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デノン、8Kや次世代ゲーム機の4K/120pも見据えたAVアンプ「AVC-X6700H/X4700H」

AVC-X6700H

ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドのAVアンプ新製品として「AVC-X6700H」と「AVC-X4700H」の2機種を発売する。発売時期と価格は「AVC-X6700H」が8月下旬で33万円、「AVC-X4700H」が7月下旬で18万円。カラーはどちらもブラック。

AVC-X4700H

いずれのモデルも最新の映像、音声フォーマットに対応。新たに、8K/60p、さらに4K/120pまでの映像に対応するHDMI入力を1系統装備。対応HDMI出力も2系統用意しており、テレビとプロジェクターなど2つの画面に8Kまでの映像を同時に表示可能。8K放送や次世代ゲーム機の映像への対応も想定している。

新たに、新4K/8K衛星放送で使用されている音声フォーマット、MPEG-4 AAC ステレオ/5.1chのデコードに対応。4Kや8Kのサラウンド放送も楽しめる。

8入力3出力のHDMI端子はすべてHDCP 2.3に対応。衛星放送やインターネットを通じて配信される4K、8Kコンテンツが楽しめる。ゾーン2 HDMI出力からは、4K映像を別室に配信することも可能。

入力された映像信号を8K/60pや4K/60pなどにアップスケーリングしてHDMI出力する事も可能。フレームレート変換は行なわない。なお、コンポジット、コンポーネントビデオ信号の場合は480i/576iのみHDMI出力可能。

AVC-X6700Hで8Kにアップスケーリングした映像を、AVC-X4700Hでパススルーして8Kテレビに出力したところ

なお、これら8K映像などへの対応は、最上位モデルの「AVC-X8500H」においても、有償での基盤交換でアップグレード対応する予定。2021年には、アップグレード済みのモデルも発売すると予告している。

AVC-X6700H/AVC-X4700HはHDR映像のパススルーにも対応。HDR10、Dolby Vision、HLGに加えて、HDR10+、Dynamic HDRもサポートする。

オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。頭上も含む全方位に展開する自然な音響空間を再現できる。なお、X6700Hは11chのパワーアンプを搭載しているため、パワーアンプを追加せずに、7.1.4や、フロントワイドを含む9.1.2システムを構築可能。

さらに、13.2chのプロセッシングが可能なため、別途2chのパワーアンプを追加すれば7.1.6、および9.1.4までシステムを拡張できる。Dolby SurroundやNeural:Xを使い、ステレオや5.1ch、7.1chの信号を立体的な3Dサウンドにアップミックスすることも可能。

X6700Hはさらに、今後のアップデートで「DTS:X Pro」に対応する。これは、アップミックスとレンダラーが32台のスピーカー出力に対応するもの。従来の11.2chまでしかデコードできなかったDTS:Xに対し、DTS:X Pro対応で13.2chまでデコード可能になる。

X6700H

X4700H/X6700Hのどちらも、最新のバーチャル3Dサラウンドである「Dolby Atmos Height Virtualizer」、「DTS Virtual:X」にも対応。ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーを設置していない環境でも、高さ方向を含むあらゆる方向からのサウンドに包み込まれるイマーシブオーディオ体験が可能。

IMAX Enhancedもサポート。IMAXとDTSによる性能基準を満たすIMAX Enhanced認定製品で、IMAXとDTSの技術によってデジタルリマスターされたIMAX Enhancedコンテンツの再生に最適化されたサウンドモード「IMAX DTS」、「IMAX DTS:X」が使用可能。

Auro-3Dにも対応。Auro-3Dデコーダーを搭載し、X6700Hの場合は通常の5.1chセットアップにフロントハイト(FHL+FHR)、センターハイト(CH)、サラウンドハイト(SHL+SHR)、トップサラウンド(TS)スピーカーを加えた11.1chシステムで、自然で臨場感豊かな3Dサウンドが楽しめる。

パワーアンプを追加すると、サラウンドバックスピーカーを含む13.1chシステムまで拡張可能。Auro-Maticアルゴリズムにより、モノラル、ステレオおよびサラウンドコンテンツを自然な3Dサウンドにアップミックスすることも可能。

X4700Hの場合は、5.1chセットアップにフロントハイト(FHL+FHR)、サラウンドハイト(SHL+SHR)を加えた9.1chシステムとなる。Auro-3Dでは、通常の5.1chセットアップにフロントハイト(FHL+FHR)、サラウンドハイト(SHL+SHR)スピーカーを加えた9.1chシステムで楽しめる。パワーアンプを追加すると、トップサラウンド(TS)スピーカーを含む10.1chシステムまで拡張可能。

X4700H

コンテンツ制作者の意図をありのままに再現するために開発された設計思想「D.D.S.C.-HD32」(Dynamic Discrete Surround Circuit)を採用。32bitプロセッシングを行なう最上位バージョンを搭載。サラウンド再生のために必要な信号処理回路を一つ一つのブロックに独立させ、32bitフローティングポイントDSPなど高性能な専用デバイスを用いてディスクリート化。全チャンネル同一レスポンス、同一クオリティを念頭に構成。ピュアオーディオで培ったノウハウを基にパフォーマンスを最大限に引き出すよう、オーディオ回路をはじめ各回路に厳密なチューニングを施した。

さらに、オーディオ基板を一新。パターンを大幅に見直し、左右チャンネルおよびプラスとマイナスの対称性改善と低インピーダンス化を実現している。

理想的なアナログ波形を再現するための「AL 32 Processing Multi Channel」技術も投入。独自のアルゴリズムによって、補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、限りなく原音に近付ける理想的な補間処理が行なえるという。AL32 Processing Multi Channelでは、マルチチャンネル信号を32bitに拡張可能。

サウンドマネージャーによる入念なリスニングテストによって選択したという、最新世代の32bit DACチップを採用。AVC-X8500Hに搭載されているものと同シリーズのプレミアムDACで、「歪が極めて少なく、解像感や繊細な空間表現力に優れている」という。DAC回路は映像回路やネットワーク回路から独立した、専用基板にマウントし、相互干渉を排除。

X6700Hでは、ポストフィルターをA級動作とし、薄膜高分子積層コンデンサーや薄膜抵抗など音質対策パーツを用いてDACの性能を最大限に引き出している。X4700Hでは、ポストフィルターの抵抗に温度変化による特性変化が少ない薄膜抵抗を採用。歪やS/N比を改善している

オーディオDSPを刷新し、AVC-X8500Hと同様に最新世代の32bitフローティングポイントDSP「SHARCプロセッサー」を2基搭載。X6700Hは13.2ch分の、X4700Hは11.2ch分のデコードやアップミックス、AL 32 Processing Multi Channel、音場補正などの高負荷な処理であっても余裕をもって同時に行なえるという。X6700Hは13.2ch、X4700Hは11.2chのプリアウトを装備しているため、パワーアンプを追加してシステムの拡張や音質のグレードアップが可能。新たに、パワーアンプの動作を完全に停止させ、高品位なAVプリアンプとしての使用を可能にする「プリアンプモード」を搭載した。

AVC-X6700Hは、フロントスピーカーの駆動に4チャンネルのアンプを使って高音質化するバイアンプに加え、センター、サラウンドも含む5チャンネルのスピーカーをバイアンプ駆動する「5chフルバイアンプ機能」にも対応。2系統のフロントスピーカーを切り替えて使用できる「A+B」などシステム構成に応じた柔軟なアンプアサインが可能。ゾーン2、ゾーン3のスピーカーに割り当てることもできる。

AVR-X4700Hは、フロントスピーカーの駆動に4chのアンプを使うバイアンプ、2系統のフロントスピーカーを切り替えて使用できる「A+B」など、システム構成に応じたアンプアサインが可能。ハイトチャンネルを使用しない場合にはゾーン2、ゾーン3のスピーカーに割り当てることも可能。

AVC-X8500Hと同様に、パワーアンプ初段の差動増幅段には、特性のそろった2つのトランジスタを含む、デュアル・トランジスタを採用。微小信号の表現力を高め、低域の安定感を向上させた。

AVC-X6700Hのパワーアンプ回路には、最大出力250Wのモノリス・コンストラクションを採用。全11ch同一クオリティのディスクリート・パワーアンプをそれぞれ独立した基板にマウントし、電源供給もそれぞれ独立させることで、チャンネル間の干渉、クロストークを排除。チャンネルセパレーションを高め、純度の高いリアルな音場再生を実現。

ヒートシンクには共振の少ないアルミ押し出し材を使用。パワートランジスタにはフラッグシップモデルであるAVC-X8500Hと同様にHi-Fiアンプの設計思想を踏襲した大電流タイプのトランジスタ「Denon High Current Transistor (DHCT)」を採用している。

AVC-X6700Hの内部

AVR-X4700Hは、最大出力235W、全チャンネル同一構成9chディスクリート・パワーアンプを採用。放熱効率に優れる肉厚なアルミ押し出し材のヒートシンクに2枚の基板に分けた9chのアンプを搭載し、効率的な放熱と不要振動の抑制により、透明感の高いサウンドを実現したとする。新たに入力段のフィルムコンデンサーのグレードを上げ、フォーカス感と全帯域に渡るエネルギー感の向上を実現。DCサーボ回路には大容量コンデンサーを用い、可聴帯域よりもさらに低い、超低域からの再生を可能にした。

AVR-X4700Hの内部

クリーンで安定した電源供給のために、大電流の供給能力、低リーケージフラックス、低振動を突き詰めたカスタム仕様の大型EIコアトランスを搭載。電源部のブロックコンデンサーには、各モデル専用にチューニングされた大容量15,000uFのカスタムコンデンサーを2個使用した。

AVC-X6700Hは、プリアンプ電源回路用のコンデンサーもELNA社製の高音質品を採用。2機種どちらも、デジタル電源回路のスイッチング周波数を通常の約3倍とすることでスイッチングノイズを可聴帯域外へシフトさせ、再生音への影響を排除した。

音質に悪影響を及ぼす内部、外部の不要振動を排除し、音質を向上させるというダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションを採用。ヒートシンクや電源トランスなどの重量物はスチールプレートを介してメインシャーシに強固に固定。脚部には、X8500Hと同じ、共振を防止するリブを設けた高密度フットを採用している。

設置する部屋によって異なる音響的な問題を補正する音場補正技術「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。AVアンプシーバー単体では設定できない詳細な調整項目を備えるアプリ「Audyssey MultEQ Editor」も用意する。

ワイヤレス・オーディオシステム、「HEOS」のテクノロジーも搭載。音楽ストリーミングサービスやインターネットラジオの再生や、LAN上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)や、USBメモリーに保存した音源の再生も可能。Amazon Alexaによる音声コントロールにも対応する。

AirPlay 2、Bluetoothにも対応。Bluetoothでは新たに、送信機能もサポート。X6700H/X4700Hで再生中の音声を、Bluetoothヘッドフォンなどにワイヤレスで伝送でき、夜間などでスピーカーから大きな音が出せない時間帯に、Bluetoothヘッドフォンで映画が楽しめる。

X4700Hのみ、ワイドFM対応のFM/AMラジオチューナーも搭載する。

X6700Hのアナログ映像入力端子は、コンポジット×4、コンポーネント×2。出力は、コンポジット×2(モニター×1、ゾーン2×1)、コンポーネント×1。音声は、アナログ音声入力×7、Phono入力×1、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、13.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1(フロント)。外形寸法は、434×389×167mm(アンテナを寝かせた場合)。重量は14.8kg。消費電力は750W。

X4700Hのアナログ映像入力端子は、コンポジット×3、コンポーネント×2。出力は、コンポジット×2(モニター×1、ゾーン2×1)、コンポーネント×1。音声は、アナログ音声入力×5、Phono入力×1、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、11.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1(フロント)。外形寸法は、434×389×167mm(アンテナを寝かせた場合)。重量は13.7kg。消費電力は710W。