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8Kテレビ時代の幕開け、シャープAQUOS 8K 11月発売。70型100万円、80型200万円

シャープは、新4K8K衛星放送に対応した8K液晶テレビ「第2世代AQUOS 8K」を11月17日より発売する。80型の「8T-C80AX1」と70型「8T-C70AX1」、60型「8T-C60AX1」の3サイズ展開で価格はオープンプライス。店頭予想価格は80型が200万円、70型が100万円、60型が75万円前後。

第2世代AQUOS 8K「8T-C80AX1」

2017年に発売した第1世代の「AQUOS 8K LC-70X500」は、地上/BS/110度CSチューナーと8K液晶パネルを搭載した“8K対応”テレビで、8Kチューナーは内蔵していなかった。第2世代AQUOS 8Kは、12月1日から放送開始する新4K8K衛星放送チューナーを備え、8K放送の受信と表示を1台で実現可能な「8Kテレビ」となる。世界初の8Kチューナー内蔵テレビとして展開する。

世界初の8Kチューナー搭載テレビ。80型はUV2AIIパネル

12月1日開始の8K衛星放送に対応した世界初のテレビ。BS 8K放送は「NHK BS8K」の1チャンネルで、NHKのフラッグシップチャンネルとして、毎日約12時間放送する。「ルーブル美術館 美の殿堂の400年」、「世界三大オーケストラの響き」などの番組が予定されている。

80/70/60型のいずれも、8K/7,680×4,320ドットの液晶パネルを搭載し、フルHDの16倍の高解像度を活かしたきめ細かくリアルな映像表現が特徴。目の前に実物があるかのような「臨場感」、「実物感」、物体の奥行きやふくらみなどの「立体感」をリアルに表現できる8Kの魅力をアピールする。視野角は上下/左右176度。

8T-C80AX1

120Hzの倍速駆動に対応した新8Kパネルと動画応答性を高める「960スピード」により残像感を低減。8K対応の新開発「AQUOS 8K Smart Engine PRO」を搭載し、2Kや4Kの映像を高品位に8K化する「8K精細感復元アップコンバート」や、画素の周辺情報を広範囲に分析し、元の被写体が持っている情報を推測・復元する「8Kリアリティ復元アップコンバート」、アップコンバートの過程で損なわれやすい情報を復元する「8K 3D ノイズリダクション」などで高画質化を図る。

AQUOS 8K Smart Engine PRO

8Kによる高精細化に加え、液晶自体を高開口率化し、明るさを向上。広色域カラーフィルターと蛍光体を組み合わせた色域の拡張やHDR対応の高輝度バックライトなどにより、8K+HDRの高画質を実現する。

8T-C70AX1
8T-C60AX1

バックライトは直下型LEDで部分駆動(ローカルディミング)に対応。60/70型は「一般的な液晶テレビ上位機相当」のエリア数だが、80型は「チャンピオン機として圧倒的にLED数は多くなっている」という。

8Kの高精細と高画質を活かす直下型バックライトのため、奥行きはそれなりにある

8K液晶パネルも80型の最新設計のもので、開口率を高め、光の透過率の高い「UVm2AII」を採用。ピーク輝度は非公開だが、従来モデル比で4倍となっている。60型と70型はUVm2A液晶で、輝度は従来比2倍程度とのこと。HDR信号はHDR10とHLG(ハイブリッドログガンマ)に対応し、4K/8K放送のHLG信号も表示可能。

80型の8Kパネルは特別仕様

8K録画には専用HDD。4K×2も。スピーカーを強化

チューナーは、BS 8K×1とBS 4K/110度CS 4K×2、地上/BS/110度CS×3。BS 8Kは同時発売のシャープ製8TB HDD「AQUOS 8K HDD(8R-C80A1:実売12万円)」をUSB 3.0接続して、録画が可能。最大170時間の8K放送を録画できる。

BS 4Kや地デジなどは、別売のUSB HDDへの2番組同時録画も可能。ただし、8K放送と4K放送の同時録画はできず、1番組の8K/4K放送と、地デジ/BSとの組み合わせとなる。

なお、BS 4K/8K放送の視聴には、アンテナや室内配線の対応も必要となる。ただし、BS朝日、BSジャパン、NHK SHV 4K、BS-TBS 4K、BSフジ、BS日テレ(2019年12月開始)のBS 4K 6チャンネルは、これまでのBSアンテナで視聴できる。

スピーカーは、総合出力70W(10W×4ch+15W×2ch)でツィーター×2、ミッドレンジ×2、サブウーファー×2を装備。独自形状スピーカーとダブルサブウーファーにより前面でも自然で聞き取りやすい音質を実現。音質チューニングにはONKYOも加わっている。

HDMI入力は4系統で、いずれもHDCP 2.2対応で、18Gbps(4K/60p/HDR)をサポート。HDMI3がARC対応となる。また、後日のアップデートで、「1本のケーブルで8K伝送対応予定」(同社)とのこと。HDMI 2.1へのアップデートと思われるが、HDMI 2.1のテストスペックもまだ未確定であり、どの機能を満たせるかなどはまだわからないそうだ。

背面端子部

ヘッドフォン出力やアナログ音声出力、光デジタル音声出力も備えている。USB端子はメモリー用と、USB HDD用とUSB HDD(BS 4K/8K専用)の3系統。LAN端子は100BASE-TX。無線LANやBluetoothも搭載する。

また、60型の「8T-C60AX1」のみスタンド部を左右に回転可能となっている。

60型の「8T-C60AX1」はスタンドの回転に対応する

AIoTも最新世代。8K+Android TV

シャープが推進するAIoT機能も搭載し、Android TV最新バージョン「Android 8 Oreo」を採用。なお、Android TVなどのGUIは4Kで、8Kにアップコンバートして表示する。

基本的な機能は、同じく11月17日から発売予定のBS 4K対応「AQUOS 4K AN1/AL1」シリーズと共通で、家族の視聴傾向などを学習しておすすめの録画番組などを教えてくれる「COCORO VISION」を搭載する。

AIが、家族のよく見る番組や利用した時間帯を学習し、好きなジャンルの番組やよく見るタレントが出演する作品を教えてくれるほか、人が近づくとテレビが自動でONになり、見逃しがちな番組などを画面や声で紹介する。

COCORO VISIONでおすすめする情報に、自治体などのイベント主催者からの情報や地域の週末の催し物などを表示する機能も搭載予定(年内開始予定。提供される情報量は地域によって異なる)。さらに、「COCORO CALENDAR」に対応。家族のスケジュールを共有できるサービスで、リモコンのボタンから起動して、リモコンのマイクでスケジュールの入力も行なえる。カレンダー画面には、地域のイベントも表示。家族のカレンダーに休日の外出先を簡単に登録できるほか、スマートフォン向けのカレンダーアプリ「ジョルテッシモ」を使えば、外出先でもスケジュールできる。

ビデオ配信の「COCORO VIDEO」や音楽配信の「COCORO MUSIC」、ゲームの「COCORO GAME」にも対応。各スマホアプリとの連携動作も行なえる。

リモコンのGoogleアシスタントボタンからの音声検索に対応し、見たいジャンルや俳優の名前から番組検索や天気の確認などの操作が行なえる。放送や録画番組のほか、YouTubeやCOCORO VIDEOの番組を検索・再生できる。

Googleアシスタント対応(Works with Google アシスタント)のシャープ製品(COCORO KITCHEN、COCORO AIRなど)や他社製品の操作も可能。また、スマートスピーカーのGoogle Homeからの選曲や音量調整も行なえる。

映像配信サービスは、COCORO VIDEOのほか、Netflix、dTV、Hulu、GYAO!、DAZN、AbemaTV、U-NEXT、niconico、YouTube、スカパー! オンデマンドなどに対応する。

消費電力は80型が約825W、70型が約536W、60型が約526W。年間消費電力量は80型が382kWh/年、70型が343kWh/年、60型が320kWh/年。

スタンドを含む外形寸法/重量は、80型が181.6×44.0×113.2cm(幅×奥行き×高さ)/約62.0kg、70型が156.2×44.0×99.3cm(同)/約51.0kg、60型が135.4×44.0×87.4kg(同)/約40.5kg。

8KエコシステムとAIoT推進、海外比率8割へ。新ロボホンは年末に?

シャープは、上記のAQUOS 8Kテレビ3機種に加え、8Kチューナー非搭載で60型/実売50万円前後のテレビ「8T-C60AW1」や、サウンドバー型で22.2ch音声対応の「AQUOSオーディオ 8A-C31AX1」と、8K放送録画対応のUSB HDD「8R-C80A1」、外付けの8Kチューナー「8S-C00AW1」を発表。テレビとチューナーとHDDは11月17日に、AQUOSオーディオは2019年2月に発売する。なお、各モデルの詳細は別記事で掲載している

シャープの8Kテレビなど新製品ラインナップ

10月16日に開幕する「CEATEC JAPAN 2018」に先駆けて、同社は説明会を開催。8Kテレビや周辺機器のほか、AIoT(モノの人工知能化)の取り組みなどを紹介した。

執行役員 8K エコシステム戦略推進室長 西山博一氏は、新4K8K衛星放送開始まで48日となったことに触れながら、今回の新8Kテレビだけでなく映像制作や配信、医療、教育&研究の各分野でビジネスを拡大する「8Kエコシステムの進化」を強調。

新4K8K衛星放送開始まで48日
新放送のチャンネル
執行役員 8K エコシステム戦略推進室長 西山博一氏
8Kエコシステム

映像配信については、自社クラウドを活用した8K IP配信を提案。撮影されたコンテンツをクラウド上にアップロードして蓄積後、オンデマンドで配信するもので、クラウド側での処理によって様々なサービスを可能にするという。現在、大阪・堺データセンターに映像を蓄積して試験を行なっており、8Kをライブストリーミング配信する環境を目指す。

映像制作分野
映像配信分野
医療分野
教育&研究分野

スマートTVシステム事業本部 本部長代行 加藤直樹氏は、「AQUOS 8K第2展開」として、テレビやAQUOSオーディオ、USB HDD、チューナーの各機種を紹介。今後は日本だけでなく、欧州・ロシア、中国、中東・アフリカ、インド、アセアンの世界7地域で第2世代AQUOS 8Kを展開することを紹介した。

7地域でAQUOS 8Kを展開
スマートTVシステム事業本部 本部長代行 加藤直樹氏

取締役 兼 副社長執行役員 AIoT 戦略推進室長 兼 欧州代表の石田佳久氏は、2017年の「IFA 2018」で8Kテレビやスマートフォンを披露して「SHARP is back」と宣言したことを振り返り、グローバルでの事業拡大の推進により、海外売上高比率を'16年度の68.1%から、'17年度は73.4%まで拡大したことを説明。「この勢いを加速し、近い将来に80%の実現を目指す」と述べた。

取締役 兼 副社長執行役員 AIoT 戦略推進室長 兼 欧州代表の石田佳久氏
海外比率の拡大

そのカギとなるポイントについては「量から質へ」のシフトを挙げ、海外では扱うカテゴリーやラインナップの拡大、高付加価値モデルやローカルフィットモデルの比率を高める一方、日本国内においては「事業そのものの質の向上」を目指し、それを実現するために「8Kエコシステム」と「AIoT」の拡大を図る方針を示した。

海外での取り組みでは、欧州でのテレビ事業強化やスマホ事業展開など「本格的な事業拡大フェーズへの移行」を強調。さらに、中国については「テレビ事業の高付加価値化」などを挙げ、「第2ステップとして、会長自ら陣頭指揮を執り、8Kテレビやスマートテレビの高付加価値モデルを導入していく」とした。

中国での事業強化
8KエコシステムとAIoTを拡大

説明会では、安倍総理が来年10月から消費税の10%への引き上げを発表すると報じられていることに対して報道陣から質問があり、これに対し石田氏は、「過去の例から言って、駆け込み需要や、その後の冷え込みは存在する。政府には、その緩和措置を配慮いただくことを期待している。シャープとしては、増税に左右されないようなサービスや商品を矢継ぎ早に投入し、業績の浮き沈みを平準化していきたい」と答えた。

また、ロボホン新機種についての質問にも返答。専務執行役員 スマートホームグループ長 兼 IoT HE 事業本部長の長谷川祥典氏は「今年末前後の発売に向けて、正確な発表は今後行なう」と予告。「これまでのアプリを踏襲できるものを考えており、よりたくさんのお客様に、大事にしていただけるようなコンセプトで進めている」と述べた。

専務執行役員 スマートホームグループ長 兼 IoT HE 事業本部長の長谷川祥典氏