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次世代プレーヤーの定番!? HiBy入魂の完成度「New HiBy R6」が凄い

New HiBy R6

“HiBy”がいまアツい

ポータブルオーディオプレーヤーの定番と言えば、ウォークマンやAstell&Kernシリーズ、FiiOなどを思い浮かべる人が多いだろう。一方で、最近、その音質の高さや多機能さ、さらにユニークな通信機能などで存在感を増しているメーカーがある。HiByMusicだ。

そのHiByMusicから、新たな定番モデルとなる「New HiBy R6」が2月19日に発売される(予約はすでに開始されている)。結論から言うと、これが非常に完成度が高い。それでいて、価格も85,000円(税別)と、ハイエンドプレーヤーと比べるとかなり購入しやすい価格の要注目機なのだ。

HiByMusicって?

HiByMusicは、ポータブルオーディオ機器に10年以上携わってきた人達が、中国で設立したメーカーだ。中国メーカーと聞くと、とりあえず最新・最上位DACを搭載して“低価格で勝負”というメーカーも多い。ただ、HiByMusicはちょっと違う。

メーカーとしての特徴は、その高い技術力にある。独自のFPGAベースのオーディオ処理チップを設計する事が可能で、プレーヤーのOSにはAndroidをベースとしながら、独自にカスタマイズした「HiByOS」を使っている。チャレンジ精神も持ち合わせており、かなりトンガッたプレーヤーも作っている。例えば、昨年登場した最上位モデル「HiBy R8SS」には、なんとSIMカードスロットを搭載。“4Gで通信ができるDAP”として話題を集めた。

HiBy R8SSの側面。SIMカードスロットを搭載している

それだけの技術力があるため、ハイエンドモデルは当然のように“デュアルDAC搭載”だ。しかし、搭載しているDACチップの型番を見ると、「おや」と思うことがある。例えばハイエンドの「HiBy R8SS」には、旭化成エレクトロニクスの最上位「AK4499」ではなく、あえて「AK4497」を選んでいるのだ。

左からハイエンドの「HiBy R8SS」、「New HiBy R6」
「HiBy R8SS」

べつに“ケチって”いるわけではない。その証拠に、R8SSの筐体は豪華なステンレススチール製。ELNA製シリコンコンデンサや、タンタルコンデンサ、パナソニック製POSCAPなど、高音質なパーツを惜しみなく投入した結果、価格は24万2,000円とかなり“イイお値段”だ。

それでもAK4499ではなく、AK4497を選んだのは、「AK4499の方が発熱や消費電力が大きく、ポータブルプレーヤーに搭載するDACとしてはAK4497が最適と判断したため」だという。

つまり、むやみやたらにスペックを追わず、自分たちが最良と判断したパーツを厳選して採用。“価格だけで勝負”なメーカーではなく、オーディオブランドとしてしっかりとした思想を持って製品を作っている。そうした姿勢がユーザーにも伝わる事で、最近HiByMusicがブランドとして注目されている……というわけだ。

そんなHiByの新たな“顔”「New HiBy R6」

New HiBy R6

ちょっと前置きが長くなったが、今回の本題である「New HiBy R6」を見ていこう。いきなり24万円の「R8SS」から話をはじめたので、「でも、お高いんでしょう?」と思われるかもしれないが、ご安心を。New HiBy R6は前述の通り約8.5万円と、比較的手が届きやすい価格に抑えられている。なお、初回販売は写真のブラックモデルのみだが、今後シルバーモデルも追加予定とのこと。

“New HiBy R6”という名前なので当然、「以前のR6」が存在する。というか、以前のR6は、2018年に「R3」と共に登場した、HiBy最初の製品だ。登場後もR6は、R6Proへと進化し、さらにアルミ筐体の「R6ProAL」というモデルも登場している。

先程のハイエンド機「R8」は、これら「R6」の上位モデルという位置付けだ。それに加えて、搭載しているSoCがQualcommの「Snapdragon660」に刷新されている。言わば“上位機であり、新世代機”というわけだ。

そして、新たに登場する「New HiBy R6」も、R8と同じSnapdragon660を搭載している。つまり、New HiBy R6は“HiBy新世代機の定番モデル”として開発されたわけだ。

とはいえ、新旧が同じ“R6”という名前なのは、いささかわかりにくく“新世代感”が薄い。もっと別の名前が良かったのでは……とも思うが、HiByには最初の製品である「R6」という名前に思い入れがあり、「最初の哲学を継承したい」との想いで新世代機も「New HiBy R6」にしたそうだ。こういう部分からも、オーディオブランドらしい“こだわり”が感じられて、ちょっと好きになる話だ。

スペックを見ていこう。注目はDACで、この価格でもデュアルDAC仕様。チップはDSD 22.4MHz、PCM 768kHz/32bitをネイティブサポートする「ES9038Q2M」を2基搭載。以前のR6が搭載していた「ES9028Q2M」から進化している。

イヤフォン出力はバランスとアンバランスを備えているが、そのどちらでもデュアルDACを使っている。音質にこだわり、電流モード出力を活用。ノイズを低減しているのが特徴だ。

さらに、高音質再生に欠かせない水晶発振器もデュアル仕様。45.1584MHzと49.152MHzで、それぞれ個別の高精度・低位相ノイズの水晶発振器を使っている。これにより、様々なサンプリングレートの音楽ファイルを、低ジッターで処理できる。

日本のアルプス電子のロータリーエンコーダーを採用したボリューム部分

デザイン面で特徴的なのは、右上に搭載しているボリュームノブ。この質感や回し心地が非常に良く、価格以上の高級感がある。それもそのはず、このボリュームは日本のアルプス電子のロータリーエンコーダーだ。音質にとって重要であり、なおかつ頻繁に触れる部分にコストを割いているわけだ。

右側面には再生制御ボタンと電源ボタン
左側面にはmicroSDカードスロットを備えている

前述の通り、SoCはSnapdragon425から、Snapdragon660へと強化。4GBのメモリや、64GBのストレージメモリも搭載。microSDカードスロットも備え、最大2TBのカードを追加する事もできる。

従来モデルはAndroid 8.1だったが、OSはAndroid 9ベースの「HiByOS」に進化。HiByが自社でAndroidシステムアーキテクチャを再構築したもので、ビットパーフェクトなオーディオ用に最適化されている。そのため、システムレベルでAndroidのサンプルレート変換をバイパスして出力できる。

音質面では電源も重要になってくるが、ここにも新しい回路設計を採用。2つの独立した絶縁電源を使ったもので、ラインステージにはオペアンプの「OPA1612」を採用。低ESRのパナソニックPOSCAPと、プロオーディオグレードのエルナーキャップと組み合わせている。

Bluetoothにも対応するほか、USBオーディオ入力/出力にも対応し、拡張性も高い。Bluetoothは送信するだけでなく、受信も可能。他のスマホなどから伝送された音を、New HiBy R6+イヤフォンで聴く事もできる。

アナログ出力の充実ぶりも嬉しい。3.5mmのアンバランスと、4.4mmのバランス出力をポートはどちらも、ライン出力とヘッドフォン出力の両方搭載する。ポータブルで使えるだけでなく、ライン出力を用いて、据え置きのスピーカー用アンプなどと接続しても良いわけだ。

底部の出力端子部

ディスプレイは5型で、解像度は1,920×1,080ドット。表面にはCorning Gorillaガラスが使われている。表示は美しく、タッチ操作にも即座に反応するため、ハイレゾプレーヤーというよりも、ほとんど新しいスマホを手にしたような感覚だ。

外形寸法は130×73×15mm(縦×横×厚さ)で、それほど厚みは無いため持ちやすい。というか、薄すぎる最近のスマホよりホールドしやすい。重量は235gと、高級ハイレゾプレーヤーとしてはそれほど重くない。これなら、スマホと2台持ちでもさほど苦にならないだろう。

一方で、SIMスロットまで搭載したハイエンド機「R8SS」は、143×81×20mm(縦×横×厚さ)と、ひとまわり大きく、さらに分厚い。重量も420gと、200g以上重く、ズシリとくる。ハイエンド機らしい迫力満点で、所有満足度という意味では最高だが、これを日々持ち運んで使うにはそれなりの情熱が必要だろう。そういった意味でも、New R6は“ちょうどいいサイズ感”と言える。

なお、New R6の再生時間は、バランス接続時で最大8.5時間、シングルエンドでは10時間。待機時間は最大25日間だ。

左からNew R6、R8SS

音を聴いてみる

ではNew HiBy R6の音を聴いてみよう。……と、その前に、感動したポイントがある。動作のサクサク具合だ。Snapdragon660を搭載しているだけあり、画面のスクロールや、音楽再生アプリ「HiBy Music」の起動、Amazon Prime Musicの起動など、いずれもサクサク動く。新品のスマホを触っている時のような快適さだ。アルバムのスクロールや、DSDの再生などでも、もたつく場面は一切ない。毎日使う音楽プレーヤーとして、このストレスフリーさは大きなポイントと言っていいだろう。ちなみに、Snapdragon660の処理能力を活かし、MQAの16倍展開すら可能だそうだ。

試聴のイヤフォンはfinalのユニバーサル「B1(FI-B1BDSSD)」と、WestoneのカスタムIEM「ES70」を使用。まずは3.5mmのシングルエンドで聴いてみた。

いつもの「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生。音が出た瞬間に、「お、さすがは高級ハイレゾプレーヤー」と言いたくなる音場の広さ。冒頭のアコースティックギターの響きが、遠くまで広がっていくのがよくわかる。また、その音場自体の重心が低く、響きにドッシリとした安定感がある。

そのまま1分過ぎまで聴いていると、アコースティックベースが入ってくるのだが、そこで驚いた。「ズゴーン」というような、非常に重い低音が沈み込み、音圧豊かに、まるで地鳴りのように響いてくる。

スゴイのは、それだけの迫力とパワフルさがありながら、ベースの弦が震える様子がしっかりと見えるところだ。つまり、低音の響きがボワボワと膨らまず、キチッと音像の輪郭を描写するタイトさも兼ね備えている。

プレーヤーとしての情報量の多さ、デュアルDACならではのパワフルさが効果を発揮していると感じるが、イヤフォンをドライブしているアンプの実力も、大きく寄与しているのだろう。オーディオファンの中には、据え置きのピュアオーディオで、アンプを買い替えたら、今まで使っていたスピーカーが聴いたことのない音でキビキビと鳴り出して驚いた経験がある人もいるだろう。あれと同じことはポータブルオーディオでも起こる。

同じイヤフォンでも、ドライブするアンプの駆動力が高いと、特に低域のクオリティが大幅にアップする。逆に、駆動力が低いと、例えば音がスッと無くなるような場面でも、ユニットがフラフラ動いたりと、キッチリ制御できず、音が濁ったり、響きが不必要に膨らんだりする。低音がしっかりと沈み、そして分解能も豊かに描写できているというのは、つまり、イヤフォン内のドライバーを、アンプがしっかりと駆動できている証拠だ。

音の傾向としては、色付けがなく、非常にニュートラルだ。New HiBy R6は、前述の通りES9038Q2Mを2基搭載している。個人的にESSのDACには、少し寒色系で、ソリッドかつシャープな音という印象を持っている。だが、New HiBy R6はデュアルDACで使う事で、そこに力強さが加わり、さらに駆動力の高いアンプと組み合わせる事で、シャープさと共に、重心の低さ、ドッシリとした安定感も出している。

低域が深く、キレが良く、音の輪郭がシャープなので、例えば「ドナルド・フェイゲン/I.G.Y.」やジャネール・モネイのアルバム「Dirty Computer」の「Make Me Feel」など、ビートが鮮烈な楽曲が凄まじく気持ちが良い。分厚く沈み込み、うねるような低域の中でも、ヴォーカルやその他の楽器をシャープに描く再生能力は特筆に値する。

これなら、あの曲もスゴイ音がするのではと「ビリー・アイリッシュ/bad guy」を再生したらこれが大当たり。地獄の底から響いてくるような低音の深さ、そしてヘビー級のボディーブローをドスドス食らうような音圧のパワフルさは、ちょっと聴いたことがないレベル。これだけ分厚いのに、しっかりと芯のある低音は、据え置きの高級ヘッドフォンアンプでないとなかなか出ないものだが、このサイズのポータブルプレーヤーで出せてしまうのは驚きだ。そして、これだけの低音が出ているのに、小声でつぶやくようなビリー・アイリッシュの声は繊細に描写してみせる。

「スゲェなこれ」と聴いていると、当然ながら、さらに上位機の「HiBy R8SS」はどんな音がするのか気になる。そこで同じ「bad guy」を再生すると、これが最高に面白い。前述の通りR8SSはESSではなく、旭化成エレクトロニクスの「AK4497」を2基搭載する。旭化成のDACはどちらかというと、おだやかに、質感を大切に描写する傾向がある。もちろんDACだけでプレーヤーの音が決まるわけではないが、DACによる音の傾向の違いが、New R6とR8SS自体の音の違いと似ている。

低域の芯の強さ、鋭く落ち込む深さなどは、下位モデルのNew R6の方がむしろ鮮烈だ。一方で、R8SSはズシンズシンと響く低音が、複数の音が重なりあって作られている事、そして低音が響いている音場の広さなど、音楽全体に意識が向く。ささやくようなビリー・アイリッシュのボーカルも、音像の輪郭のシャープさだけでなく、声の表情がNew R6よりも豊かでアナログ感が強い。

他の楽曲も聴き比べたが、簡単に表現するとNew R6は「シャープで鮮烈な高情報量サウンド、そして強烈な低域」、R8SSは「質感と空間表現に優れた、ピュアなハイエンドサウンド」という印象だ。

HiBy R8SSとも聴き比べた

ちなみにここまではアンバランスでの試聴だが、バランス接続に変更すると、どちらのモデルもさらにクオリティがアップする。具体的には、音場の広さや、そこに展開する楽器の立体感がアップ。音の輪郭もよりクリアで、音楽全体にもパワフルさがさらにアップする。このクラスのプレーヤーを買う人は、バランス接続のイヤフォン/ヘッドフォンを既に持っていると思われるが、まだ対応ケーブルを持っていないという人も“バランス接続で聴かないともったいないレベル”なので、交換する価値は確かにある。

2機種を聴いていて悩ましいのは、どちらのプレーヤーもベースの再生能力が非常に高く、違いの部分も聴く人の好みに左右されるという点だ。個人的に「どっちか入手できるとしたら、高価なR8SSを選ぶか?」と言われたら、かなり考え込んでしまう。確かにハイエンドで情感豊かに聴かせてくれるR8SSは末永く使えるプレーヤーだと思うが、New R6の地獄の底からバズーカ砲で撃たれるような低音にノックアウトされてしまっているので、「いやこっちもスゲェぞ」「試聴した後も忘れられずに買っちゃうタイプのヤツじゃね? これ」という気がする。これはぜひ2機種とも聴いていただき、私が感じた悩みを体験していただきたい。

HiBy Linkが超便利

ここまでは「音の良いハイレゾプレーヤー」という説明だが、New R6とR8SSは機能面でもかなり満足度の高い製品に仕上がっている。

音楽再生で使うアプリ「HiBy Music」

音楽再生で使うアプリ「HiBy Music」にはイコライザーが搭載されているのだが、それとは別に「MSEB」という機能がある。MageSound Eight-Ballと呼ばれ、HiByが社内で研究したサウンドチューニングアルゴリズムで、周波数で分割するのではなく、“暖かさ”、 ”音の太さ”、“ボーカルの位置”といった、ユニークな項目で調整できる。

イコライザーをいじって理想の音に近づけるのはある程度のスキルが存在するが、MSEBの場合は「暖かく」と「クール」が書かれたスライダーを調整すると、音色だけが変わっていくのでかなりわかりやすい。音の鮮度への影響も極力抑えられているので、イコライザーよりも常用しやすいかもしれない。

プリセット付きのイコライザーも搭載しているが
より簡単に、好みの音を追求できるMSEB機能も利用可能

これとは別に、ローパスフィルタの設定も細かく選択できる。また、イヤフォン/ヘッドフォン出力のゲイン調整も可能だ。サウンドカスタマイズ機能の豊富さは、ハイレゾプレーヤーの中でもトップクラスと言える。

ローパスフィルタの設定も細かく選択できる

さらに便利なのが「HiBy Link」だ。これもHiBy Musicの中にある機能だが、例えばNew R6のHiBy Musicアプリ側を「サーバー」として設定、別のスマホにHiBy Musicアプリをインストールし、そちらを「クライアント」をして設定すると、両社がリンク。スマホがNew R6のリモコン代わりになり、選曲などの操作をスマホからできるようになるのだ。

これにより、New R6をバッグや胸ポケットに入れたままで、手に持ったスマホから様々な操作ができる。冬は上着がモコモコしていて「内ポケットに入れたDAPが……」とか「手袋脱がないと背中のバッグのチャックが」みたいな事が多発するので、実際に使うと超便利だ。この快適さはスマホとワイヤレスイヤフォンを組み合わせた感覚に近い。「ハイレゾプレーヤーと有線イヤフォン買ったけど、手軽なワイヤレスイヤフォンとスマホばかり使っている」なんて人も、一度試して欲しい機能だ。

スマホにHiBy Musicをインストールし、HiBy Linkの設定へ
スマホからNew R6を操作したり、その逆も可能だ

他にも、Bluetooth 5.0にも対応し、UAT、LDAC、aptX、aptX HD、AAC、SBCと、豊富なコーデックもサポート。高音質なBluetooth対応プレーヤーとしても活用できる。

もうひとつ、これは特別な機能というわけではないが、New R6はAndroidデバイスでもあるため、YouTubeアプリも使えるし、Google Playからアプリもダウンロードできる。試しにYouTubeでいつも見ている動画を再生してみたが、音がメチャクチャ良いので、まるで初めて見た動画のように新鮮な気持ちで楽しめる。途中で保険か何かのCMも再生されたが、そのBGMやナレーションの声までキレイなので、思わずスキップしないで最後まで見てしまった。

YouTubeの動画も見られるので、映像も迫力のサウンドで楽しめる

ワイヤレス時代に“有線イヤフォンを使いたい”と思わせる音

御存知の通り、昨今のポータブルオーディオのトレンドはワイヤレス。完全ワイヤレスイヤフォンを日常的に使っている人も増えているだろう。そうした状況下であえて“ハイレゾプレーヤーと有線イヤフォンを使う”には、それ相応の音質的なメリットが必要だ。つまり、中途半端な音質のハイレゾプレーヤーは不要と言える。

そういった意味で、R8SSとNew HiBy R6は、どちらも完全ワイヤレスイヤフォンではちょっと到達できないクオリティを聴かせてくれる。特にNew R6の強烈な低域は、アンプの駆動力に弱点がある完全ワイヤレスでは逆立ちしてもかなわない圧倒的さだ。個人的にも最近完全ワイヤレスを使う時間が増えたが、New R6を聴くと「うわスゴっ! やっぱコレだわ」という別格感にニヤニヤしてしまう。

完全ワイヤレスを聴き比べてイヤフォンに興味が出たという人は、New HiBy R6と、そこまで高価でなくて構わないので有線イヤフォンを組み合わせた音を聴いてみて欲しい。情報量が多く、駆動力のあるプレーヤーでドライブした有線イヤフォンの音の凄さを体験できるはずだ。

それにしても、音質面だけでなく、機能の豊富さや、動作のサクサク感、スマホからのリモート操作など、使い勝手の良さでもNew HiBy R6/R8SSは非常に完成度が高いと感じる。HiByとして新世代のプレーヤーというのも頷けるデキだ。ご存知の通りハイレゾプレーヤーには、既に強力な人気ブランドが幾つか存在するが、それらと比較してもまったく引けを取らないどころか、HiByにしかない魅力も多い。

特にNew HiBy R6は、HiBy新世代プレーヤーの“顔”となるモデル。10万円を切る価格だが、10万円オーバーのプレーヤーにも実力はまったく負けていないというか、むしろ勝っている部分も多い。コストパフォーマンスが高いが、決してそれだけを追求したような安っぽさや、手を抜いた部分がないのも好印象。HiByブランドの成熟と、それに賭ける意気込みを実感できる1台だ。なお、初回販売分は残念ながら予約分で完売してしまったそうだが、今後も時期は未定ながら入荷は予定されている。それまでの間、店頭の試聴機などで実際に音を体験してみて欲しい。