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新生オンキヨー、パイオニアのAVアンプなど新製品一挙公開

Premium Audio Company(PAC)が取り扱うオンキヨー、パイオニア、Klipsch、Jamo(ヤモ)、INTEGRAブランドのAV機器新製品の発表が行なわれ、秋頃から順次販売する製品が公開された。販売はティアックが担当する。発表会には、1980年代にオンキヨーのCMに出演していた南野陽子も登場した。

ゲストとして南野陽子も登場

既報の通り、2021年9月にオンキヨーホームエンターテイメントは、VOXXとシャープの合弁会社である「オンキヨーテクノロジー」(OTKK)へ、家庭向けAV事業の譲渡。今回の新製品は、これによってONKYO、INTEGRAのブランドを取得し、パイオニアとのホームAV製品のライセンス販売契約も締結したOTKKが手掛けたもの。OTKKには約80人のエンジニアを迎え入れられており、東大阪を拠点に、「今まで通りONKYO、INTEGRA、PIONEERブランドのホームAV製品の開発設計をにない、日本の繊細なモノづくりを旨とし高度なホームAV製品の設計技術を有している」という。なお、生産はマレーシアにあるシャープの工場で作られる。

Premium Audio Companyの日本担当ディレクター 上山洋史氏

Premium Audio Companyの日本担当ディレクター 上山洋史氏は、「1946年に創業したONKYOのモノづくりや音づくりといったDNAを継承、最新のテクノロジーとの融合で技術を更に進化させ、製品のクオリティーを高め、映画や音楽の感動をお届けします」と説明。ONKYOの技術を受け継いだ、OTKK開発メンバー達からのビデオメッセージも紹介された。

OTKK開発メンバー達からのビデオメッセージも

OTKK開発設計のONKYO、PIONEER新製品、ティアックが今秋販売へ

Premium Audio CompanyのAPACシニアヴァイスプレジデント Vince Bonacorsi氏もビデオレターを寄せ、PACとして日本市場を、世界中で最も重要な市場の1つと認識している事や、「マーケティングから商品開発までをPACが一貫して手掛ける事で、各ブランドの安定化と成長を図る」と決意を語った。

Premium Audio CompanyのAPACシニアヴァイスプレジデント Vince Bonacorsi氏

なお、上山氏はオンキヨー/パイオニアブランドの今後の製品について、ハイエンドモデルやエントリーモデルの開発も進めており、ラインナップを強化していくと説明。質疑応答の中では、サウンドバーの開発も検討しているという。その一方で、サウンドバーのような利便性の高いモデル手掛けつつも、あくまでメインは「そこからもう1つ、2つステップアップしたところをメインターゲットとしたい」と語った。

ティアック 国内営業部長の山本浩史氏

日本での販売代理店となるティアックからは、国内営業部長の山本浩史氏が登壇。「PACとティアックの関係は一昨年からはじまっており、北米で、エソテリックやティアック製品の販売をお願いしており、その関係で、今回日本市場で新たに5つのブランドをティアックが販売する事になった。相互支援の関係となり 今までの関係から一歩前進した形になる」と説明。

これまで、ティアック/エソテリックで2chオーディオは手掛けてきたが、ティアックとしてはホームシアター市場に参入する形となる。「5ブランドを加えることで、多くの幅広いファンの皆さんへ、総合音響メーカーとして製品とサービスを提供していきたい。また我々は、TASCAMブランドでプロ向け、業務用音響、設備向けも展開している。そちらの方面でも、ホームシアター、マルチチャンネルに可能性があるのではないかと考えている。ホームシアターに参入し、知見を高めることで、B to Bでも相乗効果が出せるように模索していきたい」と展望を語った。

オンキヨーブランド

オンキヨーブランドの製品として今後発売が予定されているのが、AVアンプ3モデルとピュアオーディオ用の2モデル。価格はオープンプライス。AVアンプは音場補正技術「Dirac Live」搭載の9.2ch「TX-RZ50」が9月下旬発売で、直販のティアックストア価格は242,000円、THX Certified Select取得の7.2ch「TX-NR6100」が9月下旬発売で同168,300円、7.2chの「TX-NR5100」が12月発売予定。

TX-RZ50

TX-RZ50の特徴は、複数のリスニングポイントで測定することで、広いエリアのスイートスポットを実現できるという音場補正技術「Dirac Live」を搭載している事。FIRフィルターにより、空間の反射音含めた周波数特性・位相特性を補正し、音の定位、明瞭さ、リスニングエリア全体の音響特性を改善する。

さらに、独自のアンプ設計ノウハウにより高い瞬時電流供給能力を実現。優れた制動力によりスピーカーを駆動、瞬間的な信号変化に追従することでリアルな音像を再現できるという。

電源部にはカスタムメイドトランスと大容量コンデンサーを採用、5Hzから100kHzの超広帯域再生を確保、電源ラインのインピーダンスを下げることでスピーカを強力に駆動する。フロントのL/Rには、デジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」も備えている。

THX社によるホームシアターのサウンド認証「THX Certified Select」も取得。THXラボによる2,000項目(14,000箇所)に及ぶテストをクリアしており、「ご家庭でも映画館に匹敵する迫力の臨場感を実現する」という。

HDMI入力3端子が8K/60HzまでのHDMI 2.1に対応、その他3端子は8K/24HzまでのHDMI 2.1対応で、さらにダイナミックHDRフォーマットのDolby VisionとHDR10+は全端子がサポートする。

Dolby Atmos、DTS:X、IMAX enhancedにも対応。9chアンプを使って5.2.4ch、7.2.2ch、5.2.2ch+フロントバイアンプ接続、環境に応じて最適なスピーカ設定が選べる。11chプリアウトも備え、パワーアンプ追加により7.2.4chへの発展も可能。

Wi-FiやBluetooth、Chromecast built-inもサポート。DSD 11.2MHzネイティブ再生など、ハイレゾ音源のネットワーク再生も可能。AirPlay 2もサポートする。音楽ストリーミングサービスはSpotify、Amazon music、Deezer HiFiに対応する。

MM対応のPhono入力や、ワイドFM/AMラジオチューナーも搭載する。最大出力は各チャンネル215W(6Ω/1kHz)。スピーカー適応インピーダンスは4~16Ω。消費電力は640W。外形寸法は435×398×202mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は14kg。

TX-NR6100

TX-NR6100は7.2chアンプで、THX Certified Selectを取得。HDMI入力3端子がHDMI2.1、8k/60Hz、ダイナミックHDRフォーマットのDolby VisionとHDR10+に対応、その他3端子はHDMI 2.0対応。

Dolby AtmosとDTS:Xに対応。非対応のソフトでもDolby SurroundやDTS Neural:Xのアップミックス処理により立体音響で再生できる。ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーが置けない環境でもDolby Atmos Height VirtualizerやDTS Virtual:Xで仮想的に音像を創り出し、没入感のあるサウンドを再現する。

独自の大電流、ローインピーダンスアンプ設計により、スピーカーを強力に駆動。アナログ電源部には、このモデル用に厳選されたカスタムメイドの電源トランスとコンデンサーを採用。安定した大電流供給により、瞬間的な信号変動に追従したスピーカー駆動を実現する。電源ラインのインピーダンスを下げることで今まで以上に力強いスピーカードライブが可能となり、瞬間的な爆発音などの低域の迫力が更に増したという。位相ズレを防ぐ「ノンフェーズシフト」設計、フロントL/Rにはデジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」も備える。

ネットワークまわりの特徴はTX-RZ50と同じ。MM対応のPhono入力も備える。実用最大出力は各チャンネル190W(6Ω/1kHz)で、スピーカー適応インピーダンスは4~16Ω。消費電力は505W。最大外形寸法は435×380×174mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は9.8kg。

TX-NR5100

TX-NR5100は7.2chアンプ。THX Certified Selectは取得していない。HDMIは4入力搭載で、8K/24Hzおよび4K/120Hzを含む高解像度とリフレッシュレート、ダイナミックHDRのDolby VisionとHDR10+に対応する。

Dolby Atmos/DTS:Xにも対応。Dolby Atmos Height VirtualizerやDTS Virtual:Xも使用可能。

独自の大電流、ローインピーダンスアンプ設計により、迫力のサウンドを実現。アナログ電源部にはカスタムメイドの電源トランスとコンデンサーを採用。安定した大電流供給により、瞬間的な信号変動に追従したスピーカー駆動を実現。電源ラインのインピーダンスも下げている。位相ズレを防ぎ、明確な音像を再現する。VLSCは搭載していない。

ネットワークまわりの特徴は上位機と同じ。実用最大出力は各チャンネル160W(6Ω/1kHz)、スピーカー適応インピーダンスは4~16Ω。消費電力は370W。最大外形寸法は435×328×160mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.4kg。

ピュアオーディオ向けの新製品も参考展示。左からC-7030、A9110

ピュアオーディオ向けの新製品も参考展示。CDプレーヤーの「C-7030」とプリメインアンプ「A9110」を10月に発売予定。

パイオニアブランド

VSX-LX305

VSX-LX305というAVアンプを9月下旬に発売予定。価格はオープンプライスで、ティアックストア価格は181,500円。音場補正技術として新たに「Dirac Live」を採用。複数のスピーカー、複数のリスニングポイントに対し、マイクによる測定データから最適な補正結果を導き出すため、多様な視聴環境において非常に広いエリアのスイートスポットを実現。音のステージング、明瞭さ、ディテールなどを損なうことなくリスニングエリア全体の音響特性を改善し、「一人でも、複数人でも目の前でライブパフォーマンスが広げられているような、或いはあたかも自分が映画のシーンに居るような臨場感を再現し、最高の視聴体験を提供できる」という。

既存の自動音場補正「Advanced MCACC」も搭載。MCACCの基本機能に加えて、コンテンツ内の低域の遅れを補正する「オートフェイズコントロールプラス」や、部屋の影響による音質の悪化を解消する「定在波制御」および「暗騒音測定」を加える事で、より精度の高い音場補正を実施する。

Dolby Atmos、DTS:X、IMAX enhancedにも対応。9chアンプを使って5.2.4ch、7.2.2ch、5.2.2ch+フロントバイアンプ接続が利用可能。プリアウトは2ch端子備えている。

【お詫びと訂正】記事初出時、メーカー発表情報をもとに“11chプリアウト端子を搭載する”と記載しておりましたが、情報が変更されました。プリアウトは2chのみとなります。お詫びして訂正します。(8月4日19時)

HDMI入力は7系統搭載。その内、3端子は8K/60HzまでのHDMI 2.1対応。ダイナミックHDRフォーマットのDolby VisionとHDR10+は全端子が対応する。

超解像度技術「Super Resolution」も備え、フルHDから8Kへ、4Kから8Kへのアップスケーリング出力も可能。

実用最大出力は190W/ch(6Ω/1kHz)。上級機の筐体設計思想を受け継ぐ、9.1chディスクリートアンプを搭載。上級機で培われた「ダイレクトエナジー」思想を継承した筐体設計を行ない、パワーアンプ部の伝送経路の短縮化をはじめ、クリーングランド化の徹底、線材のスタイリングまで、高音質化を細部に渡り追求したという。

Wi-FiやBluetooth受信にも対応。DSD 11.2MHzネイティブ再生など、ハイレゾ音源のネットワーク再生もできる。Chromecast built-inやAirPlay2もサポートする。

外形寸法は435×371×173mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は10.2kg。消費電力は610W。

パイオニアのピュアオーディオ用新製品PD-10AR、A-40AE

パイオニアブランドのピュアオーディオ用新製品も展示。2023年4月頃に、CDプレーヤー「PD-10AR」、プリメインアンプ「A-40AE」が予定されている。

他にも、INTEGRA(インテグラ)ブランドのAVアンプ「VSX-LX305」を9月下旬に発売する予定。価格はオープンプライスで、ティアックストア価格は253,000円。HDMI v2.1搭載の9chAVアンプで、8K映像と3次元サラウンドフォーマットに対応。インテグレーション作業を大幅に効率化させる「Web Setup」や「HDMI診断機能」搭載。カスタムインストーラー及び、住宅販路専用モデルとなる。

INTEGRA「VSX-LX305」

ミニコンポブーム時は南野陽子パワーで“営業いらず”

発表会には、1980年代にオンキヨーのCMに出演していた南野陽子も登場。当時営業を担当していた、オンキヨーテクノロジーの宮城謙二氏とトークセッションを行なった。

CMからのつながりで、当時オンキヨーのステレオコンポを家に導入した南野さんは、ドラマで泣くシーンがあった日など、感情が高ぶって眠れない夜などに「オンキヨーのステレオで好きな曲をかけて、落ち着いて寝るみたいな毎日でしたね」と、笑顔で振り返った。

当時は、受験生が高校の入学発表に行き、合格していたらその足でお店に行って親にミニコンポを買ってもらうのが当たり前と言われたほどの、ミニコンポブーム。各社がアイドルをCMに起用しており、当時オンキヨーの営業だった宮城氏も、南野さんの印刷されたパンフレットとテレフォンカードを持ってバイヤーとの商談に行っていたという。

いつもは、製品の魅力などを説明するが、南野さんの人気は凄まじく、バイヤーから「テレカだけ持ってくればいいからと言われて、それだけで製品が売れました。オンキヨーでもいろいろなアイドルをCMに起用しましたが、“営業いらず”だったのは南野さんだけでした」と、当時のエピソードを紹介した。