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ビエラ最高峰の高コントラスト4K有機EL「JZ2000」。7.1ch/125Wスピーカー
2021年4月21日 10:15
パナソニックは、ビエラ(VIERA)の新製品として、自社設計・組み立ての有機ELディスプレイを搭載した4K有機ELテレビ「JZ2000」シリーズを5月21日に発売する。画面サイズは65型と55型。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は65型が55万円前後、55型が39万円前後。
2020年10月に発売した、4K有機ELビエラのフラッグシップ「HZ2000」シリーズの後継機種。
最大の特徴は、'19年モデル(GZ2000)から搭載していた「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」の全面刷新。素材・構造をリビルドすることで放熱性能をさらに強化。HZ2000世代で業界トップクラスといわれたコントラスト性能を一段と高め、「“ビエラ史上最高峰”の高コントラスト映像を実現した」という。
独自ディスプレイのほかにも、最上位4K液晶ビエラ・JX950シリーズに先行搭載された自動画音質調整機能「オートAI画質/音質」や、4K120p/VRRサポートのHDMI入力、総合出力125Wの7.1chスピーカー、4K放送ダブ録、Googleアシスタント&Alexa音声操作をサポートするなど、画質・音質から機能まで、前モデルから大幅にアップデートされた。
なお、同日発表のスタンダード4K有機ELビエラ「JZ1000」シリーズは、別記事を参照のこと。
構造&素材一新の第2世代「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」
4K解像度の有機ELセルに、パナソニック独自の設計・組立を行なうことで、高い放熱と高輝度性能を実現した、第2世代「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を搭載しているのが最大の特徴。
'19年、'20年モデルではセルとバックカバーの間に、特殊素材のシートと放熱プレートを挿し込んでいたが、'21年の第2世代では、バックカバーと放熱プレートを一体化。さらに新素材の貼付け構造で組み立てることで、放熱性能を最大化。「徹底的に放熱効果を高めることで、有機ELパネルのポテンシャルを最大限にまで引き出し、従来モデル以上の明るさとコントラストを実現した」としている。
ディスプレイ性能の向上と合わせ、制御技術「Dot Contrast パネルコントローラーPRO」も進化。画素単位で明るさの分布、および色の情報を制御し、明部や暗部の豊かな階調や色表現を可能とする制御技術に加え、新たにエリア毎の入力信号情報の解析アルゴリズムを追加。独自設計のディスプレイ性能に最適な調整を施すことで、より明るく鮮やかな映像に仕上がっているという。
同社担当は「セルの世代による違いはそこまで大きくない。何より重要なのは、放熱を考慮したディスプレイの構造や素材であったり、パネルを如何に制御させるかといった部分だ。その技術とノウハウがあるか否かで、有機ELパネルの性能は大きく変わる。JZ2000には、構造を刷新した第2世代のディスプレイを搭載した。そして下位のJZ1000にも、第2世代のカバー一体型放熱プレートを入れている。輝度が向上することで焼き付きを懸念されるかもしれないが、焼き付きの原因も突き詰めれば“熱”。輝度を稼ぎながら、熱を逃がすノウハウはプラズマテレビの開発で蓄積されており、それが我々の有機ELビエラにも活かされている」と話す。
JZ2000においても、これまでのフラッグシップと同様、出荷時のパネル調整を実施。測定結果に応じた個別のホワイトバランス調整・階調表現調整に加え、独自開発のチューニングシステムにより、暗部階調表現のわずかな乱れを低減。加えて、暗部表現のわずかな乱れを低減する業務用モニター並みの精度を実現する独自の調整工程を追加することで、プロフェッショナル品位の暗部階調描写を誇るとしている。
シーンに応じて自動で画音質を調整する「オートAI」
JZ2000では、AI技術を用いて自動で画質・音質を調整する「オートAI画質」、「オートAI音質」機能が新搭載されている。
オートAI画質は、放送や映画など100万超の映像シーンからなる学習用データベースをAI学習させ、「シーン認識アルゴリズム」を生成。同アルゴリズムがシーンを認識し、シーン毎に「ヘキサクロマドライブ」「AI HDRリマスター」「4Kファインリマスターエンジン」などの高画質化技術を統合的に制御し、映像を部分ごとに自動で最適な画質に調整するもの。たとえば、映画の暗いシーンは細部までコントラスト豊かに描き、晴天のスポーツのシーンは芝生の色まで明るく色鮮やかに表現してくれる。
さらにオートAI音質では、シーン判別に応じて理想的な音場と音質に自動的に調整。スポーツのシーンではスタジアムの臨場感を、ライブなら会場の迫力さながらに、ニュースのシーンは音を画面中央に定位させて声をはっきりと聞き取りやすく調整してくれるという。
有機EL専用の映像処理回路「ヘキサクロマドライブ プラス」を引き続き採用。'21年モデルでは、HDR10/HDR10+コンテンツの入力時、シーンに応じてHDRトーンマッピング処理を動的に変化させる技術が追加されており、高輝度域でも色鮮やかで、階調豊かな映像を実現したという。
他にも、入力された映像信号のオリジナル解像度を判別して、ディテール処理を最適化させる「素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン」、AIによる機械学習で素材をHDRのような高コントラスト映像に変換する「AI HDRリマスター」、HDR10規格のUHD BDコンテンツを高コントラスト化する「ダイナミックメタデータクリエーション」などを引き続き搭載している。
画面の一部に黒画面を挿入することで動画ぼやけを低減する「クリアモーション」や、映像内で物体が動く量を検出・背景と分離して破綻のない倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」も搭載する。
HDR機能としては、新たに「HDR10+ ADAPTIVE」に対応。HDR10+コンテンツの映像を表示する場合は、部屋の明るさに合わせてテレビが自動で画質調整するため、視聴環境に左右されずにコンテンツの映像を最も最適な状態で鑑賞できるという。ほかにも、HLG、HDR10、HDR10+、Dolby Vision、HLGフォトをサポートする。
HDMI2.1対応も大幅に強化された。従来はeARC、ALLMのみだったが、新たに4K120p入力をサポートした「ゲームモード エクストリーム」を設置。PlayStation 5やXbox Series X、AMD製PCカードの4K120p映像を表示できるようになった。
信号の処理時間を短縮することで通常モードよりも映像表示までの遅延を低減しており、すばやい操作を要求されるゲームも快適に楽しめるという。
さらに、映像ソースのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートのズレによって発生する“画面割れ”を防ぐ「VRR」と、AMD製グラフィックスカードと接続した際に低遅延・ティアリングの無いスムーズなゲームプレイができる「AMD FreeSync Premium」にも対応する。
なお、'21年モデルの有機ELビエラは、'20年モデルよりも更なる低遅延化を実現。ゲームモードにおいて、従来よりも遅延が半分に抑えられているとのこと。
Technicsチューニングの総合125W/7.1chスピーカーシステム
音質面では、3chのフロントスピーカーと、テレビ背面上部に上向き配置したイネーブルドスピーカーに加え、新たに左右側面に配置したワイドスピーカーを新搭載した、総合125W/7.1chのダイナミックサウンドシステムを搭載(HZ2000は、総合140W)。
具体的には、中央のセンタースピーカーでは、映画やドラマのセリフ、音楽のボーカルなどの音像定位感を高め、クリアなサウンドを実現。中央配置のウーファーユニットは、迫力の低音で臨場感を強化。上部のイネーブルドスピーカーと横向き配置のワイドスピーカーが画面中央に音像を定位させると同時に、音を上下左右に広げることで、部屋中を音で包むような高い臨場感を目指している。
立体音響技術Dolby Atmosにも対応。最新の音声処理システムを搭載することで、テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換できる。環境を計測する「Space Tune Auto」も搭載。リモコンに搭載したマイクを使い、テレビで再生したテストトーンを計測。天井や壁からの距離や反射の影響などを解析し、視聴環境に合わせた最適な音質補正を自動的に行なう。
テクニクス製品の開発チームによる官能評価と、独自の音響解析システムを使ったチューニングによる「Tuned by Technics」仕様となっている。なお、フルデジタルアンプのJENO Engineをはじめとする各種オーディオグレードパーツはJZ2000では搭載しない。
同社担当は「今回はサイドスピーカを搭載し、音声チャンネル数が増加したことにより、新たな音声処理回路を搭載した。品位としてはTuned by Technicsを名乗るにふさわしい基準を満たした設計としている。また、テクニクス技術陣とのチューニングを行なっていることは従来モデル同等。HZ2000ではJENO Engineやオーディオクラスの部品を採用したことによるHiFiオーディオ的な高音質を訴求してきたが、JZ2000では立体音響をより大迫力で再現できる高音質に力点をシフトしている。これにより、テレビにサウンドバー等を設置することでは得られない、テレビと立体音響システムを一体化したビエラが目指す高音質をより高めることができた」と説明している。
スッキリとしたディスプレイ部にデザインをマッチさせるため、スイッチの構造を見直した薄型デザインの転倒防止スタンドを採用。底部の吸着システムを使い、転倒を防いでいる。前後15度のスイーベル機能も搭載。テレビを好みの向きに変えることができる。
4K放送ダブル録画を実現
BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載しており、別売のHDDを接続する事で裏番組録画が可能。2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、4K放送のダブル録画が可能。
2画面機能も4K放送に対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が可能になった。ただし、4K放送の2画面表示はできない。
お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。全自動4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる。また全自動4Kディーガとの組み合わせで、過去の録画番組と未来の放送予定番組を番組表からチェックできる「過去未来番組表」も4K放送に対応する。
新メニュー画面とデザイン一新のBluetoothリモコン
'21年モデルでは、メニュー画面やリモコンが大幅にリニューアル。新しいメニュー画面では、操作頻度の高い各種設定がピックアップされており、2画面表示や字幕操作も新メニューから簡単に行なえるようになった。
新リモコンでは、デザインとキーレイアウトを刷新。操作性を高めるために、リモコンのエリアを放送視聴操作、基本操作、録画コンテンツを見るための再生操作、ネット動画視聴操作の4つにゾーニングして配置。
リモコン中央にあるマイクボタンを押して発話すると、音声でコンテンツの検索やテレビの基本操作が行なえる。従来のビエラ音声操作に加え、新モデルではGoogle アシスタントとAmazon Alexaに対応。音声操作を行なう際は、いずれかを選択・設定して利用する。
またテレビとの通信には赤外線ではなく、Bluetoothを採用。これにより、テレビにリモコンを向けることなく操作できるようになった。
ネット動画視聴を求めるニーズに合わせ、配信サービスのダイレクトボタンを増設。従来のABEMA、Netflixに加え、Amazon Prime、Hulu、U-NEXT、Rakuten TVのボタンを新設。
ダイレクトボタンを設けた映像配信サービス以外にも、TVer、YouTube、dTV、デジタル・コンサートホール、DAZN、TSUTAYA TV、スカパー! オンデマンド、Paravi、TELASA、DMM.com、ひかりTV 4Kなどが視聴できる。
HDMI入力端子は4系統で、HDMI 1~2が40Gbps(最大4K120p)、HDMI 3~4が18Gbps(最大4K60p)入力に対応。HDMI 2はeARCをサポート。
HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵。Bluetoothは送受信をサポートし、テレビの音を2台まで同時送信できる。
消費電力と年間消費電力量は、65型が560Wで、221kWh/年。55型が421Wで、180kWh/年。
スタンドを含めた外形寸法と重量は、65型が144.8×35×91.6cm(幅×奥行き×高さ)で、約28kg。55型は122.7×35×79.2cm(同)で、約23.5kg。