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FitEarからプロ用ヘッドフォン、“白銅”製DAPやライブ用の耳栓も
2022年7月11日 00:00
フジヤエービックは9日、中野サンプラザにてポータブルオーディオのイベント「ポタ研 2022夏」を開催。新型コロナ禍の影響で都合四回に渡って中止を余儀なくされていたが、久しぶりの開催となり、事前登録定員入場制だが、熱心なファンが会場で各ブランドの新製品や試作機を試聴していた。
アユート
アユートのブースで注目を集めていたのは、Astell&KernとCampfire Audioがコラボしたイヤフォンの第2弾「PATHFINDER」。7月16日発売で、価格は319,980円。「The Hybrid IEM Redefined」をスローガンに開発されたもので、ハイブリッド型IEMとしては世界初という、デュアルチャンバー・ドライバー・テクノロジーを投入している。
ユニット構成は、低~中低域向けに、Campfire Audioの最新技術となる「Radial Venting Technology」を初採用した、10mm径ハイブリッド振動板のデュアル・カスタム・ダイナミックドライバーを搭載。中域向けには、Knowlesのデュアルダイアフラム・ミッドフォーカス・BAドライバーを搭載。高域には、Campfire Audioの特許技術である「T.A.E.C. Technology」を採用した。
筐体には、不要な共振を抑える精密切削加工のアルミニウムシェルとステンレスパーツを使っている。
Astell&Kernからは、オーディオプレーヤーフラッグシップ「A&ultima SP2000T」のハウジング素材を、銅とニッケルの合金「白銅」にしたリミテッドエディション「A&ultima SP2000T Copper Nickel」も展示。7月16日発売で、国内限定150台。価格は449,980円となっている。
既発売のSP2000T(329,980円)との違いは、AKブランド初の白銅をハウジング素材に採用した事。白銅は管楽器に使用され、深みのあるふくよかな音を生み出すことで知られている一方で、加工が難しいため、数量限定での生産となる。美しさだけでなく、高い耐食性により美しさが長持ちし、同時に高い抗菌性、耐汚染性も備えている。音質面でも、「さらに高い導電性と低い磁気シールドにより、アルミニウム製ハウジングであるオリジナルSP2000Tとは異なるサウンドを体感することが可能」という。
qdcブランドからは、ユニバーサルタイプのフラッグシップ級IEM「Tiger」を参考出品。8ドライバー(BA×6 + EST×2)の構成で、シェルの素材はチタン。価格は未定だが、25~26万円ほどのイメージだという。内部のゴールドプレートが隙間から見えるデザインも特徴だ。
入力プラグは交換可能なタイプで、バランス接続用端子に切り替える事もできる。
さらに、AZLAからも参考出品が2製品。1つは「SednaEarfit MAX」というイヤーピースで、素材にKCCというメーカーの医療用シリコンを100%使用。人の肌への刺激を低く抑えているほか、特許技術により形状も工夫。通常のイヤーピースは、傘の部分の厚みは均一だが、SednaEarfit MAXでは端の部分が厚めで、音導に近い内側の部分が薄く作られている。これにおり、遮音性を確保しながら、装着感を高め、耳への負荷を低減したという。
ゴミなどが入らないようにするガード部分も一体で成形。そのため、ガード部分も指で潰すと変形する。これにより、耳への負担をさらに下げられるという。穴の部分の形状も、音を通しやすいものに最適化されている。近々に発売予定で、価格は「Sednaearfit Crystal」と同程度になる見込み。
AZLAの参考出品2点目は、“ライブ用イヤープラグ”。大音量のライブ会場で耳を守るための“耳栓”だが、イヤフォンのようにイヤーピースが装着でき、使う人の耳の形状に合わせたピースをつけられるのが特徴。
さらに、外の音をどのくらい取り込むかを、筐体をねじることで調整できるようになっている。金属製のケースや、脱落防止用のケーブル、SednaEarfit XELASTECのイヤーピースなどがセットになって、5~6千円程度のイメージだという。
アユートブースの隣では、アユートが取り扱う、オーツェイドのイヤフォン新ブランド「Maestraudio」(マエストローディオ)がブースを展開。
セラミックオーディオテクノロジーを使用したブランド第1弾イヤフォン「MA910S」を参考出品している。新開発のグラフェンコートウーファー(ダイナミックドライバー)と、新開発リアクティブ型ツイーター(RST:Reactive Sympathetic Tweeter)を搭載しており、音響デバイスとしてHDSSも搭載。今秋に発売予定で、価格は1万円前後を予定しているとのこと。
ピクセル
新ブランド・MADOO(マドゥー)の第2弾イヤフォン「Typ500」シリーズの試作品を出展。3つの試作機があり、それぞれ、音場とスピード感を重視したモデル、ボーカル重視、タイトな低域にフォーカスしたモデルと、内部のチューニングで音が異なるという。
今後の製品化に向け、来場者に3機種を聴いてもらい、意見を聞いていた。
Acoustuneからは、高いコストパフォーマンスが話題の「MONITOR RS」シリーズの新作イヤフォンの試作品が登場。「RS THREE」というモデル名で、よりモニターライクなサウンドで、主にDTM作業などに適したモデルになるという。価格は未定だが、2万円を切るくらいの想定で、スタジオなどでの使用も想定し、付属ケーブルは1.8mと長めになる予定。
Acoustuneからはさらに「ACT03」というオプションの試作機も登場。ハイエンドイヤフォン「HS2000MX SHO-笙-」に組み込みできる、音響チャンバーボディのオプション品で、その同第ニ弾製品がACT03となる。内部には真鍮に加え、木を使っているのが大きな特徴で、木の響きを生かした、ウォームなサウンドになるという。
ベリリウム薄膜加工ドーム採用のミリンクスコンポジットドライバーを採用した「ACT02」よりは低価格になる見込みだという。
FitEar
須山歯研のブースでは、シルバーシェルを採用したユニバーサル型イヤフォン「FitEar Silver」の試聴が人気だが、その隣に出展されていた業務用ヘッドフォンの試作機も注目を集めていた。
試作機のため、機構部品やマフラーなどは既製品からの流用だという。無骨かつハウジングにロゴなどが無いデザインだが、プロ向けのモニターヘッドフォンをテーマに開発。サウンドや使い勝手も、モニターヘッドフォンのそれを追求しているという。
試作機のハウジングは3Dプリンタで作られており、上部に穴があいているのが特徴。サウンドについて、来場者から意見を集めていた。プラグの種類や接続方法も暫定的なもの。価格や発売日も未定だが、「モニターヘッドフォンは3万円程度の製品が多く、そのくらいの価格をイメージしている」とのこと。
サイラス
サイラスのブースでは、扱っているPW AUDIOの新製品として、7月9日に発売したばかりの、ウォークマン向けの変換アダプター「wm1z/wm1a m2 ground pin adapter」シリーズ4種モデルや、インピーダンスを調整可能なケーブル「1960s 4wired 4.4mm Pentaconn Female to 4.4mm Male Impedance Adapter with Controller & GND」、4.4 to 4.4mmケーブル「1960s 4wired 4.4mm Male to 4.4mm Male Interconnect with Shielding GND」、4.4mmから3.5mmに変換するアダプター「4.4mm F to 3.5mm M with initial cable」などを出展。
さらに、4ピンのXLR(オス)と、4.4mm(メス)の変換プラグも参考出品。導線に1960sを使っており、こうした変換プラグの需要がどの程度あるかなどをヒアリングするために出展したという。
Oriolusからは、発売間近というイヤフォン「Szalayi」を参考出品。さらに、HYLAからも久しぶりのイヤフォンとして2つの試作機が登場。青い筐体の「arborea」(アルボレア)は、ダイナミック×1、BA×2、EST×2の3ウェイ構成、紫筐体の「Hallowellii」(ハロウェリー)はダイナミック×1、BA×1、EST×2構成。どちらもイヤフォン本体部分は完成しているが、組み合わせるケーブルを吟味している段階だという。
Brise Audio
Brise Audioのブースで参考出品されていたのは、“Brise Audio史上、最も取り回しの良い素材”であるNAOBIを使った、イヤフォン向けのケーブル「NAOBI-Ultimate」。同社のケーブルはしっかりした質感のものが多いが、NAOBI-Ultimateは比較的柔らかく、イヤフォンで使いやすくなっているという。それでいて、情報量の多い細やかなサウンドを実現しているという。
さらに、ステレオミニ-ステレオミニのケーブル「YATONO-MINI-Rh2+」も参考出品。同社のポータブルアンプ「TSURANAGI」などとの組み合わせを想定したケーブルで、アニメソングやEDMとの相性も良いという。