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「シン・エヴァ」深夜2時の争奪戦で勝ち取った“最上級体験”
2021年3月9日 11:50
2007年に始まった新劇場版シリーズの完結編で、いちファンとして心待ちにしていた作品「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を鑑賞してきた。せっかくなので東京・世田谷にある109シネマズ二子玉川の最上級プレミアムシート「グランド・エグゼクティブシート(グランドEXEシート)」で鑑賞してきたので、そのプレミアぶりやチケット争奪戦の模様、そして映画の感想をネタバレなしでお届けする。
革張り電動シートに専用ラウンジ、ウェルカムドリンク。「ここぞ」で使いたい最上級体験
近年、シネコンの中には通常のシートに加え、よりラグジュアリーな体験ができるプレミアムシートを用意しているところも増えている。109シネマズ二子玉川もそのひとつで、IMAXレーザーを採用したシアター7に14席だけグランドEXEシートが用意されている。
グランドEXEシートは劇場後方に用意されており、一般席よりも一段高く仕切られている。シートは革張りで電動リクライニングとフットレストを備え、座席横には大きめの専用テーブルやハンガーなども用意されている。
さらにグランドEXEシート利用者だけが入れる専用ラウンジ“サファイア”も用意され、ウェルカムドリンクや通常のコンセッションとは違うメニューの提供を受けられる。
鑑賞料金はIMAX 2D/3Dともに6,500円と高めだが、映画好きなら「ここぞ」というタイミングで一度は体験したいもの。学生時代からのエヴァファンである筆者にとっては、シン・エヴァンゲリオンこそ、まさに「ここぞ」のタイミング。109シネマズ二子玉川での上映が決まった時点で、公開初日にグランドEXEシートで観ようと心に決めていた。
実際に足を運んでみると、専用ラウンジはホテルのラウンジのような雰囲気。受付カウンターでチケットのチェックを受けたあとは、スタッフが座席の場所やリクライニング機能などについてレクチャーしてくれる。
その後は専属スタッフの案内でラウンジ内の席へ。ラウンジにはひとりがけソファなどが配置されており、ゆったりと入場までの時間を過ごすことができる。ソファに腰掛けるとスタッフがウェルカムドリンクのメニューを見せてくれ、まるで高級ホテルやレストランに来たような気分を味わえた。
ウェルカムドリンクはアルコールやノンアルコールを選択可能。ドリンクは紙コップではなくグラスで提供され、ラウンジで飲み切ることができなくても、スタッフが場内の座席まで運んでくれるなど、まさに至れり尽くせり。スタッフに申し出ればブランケットやスリッパを貸してもらうこともできる。
場内の革張りシートは、ホテルのロビーや空港ラウンジにありそうな大型のもので、肘掛も付いていてゆったりと座ることができた。ちなみにリクライニングやフットレストの操作は右側の肘掛けにあるボタンで簡単に操作できるのだが、このボタンはつねに青く光り続けており、上映中も消灯されなかったので、気になってしまう人もいるかもしれない。
シン・エヴァンゲリオンの上映時間は2時間34分と長く不安だったが、ゆったりと座れるシートとフットレストのおかげで、特に身体に違和感を感じることもなく快適に映画を楽しめた。隣の席との間隔も広いため、上映終了後も映画の余韻に浸りながら自分のペースで身支度を整えて退場できるのもプレミアムシートならではの体験と言えるだろう。
これまでは6,500円という価格に二の足を踏んでいたが、一度この快適さを味わってしまうとリーズナブルに思えてしまうのが恐いところ。また「ここぞ」のタイミングがあれば利用したいと思う体験だった。
深夜2時までかかったチケット争奪戦
さて、そんな14席しかないプレミアムシートで、シンエヴァンゲリオンほどの注目作となればチケット争奪戦は必至。ましてや公開初日分となれば、通常シートのチケットよりも激戦になることは明白だったので、チケット販売開始日は23時50分までにMacBookとiPad Proを用意して準備を整えていた。
そして迎えた0時、日付変更と同時にインターネットチケット販売ページで目的の上映回を選択して、座席選択画面へ……のはずだったが、表示されたのは案の定「只今混雑しております」のページ。
109シネマズの場合、混雑案内のページに待ち人数などは表示されず「そのままお待ちいただくか、しばらくたってからアクセスしてください」とだけ表示される。ただ、このページは自動リロードされ、順次チケット購入画面へ遷移するシステムなので、いちいち更新ボタンを押す必要がないのはありがたかった。
自動リロードされる画面を見続けながら10分、20分と時間が過ぎる。0時30分を過ぎたあたりで「グランドEXEシートは完売したか?」と思い、販売状況を確認したが、表示は空席ありのまま。その後も動きはなく、ついには1時間が経過しても座席選択画面にはつながらず。販売状況も空席ありのままだった。
状況が動いたのは深夜1時10分を過ぎたころで、お昼ごろの上映回でグランドEXEシートに完売マークがついた。これで眠気も吹き飛び、気を引き締めたものの、やはり目の前の画面は「只今混雑しております」ページから動く気配はなし。
そして1時30分、販売状況ページで全上映回のグランドEXEシートが完売表示に切り替わると、その直後にブラウザもようやく座席選択画面に遷移。しかし、そこに映し出されたのは販売済みを意味する灰色のシートだけだった。
「……負けた」と打ちひしがれて戦意を喪失しかけたものの、「公開初日に観たい!」という気持ちは強く、通常の座席での鑑賞するべく、ふたたびチケット購入画面へ。こちらも「只今混雑しております」ページが表示されたが、20分ほど待っていると座席選択画面へ接続。シアター中央の座席は埋まっていたが、中央付近で通路寄りの席が空いていたので、そこを購入した。
グランドEXEシートでの鑑賞は叶わなかったものの、初日に鑑賞できると一安心したのも束の間、ふと販売状況ページに目をやると全上映回のグランドEXEシートが、残りわずかを意味する△マークに切り替わっている。「なにかのエラーか?」とも思ったが、ここは猪突猛進と三度購入画面へ。4~5回の自動リロードを経て、座席選択画面に遷移すると、もっとも端にある1席だけ購入可能になっていたので、迷わず購入した。
こうしてグランドEXEシートを購入したのが2時2分のこと。目的を達成した高揚感と2枚確保してしまったチケットへの罪悪感を感じつつ、その日は布団へ潜ったのだった。ちなみに余った鑑賞チケットは、家族とシェアすることで事なきを得た。
ついに完結。折を見て4DX/MX4Dでも“別れ”を
肝心の映画については一切触れることはしない。この作品がどういった形で結末を迎えるのかは、ぜひ劇場で目の当たりにしてほしい。
鑑賞後、胸に湧き出たのは「大人になったなぁ」という感情。筆者は幼少期、母の膝の上に座って夕方にテレビ放送されるアニメシリーズを観ていたので、その思いがひときわ強かったかもしれない。
また、これまでの作品で散りばめられてきた点のひとつひとつがつながって線になっていく興奮は、これまで長きに渡って制作されてきたエヴァンゲリオンだからこそ味わえるものだとも感じた。こうして文字を打っている間も「あそことあそこは、こうつながるのか!」という気づきがあって興奮が冷めやらない。
今回は4Kレーザープロジェクターと12chサラウンドシステムを備えるIMAXレーザーでの鑑賞で、特に映像の鮮明さやコントラストなどは際立っていた。映像やサウンドにこだわってシン・エヴァンゲリオンを楽しみたい場合は、IMAXレーザーを導入している劇場での鑑賞を検討してほしい。
鑑賞から一夜明けてもあの感動は消えておらず、早くもリピートするタイミングを検討している。本作ではより映画の世界に没入できる4DX/MX4D版も上映されているので、折を見てそちらでもエヴァンゲリオンに“別れ”を告げたいと思っている。