西田宗千佳のRandomTracking

第562回

スタイルも機能も変わったiPhone 15/Pro。USB-Cの使い勝手はいかに

iPhone 15と15 Plus。色はそれぞれ「イエロー」と「ブルー」

iPhone 15/Proシリーズのレビューをお届けする。

iPhone 15 Pro Maxと15 Pro。色は「ブラックチタニウム」と「ブルーチタニウム」

ご存知の通り、今年も「iPhone 15」「iPhone 15 Plus」「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」の4モデルが発売される。すでに予約は開始され、9月22日には市場に出回る。

それぞれがどのような仕上がりなのか、確認していくことにしよう。

持ちやすい仕上げに。Proはグッと軽く

まずは外観から。

ご存知のように、iPhone 15シリーズはフレームにアルミニウム合金を、iPhone 15 Proシリーズではチタン合金を使っている。

iPhone 15 Plus(ブルー)。フレームはアルミニウム合金製
iPhone 15 Pro(ブルーチタニウム)。フレームはチタン合金

双方に共通する特徴として、過去のモデルよりも「角がゆるやか」であることが挙げられる。そのため、手に持った時の感触がやさしい。

左がiPhone 14 Pro Max。右がiPhone 15 Pro Max。角のアールが大きくなっているのがわかる

背面のカバーガラスはどちらもマットな仕上がりになり、こちらもやさしい手触りだと感じる。背面を含めたカラーリングとしてはiPhone 15シリーズのものが好ましいと思うが、この辺は完全に好みだろう。

特にProの場合、素材が光沢仕上げのステンレスからマットなチタン合金になったため、指紋などが目立たない。

チタンを使うProシリーズの場合、色によって仕上げのイメージはかなり異なる。

今回試用しているのはブラックチタニウム(15 Pro Max)とブルーチタニウム(15 Pro)で、これらはかなり濃く染色されている。

一方でホワイトチタニウムとナチュラルチタニウムは、チタンの素材自体の色にかなり近い。

また、14 Pro/Maxに比べると、15 Pro/Maxはフレームがほんのわずかに細くなっていて、結果としてディスプレイのベゼルが細くなった。だがこれは本当に「わずか」で、すぐにわかるほどではない。

右が14 Pro Max、左が15 Pro Max。ディスプレイのベゼルが15 Pro Maxの方がわずかに細い

iPhone 15 Proシリーズは、iPhone 14 Proシリーズに比べ19g軽くなっている。数字にすれば大きなものではないのだが、実際に持ち比べてみるとはっきり違いがわかる。

iPhone 15 Plusは201gで、iPhone 15 Pro Maxは221g。iPhone 14 Pro Maxは240gなので、それぞれ20gくらい違う計算になる。あくまで私見だが、手に持ってみると、15 Plusと15 Pro Maxの差よりも、14 Pro Maxと15 Pro Maxの差の方が大きく感じる。240gというのはかなり「ギリギリの重さ」だったということなのかもしれない。

iPhone 15にダイナミックアイランド、15 Proにアクションボタン

外観に関する機能面では、iPhone 15シリーズと15 Proシリーズ、それぞれに変化がある。

iPhone 15シリーズでは、14 Proシリーズから採用された可変通知領域である「ダイナミックアイランド」が採用された。

左がiPhone 15、右がiPhone 15 Pro。どちらもダイナミックアイランド搭載に。サイズは同じ

いわゆるノッチ(切り欠き)から楕円状になり、表示との組み合わせで多彩な表現になる。iPhone 14 Pro Maxを1年使った上での感想だが、劇的な変化というよりは「こうあって然るべきもの」というところかと思う。全シリーズがダイナミックアイランドになることで、アプリ側での対応が拡大することを期待したい。

iPhone 15 Proシリーズが「アクションボタン」を採用したことが大きな変化と言える。

一番上にあるのが「アクション」ボタン。従来ならば消音スイッチがあった場所にあたる

アクションボタンは「消音スイッチ」を代替し、より幅広い使い方に対応するもの、と言っていい。「iPhone 15では物理的なボタンがなくなる」との噂もあったが実際にはそうではなく、アクションボタンも電源ボタンも、物理的に「押し込む」ボタンになっている。

「設定」の中にアクションボタンに関する項目が追加されたので、ここで機能を入れ替えられる。基本的には「カメラ」「ボイスメモ」など、システム側が規定している機能を呼び出すものになっている。

アクションボタンに「フラッシュライト」を設定して、使ってみた

ただし「ショートカット」アプリと連動することで、より多彩な使い方ができる。好きなアプリや機能を呼び出したい場合、ショートカットアプリを併用して工夫するのがいいだろう。

アクションボタンはなかなか面白い。明示的に「押し込む」操作でないと機能しないので、誤動作などはあまり起きないと思われる。

一方で、「消音」の切り替えを日常的に行なっている人は、結局他の機能に切り替えて使うのが難しい。逆に言えば「消音」を日常的に切り替えている人は意外と少なく、他の機能を求める人が多い……ということなのかもしれない。

USB-Cで用途は拡大。ディスプレイもオーディオも問題なし

iPhone 15全体を通しての、もっとも大きな変化は「LightningからUSB-Cへの移行」だろう。

iPhone 15(イエロー)のUSB-C端子
iPhone 15 Pro(ブルーチタニウム)のUSB-C端子

パッケージに含まれるケーブルも、両端がUSB-Cのものに変更されている。このケーブルは「USB2仕様」のものであり、USB3対応のiPhone 15 Proシリーズにも同じものが同梱されている。そのため、iPhone 15 Proで最大10Gbpsという転送速度を活かしたい場合には、別途規格に準拠したケーブルが必要になる。

iPhone 15 Pro MaxとiPhone 15 Plusの内容物。ケーブルはどちらも同じUSB-Cのものが入っている

実のところ、充電に使うだけであれば、USB-CとLightningの違いを意識するところは少ない。スペック上は最大27W(9V×3A)での充電とされており、充電速度にも変化はない。もちろん、汎用性の高いUSB-Cケーブルで充電できることは大きなことだが。

各種周辺機器への接続について柔軟性が高まる点は大きい。Lightningだと色々変換が必要になることが多かったが、USB-Cなら楽だ。

まずディスプレイ。

USB-CケーブルでPC用ディスプレイとつなげてみたが、iPhone 15も15 Proもあっさりとつながった。

ただしこの時、「Display Portでの接続に対応したケーブル」、すなわちUSB 3.2以上、もしくはThunderbolt 3以上のケーブルで接続する必要がある。iPhone 15付属のUSB-Cケーブルは非対応なので、ディスプレイとの接続には使えない。

USB-C接続のディスプレイ、ということで、XREAL Airもつないでみたが、こちらも特に問題なく使えた。

サングラス型ディスプレイである「XREAL Air」などにも簡単につながる

手元にあったHDMI - USB-C接続ケーブルも、問題なく動作。テレビのHDMI端子につなげて、iPhoneの画面を表示できている。

テレビともHDMIで接続

USB-Cに接続して使うマイクも問題なく動作した。USBマイクとして使えるTASCAMの「DR-05X」も動作したし、Ulanziのワイヤレスマイクも動作した。Ulanziのマイクは「Android向け」として売られているUSB-C搭載のものなのだが、特に動作に問題はなさそうだ。

Android用として売られていたUlanziのワイヤレスマイクも使えた

次にイーサネット。こちらも大丈夫。機内モードにしてつないでみると、「設定」の中に「Ethernet」という項目が出てきたので、ちゃんと認識していることがわかる。

「Ethernet」表示に注目。Wi-Fiの接続状況が悪いところなどで使うにはいいだろう

USB DACも問題ない。iPhone内のオーディオがすべて普通に再生され、音量調整部分には「Headphone」と表示されたので、USB DAC自体がUSBヘッドフォンとして認識されているのだろう。

USB DACとつないで有線ハイレゾ再生も

ちょっとした小ネタとして、同時に発売される「USB-C版AirPods Pro」との組み合わせでできることもお伝えしておきたい。

USB-C版AirPods Proの充電もできる。ただし、ワイヤレスでは充電できない

どちらもUSB-Cになったので、ケーブルで繋ぐと「iPhoneからAirPods Proを充電する」こともできる。ただし、GalaxyやXperiaで実現されている、「スマホ側からワイヤレス給電を使って他の機器を充電する」機能、いわゆる「おすそわけ充電」はできない。

4.5Wまでの周辺機器が利用可能、Proでの高速転送にはUSB 3のケーブルを

ではUSBメモリーはどうか。

もちろん大丈夫……なのだが、ここから少し気をつけるべき点がある。

普通のUSBメモリーはもちろん認識された。だが、2TBのM.2 SSDをケースに入れた大容量ストレージは認識されなかった。

普通のUSBメモリーは認識され、「ファイル」にドライブとして表示された
M.2 SSDをケースに入れたものは認識されない

これはなぜか?

理由は、iPhoneがコントロールできるデバイスの消費電力にある。

どうやらiPhone 15が扱えるのは、4.5W以下で動作する機器であるようだ。そのため消費電力の大きいM.2 SSDは正常に動作しなかったわけだ。

別途購入したアイ・オーデータの大容量SSD(SSPE-USC500、容量500GB)は認識し、問題なく動作したので、まさに「同じSSDでも消費電力による」ようだ。これはiPhoneに限った話ではなく、Androidでも同じ現象が起きる。

iPhone 15シリーズ、特にiPhone 15 Proで外部ストレージ接続が重要になる理由は、「ProResでビデオを撮影する場合、外付けしたストレージに直接記録できる」からでもある。

ProResで録画する場合、接続した外部ストレージに記録できる。接続できている時には画面下部に「USB-C」の文字が

ProResは大容量のファイルフォーマットであり、4K/30fpsの場合で、1分のデータで約6GBになる。だから本体に記録する場合、編集時の転送も大変になるし容量も不足しやすい。だが外部ストレージを使うと、この問題が解決する。

特にProRes 4K/60fpsの場合、外部ストレージへの記録のみに対応する。

ProRes 4K/60fps記録は外部ストレージにのみ行なえる

そうすると大容量のストレージが必要になるわけだが、電源を内蔵、もしくは外付けしていないストレージの場合、4.5W以下の消費電力でなければ使えない……ということになる。おそらくプロソリューションとして、こうした状況に対応する製品が今後増えてくるのだろう。

また仕様上、USB-CケーブルでiPhone 15 ProをMacやWindows PCと接続し、写真を「テザー撮影」できるようになっているのだが、今回は対応ソフトが用意できなかったので試していない。

ファイル転送速度も調べてみた。

iPhone 15シリーズはUSB 2までなので最大480Mbpsまで、15 ProシリーズはUSB 3対応なので最大10Gbpsに対応している。だから当然、適切なストレージを使えば速度差は出るはずだ。

今回は写真のRAWデータ50枚分(約1.25GB)をiPhone本体にコピーし終わるまでの時間を計測した。結果は以下のようになっている。

1.25GBのデータを外部ストレージからiPhone内部に転送する時間を計測。やはりProのみ速くなるが、それには外部ストレージ側も高速である必要がある

やはりiPhone 15 Proシリーズ + 高速SSD(仕様はRead:530MB/s、Write:450MB/s)の組み合わせだとはっきりと差が出る。

ただし、ごく普通のUSBメモリーだとどちらも速度は変わらない。USBメモリーの転送速度自体が遅く、USB 2でも十分であるからだろう。

こう見ると、やはり「大容量を扱う人はPro、そうでない人はどちらでも」と言えそうだ。

カメラは「画質より使い勝手」向上

ではカメラはどうか?

率直に言って、iPhone 14シリーズでも十分高画質ではあったのだが、15は全体的に解像感が上がっているように思う。

iPhone 15 Pro Max 超広角
iPhone 14 Pro Max 超広角
iPhone 15 Pro 超広角
iPhone 15 Plus 超広角
iPhone 15 Plus 超広角
iPhone 15 Pro Max 標準
iPhone 14 Pro Max 標準
iPhone 15 Pro 標準
iPhone 15 Plus 標準
iPhone 15 Plus 標準
iPhone 15 Pro Max 望遠5倍
iPhone 14 Pro Max 望遠3倍
iPhone 15 Pro 望遠3倍
iPhone 15 Plus 望遠2倍
iPhone 15 Plus 望遠2倍

【編集部注】写真のHEIF形式データは、以下よりダウンロードできます
撮影サンプル元データ:rtHEIF.zip(45.79MB)

特に、メインカメラがどちらも48メガピクセルであり、設定によって「48メガピクセルで撮影する」ことも可能になったため、日常的なシーンと、「光量が十分で解像度を重視したい時」で設定を切り替えて使えるのがポイント、と言える。

また、画角・拡大率の切り替え幅が増えているのもポイントだ。

iPhone 15はメインカメラの画像から24メガピクセル分を切り出し、実質的な「2倍望遠」として使うモードが用意された。

同じ機能はXperia 5 Vも採用しており、独自のものというわけではない。「長い望遠はいらないかちょっと寄りたい」というカジュアルな使い方に向いた機能で、多くの人にとって望ましいものではある。

一方そう考えると、iPhone 15 Proが「3倍望遠」まで、というのはちょっと中途半端に感じてしまう。同じ厚み・カメラデザインで「5倍望遠」まで搭載した15 Pro Maxの魅力が際立つ。

5倍望遠=120mm相当となると、そろそろ手ブレの影響が厳しくなるところだが、今回試してみて、手ブレが相当抑えられているのにも驚いた。センサーを3軸に動かして補正する機能がかなりうまく機能している。

5倍望遠時の手ブレ補正の様子。片手で持って撮影しているが、5倍時にほとんどブレがない

またProについては、メインカメラの画角を「24mm/28mm/35mm」から選べる。他のカメラでの撮影画角に合わせる、という意味合いが強い機能なのだが、簡易的に「気持ちだけ拡大する」という使い方もできる。

なお、これまでのiPhoneのカメラの不満点として「レンズ内ゴーストが大きい」ことがあった。照明などの強い光がレンズ内で反射し、空中にUFOのような光として写真に写ってしまう現象だ。レンズコーティングが改善された、とのことなので期待していたのだが、ここには顕著な変化は見られなかった。正直残念だ。

CPUよりもGPUが高速化

では最後にベンチマークの値を見てみよう。

「Geekbench 6」と「3D Mark(Solar Bay)」を使ったが、やはりiPhone 15 Proシリーズは頭ひとつ抜けている。グラフィックについても顕著な性能アップが見られた。レイトレーシングを含めた性能アップは、確かにゲームに効いてくるだろう。

Geekbench 6のCPUテストとGPUテスト。2020年発売「iPhone 12 Pro Max」以降のデータをまとめた
3Dグラフィックス性能を測る「3D Mark」のうち、レイトレーシングを含むCGを計測する「Solar Bay」の結果を計測。CPUよりも性能向上幅が大きい
3D Mark・Solar Bayの画面。負荷の大きなレイトレーシングを想定したテストとなっている

なお、メインメモリーについては、iPhone 15 Proシリーズはどちらも「8GB」になっていることが確認できた。iPhone 14 Pro Maxまでは6GBで、iPhone 15も6GB搭載している。

一方、このグラフィック性能を活かすには「モバイル向けに、レイトレーシングを含む高度なグラフィックを活かしたゲーム」が出てくる必要がある。

アップルは積極的にゲームメーカーへのリクルートをしており、カプコンからは「バイオハザード ヴィレッジ」と「バイオハザード RE:4」、コジマプロダクションからは「DEATH STRANDING」がiPhone向けに提供される。

USB-C経由でテレビなどにつなぎ、コントローラーをワイヤレスでつなげばゲーム機にもなる……ということなのだが、それがどのくらいユーザーに訴求するか、正直に言えばまだよくわからない。ハイエンドなiPhoneを買ってプレイする必要があるわけだが、そこまでする人はゲーム機やPCを持っていそうにも思う。

今年のiPhoneを買う人は、そうした流れも頭に入れておいてほしい。多分どちらかというと、この流れは「アップル製品自体のゲーム対応強化」という側面が現れたもの……ということなのだろうが、多少なりとも裾野が広がることだけは間違いない。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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