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ソニー「Xperia 1 II」、秒20コマ連写/3D iToFなど“スマホを超えたカメラ”の裏側

ソニーモバイルコミュニケーションズは、5月末に発売する5G対応のフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II(マークツー)」のカメラ機能の詳細を発表。AF/AE追従で最高20コマ/秒の連写の実現や、高感度撮影に強く、暗所でのAFも高速なデュアルPDセンサーなどについてオンラインで解説した。

既報の通りXperia 1 IIは、6.5型でアスペクト比21:9の4K/HDR対応有機ELディスプレイを搭載。静止画/動画カメラや、オーディオ、ゲームなどに関するソニーの技術を結集した新たな最上位モデルと位置づけられている。

最大の特徴はXperia初の5G通信対応である事だが、AV的な視点での注目は“スマホの枠を超えた”カメラ機能だろう。35mm換算で16mm/F2.2、70mm/F2.4、24mm/F1.7の3つの1,200万画素センサーを搭載している。24mmと70mmにはOIS(光学式手ブレ補正機能)もそなえている。また、24~70mmをカバーするだけでなく、電子ズームを併用して200mmまで対応できる。

いずれのカメラも1,200万画素センサーを採用しているのは、焦点距離を変えて撮影する際に、「(使用する)レンズを切り替えても画素数が変わらず、自然に撮影できるため」だという。これらのレンズにはツァイスのT*コーティングも施されている。また、レンズだけでなく、被写体との距離をレーザーで測距する3D iToFセンサーも搭載する。

撮像素子は、Xperia 1が搭載していた1/2.6型センサーよりも大きい、1/1.7型のデュアルPDセンサーを採用。1ピクセルが大きくなっている事から、先代モデルと比べ、約1.5倍の高感度撮影能力を持つという。読み出し速度も、従来と比べ約3倍の高速化を実現した。

さらに、撮像エリア全面に大粒の位相差AFセンサーを配置。Xperia 1と比べ、約4倍となる測距点247点、AFカバー率約70%を実現。さらに、43,200点測距できる、3D iToFセンサーも搭載する。

これに、AIを使った主要被写体認識機能も搭載。撮影時、撮影したいものが常に画面の中央に存在するとは限らないが、その際はAIが“主要な被写体と思われるもの”を捉えてくれる。これにより、例えば、画面の右下の、影になっている部分にある“花”などでも、それが主要被写体だと認識してAFを合わせてくれるという。

AIを使った主要被写体認識機能
右下の花にピントを合わせて欲しいが、中央にAFが合焦している
AIが主要被写体として花を認識
AIと3D iToFセンサーを活用

使い勝手の面では、新たに静止画撮影用のアプリ「Photography Pro」も用意する。カメラの操作ボタンのように、ドライブモード、フォーカスモード、フォーカスエリア、露出、測光モード、フラッシュモードといった機能の設定変更アイコンを用意。撮影モードも、オートに加え、プログラムモード、シャッタースピード優先、マニュアル露出モードも用意。今後のアップデートで、RAW撮影にも対応する。

静止画撮影用のアプリ「Photography Pro」

シャッター操作はボタンにこだわっており、側面にシャッターボタン「カメラキー」を用意。半押しでAFロック状態となり、シャッターチャンスに向けて構えられ、特にAF-Cではリアルタイムにフォーカスを追従し続ける。

ハードウェアのキーであるため、手袋を装着したまま操作したり、水でディスプレイが濡れてる状況などでも快適に撮影できるという。

ソニーのデジタル一眼αで培った高速撮影性能も盛り込まれており、スマホで世界初とするAF/AE追従で最高20コマ/秒の連写に対応。従来機Xperia 1は最高10コマだったが、IIでは2倍に強化された。

この高速連写を実現するため、シャッター半押し状態で毎秒60回のAF/AE演算を行ない、動きが速い被写体にもフォーカスが追従する。シャッター半押し状態でのみこれを行なう事で、バッテリー消費も抑えている。

1,200万画素で20枚/秒の連続撮影を、最大60回/秒の演算によりAF/AE追随し続けて撮影可能。「動きの速い被写体でも決定的な瞬間を美しく捉える」という。

さらに、人物と動物に対応したリアルタイム瞳AFも搭載。素早く動く動物の瞳にもフォーカスが追従し、躍動感のある写真が撮影できるという。

Xperia 1から引き続き搭載するシネマ撮影専用アプリ「Cinematography Pro」の機能も強化。4K/HDRの24/30pに加え、新たに60pや、欧州規格の25pをサポート。さらに、水準器、タッチAF、ホワイトバランスのカスタム設定、メータードマニュアルの各項目も用意された。動画の音声に関しても、AI採用の「インテリジェントウィンドフィルター」によりノイズを低減。「マイクに風防を着けた時のような効果が得られる」としている。

撮影後のフローでは5Gが威力を発揮

撮影後のワークフローでは、5GとWi-Fi6対応が効果を発揮。撮影した写真や動画を、高速でSNS、クラウドストレージ、FTPサーバーなどにアップロードできるという。Xperiaで撮影した写真だけでなく、αで撮影した写真もImagingEdgemobileやTransfer&Tagging add-onアプリを経由し、アップロード可能。

また、6.5型、21:9 4K HDRシネマワイド有機ELディスプレイを使い、αで撮影した写真をチェックするなど、高解像度・正確な画質でコンテンツの確認用途にも利用可能という。ディスプレイのホワイトバランス設定は、標準光源色をサポート。写真印刷用にはD50/D55を選ぶことでディスプレイ上でプリント画質の色彩で確認できる。

山崎健太郎