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ソニー、HDR明暗表現を高めた4Kプロジェクタ「VW275」。最上位「VW875」も
2021年4月16日 10:04
ソニーは、ホームシアター向け4Kプロジェクタの新製品として「VPL-VW275」と「VPL-VW875」を5月8日に発売する。どちらも価格はオープンプライスで、店頭予想価格はVW275が60.5万円前後、VW875が330万円前後。本体カラーはブラックで、VW275のみホワイトも用意する。
両機種共に、4K SXRDパネルを搭載したプロジェクタ。VW275は2018年10月発売の「VPL-VW255」、VW875は2018年11月発売の「VPL-VW855」の後継機種。VW275は同社ネイティブ4Kプロジェクタの最廉価機で、ランプ光源で明るさ1,500ルーメンを達成した“4K入門モデル”。一方のVW855は、同シリーズの最上位に位置し、レーザー光源(Z-Phosphor)や高性能なARC-Fレンズにより画質性能を極めた“4Kパーフェクトモデル”となっている。
前機種からの主な変更点は、HDR映像の明暗表現を向上させる技術「ダイナミックHDRエンハンサー」の搭載。明るい部分はより明るく、そして暗い部分はより暗く投影することで、HDRコンテンツに最適なコントラストを実現している。それ以外の基本的な機能や仕様は、前モデルを引き継ぐ。
なお、ダイナミックHDRエンハンサーは、LSIの変更により実現しているため、「前機種VW255/VW855については、ソフトウェアアップデートで同機能の追加はできない」としている。
2機種共通の新機能「ダイナミックHDRエンハンサー」
VW275/VW875共通の新機能が「ダイナミックHDRエンハンサー」。これは2020年発売モデルの「VPL-VW775/VW575」に先行搭載された技術と同じもの。
パネルに光を反射させて投写するプロジェクターでは、シーン内に明部と暗部が混在するHDR映像を投写する場合、“明部を重視すると暗部が浮き、暗部を重視すると明部が沈む”傾向があったが、ソニーはダイナミックHDRエンハンサーによりこの課題を解決。
新たに搭載したLSIがフレーム毎にダイナミックレンジを調整し、明るいところをより明るく輝かせることができるようになった。
VW875の場合は、光学部にアイリス機構、そしてレーザー光源を採用しているため、アイリスのダイナミック制御と光源の調整を組み合わせたデュアルコントラストコントロールにより、黒をより沈みこませながら明部を輝かせるメリハリのある映像に仕上げている。
ダイナミックHDRエンハンサーは、理想的なPQカーブに近づけて再生しているのも特徴。具体的には、調光で黒レベルを引き下げ、信号処理で明るい領域を強調。ピーク部を丸め処理することで理想的なPQカーブに近づけているという。同社担当は「ダイナミックレンジを稼ぐため、PQではなくSDRのカーブに近づけて投影する手法もあるが、それでは本来のPQとは異なった画になってしまう。我々は“本来のガンマ(PQカーブ)に揃える”というスタンスで、ダイナミックHDRエンハンサーを用意した」という。
また新モデルでは、SDRコンテンツの再生時と、HDRコンテンツの再生時とで、別々の画質プリセットを保持できるほか、画質メニュー内のHDR設定でHDRオート時の「HDR10」(最大輝度1,000nitを超えるHDRコンテンツの高階調側の表現を豊かにするモード)、「HDRリファレンス」(BVM-X300のトーンマッピングを再現するモード)の選択が新たに追加。HDRオートで「HDRリファレンス」モードを選択すると、「HDRリファレンス」モードが自動的に選択される。
ネイティブ4Kプロジェクタの最廉価「VPL-VW275」
0.74型/4,096×2,160ドットの4K SXRDパネルを搭載。HDR10とHLGのHDR規格をサポート。高圧水銀ランプ(225W)で、明るさは1,500ルーメン。
データベース型超解像処理LSI「リアリティークリエーション」を搭載。入力された映像ソースをリアルタイムで解析し、数千パターンに分類。データベース上に存在する最適な画像(絵柄)と照合し、オリジナルの映像信号がもつ質感やディテール感、さらに、映像データの編集や伝送で失われてしまった情報までも復元するという。
シネマフィルム1、シネマフィルム2、リファレンスなど、全9種類のピクチャープリセットを用意。ゲームモードは、一部の高画質処理を省略することで遅延を抑制するようになっており、4K HDRゲームコンテンツを表示する場合でもストレスのないゲーム体験を実現するという。カラースペースモードは、BT.2020とBT.709(sRGB)を用意する。
3D表示にも対応。3Dメガネのレンズシャッター開閉を同期させる3Dシンクロトランスミッターを、プロジェクタ本体に内蔵する。3Dメガネは別売で、「フルHDグラス・イニシアチブ」準拠のものであれば、他社製メガネを含めて利用可能。
光学2.06倍の電動ズーム/フォーカスレンズを採用。電動のレンズシフトも可能で、上85%・下80%・左右31%の投写画面移動に対応する。レンズシフト位置はリモコンから調整可能。60~300型の投写に対応する。
HDMI入力は2系統で、最大4K60pの18Gbpsをサポート。CECには対応しない。ほかにも、トリガー出力やRS-232C、LAN、IR IN、USBのコントロール端子を用意する。
ランプ寿命は約6,000時間(ランプコントロール:低)で、動作音は約26dB。消費電力は最大約390W。
突起部を含まない外形寸法は、495.6×463.6×205.3mm(幅×奥行き×高さ)。重量は14kg。
シリーズ最上位の「VPL-VW875」
0.74型/4,096×2,160ドットの4K SXRDパネルを搭載。HDR10とHLGのHDR規格をサポート。レーザー光源を採用し、明るさは2,200ルーメン。
動的絞り機構の「アドバンストアイリス3」と、簡単にシネマスコープサイズを投写できる「ピクチャーポジション」、使用時間の経過により発生する色バランスのズレを自動補正する「オートキャリブレーション」を搭載。レーザー光源とアイリスを組み合わせた「デュアルコントラストコントロール」も備える。
データベース型超解像処理LSI「リアリティークリエーション」を搭載。入力された映像ソースをリアルタイムで解析し、数千パターンに分類。データベース上に存在する最適な画像(絵柄)と照合し、オリジナルの映像信号がもつ質感やディテール感、さらに、映像データの編集や伝送で失われてしまった情報までも復元するという。
VW875では、リアリティークリエーションの超解像に加え、デジタル処理でMTF(レンズ性能)を向上させる「デジタルフォーカスオプティマイザー」を搭載。
前機種から18枚構成の4K高解像専用設計レンズ「ARC-F」が使われているが、デジタル処理を用い、レンズの収差を画面上の座標と画質のパターンから最適化。さらに輪郭部分を自動検出して強調処理を自動で行なうことで、映像本来の美しさをより忠実に再現し、理想的な4K映像を実現している。
シネマフィルム1、シネマフィルム2、リファレンスなど、全9種類のピクチャープリセットを用意。ゲームモードは、一部の高画質処理を省略することで遅延を抑制するようになっており、4K HDRゲームコンテンツを表示する場合でもストレスのないゲーム体験を実現するという。カラースペースモードは、BT.2020とBT.709(sRGB)を用意する。
3D表示にも対応。3Dメガネのレンズシャッター開閉を同期させる3Dシンクロトランスミッターを、プロジェクタ本体に内蔵する。3Dメガネは別売で、「フルHDグラス・イニシアチブ」準拠のものであれば、他社製メガネを含めて利用可能。
光学2.1倍の電動ズーム/フォーカスレンズを採用。電動のレンズシフトも可能で、上下80%・左右31%の投写画面移動に対応する。レンズシフト位置はリモコンから調整可能。60~300型の投写に対応する。
HDMI入力は2系統で、最大4K60pの18Gbpsをサポート。CECには対応しない。ほかにも、トリガー出力やRS-232C、LAN、IR IN、USBのコントロール端子を用意する。
レーザー光源寿命は約20,000時間。動作音はVW875が約24dB。消費電力は、最大約490W。
突起部を含まない外形寸法は、560×510.5×223mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約22kg。