ニュース
Sonos、ブランド最小のサウンドバー「Ray」
2022年5月12日 09:00
Sonosは5月12日、ブランド史上もっともコンパクトなサウンドバー「Sonos Ray」を発表した。日本では今秋発売予定で価格は未定。海外では6月7日より279ドルで発売する。カラーはブラックとホワイトで、いずれもマット仕上げ。
外形寸法559×95×71mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトなサウンドバー。「Sonosが持つカテゴリーでトップクラスのシンプルさと多用途性を手頃な価格で実現した」モデルで、テレビから2~2.5m程度の距離での使用を想定しているという。初めてのユーザーでも簡単にホームシアターを構築でき、サウンドシステムを他の部屋に拡張することもできる。重さは1.95kg。
ツイーターとミッドウーファーを各2基ずつ搭載。サウンドバー独自の音響構造に合わせて、精緻にチューニングされた4つのクラスDデジタルアンプを備える。ツイーターはアシンメトリックウェーブガイドによる壁面反射を利用してサウンドを拡散し、音響処理プロセッサによって的確な音場を再生。独自のバスレフ設計によってバランスのとれた迫力ある低音も実現している。他のSonos製品同様に、ハリウッドの第一線で活躍するサウンドエンジニアがチューニングを担当した。
対応iOSデバイスと組み合わせることで、設置された空間の音響特性を測定し、サウンドを調整する「Trueplay」も利用可能。Sonosアプリからは低音、高音、ラウドネスの調整や、セリフがクリアに聴こえるスピーチエンハンスメント、大きな音を抑えて静かな音を強調するナイトサウンドなども利用できる。
対応音声フォーマットはステレオPCM、Dolby Digital 5.1、DTSデジタルサラウンドで、Dolby Atmosには非対応。同社のオーディオエンジニアリングシニアディレクターのクリス・デイビス氏によれば「Rayで注力したのはテレビのサウンドクオリティを上げること。セリフの聴き取りやすさや、音の広がり、低音の明瞭さを強化することだった。これを実現するには5.1対応で十分だった」とのこと。
入力は光デジタルのみ。ケーブルが付属しているため「箱から出してわずか数分で極上のサウンドを楽しめる」という。Wi-Fiにも対応しており、各種音楽ストリーミングサービスやAirPlay 2を利用可能。赤外線レシーバーも備えており、Sonos Rayをテレビリモコンと同期させて操作することもできる。LANポートも装備。
筐体は丸みを帯びた形状。搭載する音響コンポーネントがすべて前方に向けられたデザインのため、AVラックなどに収納しても、サウンドバーのサウンドがキャビネットの内面に干渉を受けることもないという。別売りのウォールマウントを使った壁掛け設置にも対応。本体はタッチ操作に対応し、再生や一時停止、音量調整、曲送り、リプレイをタップで操作できる。
ほかのSonosスピーカーを追加して、さまざまなサウンドシステムを構築できるのも特徴。別売りのスマートスピーカー「Sonos One」をサラウンドスピーカーとして追加することでホームシアター環境を構築できるほか、他の部屋にSonosスピーカーを置くことでマルチルームリスニングも楽しめる。
パッケージは「過去最もサステナブルなデザイン」を採用しており、ギフトボックスと保護クッションは古紙再生紙100%を使用する。
同社のパトリック・スペンスCEOは「家という場所は、映画、フィットネス、ゲームなど、様々なものを楽しむ場所に変容してきました。そしてその全てが、テレビや音楽、映画だけにとどまらないストリーミング時代に支えられています。Sonos Rayは、小型ながら音質が非常に優れているため、それらのサウンド体験をこれまでになく簡単にレベルアップさせることができます」と述べている。
音を聴いてみる
実機を目にして、まず驚かされるのは、そのコンパクトさ。重さ1.95kgで片手でも持てなくはないサイズ感だった。今回試聴した環境では65型テレビと組み合わせて設置されていたが、推奨テレビサイズは55型程度という。
このSonos Rayはドラマや映画などのセリフが聴き取りやすいチューニングが施されつつ、小型筐体ながらしっかりとした低音を響かせるのが特徴。映像コンテンツでは映画「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」から主人公エディ・ブロックとヴェノムの会話シーンを再生。エディの声はもちろん、お腹に響くような低音に加工されているヴェノムの声も歪みなくクリアに聴き取れた。
続いて「フォードvsフェラーリ」のワンシーンも再生。遠くでレーシングカーが走る中、マット・デイモン演じるキャロル・シェルビーが電話越しに会話するシーンでは、そのセリフを明瞭に聴き取れつつ、遠くでレーシングカーが発しているエキゾーストノートを感じられた。
音楽も聴いてみると、人の声が聴き取りやすいチューニングということもあり、ボーカルの押し出しが強い印象。女性R&BシンガーのH.E.Rのデビューアルバムから「Back of My Mind」を聴くと、ボーカルが全面に響きつつも、ドラムやベースのサウンドも埋もれずに量感を持って鳴ってくれる。
今度はドラムやベースが強く響く「What It Is/Amber Mark」を試聴。こちらでは迫力がありつつ歪みのないクリアな低音を楽しめつつ、その迫力に負けないボーカルも味わうことができた。
またSonosといえば、複数の製品を連携させてサラウンド環境を構築できるのも特徴。今回はSonos Rayに加え、サテライトスピーカーとしてSonos One、サブウーファーとしてSonos Subを加えてサラウンドでも試聴した。
担当者によれば、Sonos製品は連携されたスピーカーに応じて、それぞれがベストな音域を担うようプログラミングされているといい、例えばSonos RayとSonos Subを組み合わせた場合、自動的にSonos Rayが中高域に集中し、Sonos Subが低域を担うようになるという。
実際にSonos Ray単体とサラウンド環境で聴き比べてみると、Sonos Rayが中高域だけを担うようになるため、後者のほうがより明確にセリフを聴き取れるようになった。もちろん低域はサブウーファーのSonos Subが担うため、量感も桁違いに増える。
現時点で価格は未定だが、「手に取りやすい価格帯になる」とのことで、高い拡張性も含め、コンパクトかつ手軽にテレビの音を良くしたい人には要チェックな製品となりそうだ。
ポータブルスピーカーに3つの新色。「Hey Sonos」で操作できる独自音声システムも
Wi-FiとBluetoothに対応し、屋内外で利用できるポータブルスピーカーのSonos Roamには、のどかな自然やアウトドアライフにインスピレーションを得てデザインしたという新色のOlive(オリーブグリーン)、Wave(オーシャンブルー)、Sunset(サンセットオレンジ)が追加される。日本では今夏より23,800円で発売する。海外では5月11日より販売。
Oliveは砂漠のボテンや美しい庭園などを思い起こさせるカラーで、Waveは海辺やプールサイドの穏やかなひとときを表現。Sunsetは、一面の砂漠と鮮やかな夕焼け空をイメージしたとのこと。同社のハードウェア担当で、シニアバイスプレジデントのマキシム・ブーヴァ・メーラン氏は「実際に出かける場所をイメージしたSonos Roamの最新色は、サウンドだけではなく、より多くの方法で個性を表現するアクセントアイテムとして最適」としている。
また、グラミー賞受賞歌手であるLordeともコラボレーション。彼女がインスピレーションを受けたアーティストや音楽を紹介するキュレーション番組「SOLARSYSTEM」をSonos Radioで公開し、Roam専用の限定キャリーバッグもデザインする。Sonos Radioは全Sonosユーザーが視聴でき、日本ではMixcloudを通して視聴できる。
そのほか、Sonosはブランド初となる独自の音声システム「Sonos Voice Control」も発表した。6月1日から米国で、2022年後半にフランスで提供開始。その後順次利用可能な国・地域を拡大する。日本語への対応は、その有無も含めて未定という。音声対応のSonosスピーカー全製品で使用でき、ソフトウェアアップデートによって無料で使用可能になる。
「音楽を聴くためだけの音声システム」に位置づけ、スマートホーム機能などは備えない。設計段階からプライバシーに配慮しており、リクエストはすべてデバイス上で処理する。ローカル処理によって応答時間の速度を上げ「Hey Sonos」と呼びかけるだけで簡単に起動可能。
応答音声の第1号にはドラマ「ブレイキング・バッド」や「ベター・コール・ソウル」、「マンダロリアン」などで知られる俳優、ジャンカルロ・エスポジート氏の音声を採用した。今後さまざまな人の声の追加も予定されている。
5月12日時点での対応サービスはSonos Radio、Apple Music、Amazon Music、Deezer、Pandora。なお、Sonos Voice Control導入後もAmazon Alexaなど他社製音声アシスタントのサポートは継続する。