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Netflix映画「新幹線大爆破」はサウンドも凄い。コレ邦画アトモスの金字塔じゃね?

『新幹線大爆破』オープニング映像 | Netflix Japan

Netflix映画『新幹線大爆破』が、ついに本日(4月23日)より世界独占配信される。

一足先に鑑賞させてもらったが、ひとことで言って「文句なしに面白い」。事件発生からクライマックスまでの約2時間、息をもつかせぬスリルと緊張感溢れる展開の連続にアドレナリンは大噴出。絶対に観るべき大作映画だ。

そして何より、ドルビーアトモスの音響がヤバい。これだけボリューミーかつ豪快にハイトスピーカーやサラウンドスピーカーが鳴りまくっている邦画アトモスは今まで出合えなかった。もしかしてコレ、邦画アトモスの金字塔じゃないだろうか??

Netflix映画『新幹線大爆破』
4月23日(水)より世界独占配信

Netflix映画『新幹線大爆破』とは

Netflix映画『新幹線大爆破』は、1975年に公開された東映のパニック映画『新幹線大爆破』を、“リブート”というカタチで再構築した作品だ。

佐藤純彌監督のもと、高倉健、千葉真一、宇津井健など豪華キャストが勢揃いした“東映版(原作)”は、新幹線ひかり号に仕掛けられた爆弾を巡って繰り広げられる捜査陣と犯人の攻防が描かれ、“タイムサスペンスの傑作”との呼び声も高い。

また海外からの評価も高く、1994年に公開され、キアヌ・リーヴスを一躍スターダムに押し上げた20世紀フォックスの大ヒット作『スピード』(ヤン・デ・ボン監督)にも影響を与えたと言われる。

正直に白状しておくと、筆者が最初に観た映画は『スピード』の方だ。13の時にシネマサンシャイン池袋で鑑賞し、キアヌのSWAT姿に惚れ、キアヌ着用のG-SHOCKを持っているのが漢のステイタスと勘違いするほど虜になった作品だったので、大学の図書館のLDプレーヤーで『新幹線大爆破』を観て「『スピード』がパクリだった」ことに衝撃を受けたのを今でも覚えている。

そんな傑作邦画のリブートを手掛けることになったのが、“人生の映画3選”に挙げるほど「東映版『新幹線大爆破』の大ファン」を公言する樋口真嗣監督。

樋口監督と言えば、平成ガメラ3部作や『日本沈没』で電車や駅舎を破壊し、『シン・ゴジラ』では爆弾を搭載した新幹線を無人運転させ豪快に自爆させた鉄道破壊屋。これほどドンピシャな監督はいないだろう。

脇を固めるスタッフには、尾上克郎准監督を筆頭に、撮影、録音、美術、編集、VFXなど『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』等に携わった樋口組の面々が多数招集。

そしてキャストには、『日本沈没』以来およそ20年ぶりにタッグを組む草彅剛を主演に迎え、細田佳央太、のん、要潤、尾野真千子、豊嶋花、黒田大輔、松尾諭、大後寿々花、尾上松也、六平直政、ピエール瀧、坂東彌十郎、斎藤工など、実力派俳優が集結した。

さらに、実際に新幹線を運行するJR東日本の“特別協力”というウルトラCも発動。

Netflix版の舞台となる東北新幹線の撮影のために、特別ダイヤで専用の貸切臨時列車を7往復(!)も走らせたほか、鉄道各部署の仕事内容、所作や言い回しに至るまでJR東日本の監修を受けることで、細部にまでリアルさを追求している。

鉄道人たちの姿に胸アツ!新幹線のサービスショットに激萌え

原作を愛する監督と精鋭スタッフ、キャストが集まり、しかもJR東日本の特別協力まで取り付けたNetflix版『新幹線大爆破』が、面白くないわけがない。

映画鑑賞中は、さながら爆弾を乗せたままノンストップで走行するはやぶさ60号の乗客になったような没入体験で、2時間17分の本編はあっという間。極上のタイムサスペンスエンターテイメントに仕上がっている。

“乗客を安全に目的地まで届ける”という信念と新幹線の安全を背負い、爆破を回避すべく奮闘する鉄道人たちの姿に胸が高鳴り、走行する新幹線をあらゆる角度から捉えたサービスショット(?)の連続に激萌えした。

特に劇中登場する某新幹線車両は、映画「トランスフォーマー」に登場するオートボットのような面構えで、一時停止してじっくり観察したくなるほどカッコいい。「そうか、このカッコいいフォルムを何度でも拝みたいがゆえに撮影しているのだな」と、鉄道ファンの気持ちが分かってしまった気さえする。

純度100%のドルビーアトモス制作!おうち鑑賞もいいけど、劇場でも上映してくれ!!!!!

そして冒頭でも触れたとおり、AV Wacth読者に激しくアピールしたいのが、樋口監督とサウンドチームによる濃密なドルビーアトモス音声だ。

樋口監督は事務所の天井に自ら4本のスピーカーを設置し、4Kブルーレイの映画や配信作品を爆音で堪能している生粋のアトモス狂であることはご承知の通り。

監督のアトモス作品は『シン・ウルトラマン』に次ぐ2作目だが、『シン・ウルトラマン』は5.1ch音声からの後処理(アップミックス)だったため、オブジェクトの移動感であったり、ハイトチャンネルで鳴らす成分のリッチさには限界もあった。

しかし今回の『新幹線大爆破』は、純度100%のドルビーアトモス制作。

駅構内の天井に設置されたスピーカーからアナウンスが聞こえてくる現実世界と同じように、映画本編でも頭上から構内・車内アナウンスが降臨。またホームから新幹線に乗車した時の、あのギュッと空間が縮むような空気の密度感や、周囲の走行音がアトモスでリアルに再現されている。

また乗客の声だったり、指令センターで仕事に当たる鉄道員たちのセリフや足音があちこちから聞こえてきて、まるで自身が現場に足を踏み入れたかのよう。

もちろん、誰もが期待しているであろう“大爆破”シーンも、大轟音と共に砕け散る破片の洪水を浴びることができる。

アトモスの完成度が高い故、再生するシステムの実力が試されるとは思うが、是非とも『新幹線大爆破』鑑賞時は、少しでもいいサウンドシステムで、そしてウーファーをブルブルと震わせるほどのボリュームマシマシで、はやぶさ60号の世界へダイブすることをおススメする。

そして最後に、Netflixへ切なるお願い。

是非『新幹線大爆破』を映画館でも上映してくれ!!! 巨大スクリーンと爆音で『新幹線大爆破』が観たいんじゃー!!!!!

阿部邦弘