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Sonos、小型サウンドバー&ウーファー投入で「選択肢を提供」。ブランドイベント開催

Sonosのサウンドバー、サブウーファー、サテライトスピーカー製品たち

Sonosは9月14日、新製品を紹介するイベント「Feel More with Sonos」を開催し、同日に日本国内で発売を迎えたサウンドバー「Sonos Ray」や発表したばかりの円柱型ワイヤレスサブウーファー「Sonos Sub Mini」を披露した。イベントにはSonosグローバル製品企画部門バイスプレジデントのジェフ・ダーダリアン氏も登場し、Sonos製品の強みを「プレミアムなサウンド、使いやすくシンプルな操作性、そして美しいデザイン」であると語った。

サウンドバー「Sonos Ray」とワイヤレスサブウーファー「Sonos Sub Mini」

14日に発売を迎えたSonos Rayは、ブランド史上もっともコンパクトなサウンドバーで、サウンドバーを手にするのが初めての人でも容易にホームシアターを構築したり、サウンドシステムを他の部屋に拡張したりできるという。価格は39,800円。イベント当日に発表されたSonos Sub Miniは、発売中の「Sonos Sub」よりも小型なワイヤレスサブウーファー。円柱形のデザインを採用することで「場所を取り過ぎることなく自宅のインテリアに自然に溶け込む」モデルに位置づける。価格は64,800円。

ビデオメッセージで登場したパトリック・スペンスCEO

発表会の冒頭では、Sonosのパトリック・スペンスCEOからのビデオメッセージが流され、スペンスCEOは「音は単に耳で聴くものではなく、感じとるものです。ホラー映画を観ているときや、目を閉じて好きな音楽に聴きっているとき、私たちの心臓は高鳴ります。音は感情や記憶を呼び起こし、変化をもたらすパワーがあります。また、私たちは今、多くのストリーミングサービスが没入型オーディオを提供する時代にいます。だからこそ、私たちはSonos Beam(Gen 2)に続いて、ホームシアター製品を拡充するべく、もっともコンパクトなサウンドバー、Sonos Rayと小さなサブウーファーSub Miniを発売します。どちらも日本の家庭に完璧にフィットするモデルです」とコメントした。

ジェフ・ダーダリアン氏

続いて、Sonosグローバル製品企画部門バイスプレジデントのジェフ氏が登壇し、Sonos製品のコアとなる概念について、「まずは素晴らしいサウンド、2つ目は選択の自由、3つ目は快適に体験できること、4つ目は落ち着いたデザイン」と説明した。

「『アーティストが音を使って表現したものが、オーディエンスに対して自然に伝わるようにすること』が我々のサウンドの概念です。これを実現するため、各アーティストと密に連携を取りながら、Sonos製品が作り出す音がアーティスト目線で自然なものになっているかを確認しながら製品づくりを進めています」

「選択の自由について、Sonos製品は100以上のストリーミングサービスをサポートしており、ユーザーはそこから自由に(利用するサービスを)選ぶことができます。こうした選択の自由をベースにして、同時にSonos製品をアプリや音声、Apple AirPlayなどを使って自由にコントロールすることもできます」

「3つ目の柱は、体験そのものが快適であること。シンプルな製品デザイン、シンプルな操作性という点で、多くのみなさまにSonos製品を使って頂いています。設定のプロセスもとてもシンプルです。そして、落ち着いたデザインが4つ目の柱です。テクノロジー自体に興味がある人は多いと思いますが、それをじっと見続けたいと思う人はいないと思います。Sonosのインダストリアルデザインは、落ち着いていて、部屋に馴染みやすいものを目指しています。ユーザーにはサウンド体験に没入してもらいたく、それを邪魔する要素はできるだけ排除したいのです」

ジェフ氏は続けて、Sonos RayとSonos Sub Miniの2製品を改めて紹介し、これらホームシアター製品では3つの側面を重視していると語った。

「ひとつはセンターチャネルを活用して明瞭さを上げること。例えば動画を見ているとき、そのなかの会話がしっかり聴き取れることは重要です。またセンターチャネルを活用すると、声の質も暖かく、聴き取りやすくなります。もうひとつは音の広がり。音が広がることでフルの没入体験を楽しんでいただけます」

「Sonos Rayはコンパクトなデザインで、どこにでも馴染みます。設定もとてもシンプルで、電源ケーブルと光ケーブルを繋げば、あとはアプリの指示に従うだけです。Sub Miniでは、とにかくディープでインパクトある音を体験していただきたい。本体には6インチのウーファーが2基、向かい合うように配置されていて、クリアな低音を楽しめます」

「デザインにもこだわりました。サブウーファーと聞くとボックス型のデザインを想像すると思いますが、Sub Miniはそうではありません。円柱型デザインのため、スピーカーというよりも家具に近く、部屋にフィットします。簡単に接続・コントロールできることも重視しました。

「さらに音場補正技術のTrueplayを使えば、各部屋にあわせたサウンド調整が可能です。この機能を活用して、さまざまなファクターを踏まえた調整を行なうことで、Sub Miniではインパクトあるベース音、Rayでは明瞭さを確保できるのです」

「サウンドの最後の微調整はみなさんの自宅で行なわれます。世界中で言えることですが、みなさんが済んでいる家や部屋はそれぞれ違うので、ここが大事なステップです。ただ、お客様にフォーカスしてほしいのはSonosの製品をどこに置けば一番しっくり来るのかを考えること。音質面の調整は(Trueplayを通じて)私たちが引き受けます」

その後、イベントにはプログラミングを使って音楽や映像を表現するアーティストでRhizomatiks代表の真鍋大渡氏が登場し、Sonosの本格的サラウンド体験を表現したオリジナル動画も上映された。これはRhizomatiksと女性アーティストのUA、そして音楽プロデューサーのNosaj Thingのコラボレーションによるもので、冒頭部分ではDolby Atmos音源のオーディオ位置情報を抽出して映像に変換していたほか、歌詞から映像を自動生成するソフトウェアを使った映像表現などが盛り込まれていた。

「Sonos Beam(Gen 2)」と「Sonos Sub Mini」を組み合わせたところ

実際に製品を試聴する時間も設けられ、サウンドバー「Sonos Beam(Gen 2)」とSub Miniの組み合わせを体験することができた。Sub Mini自体はサブウーファーとしては独特な円柱型をしており、電源ポートやLANポートも底部に備えられていることから、見た目はスピーカー製品というより、北欧家具のスツールやサイドテーブルのような印象を受ける。

視聴したのは映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の冒頭部分から、ジェームズ・ボンドとマドレーヌ・スワンが乗り込んだ車が周囲から銃撃を受ける場面。Beam(Gen 2)単体でも銃弾が車体に当たる鈍い音や金属同士が擦れるような高音、銃声の破裂音が感じられたが、Sub Miniを追加することで、低音の迫力が増し、銃弾が車体に当たったときの音がより低く、かつ車内に響くように感じられた。またBeam(Gen 2)単体では銃撃音に埋もれがちだった、車内にいるふたりの荒い息遣いも、より鮮明に聴き取ることができた。

ブランド史上もっともコンパクトなサウンドバー「Sonos Ray」

続いてSonos Rayは、サテライトスピーカーとしてSonos Oneと組み合わせて試聴。Sonos Rayはドラマや映画などのセリフが聴き取りやすいチューニングが施されつつ、小型筐体ながらしっかりとした低音を響かせるのが特徴で、映画「ダークナイト」よりジョーカーが病院を爆破するシーンを視聴すると、Sonos Ray単体でも十分迫力ある低音を楽しめた。サテライトスピーカーを追加すれば、サウンドに臨場感が増し、より映画に没入できた。

「Sonos Arc」と「Sonos Sub」を組み合わせての試聴も行なわれた

Sonos Rayは海外でも好評。「ユーザーに選択肢を提供することを意識」

ジェフ・ダーダリアン氏とRhizomatiks代表の真鍋大渡氏

イベント終了後には、Sonosのジェフ氏と、Rhizomatiksの真鍋氏へのジョイントインタビューも行なわれた。このなかでジェフ氏は、Sonosとしてホームシアター製品のポートフォリオ拡充に注力していることを明かした。

「自宅でシネマ級のサウンドを聴いていただきたく、その分野に投資を続けています。業界のトレンドとしても、特にコロナ禍において、動画ストリーミングサービスのコンテンツを自宅で観る形が定着してきています。そういった背景も、我々の取り組みに対してプラスに働いています。私たちはユーザーに選択肢を提供することを意識しています。つまり、それぞれの自宅にあったシステムを手に取っていただけるように、いくつかエントリーモデルを用意しました」

「サウンドバー製品としてRayとBeam(Gen 2)、Arcがあります。さらにサブウーファーとしてSubとSub Miniも用意しました。ユーザーのみなさまには、これらを自由に組み合わせて使って頂けるよう意識しています」

このサウンドバーというジャンルでは、例えばゼンハイザーは一体型で7.1.4chを実現した「AMBEO Soundbar Plus」を、JBLは充電式のワイヤレス・サラウンドスピーカーをセットにした「BAR 1000」を、ソニーは4本のワイヤレススピーカーを使ってサラウンド空間を生み出す「HT-A9」を発表・発売している。またゼンハイザーやデビアレからは実売約35万円という高級モデル(AMBEO Soundbar/Dione)も登場するなど、競合メーカーたちがしのぎを削っている。

こういった他社の動向をどう捉えているか問われると、ジェフ氏は「Sonosが注力しているのはカスタマーに適切な価値を届けることで、競合他社の動きに注目するよりは、例えばより多くのフォーマットをサポートしよう、よりベース音をしっかりしたものにしよう、もっと音に広がりを持たせようなど、ユーザーにより優れたサウンドを届けるためにするべきことに意識が向いている」とコメント。

そのうえで「Sonosの価値は、ひとつのプロダクトにいろいろな機能が詰まっていること。私たちのホームシアター製品群では映画鑑賞に適したものはもちろん、音楽鑑賞にもぴったりのサウンドが楽しめます。Sonosシステムを自分でカスタマイズできること、設定の幅が広いところもユニークな特徴です。プレミアムなサウンド、使いやすくシンプルな操作性、そして美しいデザインがSonosならではの強みです」と語った。自宅でSonos製品を使っているという真鍋氏も「Sonosのアプリ、インターフェースの設計はユーザーが使いやすいものになっていると思います。分かりやすく、他社よりも優れている点に感じています」とSonosのシンプルな操作性が魅力のひとつだと明かした。

そのほか、海外で先行発売されており、日本でも9月14日に発売されたSonos Rayについては、「海外での評判は良く、満足しているユーザーが多い。小型かつ手頃な価格で、素晴らしいサウンドが楽しめる点が評価されています。同じく小型・リーズナブルはSub Miniも受け入れられると思います」とした。