トピック

【特別企画】パナソニック、プラズマテレビ/PDP事業のこれまで

参入から一社集約、撤退までの変遷

 10月31日、パナソニックはプラズマディスプレイパネル(PDP)/プラズマテレビ事業からの撤退を発表した。2013年12月にプラズマディスプレイ(PDP)の生産を終了、2014年3月末で事業活動を終息する。

 2000年台後半から国内各社のプラズマ事業は撤退と集約が進み、資産や人材の多くがパナソニックに集まっていた。パナソニックの撤退を受けて、業務用のプラズマディスプレイを手がける会社はあるものの、'90年台後半から今日まで、薄型テレビの普及と、その大画面化を牽引してきた「プラズマテレビ」は、国内においてはほぼ終息と呼べる状況になる。

 いち早く大画面を実現し、自発光という特性を活かした液晶に対する画質面での優位などは健在なため、プラズマテレビのファンも多い。撤退発表の際には残念という声も数多く聞かれた。しかし、パナソニックは、「テレビ」自体を再定義し、クラウド連携や白物家電との連携、インフォーメションディスプレイとしての提案などを強化する方針を示し、次の展開を模索している。。

 事業として振り返ると、パナソニックによるプラズマテレビの類販売台数は全世界で累計3,800万台。これだけの規模を誇ったプラズマ産業だが、販売推移を見ると、2007年頃から伸び率が鈍化し、2011年からは減少に転じている。

パナソニック プラズマテレビ販売推移

 ここではパナソニックのプラズマテレビ事業がどのように始まり、どのように推移したか、過去の施策を時系列でまとめた。

黎明期~PDP事業部発足(1970年代~'98年)

1970年代
 プラズマディスプレイ研究開始

世界初プラズマディスプレイ(DC型)プラズマビュー「TH-26PD1」

1991年12月
 NHKと共同開発契約(DCカラー型PDP開発開始)

1996年1月
 米プラズマコ(Plasmaco)を買収(関連記事)

1996年2月
 世界初ワイドプラズマディスプレイ(DC型)プラズマビュー「TH-26PD1」発売(98万円)

1997年5月
 業界初42型ハイビジョンプラズマテレビ開発(NHK技研と共同開発)

1997年10月
 ワイドプラズマテレビ(AC型)プラズマビュー「TH-42PM1」発売(150万円)

Plasmaco創業者のラリー・ウィーバー社長(2007年1月 撮影:西田宗千佳)
プラズマビュー「TH-42PM1」

PDP事業部発足~「タウ」時代(1998年~2003年)

プラズマタウ TH-42PM2/S

1998年8月
 PDP事業部発足。デバイス~セットの一貫 開発生産体制に

1998年12月
 42型プラズマテレビ「プラズマタウ TH-42PM2/S」発売(150万円)

*1999年 富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)設立

1999年10月
 業界最大60型PDP発表

2000年7月
 松下プラズマディスプレイ製造 設立

プラズマタウ TH-42PM30/S

2000年7月
 42型プラズマテレビ「プラズマタウ TH-42PM30/S」発売(110万円)

*2000年 BSデジタル放送開始

2000年10月
 松下プラズマディスプレイ 設立

2001年1月
 上海松下プラズマディスプレイ設立

2001年5月
 BSデジタル対応50型HDプラズマテレビ「デジタルタウ(TH-50PH3/S)」発売(155万円)

2001年6月
 茨木の第1工場(P1)量産開始

2001年8月
 BSデジタルチューナ内蔵/42型プラズマテレビ「デジタルタウ(TH-42PM50/S)」発売(88万円)

2002年7月
 BS/110度CSデジタル対応42型プラズマテレビ「プラズマタウ(TH-42PX10)」発売(95万円)

デジタルタウ TH-50PH3/S
プラズマタウ TH-42PX10

VIERA誕生~PDPパナソニック集約(2003年~2009年)

VIERA TH-50PX20

2003年9月
 薄型テレビのVIERAブランド立ち上げ。3波デジタル対応の「VIERA TH-50/42/37PX20」発売(50型 110万円)

*2003年12月地上デジタル放送開始

2004年4月
 茨木の第2工場(P2)稼働開始(建設発表は2002年5月)

*2004年7月 NECがPDP事業をパイオニアに譲渡発表

2005年2月
 日立とPDP事業の包括的協業を発表

*2005年 富士通がFHP株式を日立に譲渡

2005年9月
 尼崎の第3工場(P3)稼働開始

TH-65PX500

2005年11月
 50型フルHDプラズマパネル開発

2005年10月
 65型フルHDプラズマテレビ「VIERA TH-65PX500」発売(以降オープンプライス化)

2006年1月
 世界最大103型フルHD PDP開発

TH-P103PZ600

2006年9月
 世界最大103型フルHD プラズマテレビ「VIERA TH-P103PZ600」発売

2007年1月
 42型フルHD PDP開発

2007年1月
 尼崎の第5工場(P5)建設発表

2007年4月
 世界初42型フルHDプラズマテレビ「VIERA TH-42PZ700」発売

2007年6月
 尼崎の第4工場(P4)稼働開始

TH-42PZ700
尼崎第4工場(左)

2008年1月
 世界最大150型4K PDP開発

松下電器 森田研常務役員(左:2008年当時)、パイオニア 小谷進常務執行役員(右:2008年当時)

2008年4月
 パイオニアとのPDP事業包括提携を発表

2008年9月
 日立とPDP事業協業拡充。2009年モデルからパネル/モジュール供給

2009年1月
 P5投資減額と稼働開始延期を発表

2009年5月
 103型4K PDP開発(NHK技研と共同開発)

2009年9月
 3D対応50型フルHD PDP開発

2009年11月
 尼崎第3工場(P5)稼働開始

*2009年パイオニアがディスプレイ事業から完全撤退

一人旅~PDP事業終息(2010年~2013年)

世界初フルHD 3D対応のVIERA VT2シリーズ

2010年3月
 フルHD 3D プラズマテレビ「TH-54VT2、TH-50VT2」発表(日本では4月発売)

2010年5月
 58型4K PDP開発(NHK技研と共同開発)

2010年7月
 世界最大152型4K 3Dプラズマディスプレイ「TH-152UX1」受注開始

2010年8月
 P3一期設備の上海移設発表('11年10月に移設中止)

*2011年3月 (東北三県を除き)地上/BSアナログ放送終了

2011年4月
 VIERA VT30/GT30シリーズ発表。ネットサービスVIERA CONNECT対応

2011年10月
 P5休止とP3設備の上海移設中止を発表

2012年4月
 145型8Kプラズマディスプレイ開発(NHK技研と共同開発)

2013年4月
 VIERA VT60/GT60シリーズ発売。タッチペン機能付き

2013年10月
 プラズマディスプレイ生産終了発表

2013年春発売のTH-P55VT60
プラズマ事業終息を発表するパナソニック津賀社長

(臼田勤哉)