西田宗千佳のRandomTracking

第487回

プレイステーション5、知ってると得する「AV関連機能」15の秘密

11月12日発売の「PlayStation 5」

PlayStation 5関連、発売直前最後の記事は、「AV関連機能」だ。

既に実機レポートはお送りしているが、発売前で全てのサービスが提供されていなかった関係もあって、PlayStation Network(PSN)に絡むストア機能や、有料サービス「PlayStation Plus」の機能、そして、オーディオビジュアル系の機能をまとめた「メディア」については、映像などの公開が認められていなかった。

しかし、発売を迎えた今、こうした部分も公開が可能になった。

そこでここでは、まだあまり紹介されていないPS5のAV関連機能を中心に、15個の秘密を明かしていこうと思う。

秘密その1:AV関連アプリは「メディア」に集まる

PS5では、メインとなる「ゲーム」の他に「メディア」タブが用意される。PS4ではゲームと同じ列の中にフォルダのようなイメージで用意されていたが、PS5の場合は別のページになっているような形だ。

光ディスクのプレーヤーや各種動画配信、音楽再生のためのアプリなどは、ここに入る。

「メディア」。光ディスク再生機能や各種動画配信サービスアプリ、Spotifyなどゲーム以外の機能はここに集まる

光ディスクプレーヤーは最初から搭載されているが、動画配信と音楽再生(Spotify)については、それぞれ使うものをダウンロードする必要がある。ストアへ探しに行く必要はなく、アプリ一覧があるので、そこからダウンロードする。

ご覧のように、一般的な動画配信サービスは網羅されている。

アプリは一覧からダウンロードする形式。アプリは小規模なので、ダウンロード時間もごく短い
Netflixアプリ
Amazon Prime Videoアプリ
YouTubeアプリ
U-NEXTアプリ

先日掲載したインタビューにもあったように、このアプリは「ゲームとは別に動く」ようになっていて、ゲームとは並行動作する。

なお現状、PS5は「HDR10+」「Dolby Vison」での出力に対応していない。SIEによると「今後の可能性については検討いたしますが現時点でお答えできることはございません」とのこと。また、Dolby Atmos/DTS:Xの音声をHDMIからビットストリームで出力し、対応するAVアンプで再生する事は可能だそうだ。

秘密その2:「Apple TV」が登場

PS5からの新要素として、アップルの映像配信を利用するアプリが登場した。アップル経由で購入・レンタルした映像作品の視聴が可能なほか、サブスクリプション・サービスである「Apple TV+」も利用できる。

Apple TVアプリが登場。今年からテレビ各社へのアプリ供給が始まったが、それと同じ流れで、PS5でも、iTunes Storeで借りた映画などが見られるようになった
iPhoneなどからアカウントを連携することでセットアップする

秘密その3:メディアリモコンで操作すると……

PS5の周辺機器として「メディアリモコン」が用意されている。この種のリモコンはPS2の時代からあったものなのだが、ディスク再生などのときに「ちょっと使う」くらいのものだった。実のところ、純正のコントローラーよりも優れたところがそれほど多いわけではなかった。

PS5と同時発売の「メディアリモコン」。実は今回、ちょっとしたUI上の秘密が……

だが、PS5のメディアリモコンにはちょっとした秘密がある。

実は、メディアリモコンで操作すると、PS5側は自動的に「メディア」を表示するのだ。逆にコントローラーであるDualSenseを操作すると「ゲーム」側を表示する。

要は、コントロールする機器がどちらであるかによって「操作したい内容のコンテキスト」を判断し、ゲームとメディアを使い分けるようになっているのである。

同様に、映像ディスクを本体に挿入した場合にも、「操作したいのはメディア側である」と判断し、「メディア」に切り替わる。

秘密その4:「テレビ&ビデオ」でおすすめコンテンツが見れる

「テレビ&ビデオ」という項目があるのだが、ここから各サービスが提供する「あなたへのおすすめ」コンテンツの一覧を見られる。もちろんここでコンテンツを選ぶと、(契約済みなど)視聴権利がある場合、そのコンテンツへと直接ジャンプする。

「テレビ&ビデオ」は各種サービスのハブ的な役割をしており、おすすめコンテンツのリストからサービスへと直接ジャンプできる。

秘密その5:動画再生中も「コントロールセンター」は動き続けている

動画再生中などに「PSボタン」を押すとコントロールセンターが表示される。ゲームへ切り替えたい場合や、新着メッセージを見たい時などに便利。

しかもここでも、映像は「流れっぱなし」なので、ちょっとした「ながら」作業的にメッセージのチェックなどができる。ただし、それができるメディアアプリ(Apple TVなど)と、できないアプリ(Netflixなど)の両方がある。

動画再生中でもメディアセンターは表示可能

秘密その6:「メディアアプリ」は別扱い

コントロールセンターには最近使ったゲームなどをすぐに切り替える「アプリ切り替え」という機能がある。ここには今アクティブなアプリ、最近プレイしたゲームのほか、「最近使ったメディアアプリ」も、2つまで表示される。なので、使うサービスが決まっている人は、コントロールセンターからサクサク呼び出せるわけだ。

今使っているゲームやアプリが「アクティブ」扱い。それ以外に、ゲームとアプリが2つずつリストに出てくる

秘密その7:VR関連アプリも「メディア」に出てくる

PlayStation VRは「PS4互換機能を介してのサポート」なのだが、VRでの映像配信などのサービス・アプリについては、メディア側に「VRと体験アプリ」というコーナーが用意され、そこにまとめられている。

VRの映像系体験アプリも、映像配信アプリなどど同じ括りで紹介される。

秘密その8:音楽再生は「Spotify」で

音楽は基本的に、Spotify経由で聴く。そのためにはSpotifyアプリのダウンロードが必要。もちろんフリープランでも使える。

Spotifyアプリ

プレミアムプランの利用者の場合デバイス連携にも対応しており、スマホやタブレット、PCで再生している曲を「PS5から再生」するといったこともできる。

スマホアプリなどと同じ機能を備えているので、「スマホやタブレットからPS5へ再生対象を移す」といった連携もできる。

そもそもSIEは、PS4の後期以降にSpotifyと提携し、SpotifyをPlayStation上で使う音楽サービスと位置付けている。そのため、PS4時代同様、ゲームをしながらSpotifyで音楽が聴ける。

一方、PS4時代にはメニューの呼び出しが結構面倒だったが、コントロールセンター内に「ミュージック」という項目ができ、すぐにアクセスできるので楽に音楽が聴けるようになった。

コントロールセンターから直接Spotifyの曲を少ない操作で再生できる

秘密その9:USBメモリーに入れた音楽が聴ける

一見すると、USBメモリーに保存したMP3ファイルなどの音楽再生はできないように見える。だが、コントロールセンターの「ミュージック」にちゃんと機能が実装されている。

USBメモリーに「MUSIC」というフォルダを作り、ここに音楽ファイルを入れれば、ゲームをしながら「持っている音楽データ」を聴くことは可能だ。

USBメモリーに入れた音楽ファイルは、コントロールセンターから再生

秘密その10:ゲームの「動画キャプチャ」は標準がWebM形式

PS5はゲームプレイ中の動画を記録できるが、その時には、データ容量を削減できる「WebM」形式と、より一般的な形式である「MP4」形式から選択できる。

秘密その11:実は「コントローラーのマイク」がすごい

PS5のコントローラーであるDualSenseにはマイクが内蔵されている。ゲーム中に音声チャットを使うためだ。この音質がいい。ネットを通じたチャットは発売前に行なうことができないため試せていないが、記録したビデオを聴く限り、マイクからの音声の質が非常にいい。

DualSenseは「マイクを搭載する環境」としてはかなり劣悪だ。カチカチと音を立てるボタンが近くにあり、さらにはゲームの音も聞こえる。それらが混ざるようでは音声は聞きにくくなる。

しかし、「声以外」は気にならないように工夫されており、コントローラー内蔵のマイクだけでちゃんと会話ができそうだ。あまりにも自然なので気がつかない(実は最初に録音を聴いたときはそうだった)のだが、冷静に考えるとなかなか凝った工夫だ。

秘密その12:ゲームのビデオに「自分の声」が入ることも……

PS5のゲームビデオ録画には、「パーティー(ボイスチャット)の音声を含める」「マイクの音声を含める」というオプションがある。盛り上がりを記録するのにはいい機能だ。必要なら設定をオンにしてもいい。

一方、PSNには、ゲームの中である課題をクリアするともらえる「トロフィー」という機能がある。PS4同様、PS5ではトロフィー取得時に、自動的にそのタイミングで動画を記録するよう設定しておける。これも、ゲームの「記憶」を残すためのものといえる。

実はここでも「マイクの音声を含める」は有効。なので、トロフィー取得時の動画に、自分が爆笑したり喜んだりしている音も記録される可能性があるわけだ……。自分でシェアしない限り他人に聞かれる訳でもないので、これはこれで面白い要素だと思う。

「マイクの音声を含める」をオンにしてビデオ記録をするかは、慎重に判断を

ただし、「シェアするつもりがあって絶対他人には自分の声を聞かせたくない」なら、「マイクの音声を含める」はオフにしておくように。

秘密その13:音声入力と読み上げ機能はかなり優秀

PS5では文字の音声入力と「読み上げ」(ボイストランスクリプション)に対応している。

チャットなどの入力にはソフトウェアキーボードだけでなく音声入力も使えるが、この精度がかなり高い。ここで効いてくるのがコントローラーのマイク。マイクの品質がいいということは、それだけ精度高く認識できるということでもある。ヘッドセットを装着したり、声を張り上げたりしなくても、自然に入力できる。

音声入力をしてみた。入力のし直し一切なしで、このくらいの文章が入力できる

また、「アクセシビリティ」にある「ボイストランスクリプション」をオンにしておくと、他プレーヤーのチャット音声を文字に変換したり、自分が入力したテキストを他のプレーヤーに読み上げてくれる。

「アクセシビリティ」にある「ボイストランスクリプション」を使うと、メッセージの読み上げなどに対応

秘密その14:PS5のストアはメニューと一体化している

PS5用のゲームを購入するための「PlayStation Store」。従来はストアアプリが存在するような構造になっていたが、PS5ではメニューにそのままストアが統合されている。

PS5のPlayStation Store

これは、ストアへのアクセスを容易することと、ゲームからのストアへの移行をスムーズにすることが目的と思われる。

秘密その15:PlayStation Plusに加入していると「ゲームのヒントビデオ」が見られる

コントロールセンターからは、プレイしているゲームの詳細がカード形式で表示される。そこには、その章の進行度合いや残りの“秘密”などが表示されるのだが、攻略ビデオが表示されることもある。

ただしこれは、有料会員制サービスである「PlayStation Plus」に入っている場合。ビデオは拡大して見ることもできれば、ゲーム中に横に出しておくことも可能。

ゲーム中に「ゲームの動画ヒント」をみられる。ただし有料サービスの「PlayStation Plus」加入者のみ
映像を右や左に出したたまゲームプレイもできる

PlayStation Plus加入者向けには、名作PS4タイトルを追加料金なしで楽しめる「PS PLUSコレクション」も用意されていて、金額的(850円/1カ月プラン)にはかなりお得なサービスになっている。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
 メールマガジン「小寺・西田の『マンデーランチビュッフェ』」を小寺信良氏と共同で配信中。 Twitterは@mnishi41