ミニレビュー

Echo Show登場、10型大画面でPrime Videoに最適なスマートスピーカー

Amazonは、10.1型ディスプレイを備えたスマートスピーカー「Echo Show」を12月12日から出荷開始した。声で操作できるEchoシリーズに、さらに画面が追加されたことで、ショッピングやビデオ通話などの機能が強化されたほか、手ごろな映画視聴用モニターとしても期待がかかる。価格は27,980円(税込)。本日発売されたばかりのEcho Showを、Prime Videoを中心に試した。

迫力の10型液晶搭載

Amazonの“画面”付きスマートスピーカーといえば、7月に発売された「Echo Spot」(税込14,980円)だが、Spotは“丸形”ディスプレイで、サイズも2.5型と小さめ。一方で、Echo Showは、10.1型/1,280×800ドットのタッチ操作対応液晶と、ステレオスピーカーを搭載している。そのためより迫力ある映像/音楽体験が期待される。

10型/1,280×800ドットディスプレイを装備

外形寸法は246×107×174mm、重量は1,755gと、Echo Spot(104×91×97mm/419g)に比べると「巨大」といえるサイズ。画面が大型化されただけでなく、2インチのデュアル・ネオジムドライバーやパッシブ・バス・ラジエーター、Dolbyプロセッシングなどを搭載により、パワフルな低音を特徴とする。なお、バッテリ駆動には対応せず、ACアダプタ接続が必須となる。

画面は上方向にスラントしたデザインで、画面上部にMUTEボタン(音声アシスタントAlexaをミュート)とボリューム上、下ボタンを装備する。背面にはUSB端子とDC電源入力のみだが、側面から見ると三角形のように見える。

側面。ユニークな形状
背面にUSBや電源端子など
上部のボリュームボタン

ノートPCの脇においても、10型ディスプレイの存在感はかなりのもの。ダイニングテーブルなどにおいてもいいが、ある程度大きなテーブルで使いたいと感じる。

一応、Amazonのニュースリリースでも「スマートスピーカー『Amazon Echoシリーズ』」と記載されているが、外見的には「ディスプレイ」や「タブレット」という印象が強い。

大型ディスプレイでPrime Videoを見る

大きな特徴は、Echo Showの発売にあわせて「Amazon Prime Video」の音声操作に対応したこと。

「アレクサ、プライムビデオを見せて」と呼びかければ、Echo Showに触れずに、Prime Videoのホーム画面を表示できる。あとは、画面をタッチして映画やドラマの選択や再生操作が行なえる。タッチパネルで決定(再生)できるが、「アレクサ、再生して」と声で再生指示したり、「アレクサ、プライムビデオで『カリギュラ』を見せて」のように具体的なタイトル名を指定し、再生もできる。

Prime Videoのメイン画面

タッチパネルでは、[次に見る]、[Prime 映画]、[Prime TV番組]などから見たい番組を検索できるほか、早送りや戻し、次のエピソードの再生などに対応。音声操作では、[10分飛ばして]のように時間を指定したスキップ指示もできる。

「アレクサ、プライムビデオで見る」
もっと見るから[Prime 映画]
Prime Videoの再生画面

10型ディスプレイの迫力は十分。解像度はHDだが、視聴距離が1m以内なので精細度は申し分ない。「トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン」のエピソード1、夜中の基地の襲撃シーンでは、薄暗い室内光に照らされる人肌の質感や暗部の階調表現がとても良い。暗闇を逃亡する車のテールランプの点滅もハイコントラストに表示される。

画質モードなどは特に用意されていないが、カジュアルに映画やドラマを楽しめる。

また、画質だけでなく、予想以上に音がデカイのも好印象。距離も近いのでかなり迫力ある映像体験で、特にやや強すぎるぐらいの低音が気持ちいい。

そして自立するため、タブレットのように手に持たずに、ハンズフリーでドラマが見られるというのも気楽。卓上のポータブルテレビ(Prime Video専用)に、Echoスピーカーのフル機能が搭載されている、という印象だ。

Prime Videoが見られるなら他の映像配信サービスも見られるのでは? と思ったのだが、現時点で満足に映画やドラマが見られるのはPrime Videoのみ。NHKニュースのスキルなども用意されているが、テキストとニュース映像が少し見られる程度だ。

Echoシリーズの場合、Fireタブレットのような「アプリ」ではなく、「Alexaスキル」と呼ばれる音声インターフェイスによる機能となる。タッチパネルを使った操作ができる他社製アプリはほとんどない。

そのため、HuluやNetflix、AbemaTVなどほかのサービスの動画も使いたい人は、Fireタブレットなどを購入したほうが良い。なお、Firefoxブラウザ経由で、YouTubeなどの動画を見ることはできる。

パワフルなスピーカーと充実の音楽サービス連携

注目したいのは音楽スピーカーとしての充実。「アレクサ、音楽を再生して」で、Amazon MusicやPrime Music、Amazon Music Unlimitedの音楽再生が可能なほか、Prime MusicやAmazon Music Unlimitedだけでなく、dヒッツやうたパス、Spotifyなどの他社の音楽配信サービスに対応している。

Prime Music
Spotify

筆者はSpotifyをメインの音楽サービスとして使っているので、Spotifyを普段の環境のまま使えるし、声だけでなくスマホアプリからの選曲/再生操作も行なえる。昨年9月のEcho日本発売時は、他社サービス対応が弱かっただけでなく、Amazon Musicでさえアプリ連携できておらず、“スピーカー”としての魅力がGoogle Home等に見劣りしていた。しかし、2018年12月現在は、サービス対応、機能ともに充実したスピーカーになった。Echoシリーズが1年かけて機能熟成してきた印象だ。

アプリからも操作できる

さらに海外ではApple Music対応も発表されている(日本での対応は未定)など、サードパーティ対応も積極的。個人的にはAmazon、Google、LINEの3社のスマートスピーカーでは、Amazon Echoシリーズが一番バランスよく素直な音作りと感じているので、対応サービス拡充は嬉しい限り。弱点の無いスピーカーになりつつある。

実際に音を聞いてみても、とにかく迫力が十分。ジャズ系のベースの量感が十分で、EDMも量感が十分だが、キレもよく、迫力はあるが鈍重ではなく、スッキリした印象。ブルーノ・マーズ「Just the Way You Are」は、いつも以上に“元気”なサウンドに感じられる。

ただし、置き場所によって若干音の傾向が変わる点は注意してほしい。厚めの木材のテーブルでは低域から高域までパワフルだが、やわなテーブルに置くと、ボーカルが痩せ、高域の伸びも今一つに感じたりする。このあたりは導入時の工夫でカバーしたいところだ。

Echo Spotと同様に、Alexaに話しかけて、天気を確認したり、買い物リストを表示させるなどのビジュアルを活かした操作も可能。また、Amazon Musicや「カラオケ JOYSOUND」のスキルを利用して、スクリーンに表示される歌詞を見ながらカラオケもできる。

Bluetooth接続にも対応。500万画素のカメラを内蔵しており、Echo Spot、Echo Show、Alexaアプリをインストールしたスマートフォンとのハンズフリー通話にも対応する。

数時間使ったレベルだが、これまでで最も迫力のサウンドが楽しめるEchoスピーカーで、Prime Videoがバッチリ楽しめる強力な製品がEcho Showだ。また音声だけでは不安な、ショッピングも大きなディスプレイで確認しながら決定できるのは心強い。

Prime Videoや音楽スピーカーを強化したい人や、Echoスピーカーを使いこなしている人にはおすすめできる。ただ、Fireタブレットのようにタッチパネルインターフェイスによる操作は期待は禁物だ。この点はあくまで音声操作を軸にした、ディスプレイ付きのスマートスピーカーだ。

臼田勤哉