日発売、iFi audioのDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「xDSD」も紹介。価格は54,000円。DAC搭載のアンプで、micro iDSDと同等のスペックを持ちながら、サイズはnano iDSDよりもさらに小さくなっている。

iFi audioのDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「xDSD」

HiBy Music Informationのハイレゾプレーヤー

 ヘッドフォンブランドのKuraDaを展開する飯田ピアノが国内販売代理店となり、5月中旬に発売を予定しているのが中国HiBy Music Information Technologyのハイレゾプレーヤー。

HiBy R6(画像はCGのため製品版と異なる場合がある)

 「HiBy R6」と「HiBy R3」の2機種で、価格はR6のステンレスモデルが69,800円、アルミニウムモデルが59,800円。 R3は26,800円(予価)。

 HiBy R6は、DACにESS製の「ES9028Q2M」を2基搭載。DSD 11.2MHzやPCM 384kHz/32bitなどの再生に対応。Snapdragon 425と、3GB RAMを備える。Android SRCを迂回するビットパーフェクト再生が行なえ、“ほぼ全てのAndroidアプリからロスのないオーディオ出力を可能にする”という。R6専用にカスタマイズされたアプリHiByMusic3.0を搭載する。

 HiBy R3は、アルミ合金製シャーシのコンパクトモデルながら、DSD 11.2MHzやPCM 384kHz再生に対応。DACはESS ES9028Q2M。ヘッドフォン出力は2.5mm 4極バランス。

コペックジャパン

 Cayinブランドの新製品として、据置型真空管アンプ「HA-300」を国内初出展する。「Cayinの過去20年における真空管アンプ設計、生産の叡智が結集したフラッグシップモデル」と位置付けられ、パワー管に300Bを採用、シングル出力に加え、バランス出力(4ピン XLR)とスピーカー出力にも対応する。

各社が発表会

 4月28日14時から、8F 研修室6にてbeyerdynamicの新製品発表会が開催される。テスラテクノロジー搭載のワイヤレスヘッドフォンが登場するという。

 エレコムも、28日13時30分から、6F チャペルにて発表会を予定。MEZE AUDIOの新製品発表会は、28日17時20分から同チャペルにて開催予定。創始者のAntonio Meze氏が来日する。