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パナソニック、プラズマテレビ撤退正式発表。'14年3月末でPDP事業終了

パナソニック 津賀一宏社長

 パナソニックは31日、プラズマテレビからの撤退を正式発表した。2013年12月にプラズマディスプレイ(PDP)の生産を終了し、2014年3月末で兵庫県尼崎市にある第3工場(停止中)、第5工場(休止中)と、現在稼働中の第4工場の事業活動を停止する。

 同社では、「PDPが有する高画質に世界のお客様から高い評価と根強いニーズを頂いていたが、事業環境の急激な変化と、薄型テレビ市場におけるPDP需要の減少により、事業継続は困難であると判断。生産終了を決定した」としている。

 PDP生産の終了にともない、民生用プラズマテレビのほか電子黒板をはじめとする業務用PDP関連製品の販売も2013年度をもって終了。今後は、民生用、業務用ともそれぞれの製品に適したディスプレイパネルを広く求めて採用することで、顧客の要望を満たすとしている。

PDP事業を2013年度で事業終息

 津賀一宏社長は、テレビ・パネル事業の改善策の最大の施策として、PDP事業の終了を発表。「液晶の大型化、4Kなどの展開もある、需要縮小が止まらず、今年度赤字も200億円を超える。12月をもってパネルを生産終了し、今年度をもって事業を終了する」と宣言した。また、アメリカ、中国のテレビ事業についても流通チャネルの絞込みを行ない、工場直販モデルに移行。オペレーションコストを削減する。これらの施策により、テレビ・パネル事業の2015年度赤字解消を目指す。

 今後のパナソニック テレビの強みや位置づけについては「液晶でも大型化が進み、プラズマでないと大型化出来ないという時代ではない。我々はパネルを内製するつもりは無い。パネルを買ってきて、どうやってお客様に価値を提供するか。イメージとしては、白物家電の一つとしてテレビを位置づけるという仮説。その一環がスマートビエラにおける、マイホームのように、テレビを受けるだけでなく、クラウド連携して、生活の場を助ける、家とより一体感ある製品になる。われわれの住宅関連事業とより密接に絡んでいくような製品に再定義しようと考えている」と語った。

 31日に発表した2013年度第2四半期決算や新たな経営施策については別記事で紹介している。

2003年発売のVIERAブランド初代機TH-50PX20、42PX20、37PX20
2013年発売の「TH-P55VT60」

 パナソニックは、2000年7月にPDP製造会社松下プラズマディスプレイ製造を設立し、2001年にPDPの量産を開始した。

 プラズマテレビについては、初期にはNECや富士通などが力を入れており、2000年代初頭には各テレビメーカーが参入。2000年代後半まで日立製作所やパイオニアなども発売していたが、日立は2008年9月に自社によるパネル生産撤退を表明。パイオニアも2008年3月にパネルの自社生産撤退を、2009年2月にはディスプレイ事業撤退を発表し、2010年3月を持って完全撤退しており、パナソニックが国内唯一のプラズマテレビメーカーとなっていた。

【パナソニックPDP事業の沿革】

2000年7月:松下プラズマディスプレイ製造設立

2000年9月:東レとの合弁締結

2000年10月:松下プラズマディスプレイ設立

2001年1月:上海松下プラズマディスプレイ設立

2001年6月:PDP量産開始

2001年12月:上海工場セット生産開始(パネル生産は2002年12月より)

2004年4月:第2工場(茨木)稼働開始

2005年9月:第3工場(尼崎)稼働開始

2007年6月 第5工場(尼崎)稼働開始

2009年1月:第5工場(尼崎)投資減額・稼働開始延期発表

2009年11月:第5工場稼働開始

2010年8月:第3工場第一期ライン生産設備の上海工場移設発表

2011年10月:第5工場生産休止、第3工場設備の上海移設中止発表

2013年10月:プラズマディスプレイ生産終了を発表

AV Watch記事で振り返るパナソニックプラズマテレビ

【2001年】

松下、BSデジタルチューナ内蔵のワイド50型プラズマTV

松下、BSデジタルチューナ内蔵の37/50型プラズマTV

松下電器、BSデジタルチューナ内蔵の42型プラズマテレビ

【2002年】

松下、1,024階調を表現可能な50V/42V型プラズマテレビ

松下、地上波EPG搭載の42V/37Vチューナ内蔵プラズマテレビ

【2003年】

松下、50V/42V/37V型地上デジタルチューナ一体型プラズマTV

【2004年】

松下、新パネル搭載50/42/37V型プラズマTV「VIERA」

松下、世界最大65V型の民生用プラズマディスプレイ

【2005年】

松下、「感動画質」を目指した50/42/37V型プラズマテレビ

松下、「VIERA」シリーズ一新。PDP3機種、液晶6機種を投入

松下、世界初の65型フルHD対応プラズマテレビ

松下、50型プラズマで初のフルHD対応パネルを開発

【2006年】

松下、プラズマ「VIERA」4モデルを発表。全モデル1080p対応

松下、薄型TV VIERA/レコーダDIGA計11機種を同時発表

松下電器、「VIERA Link」対応の低価格プラズマTV

松下、50/58/65/103型のフルHDプラズマ「VIERA」を投入

【2007年】

松下、低反射パネル採用のプラズマ「VIERA」6機種

松下、50/42型フルHDプラズマテレビ「VIERA PZ700」

松下、フルHDプラズマ/液晶「VIERA」7製品を9月発売

松下、“リビング高画質”フルHDプラズマ「VIERA PZ750」

松下、コントラスト1万:1のフルHDプラズマ「PZ70」2機種

【2008年】

松下、コントラスト15,000:1の新プラズマVIERA「PX80」

松下、「VIERA」最薄79mmなどプラズマ5モデル

松下、“デジタルシネマに迫る”プレミアムVIERA「PZ800」

パイオニアと松下電器がPDP事業について包括提携

松下、コントラスト1万:1の103型プラズマ「VIERA」

松下、コントラスト3万:1のプラズマ「VIERA」65/58型

松下、1TB HDD内蔵/YouTube対応の新「VIERA PZR900」

【2009年】

パナソニック、薄さ約1インチの新PDP「VIERA Z」

パナソニック、薄型TV「VIERA」3シリーズ/13機種を発表

パナソニック、ネオ・プラズマパネル採用「VIERA」6機種

パナソニック、500GB HDD内蔵プラズマTV「VIERA R」

パナソニック、85型で薄さ99mmのフルHD PDPを開発

【2010年】

パナソニック、コントラスト500万:1のプラズマVIERA

パナソニック、世界初3DプラズマTV「VIERA VT2」

パナソニック、フル・ブラックパネル採用「VIERA V2」

パナソニック、「3D VIERA」に65型と58型の大画面機

パナソニック、HDD内蔵/W録画対応の「VIERA R2」

パナソニック、実売30万円の42型プラズマ「3D VIERA」

パナソニック、3D対応+BD/HDD簡単録画の新「VIERA」

パナソニック、世界初3D対応オールインワン「VIERA」

パナソニック、3D対応の103型プラズマ「TH-P103MT2」

【2011年】

パナソニック、黒と3Dを追求した最上位機「VIERA VT3」

パナソニック、3D+USB HDD/SD録画の「VIERA」中級機

パナソニック、約13万円/USB録画の42型プラズマVIERA

パナソニック、3チューナ+BD/HDD録画の「VIERA RB3」

パナソニック、最上位3D VIERAの65型「TH-P65VT3」

パナソニック、プラズマ3D VIERA中級機GT3の55型

【2012年】

パナソニック、スマートAV連携の最上位PDP VIERA「VT5」

パナソニック、最高画質プラズマテレビ「VIERA ZT5」

【2013年】

パナソニック、「プラズマ撤退可能性はゼロでは無いが頑張る」

パナソニック、最高峰プラズマテレビ「VIERA VT60」

パナソニック、電子ペン付属のプラズマTV「VIERA GT60」

(臼田勤哉)