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ソニー、“動画専用カメラの決定版”Cinema Line「FX3」
2021年2月24日 11:03
ソニーは、デジタルシネマ制作で培ってきた映像表現のノウハウや最先端技術を、幅広いクリエイターに向けた映像制作用カメラとして展開する「Cinema Line」(シネマライン)の新製品として、シリーズで最小・最軽量な「FX3」(ILME-FX3)を発表した。3月12日発売で、価格は459,000円(税別)。ボディに加え、XLR接続のマイクが接続できるハンドルユニットが付属する。
Cinema Lineの製品としては、シネマ制作向けCineAlta「VENICE」、ドキュメンタリーやドラマ向けのXDCAM「FX9」、そしてドローンへの搭載なども含めた幅広い制作領域に向けたフルサイズ小型4Kカムコーダー「FX6」が昨年11月に登場。「FX3」はこのFX6よりもさらに小型かつ軽量なカメラとなる。
FX3は「シネマカメラ、一眼動画カメラのユーザーニーズを満たす、動画専用機の決定版」として開発。ワンオペレーションでの撮影が増えた映像のプロユーザーや、シネマライクな動画撮影に興味を持っているYouTuberなどのコンシューマー層の両方に訴求するカメラとして誕生した。
シネカメラの課題であるシステムやカメラが大型で機動力が無い点や、マニュアルフォーカス撮影が基本である事などを解消。一眼カメラでの動画撮影で問題となる、RAW出力やグレーディングのコストや時間の解消、ケージやリグを追加してマイクやモニターなどを取り付けると組み立てや解体に時間がかかること、また静止画撮影を前提としているため動画撮影では使いにくい部分がある事などを解消する設計になっている。
センサーは、35mmフルサイズ、有効1,026万画素の裏面照射型CMOS Exmor R。レンズマウントはEマウントを採用。常用ISO感度は「α7S III」(ILCE-7SM3)と同じ、80~102,400、拡張上限409,600。15ストップのダイナミックレンジを実現。従来のチップと比べ、より高速処理が可能な「BIONZ XR」を搭載する。
動画撮影のスペックとしてはα7S IIIと近いカメラだが、外形寸法はα7S IIIの約128.9×80.8×96.9mm(幅×奥行き×高さ)と比べ、FX3はファインダーが無く、129.7×84.5×77.8mmと背が低くコンパクトになっている。
一方で、FX3は天面や側面などに多くのネジ穴を搭載。ケージを使わずに、動画撮影に必要な様々な周辺機器をボディに直接取り付けられる。さらに、小型ボディながら筐体内に冷却ファンを搭載。4K/60p映像を、長時間安定して撮影し続けられる。
さらに、静止画カメラのαで電源ボタンがある人差し指が触れる部分に、電動ズームレンズ用のズームレバーを搭載。電源ボタンがスライド式になり、ISOやホワイトバランスをダイレクトに変更できるボタンを天面に備えるなど、動画撮影時の操作性・利便性を追求したデザインになっている。
アクセサリーシューに固定できるXLRハンドルユニットを同梱。ハンドルにもネジ穴を用意するほか、外部XLRマイクを固定可能。デジタル4chや、24bitでの音声収録もサポートする。さらに、ハンドルを持って、ローアングルなどの安定した撮影もできる。
前面、天面、背面に、赤いRECランプ(タリーランプ)を搭載。録画中に光る事で、録画したつもりが、撮れていなかったという失敗を防げる。各タリーランプは、個別に光らない設定にもできる。
S-Log3撮影が可能なほか、デフォルトでシネマルックな映像が撮影できるS-Cinetoneも搭載。S-Cinetoneはα7S IIIに搭載されておらず、FX3は搭載している。
4K解像度で最大120fpsのハイフレームレート撮影を実現。4K撮影時も4:2:2 10bitで撮影でき、動画フォーマットは従来の「XAVC S」(MPEG-4 AVC/H.264)に加え、MPEG-H HEVC/H.265を採用した「XAVC HS」にも対応。フレーム間の圧縮を行なわないALL Intra記録も可能で、その際は最大600Mbps(4K/60p,4:2:2 10bit)もの高画質4Kデータを本体内に記録可能。
記録メディアは、SD/CFexpressカード×2。外部レコーダーとHDMIケーブルで接続・記録する事も可能。10bit 4:2:2/16bit RAW動画出力に対応する。
AFは、位相差検出AFとコントラストAFを併用した「ファストハイブリッドAF」を搭載。自動的に瞳にピントを合わせ続けるリアルタイム瞳AFも利用可能。
光学式5軸ボディ内手ブレ補正機能(5.5段)を活用した動画専用「アクティブモード」も備えている。
背面は3型のバリアングルモニター。解像度は144万画素。