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ソニー恐竜博17日開幕。8K空間再現ディスプレイとCrystal LEDで恐竜の世界へ

31.2型8Kの空間再現ディスプレイ

7月17日からパシフィコ横浜で開催されるソニー主催イベント「DinoScience 恐竜科学博~ララミディア大陸の恐竜物語~」。同展では“世界で最も美しいトリケラトプスの全身実物化石”と呼ばれ、米国外に初貸出しされた「レイン」など、多数の貴重な恐竜化石が見られるほか、31.2型8Kの空間再現ディスプレイやCrystal LEDを使った4Dシアターなどのソニー最新技術を体感することができる。

開催期間は、2021年7月17日から9月12日まで。月・火・木・日は9時から18時、水・金・土・祝日・特定日は21時まで。料金は大人(19歳以上)が平日2,800円/土日祝特3,000円。場所はパシフィコ横浜 展示ホールA。

Crystal LEDを使った4Dシアター

世界初展示の32型8K解像度の空間再現ディスプレイ

「DinoScience 恐竜科学博」は、ソニーが掲げるValuesのひとつ「夢と好奇心」に基づいて作り上げたという恐竜展。タイトルのDinoScience(ディノサイエンス)は、恐竜(Dinosaur)と科学(Science)を掛け合わせた造語で、ソニーのクリエイティビティと最新のテクノロジーを活用した、見るだけではない五感で感じる“新しい恐竜展”を実現している。

会場では、各ゾーンでソニーの映像・音声技術を投入。グラスサウンドスピーカー(LSPX-S7)を使って白亜紀後期の当時の環境音を再現したり、360立体音響技術を使って物理的にスピーカーのない箇所にも音を定位させる(音像移動)など、恐竜が生きた時代をリアルに体験できる仕掛けが施されている。

その中で、世界初披露されているのが、31.2型8K解像度を持つ高精細空間再現ディスプレイ(技術参考展示の試作機)。

ソニー31.2型8K解像度の高精細空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)

これは、昨年10月に発売した空間再現ディスプレイ「ELF-SR1」の大型サイズバージョン。従来は15.6型4K解像度だったが、試作機は31.2型8K解像度となっており、サイズ・解像度が大幅にアップ。さらに視線認識センサーを画面上部に2基配置することで、視聴者の左右の目をより高精度に認識・追従できるようになった。

実際に視聴すると、8Kならではの精細感に加え、高いコントラスト、そして明るくクリアで色鮮やかな立体映像が印象的で、これまでの裸眼3Dディスプレイとは一線を画す品質。顔を上下左右に動かしても、目の位置を認識し、質感豊かでリアルな立体映像を表示してくれる。

上部の視線認識センサー

説明員に尋ねると「あくまで技術参考展示のため、販売などの具体的な計画は未定。万一、市場に展開するとしても、かなりの金額になってしまうだろう」とのこと。「まずは来場者から様々な意見を得たいと考え、今回展示することになった」という。

会場では、空間再現ディスプレイ越しに「スタン」を見ることができる

10K解像度のCrystal LEDと7.1.2ch+振動+風の4Dシアター

もう一つの目玉が、ゾーン4に設置されているCrystal LEDシアター。

シアター内では、白亜紀後期に存在したララミディア大陸の恐竜の暮らしを再現した約3分のフルCG映像を、横12m・高さ6.8mの大画面Crystal LEDに投影。7.1.2chサラウンドの立体音響と、ソニーのハプティクス技術(触覚提示技術)による振動・風の演出を加えた“4D”仕様となっており、まるで恐竜がいた時代にタイムスリップしたかのような映像と音声を全身で楽しむことができる。

横12m・高さ6.8mのCrystal LEDシステム

使われているCrystal LEDは、第2世代モデルの「ZRD-2」。画面サイズは約550型相当で、表示解像度は9,600×5,400ピクセル。

フルCG映像の製作総指揮、演出、制作ワークフロー構築を担当したソニーPCLによれば、4K解像度で制作したオリジナルデータを会場のCrystal LEDサイズに合わせてアップコンしたものを上映しているとのこと。ソニーPCLが独自開発した送出サーバー「ZOET4」を使っているのもポイントで、サーバーから非圧縮データ(DPX RGB10bit, 29.97fps, SDR)をCrystal LEDシステムに伝送することで、大画面でも高品位な映像表示を実現している。

約550インチ相当なので、スクリーンの後方や左右でも楽しめるが、最前列中央で鑑賞すると没入感はさらに高まる。恐竜のアクションに合わせ、床が激しく振動。咆哮時の振動は恐怖を感じるほどだ

またZOET4は、映像・音声だけでなく、振動や送風、照明演出なども一括コントロールすることで、大規模なシステム構築で発生しがちなディレイを抑制。結果、映像や音声、そして各演出が高精度に同期した、ハイレベルな体感型シアターに仕上がっているという。

“生き物”として展示される恐竜に日向坂46も笑顔

今回の恐竜科学博は合計で5つの“ZONE”に区切る形で構成され、約1億年~6,600万年前の白亜紀後期に存在したララミディア大陸を紐解いてく形で展示が行なわれる。

空間再現ディスプレイを使った展示
(C)DinoScience 恐竜科学博製作委員会

“ZONE02”の発見ラボラトリーでは、空間再現ディスプレイを使った恐竜の3DCGモデルが展示され、トリケラトプス、エドモントサウルス、ティラノサウルスの解説を楽しめる。続く“ZONE03”のフィールドツアーでは、幼いトリケラトプスが、ふとしたきっかけで群れからはぐれ、薄暗い森に迷い込んでしまうというストーリーをモチーフに、さまざまな生き物の骨格標本が展示され、360立体音響による空間拡張体験で、白亜紀にタイムトラベルしたような没入感ある体験ができる。

トリケラトプスの化石「レイン」
※ヒューストン自然科学博物館所蔵
躍動感あるポージングのティラノサウルス「スタン」

続く“ZONE04”で、企画から製作まで2年を費やしたという大型CG映像を、Crystal LEDで体験可能。最後の“ZONE05”では、これまで門外不出とされヒューストン自然科学博物館でのみ展示されていた、ほぼ完璧な形状を保って発掘された“奇跡の化石”、トリケラトプス「レイン」の実物全身骨格が日本初上陸し、展示されている。その横には、ティラノサウルス「スタン」の標本も展示される。

開幕に先立って恐竜科学博の発表会も行なわれ、企画・監修を務めたサイエンスコミュニケーターの恐竜くんが登壇。今回の恐竜科学博は通常の恐竜展とは正反対のコンセプトで作られていると説明した。

「長い恐竜時代の最後の200万年間、またかつて存在したララミディア大陸中部の海岸沿いの低地の湿地帯を舞台にしています。今回の目玉の展示であるレイン、トリケラトプスがいったいどんな世界を見ていたのかを体感していただき、“生き物”としての恐竜の世界を見つめて欲しいです」

また、ソニーグループの十時裕樹副社長兼CFOも「ソニーグループ各社が結集し、その思いを実現させた恐竜科学博です。この素晴らしい地球を、次世代の子どもたちにつないでいくためにも、恐竜を通して生き物の不思議、美しさに目を向けてもらいたいと考えています。この恐竜博で“DinoScience”という新しい恐竜体験をぜひお楽しみいただきたいと思います」と呼びかけた。

そのほか発表会には、恐竜科学博の公式アンバサダーを務めるアイドルグループ・日向坂46の小坂菜緒さんに代わって、同グループから潮紗理菜さん、丹生明里さん、松田好花さんの3名も登場。一足早く、恐竜科学博を体験した潮さんは「入った瞬間から世界観があり、3D映像や3D音響がすごく充実していて、実際に恐竜たちが動いている姿を観られる場所もあったので、まさにタイムスリップしたかのような貴重な体験ができました。時間も忘れてしまうくらい楽しかったです」と笑顔をみせた。

発表会に登壇した面々
発表会に登壇した日向坂46のメンバーたち
日向坂46の潮紗理菜さん
日向坂46の丹生明里さん
日向坂46の松田好花さん