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PS5で4K120p/8Kするなら“ウルトラ”。新HDMIケーブルは48Gbpsがキモ!
2020年12月1日 08:00
家庭用ゲーム機「PlayStation 5(PS5)」や「Xbox Series X」の発売に合わせ、“8K対応”や“4K120p対応”を謳ったHDMIケーブルが登場し、量販店やECサイトなどでもチラホラ見かけるようになった。
11月に発売されたばかりのPS5やXbox Series Xには最新のHDMI規格(HDMI 2.1)が採用されていて、条件が揃えば、8Kや4K120pといった高解像でハイフレームレートな映像が楽しめるほか、ALLM、VRR、eARCなどの機能も利用できる。
この新しいHDMI規格に合わせて用意されたのが「ウルトラハイスピードHDMIケーブル」だ。8Kや4K120pのようなデータ量の大きい信号を出力・伝送する場合は、基本的には、このウルトラハイスピードHDMIケーブルが必要とされている。
とはいえ、「ケーブルなんて、どれも一緒」「同梱のケーブルで十分」と思っている方が大半だろうし、「手持ちのケーブルで4K映ってますけど?」という方も中にはいるはず。
新たに登場したウルトラハイスピードHDMIケーブルとは、従来ケーブルと何が違い、どのような時に必要なのか。その概要と、代表的な製品をまとめてみた。
ウルトラハイスピードHDMIケーブルとは
ウルトラハイスピードHDMIケーブルは、HDMIの規格団体が性能別に分類しているカテゴリーの1つで、HDMI 2.1で拡張された48Gbpsの帯域幅を唯一サポートするケーブルだ。従来ケーブルの上位互換でもあるので、PS5や'20年発売のAVアンプなど、最新のHDMI規格を採用した製品はもちろんのこと、従来のAV機器にも使用できる。
ウルトラハイスピードは、'20年1月に仕様が最終確定し、ケーブル認証テスト(パッシブ型のみ)が夏から始まったばかりの新しいカテゴリーなので、製品数はまだ少ない。そのため、いま皆さんが利用しているであろうHDMIケーブルは、表に記したプレミアムか、ハイスピードか、もしくはスタンダードのいずれかの製品と思っていい。
ウルトラハイスピードが他と違う部分は、48Gbpsという帯域幅の信号まで扱えるよう、ケーブル自体の伝送性能が強化されていること。
具体的には、導体やそれを保護するシールド素材、編み方やケーブル形状、コネクター材質、プラグ処理などを工夫することで、高周波でも信号減衰を抑え、また周囲の無線機器にも悪影響を出さないような耐ノイズ性を実現。「3mが限界」と言われていたパッシブタイプ(銅線)でも、最大5mまでの高速伝送が行なえる。
帯域幅は、広ければ広いほどデータ量の大きい信号が伝送できる。ウルトラハイスピードは48Gbpsをサポートすることで、従来ケーブルでは不可能だったNHKの8K放送やPS5の4K120pゲーム、4K60pの高データレート映像(4:4:4 10bit)をHDMIケーブル一本で伝送できるようになった。さらに、DSC(圧縮伝送)に対応した機器と組み合わせれば、8K120pなどのような48Gbpsを超える信号を伝送することも可能だ。
とはいえ、ウルトラハイスピードは、HDMI 2.1を採用した最新のAV機器、かつ4K120pや8Kなどの信号を伝送をする場合に真価を発揮するケーブル。乱暴な言い方をすれば、帯域幅以外は従来のケーブルと基本は変わらない。なので、PS5であっても、4K120pや8K伝送を行なわない場合は、従来のプレミアムハイスピードなどを組み合わせても支障はない。
またALLMなどHDMI 2.1の最新機能も、接続した機器同士が対応さえしていれば、帯域幅に関係なく、従来のHDMIケーブルで接続しても機能は動作する。ただ、ARC/eARC/HECに関しては、専用の信号線を使って情報をやりとりするので、機器の対応に加えて、ウルトラハイスピード、もしくはイーサネット対応ケーブルを組み合わせる必要があるので注意しよう。
48Gbps伝送に対応したHDMIケーブルをまとめた
48Gbps伝送可能なケーブルにはどんなものがあるのか。現在発売中のHDMIケーブルの中から、48Gbps伝送対応を謳う代表的なモデルをピックアップしてみた。4K120p、8K対応の機器がまだ少ないため、製品数もまだ限られるが、来年はより多くのメーカーから48Gbpsに対応したHDMIケーブルが発売されると見込まれる。
なお、ソニーやパナソニックにウルトラハイスピードHDMIケーブルの発売を問い合わせたところ、両社とも「直近では発売予定はない」(11月現在)との回答だった。
エレコム
エレコムの「DH-HD21EBK」シリーズは、48Gbpsの高速伝送をサポートするパッシブ型のHDMIケーブル。ケーブル長は1m、1.5m、2m、3m、5mの全5種類で、価格は4,598円~7,678円(税込)。
最大の特徴が“国内初”という、ウルトラハイスピード規格認証ケーブルであること。「認証規格の立ち上げ以前から参画し、事前に開発を進めていた」ことが国内第1号の認証に繋がったという。
ケーブルに関しては、伝送帯域の確保、およびノイズ耐性をあげるためにコネクタを再設計したほか、ケーブル素材、および構造を全て新規設計。プレミアムハイスピードHDMIケーブルよりも、さらに大口径の銅線を組み合わせることで、8Kなどの超高解像度映像を安定・高速伝送することを実現。
ノイズ対策としては、高密度のアルミ編組シールドとアルミマイラーを3重に重ねることで、高周波ノイズから低周波ノイズ用までケーブル部分に発生するノイズを除去し、さらにコネクタ前後に金属(亜鉛)製シェルを採用することで、接続端子付近に発生するノイズも抑えたという。
サンワサプライ
サンワサプライからも、48Gbps伝送対応のHDMIケーブル「500-HD024」シリーズが直販サイトで発売されている。パッシブ型で、ケーブル長は1m、1.5m、2m、3m、5mの全5種類。直販価格は2,880円~6,980円(税込)。ウルトラハイスピードHDMIケーブル認証予定品という。
ケーブルは中心からアルミシールド(TMDS用ツイストペアケーブル)、アルミシールド、高密度編組シールドという3重構造を採用。プラグ部は金メッキを施している。
Club 3D
オランダのPC関連機器メーカー・Club 3Dの「CAC-1372」は、48Gbps伝送に対応した2mのHDMIケーブル。Amazonや楽天市場などで販売しており、原稿執筆時点でのAmazon価格は3,180円(税込)。
公式Twitterでもアナウンスしているように、ウルトラハイスピードHDMIケーブル認証品。実際のパッケージでも、認証シールを確認できた。
サイバーガジェット
ゲーム機関連のアクセサリーを数多く展開するサイバーガジェットからも、48Gbps伝送を謳った「CYBER・HDMIケーブル 8K」が発売されている。パッシブ型で、ケーブル長は1.5mと3m。価格はオープンプライスで、直販価格は1.5mが1,680円、3mが2,480円。
ホームページやパッケージには、「HDMI規格2.1の仕様に基づいて製造を行ったケーブルとなり、HDMI2.1の認証ケーブルではありません」と記載しているが、「本製品は厳しい認証試験[コンプライアンステスト]が必要なPremium HDMIケーブルの製造実績のある工場で製造されている」とのことだ。
ベルキン
ベルキンの「AV10175ds2M」は、48Gbps伝送を謳う2mのHDMIケーブル。Apple StoreやAmazonなどで販売しており、原稿執筆時点でのApple Store価格は3,480円。
SUPRA
サエクコマースが取り扱う、スウェーデンのAVブランド・SUPRAでは、アクティブ型とパッシブ型の2種類を発売している。
48Gbps伝送に対応した「SUPRA HDMI 2.1 AOC」は、導体に光ファイバーを使ったアクティブ型で、ケーブル長は1mから100mまでの全16種をラインナップする。価格は38,000円/1mから。
「HD-8」シリーズは、銅線を使用したパッシブ型のHDMIケーブル。ケーブル長は0.5mから5mまでの全7種類を用意するが、8K対応は3mまでとなっている。価格は18,000円/0.5mから。
オーディオクエスト
D&Mでは、米オーディオクエスト製の48Gbps伝送対応HDMIケーブルを発売している(記事参照)。メイン導体、イーサネット用導体、グラウンド用導体など、内部の線材や加工でグレード分けした全8モデルを用意。いずれもパッシブ型。
4N 高純度銅を使ったエントリーケーブル「Pearl48」は5,300円/1mから。導体にシルバーメッキコートを施した「Forest48」は9,400円/1m、「Cinnamon48」は16,000円/1m、「Carbon48」は27,000円/1m、「Vodka48」は53,000円/1m、「ThunderBird48」は94,000円/1mから。
高純度シルバー単線と誘電バイアスシステム+を採用した「FireBird48」は187,000円/1m、「Dragon48」は321,000円/1mから。
エイム電子
業務用ケーブルを数多く手掛けるエイム電子でも、48Gbps伝送に対応したAV用HDMIケーブルが発売されている。
「FLV」シリーズは、新設計のフラット構造を採用したパッシブ型のHDMIケーブル。ケーブル長は1m、1.5m、2m、3m、5mの全5種類。価格は60,000円/1mから。
コネクター内部に旭化成のパルシャットMUを採用しているのが特徴。同素材により、ノイズコントロール性能の向上を実現しているという。
OFC高度結晶無酸素銅(5N)に純銀コーティングを施した導体を採用。シールドには、高密度編組と高性能アルミシールド(クアッドシールド2)を使用している。
なおFLVに関しては、信号発生器の検査とは別に「PS5やグラフィックボードなど48Gbps伝送可能な実機検証も行なってから1本ずつ出荷している」とのこと。
「LS3」シリーズは、光ファイバーを導体に使用したアクティブ型のHDMIケーブル。HECには対応しない。ケーブル長は1.5m~30mまでをラインナップ。価格は16万円/1mから。