レビュー

ヘキサコアで爆速、声でも操作できるAmazon「Fire TV Cube」(第2世代)を使ってみる

AmazonのFire TVシリーズ史上最もパワフルという「Fire TV Cube」(第2世代)が5日、いよいよ発売された。価格は14,980円(税込)。Amazon Prime Video、YouTube、Netflix、Hulu、DAZN、AbemaTV、TVerなどがテレビで楽しめるだけでなく、ヘキサコアプロセッサを搭載した高い処理能力のサクサク動作、さらにAlexaを使って、ハンズフリーの音声操作も可能でコンテンツに素早くアクセスできるのが特徴だ。

「Fire TV Cube」(第2世代)

Echoシリーズは丸いフォルムの製品が多いが、第2世代のFire TV Cubeはその名の通り、キューブ型。外形寸法は86.1×86.1×76.9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は465gだ。

その名の通り、筐体はキューブ型
左からFire TV Stick、Fire TV Stick 4K、Fire TV Cube

特徴は大きく3つある。1つは、高いハードウェアのスペック。ヘキサコアのプロセッサを搭載し、4K Ultra HD映像だけでなく、HDR10、Dolby Vision、HLG、HDR10+のHDR規格をサポート。音声はDolby Atmosもサポートしている。ストレージは16GBだ。

スティック型の「Fire TV Stick 4K」と比べると、対応する映像や音声は同じだが、プロセッサがクアッドコアからヘキサコアにパワーアップ。ストレージも8GBから16GBに倍増している。

背面。HDMI出力に加え、赤外線延長ケーブル、イーサネットアダプタを接続する端子などを備えている

このスペックを活かし、アプリの立ち上げや、アプリ内でコンテンツを選んでいる時など、サクサクと高速に動作し、ストレスが少ない。試しに、クアッドコアのFire TV Stick(4Kではない)と比較したところ、起動時間はFire TV Cubeが約23秒、Fire TV Stickは約57秒。Netflixの起動はFire TV Cubeが7.5秒、Fire TV Stickが約23秒、YouTubeの起動はFire TV Cubeが6秒、Fire TV Stickが約7秒と大幅に高速化している。

起動だけでなく、コンテンツ選択のカーソル移動も高速。動きがもたついて、「選んだコンテンツを通り過ぎてしまった」というイライラとも無縁だ。コンテンツ選択後の読み込み→再生スタートも爆速だ。

2つ目の特徴は、設置場所だ。Fire TV Stickはスティック型の端末で、テレビの裏側のHDMI端子に接続する。一方のFire TV Cubeはキューブ型なので、テレビと少し離して、HDMIケーブルを介して接続する形となる。なお、セットアップ時にはテレビのスピーカーから30cm以上は離して設置するようアナウンスが表示される。なお、30cm以上離す理由は後述する。

製品にHDMIケーブルは付属していないので、家に余っているHDMIケーブルが無い場合は、Fire TV Cubeと一緒に、30cm以上のケーブルを購入するといいだろう。

パッケージや説明書、セットアップ画面などで、テレビのスピーカーから30cm以上は離して設置するようアナウンスされる
付属品一覧。HDMIケーブルは付属しない
イーサネットアダプタ
赤外線延長ケーブル

このため、Fire TV Stickはテレビの裏で存在感を消しながら使えるのに対し、Fire TV Cubeは目に触れるモノとしてテレビまわりに“置く”形になる。テレビラックの空きスペースに置くパターンが多そうだが、事前に、ラックまわりでどこに設置するのかイメージしておくといいだろう。

3つ目の特徴が、音声操作に対応している事。Fire TV Stickも、付属リモコンのマイクに話しかければ音声操作はできるが、Fire TV Cubeは8個のマイクを本体に内蔵。そのマイクで、ユーザーの声を常時認識し、付属リモコンに触らなくても「アレクサ」と呼びかける事で操作ができる。

丈夫に小さな穴が8個見えるが、これがマイクの穴だ
「アレクサ」と話しかけると、上部の青いイルミネーションが光る

例えば「アレクサ、アクション映画を探して」とか、「アレクサ、YouTubeで料理の動画を探して」といった具合に、リモコンに手を伸ばさなくても、寝転んだままでも操作ができる。コンテンツの再生中に「アレクサ、30秒巻き戻しして」といったトリックプレイも音声操作が可能だ。ただし、この音声操作は対応しているアプリと、まだしていないアプリがある。

HDMI CECにも対応しているので、対応しているテレビとHDMI接続すると、Fire TV Cubeからテレビの操作も可能。「アレクサ、テレビの音を大きくして」といった使い方も可能だ。

コンテンツライブラリのスクロールなども、声で操作ができる。また、音声操作をしやすくする工夫も施されている。Fire TV CubeでAmazon Prime Videoにアクセスすると、作品サムネイル画像のタイトル名部分に「1」、「2」、「3」といった数字が振られている。これはFire TV CubeのUIだけに表示されるもので、例えば「アレクサ、3番を選んで」などの指令で、ダイレクトに3番が振られたコンテンツに移動できる。なお、地上/BS/CSデジタル放送のチャンネル選択には現在のところ対応していない。

コンテンツの前に数字が振られているのがわかる

なお、「アレクサ」という声の認識は、テレビから音が出ている時でも可能だ。しかし、あまりテレビの音が大きい場合は認識できない。これが、先程Fire TV Cubeの設置位置を、テレビのスピーカーから30cm以上離してとアナウンスされていた理由だ。

Fire TV CubeとEchoは何が違うのか

Fire TV StickとFire TV Cubeの違いとして、Fire TV Cubeはスピーカーも内蔵している事が挙げられる。映画などのサウンドはテレビから出力されるが、「アレクサ、今日の天気は?」と問いかけた時の答えなどはFire TV Cube内蔵スピーカーから再生される。

つまり、コンテンツに関わらない応答であれば、テレビの電源がOFFの場合でも使えるというわけだ。

底部にスピーカーを搭載している

その点で、Fire TV CubeはEchoのようなスマートスピーカーとして使うこともできる。例えば「アレクサ、radikoでJ-WAVEをつけて」と話しかければ、J-WAVEのラジオ番組を再生してくれる。

ただ、Echoと完全に同じ事ができるのかというと、Alexaスキルの全てにFire TV Cubeが対応しているわけではなく、「基本的な事であれば、Fire TV Cubeもできる」という状況だという。

また、残念ながら内蔵スピーカーの音質はEchoシリーズの方が上だ。ニュースや天気予報を聴くといった面では十分だが、ラジオや音楽を流して楽しむという場合は、Echoシリーズを用意した方がいいだろう。

映像配信サービスをより身近に楽しむためのFire TV Cube

Amazon Prime Video、YouTube、Netflixなど、動画配信サービスを日々活用しているというヘビーユーザーには、コンテンツの検索や選択がサクサクできるFire TV Cubeのパワフルさに魅力を感じるだろう。

音声操作については、「リモコンでやればいいのでは?」と感じる人もいると思うが、リモコンが見当たらなかったり、リモコンがあそこに見えてはいるが、手を伸ばすのも面倒だという時に「アレクサ、テレビの音を大きくして」と言えば済むというのは正直言って便利だ。細かい操作はリモコンの方は速い事もあるが、音声操作の便利さは、一度使ってみると多くの人が実感できるだろう。

また、家電にあまり詳しくない家族が配信サービスを楽しみたいという時も、音声操作は便利だ。テレビのリモコンとは別に、「Fire TV Cubeで映像配信を見たい時はこっちのリモコンを使って、アイコンのここを選んで……」と説明しても、なんだかよくわからないという人もいるはずだ。そんな時は「アレクサ、シュワルツェネッガーの作品を検索して」と言えば、コンテンツがズラッと表示される。Fire TV Cubeはハイスペックな製品だが、今までFire TVに触れてこなかったという人にも、マッチする製品といえるかもしれない。

山崎健太郎