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ソニー最小のリアル4Kレーザープロジェクタ。ドルビーシネマ超えの高輝度機も

4Kプロジェクター「VPL-XW5000」

ソニーは、ホームシアター向け4Kプロジェクターの新製品として、ネイティブ4Kデバイス×レーザー光源で業界最小サイズとなる「VPL-XW5000」と、明るさ3,200ルーメンの「VPL-XW7000」を8月27日に発売する。どちらも価格はオープンプライスで、店頭予想価格はXW5000が88万円前後、VW7000が187万円前後。本体カラーはブラックで、XW5000のみホワイトも用意する。

0.61型3,840×2,160ドットの4K SXRDパネルと、レーザー光源(Z-Phosphor)搭載した4Kプロジェクター。XW5000は「VPL-VW575」、XW7000は「VPL-VW775」の後継。

高性能なプロセッサーを搭載することで、リアルタイムでの画像処理性能を強化。さらに部材や構成を見直すことで、小型・軽量なボディを実現している。外形寸法460×472×200mm(幅×奥行き×高さ)のXW5000は、“業界で最もコンパクトなネイティブ4Kレーザープロジェクター”とする。

VPL-XW5000のブラック(左)、ホワイト
VPL-XW7000

上位のXW7000は、VW775と比べて1.6倍明るくなった高輝度性能が特徴。「これまで慣れ親しんだプロジェクター映像とは一線を画す描写。我々のキーテクノロジーを結集して実現した、高精細で広ダイナミックレンジ、そして息をのむような多彩な色表現が没入型の視聴体験を実現するモデル」(担当者)という。

なお、一部海外で発売しているミドル機「VPL-XW6000ES」は国内導入の予定はなし。また'21年発売の「VPL-VW875/VW275」、'20年発売の「VPL-VW775/575」、そして'17年発売の「VPL-VZ1000」は在庫限りで終売となる。

新開発の4K SXRDパネルを採用。X1プロセッサ搭載

4Kプロジェクター「VPL-XW5000」

2機種ともに、ソニー独自のネイティブ4K液晶デバイス「4K SXRD」を搭載。'22年モデルでは、従来とは異なるSXRDパネルを新開発し、サイズは0.74型から0.61型へ、解像度は4,096×2,160ドット(21:9)から3,840×2,160ドット(16:9)へ小型化した。

これにより、パネルの製造コスト低減と精度の向上を両立。液晶層の輝度ムラを抑えることによるパネルコントラスト向上に寄与したほか、光学部のサイズダウンによる筐体の小型化にもつながっているという。

新開発の0.61型4K SXRDパネル

同社薄型テレビ・ブラビアに搭載する映像プロセッサをカスタマイズした「X1 Ultimate for projector」(以下X1)を、民生用プロジェクターに初搭載。

X1プロセッサでは、それぞれの被写体に応じて最適に高精細化する「オブジェクト型超解像」、高精細でノイズの少ない映像を再現する「デュアルデータベース分析」、被写体に応じて色とコントラストに調整する「オブジェクト型HDRリマスター」、デジタル処理でレンズの収差を最適化する「デジタルフォーカスオプティマイザー」、信号・光源をコントロールしてフレームごとにHDR映像のDレンジを調整する「ダイナミックHDRエンハンサー」などの各種映像処理を制御。

各画面上のオブジェクトをリアルタイムに処理することで、「ホームシネマではこれまでにない質感、色、コントラスト、リアリズムを備えた高精細かつ高ダイナミックレンジの画像が得られる」としている。

プロジェクター向けにカスタマイズした「X1 Ultimate for projector」。業務用モデル「VPL-GTZ380」にも搭載されている
被写体に応じて最適に高精細化する「オブジェクト型超解像」
高精細でノイズの少ない映像を再現する「デュアルデータベース分析」
被写体に応じて色とコントラストに調整する「オブジェクト型HDRリマスター」
デジタル処理でレンズの収差を最適化する「デジタルフォーカスオプティマイザー」
フレームごとにHDR映像のDレンジを調整する「ダイナミックHDRエンハンサー」

XW7000では、新開発のACF(Advanced Crisp-Focused)レンズを搭載。

70mm径の非球面フロントレンズに加え、浮遊レンズ群およびフォーカシングレンズ群と超低分散ガラス組み合わせたシステムにより、高い色再現性と歪みのない描写を実現。画面全体において、VW875搭載のARC-Fレンズ同等の透明度を備えた。なお、どちらもアイリス機構は搭載しない。

XW7000は“ドルビーシネマ超え”のスクリーン輝度

光源は、両機種とも青色レーザーと蛍光体を組み合わせたシステム「Z-Phosphor」を採用。明るい部屋においても、大型スクリーンでの力強い映像表現と純度の高い色再現を実現した。

約20,000時間の長時間使用が可能で、明るさは、XW5000が2,000lm(VW575は高圧水銀・1,800lm)。

上位のXW7000の場合は、明るさ3,200lmの高輝度性能により、150型のスクリーン(ゲイン1.2)でもスクリーン輝度200nitを達成。「通常のデジタルシネマが48nitで、ドルビーシネマでも108nit。XW7000は最高クラスの映画館を超える輝度をホームシアターで実現しており、明るい部屋でも暗い部屋でも画面に没入できる」(担当者)という。

前機種VW775の2,000lmから3,200lmへの光量アップは「レーザーの出力や使用している蛍光材料、構造の進化。また光学ブロックの集光能力を見直したことが大きい」とのこと。

スクリーン輝度の比較 (スクリーンゲイン1.2の場合)

スクリーンサイズXW7000
(’22年モデル)
VW775
(’20年モデル)
120型308nit173nit
130型262nit148nit
140型226nit127nit
150型200nit111nit

鮮やかな色を再現する広色域化技術もアップデート。独自の色アルゴリズム「トリルミナスプロ」が彩度や色相、明るさから色を検出し、映像の細部まで自然な色合いへと変換。

さらに上位XW7000では、新開発の「ライブカラーエンハンサー」も搭載。肌の色などをキープしながら、色域の特定部分を拡張することでHDR感を強調。一般的には周囲光の強い環境では色が飽和しやすいが同機能を使うことで、色をしっかりと描写。昼間でも暗い部屋でも、鮮やかでリアルな色を楽しめるという。

肌の色などをキープしながら、色域の特定部分を拡張することでHDR感を強調する「ライブカラーエンハンサー」
IMAX Enhancedをサポート

'22年モデルでは、IMAX Enhancedをサポート。動画配信サービス「Disney+」などで提供しているIMAX Enhancedコンテンツと組み合わせると、一部シーンを拡大アスペクト比で楽しむことができる。

なお、XW5000は3D非対応、XW7000は3Dシンクロエミッタが別売(従来機は内臓)に変更された。また色バランスのずれを自動補正するオートキャリブレーションなどのいくつかの機能も削除されている。

従来機からなくなった機能
・3Dシンクロエミッタ
・アイリス
・モーションフロー(インパルス、コンビネーション)
・MPEG NRモード
・Clear Whiteモード
・x.v.Colorモード
・Mastered in 4Kモード
・Auto Calibrationモード

XW7000は、別売の3Dシンクロエミッタを購入すれば、3D映像が楽しめる。写真はXpand社のRFリミッター「XPAND AE125-RF」
XW5000はレンズシフト/ズームが手動となる

レンズ機構は、XW5000が手動で、XW7000が電動。ズーム/シフト/F値は、XW5000が1.6倍/垂直71%・水平25%/F2.5~F2.99、XW7000が約2.1倍/垂直85%・水平36%/F2.5~F3.24。

投写サイズはどちらも60~300型で、120型時の投写距離はXW5000が3.61~5.76m、XW7000が3.56~7.77m。

XW7000のリモコン

HDMI入力は2系統で、4,096×2,160/24p/30p/60p、3,840×2,160/24/30/60p、1,920×1,080/24/60/120pなどの各種信号をサポート。4K120p入力は対応しない。HDMI以外では、トリガー、RS-232C、LAN、IR IN、USB端子を搭載。XW7000のみ、3D SYNC出力を備える。

XW5000の入出力端子
XW7000の入出力端子

空冷は前面吸気・背面排気方式を採用。排気の熱い空気による影がスクリーン上に映る“陽炎現象”がなく、画質低下を抑えた。

外形寸法/重量は、XW5000が460×472×200mm(幅×奥行き×高さ)/13kg、XW7000が460×517×210mm/14kg。

XW5000(左)とXW7000のサイズ比較