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小型オーディオを展開するBLUESOUND、BluOS「4.0」で何が進化するのか

「POWERNODE EDGE」(N230)を持つ、BLUESOUNDのプロダクトマネージャーのマット・シモンズ氏

「オーディオに興味はあるけれど、高価で巨大なアンプやプレーヤーを買うのはちょっと……」という人は多いだろう。リビングならまだしも、書斎の机の上など、限られたスペースで良い音を聴きたい時には、そもそも巨大なコンポを置く場所すらない。そんな人に向けた、“コンパクトで音がいい”救世主的なブランドが、カナダのBLUESOUNDだ。

2月に発売されたスピーカー用アンプ搭載ネットワークプレーヤー「POWERNODE EDGE」(N230/実売約99,000円)は、BLUESOUNDの特徴がよくわかるモデルで、外形寸法219×193×44.5mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトかつ薄型、重量も1.37kgで、片手で簡単に持ち上げられ、なんと壁掛けにも対応できる。

POWERNODE EDGE
壁掛けにも対応できる

この小さな筐体内に、40W×2ch(8Ω)の「DIRECTDIGITAL」アンプを内蔵。さらに、Amazon Musicなどを含めた20以上の音楽配信サービスや、インターネットラジオの受信ができ、LAN内に保存した音楽ファイルの再生も可能。AirPlay 2とBluetooth受信にも対応する。

つまり、POWERNODE EDGEとブックシェルフスピーカーがあれば、それだけでデスクトップオーディオ環境を構築できる。さらに、トレンドとなっているeARC対応のHDMI端子も搭載しており、テレビとHDMIケーブル1本で接続すれば、テレビの音声をグレードアップするシステムも構築できる。

まさに“日本の家庭にマッチする”オーディオだが、このBLUESOUND製品の“使い勝手”が大きく進化するという。いったいどういう事なのか、来日したBLUESOUNDのプロダクトマネージャーのマット・シモンズ氏に話を聞いた。

BLUESOUNDとは?

BLUESOUNDは、カナダのLenbrook(レンブロック)という企業が保有するオーディオブランドの1つ。Lenbrookは他にも、PSB SpeakersやNAD Electronicsなどを保有する。もともとLenbrookは、北米でオーディオ機器の輸入事業を行なっており、自身でもオーディオ機器の開発を開始。BLUESOUNDは2013年の創立から、今年でちょうど10周年を迎える。

BLUESOUNDの特徴は、コンパクトなハード……だけでなく、ソフトウェアの開発に力を入れている事だ。

シモンズ氏は、2005年のYouTube設立や、2007年のiPhone登場を振り返りながら、「オーディオ業界の変化を肌で感じ、“Hi-Fi製品は今のままではダメだ、変わらなければいけない”と思ったのが10年前。そこで大きな決断をしまして、今ではストリーミング機器の世界における、リーダーになることができました」と語る。

シモンズ氏の言う「決断」は、“ネットワーク再生機能をどうHi-Fi製品に実装するか”という点だ。これには2つの方法がある。1つは、他のメーカーが開発したものを買ってきて、製品にビルトインする方法。もう1つは「全部自分たちで作る」方法。BLUESOUNDは後者を選択し、BLUSOUNDの製品にOSとして採用されている、「BluOS」を、一から作り出した。

このBluOSの制御用アプリは、iOS、Android、Windows、Mac OS、さらにKindle用まで展開。Amazon Music HDやSpotify、Deezerなど、多くの音楽配信サービスが利用でき、最大24bit/192kHzまでのロスレスデータを、BLUSOUNDの対応製品で再生できる。

それに加え、別の部屋の対応機で異なる音楽を同時に再生したり、対応デバイスをグループ化して、連携して再生するといったマルチルーム機能も搭載。アプリの安定度や高速動作など、ソフトウェアの完成度の高さも評価されている。

さらに大きな特徴として、BLUSOUNDの製品だけでなく、NADやモニターオーディオ、DALIなど、他のブランドにもOEMパーツを供給。それらのブランドが、BluOS対応機器を開発できるようにしている。

シモンズ氏は、「BluOSは、LinuxスベースのOSで、我々が数百万ドルの投資して作り上げたものです。BluOSをクローズドなものにせず、他のブランドも採用できるようにしたのは、Hi-Fi機器でのストリーミング再生自体が、斜陽産業になっては困るという危機感からです。他のブランドにも採用してもらい、BluOSを業界全体で成長させていく必要があります。他ブランドを含め、対応製品は現在75モデルありますが、価格帯も幅広くなるため、ユーザーの選択肢が広がり、結果としてBluOSがカスタマーのファーストチョイスになるための施策とも言えます」と、狙いを語る。

この“多くの機器にBluOSを展開させる”という理念は、BLUSOUNDの製品自身にも貫かれており、BLUSOUNDの初期の製品であっても、BluOSが動作するそうだ。こうした理念やユーザー層の幅広さなどが評価され、Amazon Musicをはじめ、多くの配信サービスから声がかかり、豊富な配信サービスが利用できるようになっているとのこと。

また、シモンズ氏は安定度の高さについても言及。「2010年から100回ほどメジャー、マイナーアップデートを繰り返してきました。例えば、機能を増やすよりも、多くの製品で安定して動作する事に1年間ほど注力してアップデートしていた時期もありました」という。

BluOSは「4.0」へ

BluOSは「4.0」へ

そんなBluOSは、今後4.0へのアップデートを予定している。

4.0では、ホーム画面のデザインを一新。タイルベースの洗練されたレイアウトになっているほか、ユーザーがよく聴く放送局、選曲、最近再生した曲、サービス、ニュース、アップデートなどへのアクセスが容易になる。

また、アップデート情報やニュース、MQAのイベントなど、ユーザーとのコミュニケーションを高める情報もホーム画面で提供予定。

さらに、ナビゲーションバーを画面下部に移動。メニューにアクセスしやすくなり、ホーム、お気に入り、音楽、プレーヤー、検索といったBluOSアプリの重要な機能にワンタップでアクセスできる。

検索機能も改良。ユーザーのリスニング行動に基づいた音楽サービスがデフォルトで選択される。例えば、ユーザーがミュージックサービスを1つしか設定していない場合は、検索機能はそのミュージックサービスがデフォルトとなり、複数ある場合は最後に閲覧されたものがデフォルトで表示される。

プレイリストもより使いやすくなり、ドラッグしてリストを並べ替えたり、タップして大事なものを見やすく大きく表示できる。UIのデザインカスタマイズも可能。

音楽管理、お気に入りの追加や削除、プレーヤードロワーやプレイキューの使いやすさも向上。ブラウジング表示では、右上の「+」ボタンが直接音楽サービスにつながり、ストリーミングサービスの切り替え、管理、制御がより迅速に行なえるようになる。

さらに、オーディオファンに嬉しい機能として、再生している楽曲が「HR」(ハイレゾクオリティ)なのか「CD」クオリティなのかを、「HR」や「CD」の記号で表示する機能を搭載するという。

ジャケット画像の下に、楽曲のフォーマットやスペックが書かれている

シモンズ氏は、POWERNODE EDGEのように、BLUESOUNDがコンパクトかつ、手に取りやすい価格のオーディオ機器を手掛けている理由について、「いろいろな人達、そしてより多くの人達に使っていただけるプロダクトとして開発しています。特に、POWERNODE EDGEの場合は、ペアのスピーカーさえ用意していただければ、オーディオ環境が完成します。若い人達にも使っていただけるように、1,000ドル以下のマジックプライスポイントに収まる事を意識しました」とコメント。

また、「メインシステムとして高価な製品を持っている方のサブシステムとして、ベッドルームや書斎で使っていただきたいですね」と語った。

POWERNODE EDGE
山崎健太郎