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配信で「水曜どうでしょう」入門! 10年以上の“藩士”が選ぶ3選

10月28日には2020年新作の放送がスタートしたHTB制作のバラエティ番組「水曜どうでしょう」。番組公式サイトに「旅に出ます」と新作制作告知が出されると、またたく間にニュースとなり、SNSではトレンド入りを果たすほどの人気を誇る。Netflixなどでも配信されているが、これまでの全作品が配信されているわけではないため、どこから観始めればいいのか分からず、手を出せていない人も多いのではないだろうか。そこで、各配信サービスで、どの作品が見られるのかまとめてみた。さらに、配信で見られる作品の中から、10年以上番組のファン、通称“どうでしょう藩士”である編集部員が水曜どうでしょう入門に最適な3作品をピックアップした。

そもそも「水曜どうでしょう」とは

水曜どうでしょうは、北海道出身で数々のドラマや映画で主演を果たし、2020年のNHK紅白歌合戦で白組司会を務める大泉洋と、その大泉が所属する事務所「CREATIVE OFFICE CUE」の会長を務める“ミスター”こと鈴井貴之、HTBの藤村忠寿チーフディレクター、嬉野雅道ディレクターの4人、通称“どうでしょう軍団”が北海道はもちろん、日本全国、さらには海外を舞台にさまざまな企画へ挑むバラエティ番組。

1996年から2002年までレギュラー放送が行なわれ、それ以降は数年に1度のペースで新作が制作・放送されている。また一部のテレビ局では「水曜どうでしょうClassic」と題した再放送も行なわれているほか、HTBからは番組を再編集したDVD・Blu-ray、グッズなどが販売されている。

代表的な企画は、サイコロを振り、出た目に従って移動しながら北海道を目指す「サイコロ」シリーズ、ホンダ製のバイク「スーパーカブ」に乗って日本列島を縦断する「原付」シリーズなど。またオーストラリアを縦断したり、アメリカを横断したり、ヨーロッパ各国を回る企画なども行なわれてきた。

上述したように、国内外を旅する企画が多いことから“水曜どうでしょう=旅番組”というイメージを持っている人も多いだろうが、2019年末に放送された「北海道で家、建てます」シリーズのように、旅には出ず、北海道内で実施される企画もある。

大泉洋と“ミスター”こと鈴井貴之

番組を通しての魅力は、大泉と基本的にはカメラ外にいる藤村ディレクターによる喧嘩のようなやりとりや、大泉の“ボヤき”、企画発表などで大泉に仕掛けられる“騙し”、台本がないからこそ起きるハプニングの数々など。また、当初の企画趣旨から外れて突如ドラマ撮影が始まったり、早食い対決が始まったりと、番組内容が予想もしない方向に変わっていく点も、ファンを惹きつける要因のひとつ。

筆者の「水曜どうでしょう」コレクションの一部
ファンにはおなじみの公園も巡礼した

筆者も、そんな水曜どうでしょうの魅力に取り憑かれたファンのひとり。お気に入り企画のDVDや、タオル、手帳、関連書籍なども購入しているほか、プライベートで北海道を訪れた際は、南平岸にあるHTBの旧社屋、水曜どうでしょうの“前枠・後枠”撮影でおなじみの平岸高台公園を聖地巡礼してしまったほど。

「水曜どうでしょう」入門におすすめの3作品

現在「水曜どうでしょう」を配信しているのは、HTB公式の「HTB 北海道 on デマンド」とNetflix、U-NEXT、TSUTAYA TV、Video Market。このうち定額配信しているのはNetflixのみで、ほかの4サービスは1話ごとに購入する都度課金となっている。

しかし、いずれのサービスも放送された全企画が網羅されているわけではない。11月4日時点で編集部が確認したところ、もっとも配信企画が多いのはHTB 北海道 on デマンドで18本。続いてTSUTAYA TVが11本、Netflixが9本、U-NEXT、Video Marketが8本。U-NEXTとVideo Marketが配信している8本は同じものだった。

今回は、これら5つのサービスで配信されているものから、初めて視聴する人でも水曜どうでしょうの面白さを堪能できるであろう3作品をピックアップしたので、簡単に紹介しよう。いずれもすべてのサービスで視聴できる。

“水曜どうでしょう=旅番組”というイメージがあり、2020年新作のように海外企画が見たいという人には、2004年放送の「ジャングルリベンジ」がおすすめ。1998年に放送された企画「マレーシアジャングル探検」で訪れたマレーシアのタマンネガラ国立公園を再び訪れ、“ブンブン”と呼ばれる木造の小屋で動物を観察する、という企画。

動物を観察すると言いながらも、ここで映し出されるのは男4人の人間ドラマ。特に終盤の第6夜は、詳細は伏せるが人間の“リアル”が克明に記録されており、必見の一言。ただし、視聴する際、食事の時間帯は避けたほうがいいだろう。全7夜のうち、冒頭2夜を使って行なわれる大泉への“騙し”も見どころ。

国内を旅する企画では、2011年放送の「原付日本列島制覇」をおすすめしたい。これは1999年放送「72時間! 原付東日本縦断ラリー」、2000年放送「原付西日本制覇」に続く、国内原付企画の第3弾。ホンダ・カブにまたがり、過去2作で走っていない東京~高知間を走破し、日本列島を制覇しようというもの。

【公式】「原付西日本制覇 今世紀最後の水曜どうでしょう」の見どころ

水曜どうでしょうにおける“カブ企画”は、第1弾「原付東日本縦断ラリー」で起きた大泉のウィリー、通称“だるま屋ウィリー事件”が衝撃的で、通常放送最後の企画ではカブでベトナムを縦断するなど、番組を語る上で欠かせないコンテンツになっている。

「原付日本列島制覇」は、そんな“カブ企画”を楽しめるだけでなく、こちらも番組の歴史に欠かせない甘いものが苦手なミスターと、甘いものが大好きで早食いも得意な藤村ディレクターによる“甘いもの早食い競争”や、大泉と藤村ディレクターによる抱腹絶倒のやり取り、なぜか夜な夜な繰り広げられる“相撲”など、本来の企画とは違うところで盛り上がっていく様子も楽しめる。

国内外を旅しない企画としては、「シェフ大泉 夏野菜スペシャル」をおすすめしたい。料理好きで出演陣に手料理を振る舞いたいという大泉をフィーチャーした企画だが、その料理づくりは一筋縄ではいかず……。旅企画のように画で魅せるハプニングは少ないものの、トークで魅せる水曜どうでしょうを楽しめる。

特に第2夜で大泉が放った「おい、パイ食わねぇか」という発言は、公式グッズになるほど人気のワード。どういった流れでこの言葉が誕生したのか、その目で確認してほしい。「シェフ大泉」は先に紹介した2作品よりエピソード数が少なく全4夜構成なので、より短い時間で見られるのもおすすめポイント。

このほかに配信されている企画も、甘いものの早食い対決をしながら、北海道から鹿児島を目指す「対決列島」、アメリカ~カナダ間を流れるユーコン川をカヌーで下る「ユーコン160キロ~地獄の6日間~」、西表島で虫を追いかける「激闘! 西表島」など、いずれも名作ばかり。放送中の最新作につながる企画もあるので、チェックしてみては。

発売中のDVDには副音声も収録。水曜どうでしょうを“ディープ”に楽しめる

酒井隆文